ウェルサンピア日立の存続問題の調査のため愛媛県伊予市を訪問
サンピア系の大型施設を自治体が取得した事例は全国で伊予市のみ
12月24日25日の両日、井手よしひろ県議は、ウェルサンピア日立の存続問題を調査するため愛媛県伊予市を訪れ、ウェルピア伊予(伊予市総合文化施設)の現地調査を行うと共に伊予市の担当者やウェルピア伊予の総支配人などから運営の状況と施設の概要、伊予市が取得した経緯などについて説明を受けました。
ウェルサンピア日立は、厚生年金の保養宿泊施設として昭和62年に(財)厚生年金事業振興団が建設しました。厚生年金の被保険者等の健康増進や休養・保養を図るため、体育館(アイススケート場)、プール等の体育施設を備えた郊外型宿泊施設です。
平成17年の年金改革で、ウェルサンピア日立のような国民年金、厚生年金、健康保険の資金で建設された保健施設、宿泊施設、健康増進施設、集会場(会館)など288カ所の施設は、5年以内(平成22年度)に民間への譲渡か廃止されることになりました。この業務は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)によって現在遂行されています。その処分の方法は、原則的に一般競争入札で行われており、地方自治体と民間の企業との差別は全くありません。
ウェルサンピア日立は、単なる宿泊施設としての機能だけではなく地域のコミュニティの中核的な機能を担っています。近隣住民は、ウェルサンピア日立の存続を求めて署名運動を展開しており、日立市に対して入札に参加するよう強く求めています。
全国でも、地方自治体がRFOの入札に参加して落札できた事例はあまり多くありません。特に、サンピア系の大型施設に関しては、全国で愛媛県の伊予市の事例があるのみです。
井手県議は、こうした背景のもとウェルピア伊予を直接訪問し、現地調査を行ったものです。
今回現地調査したウェルピア伊予は、昭和56年4月に開業。11.7ヘクタールと広大な敷地面積を有し、RC4階建ての建物に宿泊施設(38室、定員124名)、研修集会施設(10室、最大190名)、体育棟(200平方メートル)、浴室などを完備しています。また高さ43メートルの展望タワーがそびえ、伊予市のランドマークとなっています。
付属の体育施設は、体育館(888平方メートル、バレーコート2面、テニスコート8面(ナイター設備付き)、オートテニス施設(3連)、野球場(両翼92メートル、センター110メートル)、ゴルフ練習場(2階建て28打席)、多目的グランド(4800平方メートル)、レジャープール(25メートル競泳プール、流水プール、子供プール、直線スライダー2連、アドベンチャースライダー(100メートル、75メートル)となっています。
また、建設当初はこの施設の特徴として、高齢者の有料老人ホームの機能も備え、入札時には4名のお年寄りが入居していました。
今年(平成20年)1月25日に、入札が行われ伊予市が7億8588万8000円(最低入札価格7億8300万円)で落札しました。入札の条件として老人ホーム機能を最低5年間を維持すること、他用途への用途変更については伊予市の意向を確認することが付け加えられましたが、市自らが応札したため問題はありませんでした。
伊予市は、落札したウェルピアの運営を指定管理者として民間事業者に委託しています。指定管理者との契約条件は期間10年間で、指定管理料は支払わず、利益の30%を伊予市に納付させる契約を結びました。この納付金は基金として積み立て、施設の改修費として使うことにしています。
新たな運営形態となって一年目の運営状況は、宿泊人数が前年を割っているものの、徹底した経費管理を行い、単年度の黒字は確保できるとの予測を立てています。
伊予市では人口を超える存続を求める署名がキッカケに
また、井手県議は、伊予市の行政改革・政策推進室長尾雅典室長より、伊予市が厚生年金の施設であったウェルピアの購入に至った経緯や街づくりの中での同施設の位置づけなどを聴き取り調査しました。これには、伊予市議会の青野光議員(公明党)も同席しました。
伊予市は合併に当たっての市の将来像を「ひと・まち・自然が出会う郷(くに)」と定め、「伊豫國あじの郷(くに)づくり」をまちづくり計画の基本に据えました。その拠点施設として当時の「ウェルサンピア伊予」を位置づけ、市の都市総合文化施設として買収活用し、従来の宿泊や体力向上などの機能を継続するとともの、伊予市の文化継承、新たな文化の醸成、「伊豫國あじの郷」の情報受発信とすることになりました。
ウェルサンピア伊予を伊予市が取得するまでには、様々な議論が積み重ねられました。ウェルピア伊予を取得した主なポイントは、以下の8点に集約されます。
ウェルピア伊予の立地は、風光明媚な観光地ではなく、戸建ての大規模住宅団地と工業団地、それと農地に囲まれた場所です。RFOは全体の敷地13.2ヘクタールをT区画とU区画に分割して入札を進めました。T区画は面積11.7ヘクタールで施設の大部分がこの区画に含まれます。用途地域が市街化調整区域であるために最低売却価格は7億8300万円に設定されました。このT区画を伊予市が購入したわけです。反面、住宅団地に隣接するU区画は市街化地域(第一種中高層住宅専用地域)であったために、1.6ヘクタールほどの土地にテニスコート4面、多目的グランド、ゲートボール場があるだけですが、最低売却価格が5億7900万円と設定され、未だに落札者が決まらない状況です。
ウェルサンピア伊予の取得に至る経緯を簡単にまとめてみると、以下のようになります。
いずれにせよ、伊予市はウェルピア伊予の取得にあたって、売却の方針が決まって以来、慎重に検討を積み重ねてきました。その根本には地域住民にとって、何が一番大切なのかという視点が、市当局と議会中で健全な緊張関係となって、計画が進められてきたとの感想を持ちました。
翻って日立市においても、ウェルサンピア日立の売却問題は遠い先の課題ではありません。早ければ、来春早々にも結論を出さなくてはならない、待ったなしの問題となっていることを認識しなくてはいけません。
12月24日25日の両日、井手よしひろ県議は、ウェルサンピア日立の存続問題を調査するため愛媛県伊予市を訪れ、ウェルピア伊予(伊予市総合文化施設)の現地調査を行うと共に伊予市の担当者やウェルピア伊予の総支配人などから運営の状況と施設の概要、伊予市が取得した経緯などについて説明を受けました。
ウェルサンピア日立は、厚生年金の保養宿泊施設として昭和62年に(財)厚生年金事業振興団が建設しました。厚生年金の被保険者等の健康増進や休養・保養を図るため、体育館(アイススケート場)、プール等の体育施設を備えた郊外型宿泊施設です。
平成17年の年金改革で、ウェルサンピア日立のような国民年金、厚生年金、健康保険の資金で建設された保健施設、宿泊施設、健康増進施設、集会場(会館)など288カ所の施設は、5年以内(平成22年度)に民間への譲渡か廃止されることになりました。この業務は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)によって現在遂行されています。その処分の方法は、原則的に一般競争入札で行われており、地方自治体と民間の企業との差別は全くありません。
ウェルサンピア日立は、単なる宿泊施設としての機能だけではなく地域のコミュニティの中核的な機能を担っています。近隣住民は、ウェルサンピア日立の存続を求めて署名運動を展開しており、日立市に対して入札に参加するよう強く求めています。
全国でも、地方自治体がRFOの入札に参加して落札できた事例はあまり多くありません。特に、サンピア系の大型施設に関しては、全国で愛媛県の伊予市の事例があるのみです。
井手県議は、こうした背景のもとウェルピア伊予を直接訪問し、現地調査を行ったものです。
今回現地調査したウェルピア伊予は、昭和56年4月に開業。11.7ヘクタールと広大な敷地面積を有し、RC4階建ての建物に宿泊施設(38室、定員124名)、研修集会施設(10室、最大190名)、体育棟(200平方メートル)、浴室などを完備しています。また高さ43メートルの展望タワーがそびえ、伊予市のランドマークとなっています。
付属の体育施設は、体育館(888平方メートル、バレーコート2面、テニスコート8面(ナイター設備付き)、オートテニス施設(3連)、野球場(両翼92メートル、センター110メートル)、ゴルフ練習場(2階建て28打席)、多目的グランド(4800平方メートル)、レジャープール(25メートル競泳プール、流水プール、子供プール、直線スライダー2連、アドベンチャースライダー(100メートル、75メートル)となっています。
また、建設当初はこの施設の特徴として、高齢者の有料老人ホームの機能も備え、入札時には4名のお年寄りが入居していました。
今年(平成20年)1月25日に、入札が行われ伊予市が7億8588万8000円(最低入札価格7億8300万円)で落札しました。入札の条件として老人ホーム機能を最低5年間を維持すること、他用途への用途変更については伊予市の意向を確認することが付け加えられましたが、市自らが応札したため問題はありませんでした。
伊予市は、落札したウェルピアの運営を指定管理者として民間事業者に委託しています。指定管理者との契約条件は期間10年間で、指定管理料は支払わず、利益の30%を伊予市に納付させる契約を結びました。この納付金は基金として積み立て、施設の改修費として使うことにしています。
新たな運営形態となって一年目の運営状況は、宿泊人数が前年を割っているものの、徹底した経費管理を行い、単年度の黒字は確保できるとの予測を立てています。
伊予市では人口を超える存続を求める署名がキッカケに
また、井手県議は、伊予市の行政改革・政策推進室長尾雅典室長より、伊予市が厚生年金の施設であったウェルピアの購入に至った経緯や街づくりの中での同施設の位置づけなどを聴き取り調査しました。これには、伊予市議会の青野光議員(公明党)も同席しました。
伊予市は合併に当たっての市の将来像を「ひと・まち・自然が出会う郷(くに)」と定め、「伊豫國あじの郷(くに)づくり」をまちづくり計画の基本に据えました。その拠点施設として当時の「ウェルサンピア伊予」を位置づけ、市の都市総合文化施設として買収活用し、従来の宿泊や体力向上などの機能を継続するとともの、伊予市の文化継承、新たな文化の醸成、「伊豫國あじの郷」の情報受発信とすることになりました。
ウェルサンピア伊予を伊予市が取得するまでには、様々な議論が積み重ねられました。ウェルピア伊予を取得した主なポイントは、以下の8点に集約されます。
ウェルピア伊予の取得理由
- 市民および利用者から5万2426人分の存続を求める署名が寄せられた。
- 市内唯一の公的な宿泊施設・研修機能を持つシンボル的な施設である。
- 市街化調整区にある広大な施設であり、民間事業者では購入や活用が難しい。
- 購入者がない場合は施設は廃止されるため広大な施設が廃墟となる恐れがある。
- 地域雇用が85名あり、年間約5億円の地域経済活動が行われている。
- 近隣に類似施設がないため、民業の圧迫にはならない。
- 市の財政状況を鑑みると15億円以下の購入が条件となる。
- 同様の施設を整備するとすると70億円以上の費用が必要となり、15億円以下での購入ならば、他用途の利用や転売しても十分費用対効果はプラスとなる
ウェルピア伊予の取得に至る経過
- 平成17年4月1日:1市2町が合併して伊予市が誕生。
- 平成17年10月1日:年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)にウェルサンピア伊予の保有権が移管され、平成22年度中の廃止または売却の方針が決定。
- 平成17年12月:RFOからウェルサンピア伊予に関する意向確認があり、この時点では、直接譲渡を受ける意志はないが、宿泊・会議など主要施設を現状のまま存続してほしい旨を回答。
- 平成18年1月17日:「ウェルサンピア伊予の既存存続を求める会」から、市の人口を超える5万2426人分の署名が提出され、RFO理事長宛に送付される。
- 平成18年10月:ウェルサンピア伊予を伊予市が取得することの是非についての検討が開始される。
- 平成19年2月:伊予市総合計画の実施計画に15億円の事業費を見積る。
- 平成19年3月:議会の議決を受けて平成20年度予算にウェルサンピア伊予の資産価値を明確にするための不動産鑑定予算を計上。
- 平成19年6月市議会:ウェルサンピア伊予の購入を前提に、活用策、投資メリット、適正価格などをコンサル委託するための補正予算を議決。
- 平成19年12月3日:市議会議員協議会で、ウェルサンピア伊予を伊予市が購入すことについて意志決定。
- 平成20年1月21日:臨時市議会を招集。ウェルサンピア伊予の一般競争入札に応札するための補正予算(財産取得費、契約保証金など4億円)と債務負担行為(将来の負担に対し支出の限度額を認めること、11億円)を全会一致で議決(売却は一般競争入札で行われるために、事前に応札価格を議会で予算化すると、他の入札参加者に伊予市の入札価格が判明してしまいます。そのために、最低限契約時に必要な金額と債務負担行為として最大伊予市としてはこれだけの金額で入札する意思のあることを表明したもです)
- 平成20年1月25日:7億8588万8000円で応札(最低入札価格7億8300万円)し、落札決定。
翻って日立市においても、ウェルサンピア日立の売却問題は遠い先の課題ではありません。早ければ、来春早々にも結論を出さなくてはならない、待ったなしの問題となっていることを認識しなくてはいけません。