Copyright Yoshihiro IDE  LastUpdate 2002.Jan.21

身体拘束に関するアンケート結果
6割の介護施設が身体拘束を行う

 介護保険導入に伴い、介護保険施設などにおいてベットや車椅子に縛り付けるなどの身体の自由を奪う「身体拘束」が原則として禁止されました。茨城県においては、「県身体拘束ゼロ作戦」を展開し、身体拘束をなくすための取組に全力を挙げています。
 平成13年度には、特別養護老人ホームなど県内の513の介護保険施設と利用者・家族に対して「身体拘束に関するアンケート調査」を行いました。
 その結果、回答を寄せた299施設中180施設で、何らかの身体拘束が行われていることが判明しました。施設全体では、6割以上の施設で身体拘束が行われていることになります。特に、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群など比較的長期に利用者が入所する施設では、身体拘束を行っている施設が8割近くに上っています。(特養75.95%、老健77.61%、療養型77.55%)
 具体的な身体拘束の事例では、ベット柵を4本つけてベットを取り囲む(62.22%)、車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける(48.33%)、脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる(45.56%)、車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける(40.56%)などが4割以上の施設でみられました。(複数回答あり)
 こうした身体拘束をなくそうとする取組は、ほとんどの施設で行われていますが、4カ所の施設では行われていないとの回答があり、県の指導の甘さが露呈されています。また、身体拘束マニュアルなどを定めるとした施設は、81カ所(全施設の26.9%)にとどまり、今後の具体的な課題となっています。
 利用者本人・家族への説明とその受け止め方では、施設側は利用者本人対して90%、家族に対して95%説明を行っていると回答していますが、利用者側では38%が、家族では20%が説明を受けていないと回答し、身体拘束に関する説明が十分に行われていない実態をしましています。さらに、利用者の30%、家族の13%が説明は必要ないと回答し、身体拘束ゼロへの認識がむしろ利用者や家族の側で低い傾向が判明しました。
 介護保険制度では、やもおえず身体拘束を行う場合は、その記録をつけることが義務づけられていますが、記録を行っていない施設が36施設(11.8%)あり、その内容も身体拘束の実施者や責任者を明示していないところが7割以上に上っていました。
 茨城県では、こうしたアンケート結果をもとに、茨城県身体拘束ゼロ作戦推進会議を開催し、平成13年度中に、身体拘束廃止に関するパンフレットの作成、介護者用手引きなどを作成するとともに、シンポジュームを開催する計画です。さらに、平成14年度には相談窓口の設置や身体拘束をなくす取組の事例発表会などを計画しています。

施設別の身体拘束の有無

  県内施設数 回答数 拘束あり 拘束なし 拘束%
特別養護老人ホーム 102 79 60 19 75.95%
老人保健施設 70 67 52 15 77.61%
療養型病床群 66 49 38 11 77.55%
痴呆グループホーム 22 17 0 17 0.00%
特定施設生活介護 11 11 7 4 63.64%
短期入所介護 104 49 20 29 40.82%
短期入所療養 138 27 3 24 11.11%
合計 513 299 180 119 60.20%
回答を寄せた299施設中180施設で、何らかの身体拘束が行われていることが判明しました。施設全体では、6割以上の施設で身体拘束が行われていることになります。特に、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群など比較的長期に利用者が入所する施設では、身体拘束を行っている施設が8割近くに上っています。(特養75.95%、老健77.61%、療養型77.55%)

身体拘束行為の実施状況

  施設数 割合 身体拘束を受け
ている利用者数
徘徊防止のためベットや車椅子に手足を縛る 5 2.78% 11
転倒・転落防止のためベットや車椅子に手足を縛る 5 2.78% 15
ベット柵2本使用し固定する、または高い柵を使用する 24 13.33% 162
ベット柵を4本つけてベットを取り囲む 112 62.22% 983
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、手足を縛る 28 15.56% 44
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、
ミトン型の手袋を使う(手足の自由を奪う道具や工夫をする)
38 21.11% 69
車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける 73 40.56% 234
車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける 87 48.33% 452
車椅子等から立ち上がらによう、腰ベルト(紐)をつける 29 16.11% 81
車椅子等から立ち上がらによう、Y字抑制帯をつける 42 23.33% 119
車椅子等からずり落ちないよう、テーブルをつける 21 11.67% 52
車椅子等から立ち上がらないよう、テーブルをつける 12 6.67% 29
脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる 82 45.56% 259
必要以上yの眠気や脱力、精神作用を減衰させるために薬を使う 1 0.56% 1
鍵の掛かる部屋に閉じこめる 2 1.11% 5
拘束をしている施設数 180 延べ合計数 2,516
拘束をしている施設の利用者総数 11,928 全体の割合 21.09%

具体的な身体拘束の事例では、ベット柵を4本つけてベットを取り囲む(62.22%)、車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける(48.33%)、脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる(45.56%)、車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける(40.56%)などが4割以上の施設でみられました。(複数回答あり)

身体拘束に対する認識

  施設管理者 本人 家族
回答者数 拘束である どちらとも言えない 拘束ではない 回答者数 拘束である どちらとも言えない 拘束ではない 回答者数 拘束である どちらとも言えない 拘束ではない
徘徊防止のためベットや車椅子に手足を縛る 298 287 96.3% 8 3 96 56 58.3% 24 16 247 137 55.5% 69 41
転倒・転落防止のためベットや車椅子に手足を縛る 298 284 95.3% 12 2 96 46 47.9% 31 19 245 116 47.3% 65 64
ベット柵2本使用し固定する、または高い柵を使用する 292 208 71.2% 49 35 95 35 36.8% 34 26 249 59 23.7% 83 107
ベット柵を4本つけてベットを取り囲む 293 169 57.7% 75 49 95 30 31.6% 33 32 253 48 19.0% 77 128
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、手足を縛る 292 197 67.5% 60 35 93 40 43.0% 31 22 249 60 24.1% 70 119
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、 ミトン型の手袋を使う(手足の自由を奪う道具や工夫をする) 293 176 60.1% 75 42 93 35 37.6% 31 27 251 41 16.3% 75 135
車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける 295 170 57.6% 62 63 95 22 23.2% 28 45 255 30 11.8% 61 164
車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける 296 177 59.8% 64 55 96 22 22.9% 29 45 259 33 12.7% 68 158
車椅子等から立ち上がらによう、腰ベルト(紐)をつける 294 228 77.6% 40 26 93 29 31.2% 35 29 251 55 21.9% 85 111
車椅子等から立ち上がらによう、Y字抑制帯をつける 291 228 78.4% 40 23 93 28 30.1% 34 31 243 64 26.3% 87 102
車椅子等からずり落ちないよう、テーブルをつける 291 163 56.0% 68 60 93 11 11.8% 39 43 249 28 11.2% 83 138
車椅子等から立ち上がらないよう、テーブルをつける 290 200 69.0% 57 33 93 16 17.2% 37 40 248 43 17.3% 90 115
脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる 295 191 64.7% 63 41 93 23 24.7% 31 39 261 34 13.0% 68 159
必要以上の眠気や脱力、精神作用を減衰させるために薬を使う 294 268 91.2% 20 6 91 35 38.5% 39 17 248 154 62.1% 85 29
鍵の掛かる部屋に閉じこめる 296 271 91.6% 21 4 92 48 52.2% 26 18 250 153 61.2% 61 36
フロアの入り口に施錠をする 291 168 57.7% 67 56 90 28 31.1% 33 29 251 75 29.9% 75 97
命令や指示などの言葉 290 206 71.0% 60 24 90 27 30.0% 42 23 249 89 35.7% 110 50

身体拘束廃止への取り組み状況

身体拘束への取組あり 301
取組なし 4
具体的な取組
介護・看護職員の増員 86 28.57%
運営方針の明確化・職員の意識向上 208 69.10%
ケアの創意工夫 112 37.21%
研修や会議の開催 189 62.79%
研修への派遣 221 73.42%
ベット・椅子などのハード面関係者との連携 64 21.26%
ハード面の環境整備 32 10.63%
ヒアリ・ハット分析 166 55.15%
身体拘束マニュアルなどを定める 81 26.91%
その他 23 7.64%
身体拘束をなくそうとする取組は、ほとんどの施設で行われていますが、4カ所の施設では行われていないとの回答があり、県の指導の甘さが露呈されています。また、身体拘束マニュアルなどを定めるとした施設は、81カ所(全施設の26.9%)にとどまり、今後の具体的な課題となっています。

利用者・家族への説明

本人への説明 家族への説明
施設責任者 240   本人家族 181   施設責任者 251   家族 240
行っている 141 58.8% 本人が常に説明を受けた 66 36.5% 行っている 213 84.9% 家族が常に説明を受けた 119
必要に応じて行っている 94 39.2% 本人が時々説明を受けた 47 26.0% 必要に応じて行っている 29 11.6% 家族が時々説明を受けた 72
行っていない 25 10.4% 本人が説明を受けていないので、説明をしてほしい 14 7.7% 行っていない 9 3.6% 家族が説明を受けていないので、説明をしてほしい 18
本人が説明を受けていないのが、説明は必要がない 54 29.8% 家族が説明を受けていないのが、説明は必要がない 31
利用者本人・家族への説明とその受け止め方では、施設側は利用者本人対して90%、家族に対して95%説明を行っていると回答していますが、利用者側では38%が、家族では20%が説明を受けていないと回答し、身体拘束に関する説明が十分に行われていない実態をしましています。さらに、利用者の30%、家族の13%が説明は必要ないと回答し、身体拘束ゼロへの認識がむしろ利用者や家族の側で低い傾向が判明しました。

身体拘束の記録

記録なし 36 11.8%
記録あり 270 88.2%
  時間帯 156 51.0%
実施場所 115 37.6%
心身の状況 165 53.9%
実施方法 171 55.9%
実施する理由 186 60.8%
行うかどうかを決める協議への参加者 71 23.2%
責任者 80 26.1%
実施者 86 28.1%
実施後の点検・検討 117 38.2%
介護保険制度では、やもおえず身体拘束を行う場合は、その記録をつけることが義務づけられていますが、記録を行っていない施設が36施設(11.8%)あり、その内容も身体拘束の実施者や責任者を明示していないところが7割以上に上っていました。


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