- 社会保障審議会介護保険部会は、介護保険法附則第2条の規定を踏まえ、介護保険制度全般に関して検討を行うため、昨年5月以来16回にわたって審議を行った。はじめに介護保険制度の施行後の状況を検証し、その成果と課題について検討を加えた後、給付、負担、制度運営の各テーマごとに審議を重ねてきた。
- 介護保険制度は、2000年(平成12年)4月の施行以来、4年4ヶ月を迎えている。この間介護サービスの利用者は、在宅・施設をあわせて約300万人へと2倍以上に増加し、制度に対する国民の評価は年々高まる状況にある。
- 介護保険制度は、基本理念として高齢者の「自立支援」を掲げ、これを実現するために、@利用者本位のサービス改革、A在宅ケアの推進、B地方分権の推進を政策目標として掲げている。制度創設時の基本理念から見て、相当程度の成果はあがっているものの、今後さらに基本理念を徹底していくために取り組むべき課題も多い。
また、今後我が国は高齢化が急速に進展し、高齢者をめぐる状況も大きく変化することが予測される。こうした将来展望を踏まえ、高齢者の「自立支援」と「尊厳の保持」を基本とし、制度の「持続可能性」を高めつつ、@介護予防の推進、A痴呆ケアの推進、B地域ケアへの展開という新たな課題に今から取り組んでいくことが求められる。
- こうした「基本理念の徹底」と「新たな課題への対応」の観点から、介護保険制度の見直しに関する基本的な考え方及び具体的内容について、本部会としての意見をとりまとめたので、以下報告する。この報告を一つの契機として、国民の間で広範な議論が進められることを期待したい。
- なお、制度創設時からの大きな課題の一つである「被保険者・受給者の範囲」の問題については、現時点では一定の結論を得るには至らなかった。このため、この問題については、国民的な論議をさらに深める観点から、今後、本部会において引き続き議論を進めていくこととする。
介護保険制度の見直しに関する意見の目次
はじめに
第1 制度見直しの基本的な考え方T.見直しの基本的視点1.3つの論点2.見直しの基本的視点U.基本理念の徹底1.全般的な施行状況2.基本理念から見た課題V.新たな課題への対応1.将来展望2.新たな課題への対応
第2 制度見直しの具体的内容T.給付の効率化・重点化1.総合的な介護予防システムの確立2.施設給付の見直し3.その他のサービスの見直しU.新たなサービス体系の確立1.地域密着型サービスの創設2.居住系サービスの体系的見直し3.医療と介護の関係4.その他のサービスの見直しV.サービスの質の確保・向上1.ケアマネジメントの体系的見直し2.地域包括支援センター(仮称)の整備3.情報開示の徹底と事後規制ルールの確立4.専門性を重視した人材育成と資質の確保5.公正・効率的な要介護認定W.負担の在り方の見直し1.1号保険料の在り方2.2号保険料・納付金の在り方3.財政調整X.制度運営の見直し1.保険者機能の強化2.事業計画の見直し3.基盤整備の在り方Y.見直しの進め方
第3 被保険者・受給者の範囲について1.これまでの経緯2.問題の所在3.本部会における審議状況<資料>介護保険制度の見直しに関する意見・全文 (PDF:378KB)(しおり付きPDF:1348KB)
<資料>介護保険部会の報告・概要版(1〜8ページ(PDF:379KB)、9〜21ページ(PDF:389KB))
<資料>介護保険制度の見直しに関するパンフレット(PDF:870KB)