特養入所基準変更に関する問題点と市町村の役割
特別養護老人ホームの入所を申し込み順から入所の必要度順にすることに関しては、当然の議論の流れと理解します。
しかし、今回、茨城県が定めた指針を詳細に検討してみると、在宅サービスの利用率への配点が大きすぎるのではないかとの疑問が浮上します。●在宅サービスの利用率(直近3ヶ月の在宅サービス利用率)
介護保険サービスの支給限度基準と
実際のサービス利用額の割合8割以上 25点 6割以上8割未満 20点 4割以上6割未満 15点 2割以上4割未満 10点 在宅生活が困難なため特別養護老人ホーム以外の施設に入所している 20点
つまり入所希望者は、できるだけ多くの在宅サービスを受けている必要があるわけです。
しかし、現実には利用したくてもサービスが提供されていなかったり、利用するために金銭的制約があった場合は、当然利用している在宅サービスを少なくなり、入所の際の点数が低くなってしまうという弊害があります。
こうした点は、保険者である県内の一部市町村からも指摘されています。特に日立市などでは、市独自の指針の策定を視野に入れて検討に入っています。
厚生労働省も、都道府県の指針を尊重しながら、独自に指針を策定することを認めています。地域の独自性を十分に考慮した、新たな特別養護老人ホーム入所指針が策定されることが望まれています。