茨城県議会の情報公開条例制定を目指す「茨城県議会情報公開に関する調査委員会」の最終答申がまとめられました。(2000年10月30日、議長に提出されました。) 条例案は、12月議会で議決を経て、年度内に公布され、2001年4月1日から施行される予定です。
条例案では、「開かれた議会」を目指して、条例を制定したことを県民に分かりやすく説明するため、条例としては異例となる「前文」を設けました。条例案の特徴としては、@請求権者は県民に限定せず「何人(なにびと)も」とした、A会派の活動や議員個人の情報、活動については原則不開示とした、B不開示に伴う不服申し立て請求に対する第三者の救済機関として「情報公開委員会」(仮称)を設置する、C対象文書の範囲は、職員が職務上作成、または取得した文書で、フロッピーディスクなど電磁的記録も含む、D開示される文書は、公布の日以後に作成された公文書に限定される・・・・・・などとなっています。
この条例案は、自民党、民主党、公明党、共産党など全会派の賛成で、全会一致で成立すると予想されます。
皆さまのご意見を頂戴する参考に、以下「茨城県議会情報公開に関する調査委員会」の最終答申を全文掲載します。
茨城県議会情報公開に関する調査委員会報告書
茨城県議会における情報公開制度について
はじめに
県議会情報公開に関する調査委員会は、県議会における情報公開の制度化に向けた検討を行うため、本年3月24日に設置され、以来、県外調査を含め、計8回の委員会を開催し、精力的に調査検討を積み重ねてきた。
本委員会は、本年3月に全面改正された茨城県情報公開条例や各都道府県議会における情報公開制度について幅広く調査研究をするとともに、情報公開制度化の方法、制度の目的、不開示情報の在り方、不服申立審査機関の在り方などについて、活発な意見交換を行ってきた。
本報告書は、県議会の情報は原則として公開されるべきであることを前提として、情報公開の制度化を進める上での基本的な事項について検討し、取りまとめに当たっては大方の意見の一致があることを原則としたものである。
本報告書では、これまでの調査検討を基に条例案を提示しているが、本委員会における調査検討の結果を基に、早期に条例化が図られるよう望むものである。
平成12年10月30日
第1 県議会の情報公開の基本的な考え方
1 開かれた県議会の実現
本年4月からの地方分権一括法の施行により、機関委任事務の廃止、地方公共団体への権限委譲などの諸改革が実行の段階を迎え、地方公共団体の自己決定権と自己責任も大きく拡大した。
今後、地方公共団体は、地域の特性に配慮しながら自らの責任において施策を進めていくことになり、県民の代表機関である地方議会においても、その果たすべき役割と責務は、ますます大きくなっている。
このような中で、本県議会が県民の負託にこたえ、その活動を積極的、効果的に展開していくためには、これまで以上に議会の公開性を高め、県民の議会に対する理解と県政参加を促進し、広く開かれた県議会を実現することが必要である。
2 県議会における情報公開
本県議会は、これまでも、本会議はもとより常任委員会や特別委員会等を公開し、その会議記録等についても公開するとともに、広報紙「議会だより」の全戸配布、インターネットによる議会独自のホームページの開設など議会情報の提供を積極的に進めてきた。特にインターネットによるホームページでは、本年8月から本会議等の会議記録等の検索・閲覧機能を尊入し、議会情報の提供の充実を図ったところである。
また、政治倫理の確立のための茨城県議会の議員の資産等の公開に関する条例を制定し、議員の資産公開も実施している。
このように、本県議会は自主的な情報公開を積極的に進めてきたところであるが、地方分権の新しい時代を迎え、広く開かれた県議会を実現するため、これらの情報の提供や公表をさらに推進するとともに、議会の保有する公文書は原則として公開されるべきであることを前提として請求に基づく公文書開示制度を新たに導入し、県議会のより一層の情報公開を図っていく必要がある。
3 県議会独自の情報公開制度
情報公開の制度化に当たって、本委員会では、議会が執行機関とチェック・アンド・バランスの関係にあるという、議決機関としての独自性の観点から、執行機関における制度とは別に議会独自の制度として実施すべきであるとの結論に達した。
なお、執行機関においては、茨城県公文書の開示に関する条例(昭和61年茨城県条例第2号)の全部改正により、平成12年10月1日から茨城県情報公開条例(平成12年茨城県条例第5号。以下「執行機関条例」という。)が施行されたところである。
これら両者の情報公開制度は、一つの自治体における同種の制度であることから、議会の情報公開の制度化に当たっては、可能なものは執行機関における制度と共通化を図り、県民にとって両者の制度が利用しやすいものとする必要がある。
第2 条例化に当たつての基本的な考え方
1 条例の目的
地方分権の新しい時代を迎え、議会が県民の負託にこたえて活動するためには、県民の議会への理解が不可欠であり、議会の保有する情報の一層の公開を図ることが重要であるとの認識に基づき、広く開かれた議会の実現を目指すことを本条例案の目的とした。
また、「説明責任」については、公文書の開示を請求する権利等について条例で定めることにより、これまでの各種情報提供施策と相まって、議会の諸活動を県民に説明する責務が全うされることから、これを明記することとした。
なお、「知る権利」については、開示請求権は「知る権利」から導き出されるものとしてこれを条例に明記すべきであるという意見や、開示請求権は条例によって付与されるものであって、「知る権利」に対する理解を深めることに意義を見出してこれを明記すべきであるなど、さまざまな意見が交わされた。結論として、とりわけ住民自治との関係における情報公開の重要性の認識に立ち、「地方自治の理念にのっとり、開示請求権につき定める」旨のみで足りるものとして、法的に未だ不確定な概念とされる「知る権利」については、本条例実にこれを明記しないこととした。
2 対象文書の範囲
県民に対し説明責任を全うする観点から、対象文書は、決裁、供覧等の手続要件で絞ることなく、議会の事務局の職員が職務上作成し、又は取得したものであって、組織的に用いるものとして議会が保有しているものとした。
また、情報化の急激な進展に伴い、本県議会においても情報の電子化等が進んでいることから、電磁的記録についても対象とした。
3 請求権者の範囲
情報化の進展やあらゆる社会活動の広域化が急速に進み、議会の保有する情報に対する需要も県域を越えて広域化してきていることから、請求権者は県民に限定せず、何人も請求することができることとした。
4 開示請求の手続
請求手続をより透明性の高いものとするため、請求書に形式上の不備がある場合において議長が開示請求者に補正を求める手続及び補正の参考となる情報の提供に関する規定を設けることとした。
5 開示・不開示情報
(1)開示・不開示の枠組み
原則公開の趣旨を明確にするため、不開示とする合理的な理由のある情報については不開示情報として規定し、それ以外の情報については開示することを義務付けることとした。
(2)不開示情報
原則公開の趣旨にのっとり、不開示情報は必要最小限にとどめることとし、その種類は、法令秘情報、個人情報、法人等情報、公共の安全等に関する情報、審議・検討・協議に関する情報、事務事業の執行に関する情報及び会派活動・議員活動に関する情報とした。
なお、個人に関する情報であって、当該個人が公務員(議員を含む。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、説明責任の観点からこれを明らかにする意義は大きいことから、当該公務員の職名及び職務遂行の内容を開示することとした。
(3)会派活動及び議員活動に関する情報
会派の活動や議員の活動に関する情報は、会派の集会・結社の自由や議員個人の政治活動の自由に関わる議会に固有の情報であり、一律にこれを開示することは適当でないため、会派の活動や議員の活動に著しい支障を及ぼすおそれのあるものについては不開示とした。
(4)公益上の理由による裁量的開示
不開示情報が記録されている場合であっても、個別具体的な場合において開示すべき優越的な公益が認められる場合には、議長の高度の裁量判断により開示することができることとした。
6 公文書の存否に関する情報
開示請求に対しては、公文書の存否を明らかにしたうえで開示・不開示等の決定、(以下「開示決定等」という。)をすべきであるが、当該公文書を不開示とし、あるいは存在しないと回答するだけで不開示情報の保護利益が害されることとなる場合には、その存否を明らかにしないで、開示請求を拒否することができることとした。
7 開示決定等の手続
(1)開示請求に対する措置
開示請求があった場合、議長は開示決定等を書面により開示請求者に通知することとした。
なお、開示決定等に際して、議長は、必要に応じ情報公開委員会の意見を聴くことができることとした。
(2)開示決定等の期限
開示請求に対して開示決定等を行う期限を規定することとし、また正当な理由があるときはその期限を延長することができることとした。
(3)大量請求に係る期限の特例
開示請求に係る公文書が著しく大量であるため、期間内にそのすべてについて開示決定等をすることとすると、事務の遂行に著しい支障が生ずる事態も想定されることから、開示請求に係る公文書のうちの相当の部分について期間内に開示決定等を行い、残りの部分については相当の期間内に行えば足りることとした。
(4)第三者保護
開示請求に係る公文書に県、国、他の地方公共団体及び開示請求者以外の第三者に関する情報が記録されている場合には、当該第三者に対する意見書提出の機会の付与等により、第三者の権利、利益の保護を図ることとした。
8 開示の実施
文書又は図画の開示の方法については、閲覧又は写しの交付により行うこととした。
電磁的記録の開示の方法については、開示請求者の便宜を考慮し、できるだけその要望にこたえる必要があるが、電磁的記録の種類・情報化の進展状況等を踏まえながら、随時適切な開示方法を取り入れていく必要があることから、開示方法については条例施行規程により定めることとした。
9 費用負担
閲覧については、制度の趣旨から費用負担を求めないものとするが、写しの交付等については、その作成に要する実費の費用負担を求めることとし、その額については条例施行規程で定めることとした。この場合、開示請求者の負担の公平性の観点から、執行機関条例における費用負担の額との整合を図る必要がある。
10 情報公開委員会(仮称)
本県議会に、不服申立ての審査、開示決定等に係る事前審査、情報公開制度の運営及び情報公開の推進全般に関する調査審議を行うため、議員で構成する情報公開委員会(仮称)を設置することとした。
(1)不服申立ての審査
不服申立審査機関の在り方について、判断の公正性ないし処分庁からの独立性(第三者性)及び手続の簡易性・救済の迅速性の観点から検討を行い、執行機関条例における審査機関の活用、第三者のみにより構成する審査機関の設置、議会運営委員会の活用等、さまざまな意見が交わされたが、結論として、不開示決定等に係る不服申立てに際し、議長は情報公開委員会の意見を聴いて決定しなければならないこととした。
この委員会は、議員で構成されることから、学識経験者等の意見を聴取し、これを裁量して決定することにより、その決定における第三者性を確保することとした。
(2)開示決定等に係る事前審査
当該委員会は、議長が開示決定等を行うに際して、議長が必要と認めるときはその求めに応じ、当該情報の性格やこれを開示することの支障の有無等について、事前に審査をするものとした。
(3)情報公開制度の運営及び情報公開の推進
当該委員会は、情報公開制度の適正な運営を確保するための審議及び情報提供施策を含む情報公開の推進全般についての審議をするものとした。
11 文書の管理
情報公開制度が適正に運営されるためには、その前提として、公文書の管理が適切に行われることが必要であり、情報公開における文書管理の重要性にかんがみ、文書管理に関する根拠を条例に位置付けるとともに、文書管理に関する基本的事項を条例施行規程に定めることとした。
12 情報の提供に関する施策の充実
広く開かれた県議会とするためには、議会の保有する情報を適時、適切に提供し、その説明責任を全うする必要がある。このため、開示請求制度と情報の提供に関する施策とが相互に補完しあいながら機能する総合的な情報公開の推進を図る必要があることから、情報の提供に関する施策の充実に努めることとした。
13 条例の施行及び適用
条例は、本年第4回定例会に条例案を提出(議員提案)し、年内に公布し、来年度当初に施行することが望ましい。
また、公文書の開示制度は、公布の日以後に作成し、又は取得した公文書に適用することが望ましい。
第3 制度化への留意点と今後の課題
1 執行体制の整備、強化
情報公開制度を円滑に運営するため、情報公開窓口、及び争訟等の事務を担当する議会事務局の体制の整備、強化を図る必要がある。
2 執行機関との調整
本報告においては、執行機関条例とは別に議会独自の条例による情報公開の制度化を提言した。しかし、これら二つの情報公開条例が存在することによって、情報公開制度を利用する県民の利便性を欠き、利用しにくいものとなってはならないので、今後の運用に当たっては、執行機関と十分な調整を図る必要がある。
第4 条 例 案
茨城県議会情報公開条例(案) 目 次
第1章 総 則(第1条〜策4条)
第2章 公文書の開示(第5条〜第21条)
第3章 茨城県議会情報公開委員会(第22条〜第30条)
第4章 補 則(第31条〜第37条)
付 則
地方分権の新しい時代を迎え、地方議会は、その役割と責務がますます大きなものとなり、県民の代表機関として、県民の意思を反映した活動をこれまで以上に積極的かつ広範に行っていくことが求められている。
地方自治の理念にのっとり、議会が、県民の負託にこたえ、その諸活動を県民に説明する責務を全うすることにより、県民の理解と県政参加が促進されるものであることから、茨城県議会はこれまでも、会議はもとより委員会やそれらの会議記録等について公開するとともに、議会の活動に関する情報を積極的に提供するよう努めてきたが、新しい時代の中で、議会の公開性をより一層高めていくことが重要である。
このような認識に基づき、地方分権の進展に対応した広く開かれた茨城県議会を実現するため、この条例を制定する。
第1章 総 則
(目的)
第1条 この集例は、地方自治の理念にのっとり、茨城県議会(以下「議会」という。)の公文書の開示を請求する権利等につき定めることにより、議会の保有する情報の一層の公開を図り、もって議会の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民の理解と県政参加を促進し、広く開かれた議会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「公文書」とは、議会の事務局の職員(以下「職員」という。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、職員が組繊的に用いるものとして、議会が保有しているものをいう。ただし、官報、公報、由書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものを除く。
(解釈及び運用の指針)
第3条 議会は、公文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、及び運用するものとする。2 議会は、この条例の解釈及び運用に当たっては、通常他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに開示されることがないように配慮するものとする。
(適正使用)
第4条 公文書の開示を請求した者は、この条例の規定により公文書の開示を受けたときは、当該公文書に係る情報を、この条例の目的に即して適正に使用しなければならない。
第2章 公文書の開示
(開示請求権)
第5条 何人も、この条例の定めるところにより、議会の議長(以下「議長」という。)に対し、議会の保有する公文書の開示を請求することができる。
(開示請求の手続)
第6条 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を議長に提出してしなければならない。(1)開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
(2)公文書の名称その他の開示請求に係る公文書を特定するに足りる事項
2 議長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、議長は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。
(公文書の開示義務)
第7条 議長は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。(1)法令又は条例の規定により公にすることができないと認められる情報
(2)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令(条例、規則等を含む。第17条において同じ。)の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ウ 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
(3)法人その他の団体(団及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ア 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
イ 議会及び議会以外の県の機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
(4)公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると議長が認めることにつき相当の理由がある情報
(5)議会及び議会以外の県の機関並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
(6)議会若しくは議会以外の県の機関又は国若しくは他の地方公共団体(以下この号において「国等」という。)が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に閑し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に閑し、県又は国等の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ウ 調査研究に係る事務に閑し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ、
工 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
オ 県又は国等が経営する企業に係る事業に閑し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
(7)会派の活動に関する情報又は議員の活動に関する情報であって、公にすることにより、当該会派の活動又は議員の活動に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの
(部分開示)
第8条 議長は、開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
2 開示請求に係る公文書に前条第2号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。
(公益上の理由による裁量的開示)
第9条 議長は、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該公文書を開示することができる。
(公文書の存否に関する情報)
第10条 開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、議長は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。
(開示請求に対する措置)
第11条 議長は、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に閑し議長が定める事項を書面により通知しなければならない。
2 議長は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
3 議長は、前2項の決定をするに当たって必要と認めるときは、第22条に規定する茨城県議会情報公開委員会の意見を聴くことができる。
(開示決定等の期限)
第12条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から15日以内にしなければならない。ただし、第6条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、議長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を45日以内に限り延長することができる。
この場合において、議長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
(開示決定等の期限の特例)
第13条 開示請求に係る公文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、議長は、開示請求に係る公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの公文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、議長は、同条第1項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。(1)本条を適用する旨及びその理由
(2)残りの公文書について開示決定等をする期限
(事実の移送)
第14条 議長は、開示請求に係る公文書が茨城県情報公開条例(平成12年茨城県条例第5号)第2条第1項に規定する実施機関(以下「実施機関」という。)により作成されたものであるときその他実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該実施機関と協議の上、当該実施機関に対し、事実を移送することができる。この場合においては、議長は、開示請求者に対し、事実を移送した旨を書面により通知しなければならない。
2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、議長が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなす。
3 前項の場合において、移送を受けた実施機関が第11条第1項の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは、当該実施機閑は、開示の実施をしなければならない。この場合において、議長は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第15条 開示請求に係る公文書に県、国、他の地方公共団体及び開示請求者以外の者(以下この条、第20条及び第21条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、議長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る公文書の表示その他議長が定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 議長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る公文書の表示その他議長が定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
(1)第三者に関する情報が記録されている公文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第7条第2号イ又は同条第3号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
(2)第三者に関する情報が記録されている公文書を第9条の規定により開示しようとするとき。
3 議長は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該公文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、議長は、開示決定後直ちに、当該意見書(第19条及び第20条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。
(開示の実施)
第16条 公文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して議長が定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による公文書の開示にあっては、議長は、当該公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。
2 開示決定に基づき公文書の開示を受ける者は、議長が定めるところにより、議長に対し、その求める開示の実施の方法その他の議長が定める事項を申し出なければならない。
3 前項の規定による申出は、第11条第1項に規定する通知があった日から30日以内にしなければならない。ただし、当該期間内に当該申出をすることができないことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。
4 開示決定に基づき公文書の開示を受けた者は、最初に開示を受けた日から30日以内に限り、議長に対し、更に開示を受ける旨を申し出ることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
(他の法令による開示の実施との調整)
第17条 議長は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る公文書が前条第1項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合く開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該公文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を前条第1項本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。
(費用負担)
第18条 公文書の開示を受ける者は、議長が定めるところにより、当該開示に係る費用として実費の範囲内において議長が定める額を負担しなければならない。
(不服申立てがあった場合の手続)
第19条 開示決定等について行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てがあったときは、議長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第22条に規定する茨城県議会情報公開委員会の意見を聴かなければならない。(1)不服申立てが不適法であり、却下するとき。
(2)決定で、不服申立てに係る開示決定等(開示請求に係る公文書の全部を開示する旨の決定を除く。以下この号及び第21条において同じ。)を取り消し又は変更し、当該不服申立てに係る公文書の全部を開示することとするとき。ただし、当該開示決定等について反対意見書が提出されているときを除く。
(意見を求めた旨の通知)
第20条 議長は、前条の規定により意見を求めたときは、次に掲げる者に対し、その旨を通知しなければならない。(1)不服申立人及び参加人
(2)開示請求者(開示請求者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)
(3)当該不服申立てに係る開示決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)
(第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続)
第21条 第15条第3項の規定は、次の各号のいずれかに該当する決定をする場合について準用する。(1)開示決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する決定
(2)不服申立てに係る開示決定等を変更し、当該開示決定等に係る公文書を開示する旨の決定く第三者である参加人が当該公文書の開示に反対の意思を表示している場合に限る。)
第3章 茨城県議会情報公開委員会
(設置等)
第22条 第11条第3項及び第19条の規定による意見の求めに応じて調査を行うため、茨城県議会情報公開委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、前項の規定による調査のほか、議長の求めに応じ、この条例の実施に閑し意見を述べることができる。
3 委員会は、委員10人以内で組繊し、委員は、議会の議員のうちから、議長が会議に諮って指名する。
4 委員の任期は、選任の日から翌年の最初に招集される定例会の閉会の日の前日までとする。
5 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
6 委員会に委員長及び副委員長各1人を置き、議長が委員の中から会議に諮って指名する。
7 委員会は、第19条の規定による意見の求めに応じて調査を行うときは、情報公開制度について学識を有する者の中から、議長があらかじめ1年を単位として選任した3人以内の者(以下「学識経験者」という。)の意見を聴かなければならない。
8 委員会の会議は公開とする。ただし、第11条第3項及び第19条の規定による意見の求めに応じて調査を行うとき、又は委員長が必要であると認めるときは、非公開とする。
9 委員及び学識経験者は、調査を行う上で知り得た秘密を漏らしてはならない。委員にあってはその職を退いた後、学識経験者にあっては第7項の規定による選任が解かれた後も、同様とする。
10 前各項に定めるもののほか、委員長の職務、委員会の招集及び議事、学識経験者の意見聴取等に関する事項については、茨城県議会委員会条例(昭和35年茨城県条例第46号)第7条から第9条まで、第11条から第15条まで、第18条、第19条、第25条の2及び第26条の規定を準用する。
この場合において、同条例の規定中「参考人」とあるのは、「学識経験者」と読み替えるものとする。
(委員会の調査権限)
第23条 委員会は、必要があると認めるときは、議長に対し、開示決定等に係る公文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、委員会に対し、その提示された公文書の開示を求めることができない。2 議長は、委員会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。
3 委員会は、必要があると認めるときは、議長に対し、開示決定等に係る公文書に記録されている情報の内容を委員会の指定する方法により分類又は整・理した資料を作成し、委員会に提出するよう求めることができる。
4 第1項及び前項に定めるもののほか、委員会は、不服申立てに係る事件に関し、不服申立人、参加人又は議長(以下「不服申立人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。
(意見の陳述)
第24条 委員会は、不服申立人等から申立てがあったときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、委員会が、その必要が払いと認めるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合においては、不服申立人又は参加人は、委員会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
(意見書等の提出)
第25条 不服申立人等は、委員会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、委員会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
(委員による調査手続)
第26条 委員会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に、第23条第1項の規定により提示された公文書を閲覧させ、同条第4項の規定による調査をさせ、又は第24条第1項本文の規定による不服申立人等の意見の陳述を聴かせることができる。
(提出資料の閲覧)
第27条 不服申立人等は、委員会に対し、委員会に提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができる。この場合において、委員会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 委員会は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
(意見を記載した書面の送付等)
第28条 委員会は、第19条の規定による議長への意見は、意見を記載した書面の送付により行うものとする。
2 委員会は、議長に意見を記載した書面を送付したときは、その写しを不服申立人及び参加人に送付するとともに、意見の内容を公表するものとする。
(決定等)
第29条 議長は、第19条の規定による委員会の意見があったときは、その意見を専重して決定をしなければならない。
(その他の事項)
第30条 この条例に定めるもののほか、委員会の組繊及び運営に閑し必要な事項は、議長が定める。
第4章 補 則
(公文書の管理)
第31条 議長は、この条例の適正かつ円滑な運用に資するため、公文書を適正に管理するものとする。
2 議長は、公文書の作成、保存及び廃棄に閑する基準その他の公文書の管理に関する必要な事項について別に定めるものとする。
3 議長は、前項の規定に基づき別に定めるところにより公文書の管理に関する規程を設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。
(開示請求をしようとする者に対する情報の提供)
第32条 議長は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、議会が保有する公文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。
(施行の状況の公表)
第33条 議長は、毎年度、この条例の施行の状況の概要を公表するものとする。
(情報の提供に関する施策の充実)
第34条 議会は、その保有する情報の公開の総合的な推進を図るため、議会の保有する情報が適時に、かつ、適切な方法で県民に明らかにされるよう、情報の提供に関する施策の充実に努めるものとする。
(適用除外)
第35条 法律の規定により行政機閑の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定が適用されないこととされている文書、図画及び電磁的記録については、この条例の規定は適用しない。
(委任)
第36条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施のため必要な事項は、議長が定める。
(罰則)
第37条 第22条第9項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
付 則
1 この条例は、平成13年4月1日から施行する。
2 第2章の規定は、公布の日以後に作成し、又は取得した公文書について適用する。