日立市の西北に位置する里美村は、環境立村を目指し、循環型の村づくりを始めています。 井手よしひろ県議は、風力発電装置が建設中の里美牧場を視察しました。 取材:2002/3/16 |
茨城県久慈郡里美村(佐川卓政村長)は、里美牧場(里美村大字豊川)内の標高800m地点に、経済産業省の外郭団体「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)と共同で風力発電施設の建設を進めています。2002年3月14日には、風車の組み立てが完了し、その巨大な姿を現しました。環境にやさしい村づくりの推進に加え、新たな観光資源としても大いなる期待が寄せられています。
風車はドイツ・エネルコン社製で、高さ約48mのタワーに、風切り音を小さくするために先端に丸みをつけた長さ約22mのブレード(羽根)を3枚備えています。
最大出力は600kw/hで、年間約100万kwの発電を計画しています。発電した電力は里美牧場内で消費し、残りは東京電力に売電します。
現在、電気設備の整備が行われており、試運転を行った後、4月下旬にも本格運転を開始する予定です。
茨城県の北部に位置する里美村は、南北に細長い総人口4500人あまりの小さな村です。村の中央を久慈川の支流・里川が流れ、流域に沿って集落が点在しています。総面積の8割以上が山林で、畜産と林業が村の主要産業です。また、豊かな自然が貴重な観光資源となっています。
村内にある里美牧場を中心としたリゾート開発が、バブル崩壊などの影響で中止に追い込まれました。このピンチをチャンスに変える発想が、「地球環境を守る道」を見いだしました。佐川卓政村長は「たとえ経費がかかっても環境をウリにする『環境の村』を前面に住みよい村として里美村を売り出す。それによって交流人口増にも結びつけたい」と抱負を語っています。
今回建設されている風力発電システムも、この考えの中で計画されたものです。このほかにも、村の公共施設を利用した太陽光発電施設や温泉熱、低燃費車なども導入する方向です。
さらに、村では酪農や林業が盛んな一方、間伐材や樹皮、ふん尿などの処理方法について環境問題を抱えてきました。こうした課題を解決するために、バイオマス(有機系廃棄物)エネルギーの利用を図る計画です。
木やふんなどから電気や湿水、冷水をつくるものです。酪農や林業、家庭などからの廃棄物を燃やしたり、メタンガスとして取り出したり、たい肥として熱エネルギーに転換します。
茨城の小さな村の循環型社会への挑戦は今始まったばかりです。
里美牧場(風力発電装置)の地図を表示
参考:里美村役場のホームぺージ
参考:里美村の観光ホームページ
参考:里美村の風力発電ホームページ