1998年9月号 1998/8/8発売
(株)アスキー 発行
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自ら「借金大国日本を考える」というホームページを開設している現職の茨城県議会予算特別委員会委員である井手よしひろ氏。日本の最大の問題点は、予算の情報が公開されていないことだと語る! 「いまの日本は、返すアテのない赤字国債を発行し続けている状態。借金を返すために、さらに借金を重ねるサラ金地獄に陥っているといっていいでしょう。さらに、表の数字には出てこないいわゆる「隠れ借金」というものもあります。これは本来、ー般会計で払うべきところを、厚生年金などの特別会計から資金を借りて、特例的に支出を先送りしたりする会計上のやり繰りのこと。1996年度末でたとえば、旧国鉄の債務は、現在27兆5811億円にも拡大しています。これ以外にも、約16兆円の隠れ借金があると言われ、大蔵省は、こうした小手先の帳じり合わせで見かけ上の歳出を減らす「粉飾予算」を組むことで、長年続いてきた財政危機を先送りしてきたのです。 なぜ、このような状況になったのかというと、政治的リーダーシップが欠如していたため、歳出を抑えきれなかったというのも原因のひとつです。 歳出を抑えないとすると、歳入である税金を増やすしかありませんが、増税政策を採った橋本政権の時代は、景気が悪化して収税も思うようにいかず、完全なマイナス・スパイラルに陥り、さらに財政を悪化させたといっていいでしょう。 増税政策は、いつまでも景気が右肩上がりのグラフを描いていくという幻想に基づくもの。景気がいい時代であれば、国や国民にもパワーがあるので、多少の失敗は帳消しにできたことでしょう。しかし、とうに峠を越してしまった現代では、問題は単純ではありません。さらに、これから少子高齢社会がやってくるために、税金を支払う人の数は減る一方です。こんなことは昨日今日わかったことではありません。本来なら、もっと以前から、対策を考えておくべきだったのです。茨城県では「高齢者福祉の充実がもたらす経済的効果に関する調査研究」という試算を行なった結果、高齢者福祉への投資は建設や土木などに比べて経済効果が高いことがわかりました。今後は、こういった時代に即した景気浮揚策を考えることも重要です。 しかし、財政うんぬん以前に、国家予算についての情報があまりにも少ない。国民に憎報が公開されていないということが最大の問題なのではないでしょうか? もちろんある程度の努力をすれば、情報を得ることはできるでしょう。たとえば各省庁に問い合わせると、親切に速達で資料を送ってくれたりします。しかし、知りたい情報を国民がすぐに得ることができないのは、まったく不完全といわざるをえません。自分たちの税金がどう使われているのか、国民ひとりひとりが目で見て判断できる環境が絶対に必要です」。
借金大国日本を考える |