参考資料: 三重知事定例会見

三重県知事 北川正恭
平成14年10月9日
(三重県のホームページより転載いたしました)



(記者質問)先月、テクノヒルズでシャープと凸版印刷が相次いで起工式をやりましたけれども、年初に90億円ということで非常に論議を呼んだんですけれども、90億円かけてシャープを引っ張ってきたと、その効果としてシャープが亀山工場着工し、第三工場作り、凸版印刷が起工し、それから、もう一つ日東電工が新工場作るということですけれども、この時点においての90億円の、ちょっと言葉悪いですけど、投資効果、お金払うのはまだ先ですけれども、現時点における投入効果といいますか、その辺知事はどういうふうに評価されてますでしょうか。本当はもっと来るはずだったのか、あるいはそこそこ来ている方なのか。

(北川知事)90億の効果で私どもが想定している通りに進んでいるとは思います。で、日東電工さんの70億、尾道との共同で亀山に来ていただくということは計画してまして、こちらへ来てくれたというのはありがたいというふうに思います。だけど、想定の中にあって、議論の中から亀山を選んでいただいたと。これは単にシャープさんだけでなしに、四日市のコンビナートとの関係なんかもあるというふうに集積が、シャープという目玉があって、そこで亀山に決めていただいたら、今度は四日市の企業群との連携も頭にあるということでお決めをいただいたと思っています。

(記者質問)日東が増設を決める要因として四日市もあったということですか。

(北川知事)それもお会いした時に、私からも四日市とのコラボレーションをお願いしますと言ったら、それは当然いろんなことありますからという表現がありましたから。ことにシャープさんは中心だったと思いますが、そういった展開が望めると。その時にこれをもらったんですが。今朝も部長会議でお見せしたんですが。液晶はこういうふうに動くということで。(知事が模型を使って液晶テレビの原理について説明。)これが、日東電工がお見えになった時に、これの専門の日本ナンバーワン企業ですと、こういうふうに言われて。光というのは縦と横があるんです。横同士だと見えるけど、それを角度を変えることによって色が変わっていくという、そういうふうなことなんですね。いいなあというふうに思ったので。

(記者質問)覚えたての手品やってみるみたい。

(北川知事)これやると子どもが喜ぶとか言って、学校の科学教室でこれがうけているんだと日東電工の役員の方が言ってみえました。

(記者質問)関連ですけれども、当初の想定どおりということは、90億円の使い方として非常に有効といいますか、例えば、ちょっと繰り返しますけど、先ほど国に従う、いわゆる公共事業に従うというよりは地方独自でお金の遣い方を。

(北川知事)地方分権ですね。

(記者質問)決めて、一つそういう意味で言うと、知事の中では先例というか、一つの例というふうに位置づけてよろしんでしょうか。

北川三重県知事(北川知事)90億がよかったかどうかというのは将来検証されるべき課題だと思うんですが、まず90億というメッセージを出したところ、さまざまな、国とか研究機関とか企業の方の三重県を見る目が変わったと思うんです。グレードアップしたと言ってもいいと思うんです。ワンストップサービスで本気だなという、それが大きかったと思うんです。したがって、今後、これが成功だったかどうかというのは、成功にしていかなければいけない一つの材料を作ったと、だから、今後プロジェクト”C”なんかを作って、本当にいい地域を創り上げていくという新しい地域政策だから、今までは国の補助金があって国の制度があって国からもらった交付税措置があって、予算と定数があって、それが仕事と思ってきたことを、本当に県の職員変えないとだめですね、分権自立しませんね。だから、私どもが考えて、私どもが結果責任を取って、そして本当にいいことになれば、国が153億円の科学研究費付けてくれたじゃありませんか。あるいは、東北大学も非常に興味を示してくれているから、これで国も学会も産業界も注目してくれたら、私ども三重県も入って、それが、1+1+1+1が、産官学民全部足したらそれが100人になるという努力を私どもはしていかなければいけない。これは新しい価値なんですよ。新価値創造ですから、そういう地方自治体になっていかなきゃ、今までどおりがいいんだというようなことではいけませんから、今までどおりがいいという、みんなそういう思い込みでありますから、こういうことに新たに挑戦したら、すごいご批判もいただくしご指導もいただくから、そのことがいいことだと思っているんです。それにやっぱり真摯に答を出していきながら地方分権というのは確立していかないといけないという意味では、私は本当にこれは挑戦をさらに続けて、いい地域にし、そして集積が集積を呼んでいくというようなことになって、日東電工さんがシャープさんを目当てに来られましたが、そこで、シャープさんという一つの根幹ができたら、コンビナートとか他の企業ともリンクすれば、そこに根があるわけですから、そういうことを我々はコーディネートしていきたいなと、そう思っています。

(記者質問)今回の90億は大きいと言われましたけれども、波及効果はかなり大きい、それ以上に大きいというか。

(北川知事)すごく大きいと思うし、大きくしていかなければいけないと思ってもいるんですね。そのためには、情報公開ですから、今までは情報非公開だから産業界とは接触したらいけなかったんですよ、学会も。それは癒着とかそういうことになるでしょ。だから、情報公開というのは、それを積極活用して、オープンにして。90億というのは本当にあると思います、私も、公金を一般企業の方にとかいうことになれば。だけど、今まではそれが駄目だからというのは、結局情報非公開の発想なんですよ。情報公開の発想からいけば、90億は15年間にわたってとか、あるいは、いろんな条件付けますよ、それは当然のことですが。しかし、それによって1万2000人の雇用の確保ができたり、年間の出荷額が4000億ということになったら県の全体の5%の出荷額が実現可能なんですよ。これをもし官だけで1万2000人の雇用の確保ということを今まで通りでやったら、いったいどれだけの人とお金が掛かるかということ、4000億の出荷額が県だけでやれますかと。だからシャープの力を借りたら1+1ですから、それと15年間に渡っての90億の天秤をかけて、そしてどちらですかということは県民の皆さんがお決めいただくことで責任は私が取りますということを議会で申し上げたんで、そういうふうに積極的な地方自治体を作っていかないと、国のやられることを全部真似して、そしてそれだけでやっていくというのは本当に変えなきゃいけないと、私はそのことの方が、今度のシャープとかプロジェクト”C”は、そういうところへ意味合いを置いているというふうに思うんです。

(記者質問)情報公開ということですけれども、どうして90億なのか、どうして15%なのかというのは全然情報公開されていないような気がするんですが。それだと県民も判断に迷うと思うんですが。

(北川知事)相手のあることですから、すごく議論をして、そして、中国との競争、あるいは対他県との競争等々含めて議論をさせていただいた結果でございます。

(記者質問)その部分が情報公開されてませんので、県民も判断するための材料不足になるんじゃないかなと。

(北川知事)だけど、そこまで行かなければ来てくれなかったという状況なんかが、限られた時間の中で決定をしていかなければいけないと、そういうことでございます。

(記者質問)そうすると、なぜ90億になったかというのは、民間企業、相手さんのあることだから明かせないと、計算式なりなんなりは。

(北川知事)一つは、そういう限られた時間の中でございましたけれども、さまざまな議論の中で、ちょっと専門家に言葉を任せなきゃ、私が言うのはおかしいか分かりませんが、だいたい総投資額が600億と、ちょっと数字的な間違いがあったら後で担当者に訂正させますが、600億だと。そこで我々が議論して、最高値は15%が上限でやろうということを議論した結果、90億になりますね。そういう計算をしながら議論してきたと、こういうことです。

(記者質問)どうして15%なのかというのが全然分からないんで、なぜ5%とか10%じゃなくて。

(北川知事)あの時の競争社会の中で、二つありまして、相当な決断をしないと他県に負けたり海外に行かれる可能性もあるなという前提で議論してきました。それで、もしあれやったら担当者に聞いて下さい。数字的に間違うといけませんが、総投資額が600億でございますということでございました。それで、90億というのも一方にありました。だから、最終的に15%と。そこで、本当の議論はもっと、これは企業の企業秘密でもありますから、私はもっと大きな投資額になってくると思ってますが、これはもうすぐ1000億いくなというのは、議論の中では当然出てきてますからね。それが私どもがお渡しできるかどうかというのは非常に難しい状態であり、今でもまだちょっとそういう議論は残っております。なぜかというと、海外の企業、最近の日経なんかを見ても、サムスンなりLGなんかがすごい競争やっているわけですね。だから、その辺りは、ある日突然という連続ですから、その競争に勝つためには私どももその辺りの説明は企業さんの要望も承りながらやっていかざるを得ないという部分はあったと、そういうことです。

(記者質問)一点だけ、シンプルに、90億という数字はシャープが出して欲しいと言ったのか、それとも県の方から提示した数字なのかどちらですか。

(北川知事)それは両方との話し合いの中で議論をすごくしていくということでしょう。

(記者質問)結果としての90億なんですけど、ライバルは何十億やったんですか。それに勝つための90億だと思うんですけれども、結果としての。

(北川知事)それだけではなしに、トータルですね、どういう動きになるかということで、私どもも相手さんも、私も情報をできるだけ取るようにしましたが、明確にどこどこがいくらとか、どこどこがどれだけというのは、私どもは確実なものはつかめていません。

(記者質問)2社ライバルで、それこそ入札ですわね。相手がなんぼの額だしているのか、もしくはトータルでどんな動きしているのか分からんとしても、結果として90億で勝ったわけですね、入札できたわけですね、三重県が。

(北川知事)そうです。

(記者質問)想像ではどうですか。ライバルはなんぼぐらいだろうから90億にしたんだと。それで説明になりませんか。

(北川知事)そこまで私ども分かりませんね。海外、中国が一つありましたね、ライバルは。それと5、6県、数県、ちょっとその県数も定かではありませんが、そういうのは議論の中でいっぱいありましたね。その範囲でしょう、申し上げられるのは。

(記者質問)分からないですけど。相手がいくらやから90億も出せば勝てるやろうという判断があるんでしょうけれども、その相手がどれくらいかというのが。

(北川知事)それは我々も知るべく努力をしましたし、若干のニュアンスを掴んだりとかいろんなことありますが、私からは決定的には分かりません。だから、申し上げかねます。申し上げかねるというのは分からないという意味です。

(記者質問)そういう経過をお話いただいたら説明責任になるかなとは思うんですが。

(北川知事)それが経過ですよ。だから、16年の早い時期ですね、5月とかそういう時期までに操業しなければいけませんから、何時何日までに決断して下さいよという、そういう時間限定付きの中の話し合いだったんですね。

(記者質問)その時の判断はいいとして、今検証したらどうやったんですか。ちょっと出しすぎたかなとか。

(北川知事)いや、結果としてどうなるかという。

(記者質問)予定価格すれすれやったんですか。

(北川知事)金額の多寡もさることながら、よほど真剣に対応は当然しなければいけないと思ってしてまいりましたが、あの時間帯で、シャープが、企業が日本に残る決意がどれだけあるかということと、国が駆け引き等々でどれくらい真剣かという、コアコンピタンスに国が定めるかどうかというのは、その議論の中でものすごく見極めましたね。それで、国が決め打ちしたんですよ、これだと、液晶だというのは。それが読み切れたというか、かなりの確立というか、非常に高い確率で掴めましたから、この際はやっぱり、これは断固やろうかなというのは、だんだん煮詰まっていく中で、そういう判断もいっぱいありましたと、こういうことです。なお、これは今度、恐らくもう明確になってきたのかな、ディスプレイ産業フォーラムの伊勢電子さんが、もう具体の計算書は出たんかと思いますが、そういったことで次世代ですね、液晶についでディスプレイ産業フォーラムなんかも国と合わせてやるということで、中部経済産業局のクラスター構想の中にディスプレイ産業フォーラムという新しいコンソーシアムが組まれて、その中に入ってくるんです。それは当然シャープとの関連もあるというようなことも。ちょっと時間的に時系列にいうと前後あるかも分かりませんが、そういうことはいろいろ計算しながら取り組んできたいという、そういう背景づくりとかそういうとこの方が実はとても重要であったと。