平成12年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
降ひょう被害 まず、4月下旬から5月下旬にかけての降ひょう被害についてであります。
このたびの降ひょうによる農作物の被害は、県内26市町村に及び、ネギ、梨、小麦、タバコなどを中心に、被害面積で約2,900ヘクタール、被害金額で約21億円に上っております。
なかでも、5月24日に県南西部で発生しました、激しい突風及び降ひょうは、32名の負傷者と多数の家屋等の損壊及び15億円を超える農作物への被害をもたらしました。
被害に遭われた県民の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
農作物の被害につきましては、去る5月29日に茨城県農林漁業災害対策特別措置条例を適用し、被災農業者の方々の経営の安定を図るため、経営資金や農業用施設復旧資金に対する利子補給並びに樹草勢回復用肥料や病害虫防除用薬剤の購入等に対する助成を行うことといたしました。
経済対策 次に、最近の県内経済動向について申し上げますと、4月の企業倒産が過去最高を記録するなど、依然として厳しい環境にありますものの、製造業の生産や企業業績が総じて上向きに転じており、雇用情勢もこのところ若干の改善を示すなど、足取りの重さを伴いつつも徐々に持ち直してきております。
一方、先に経済企画庁より発表された平成11年度のGDP成長率は、前年度比0.5パーセントと、政府経済見通しの0.6パーセントをわずかながら下回ったものの、3年ぶりにプラス成長となりました。
こうした状況のなか、厳しい経営環境にある中小企業の季節的な資金需要に対応するため、昨年度に引き続き、過去最低水準の金利で、この6月1日から中元融資の申込みの受付を開始いたしました。
また、依然として厳しい雇用情勢に対応するため、経済4団体に対して、中高年齢者や新規学卒者等の求人要請を行ってきたところでありますが、引き続き、就職面接会の開催や県民雇用相談等の充実を図りながら、積極的な雇用の促進に努めてまいります。
今後とも、景気の動向に十分留意しながら、県内経済を着実な回復軌道に乗せるため、適切かつ効果的な措置を講じてまいりたいと存じます。
税財政制度の改革 次に、税財政制度の改革についてであります。
長引く景気の低迷により、本県財政は極めて厳しい状況にあり、本年2月に改定した行財政改革大綱並びに新たに策定した財政再建プランに沿って、財政再建団体への転落を回避すべく、現在、全庁一丸となって、行財政改革に取り組んでいるところであります。
現時点の財政収支見通しでは、平成14年度までに2、000億円に上る巨額の財源不足が見込まれているところであり、今後、一層の事務事業の見度しや定員適正化を進めますとともに、県と市町村が連携して税の滞納整理等に当たるための一部事務組合の設立などについて、検討を進めているところであります。
しかし、巨額の財源不足を解消し、分権時代にふさわしい行政を推進していくためには、地方公共団体の自助努力だけでは限界があり、現行の地方税財政制度の抜本的な見直しによる、財政基盤の充実が必要不可欠であると考えております。
このた度、法人事業税への外形標準課税の全国一律による早期導入や国から地方への消費税等の税源移譲など、税財政制度の改革について、知事会などを通じて国に強く働さかけを行っているところであります。
介護保険制度の施行 次に、この4月からスタートいたしました介護保険制度についてであります。
施行当初においては、利用者の方々から相談や苦情が寄せられたり、介護報酬請求事務などに混乱もございましたが、現在では、概ね順調に施行されているものと考えております。
県としましては、今回の介護保険制度の導入を踏まえ、本年度から平成16年度までの5年間を計画期間とする「いばらき高齢者プラン21」を昨年度未に策定したところであります。
このプランは、高齢者が自らの選択に基づさ良質な介護サービスを利用できる体制を確立するとともに、健康でいきいさとした生活を送ることがでさるよう、県民総ぐるみの健康づくりや生きがいづくりの運動などを推進して行こうというものであります。
今後、明るく活力ある高齢社会をめざして、本プランを積極的に推進していくとともに、介護保険制度の円滑な運営ができるよう、引き続き、保険者である市町村や介護サービス事業者に対する指導、支援を行ってまいります。
原子力安全対策の推進 次に、原子力安全対策についてであります。
昨年9月のJCO臨界事故を踏まえて新たに制定されました「原子力災害対策特別措置法」が、去る6月16日に施行され、国におきまして「防災基本計画」や「原子力防災指針」の改定が行われたところであります。
県としましても、これらの内容を踏まえ、去る6月7日に原子力防災などの専門家で構成する「茨城県原子力防災対策検討委員会」を設置し、「原子力災害対策計画」の全面的改定に着手したところであります。
また、原子力災害時の応急対策の拠点となる「オフサイトセンター」の整備につきましては、その基本的機能や設置場所などにつさまして、「茨城県原子力防災施設整備研究会」で検討をしていただいておりましたが、このたびその結論を受け、ひたちなか市西十三奉行地区に設置することといたしました。
さらに、日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構が整備する「原子力緊急時支援・研修センター」につきましても、オフサイトセンターとの連携を図るため、同地区に併設される予定であります。
今後は、来年度の早い時期にオフサイトセンターの供用開始がでさるよう、速やかに整備を進めてまいりたいと考えております。
また、臨界事故に伴う周辺住民等の健康診断につきましては、去る5月13、14、21日の3日間、東海村及び那珂町において実施いたしたところであります。
今回の健康診断では、本年3月末の国の「健康管理検討委員会報告」で対象とされた評価線量が1ミリシーベルトを超える方及び避難要請区域の住民等に加え、事故施設周辺の住民や一時滞在者で希望する方々も対象としたところでありますが、3日間で338名の方が受診されました。
診断の結果につきましては、JCO事故対応健康管理委員会で判定され、昨日公表いたしたところですが、昨年10月の事故直後に行った健康調査の結果と同様、血液検査などで放射線による影響があると判定された方はおりませんでした。
今後も、国と連携し、地元町村の協力を得ながら、心のケアを含む健康相談や年1回の健康診断を実施することにより、住民の方々の健康管理と健康不安の解消に努めてまいります。
県長期総合計画の改定 次に、茨城県長期総合計画の改定についてであります。
昨年11月に、総合計画審議会に対して計画改定を諮問し、各部会においてご審議をいただいてまいりましたが、去る6月1日に開催されました審議会におきまして、これまでの検討状況を整理した「中間とりまとめ」が示されました。
その内容につさましては、インターネット等により公表し、広く県民の皆様の意見をいただいているところでありますが、本年10月頃には審議会の答申をいただいて、長期総合計画を改定し、新たな県政運営の指針としてまいりたいと考えております。
市町村合併の推進
次に、市町村合併の推進についてでありますが、潮来町と牛掘町が、来年4月1日の合併をめざし、来る7月13日に、合併調印の運びとなりました。
両町の関係者のご努力に敬意を表しますとともに、県といたしましては、国の指針に基づさ、合併パターンを含む市町村合併推進要綱を本年中に策定しながら、さらに、合併に関する世論の喚起、気運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
涸沼の水質浄化 次に、涸沼の水質浄化についてであります。
涸沼では富栄養化等による水質汚濁が著しいことから、本年度から平成16年度までの5年間を計画期間とする「涸沼水質保全計画」をこのたび策定したところであります。
この計画の特色は、下水道や農業集落排水施設の整備、畜産対策などの従来の浄化対策に加え、ヤマトシジミの増産等による生態系を活用した水質浄化の推進や、住民、団体.事業者及び行政が仮称クリーンアップひぬまネットワークを結成し、地域一体となった浄化実践活動に取り組んでいくことなどを盛り込んだことであります。
今後は、本計画に基づさ、涸沼の水質改善目標の達成に努めてまいります。
中小企業支援センターの開設 次に、中小企業支援策についてであります。
いばらき未来産業プロジェクトの一環として、来る7月3日、茨城県中小企業振興公社内に、茨城県中小企業支援センター「ベンチャープラザ」を開設いたすこととしております。
このベンチャープラザは、コーディネーター、エキスパートといった経営や技術等の専門家を配置しながら、新たに創業される方や新分野に進出を図ろうとする中小企業に対し、総合的な助言や情報の提供、専門的な技術や経営に関する相談などを行う、新産業創出のための本県の総合支援窓口となるものであります。
県としましては、当プラザの利用促進に努めるとともに、今後とも、関係機関と連携しながら、創造性や自立性に富み、競争力のある中小企業の育成に努めてまいります。
国民文化祭の開催内定 次に、国民文化祭につきましては、これまで本県誘致に向けて、文化庁に積極的な働きかけを行ってきたところでありますが、本県における平成20年度の開催が内定いたしました。
国民文化祭は、国民の多様な文化活動について全国的な規模で発表する機会を提供するとともに、新たな芸術文化の創造をねらいとして開催される、総合的な文化の祭典であります。本県にとりましても、芸術文化の振興はもとより、いばらきのイメージアップや地域の振興に大いに寄与するものでありますので、関係機関と協力しながら、全国に誇ることのできる国民文化祭の開催に向けて、準備を進めてまいります。
>常陸那珂港の定期航路開設、利用推進 次に、常陸那珂港につきましては、この4月に外貿埠頭が供用を開始いたしましたが、これと同時に、ジャパン・ナホトカ・ラインの定期寄港地として新たに指定を受け、月2便の定期航路が開設されたところであります。
また、6月10日には南米チリからの大型船が入港し、今後3か月に1回程度入港する予定となっております。
一方、利用者のニーズに対応した機能的、効率的な運営を図るとともに、公的財政負担の軽減に資するため、北埠頭公共コンテナターミナルの管理棟や荷役機械の整備及びターミナル施設全体の一体的な管理運営につきまして、港湾としては全国に先駆けて、PFI事業として実施することとし、6月8日に常陸那珂埠頭株式会社と契約を締結いたしました。
今後とも、低コスト・高サービスといった常陸那珂港の優位性をアピールしながら、コンテナ航路等の定期航路誘致に向けて精力的な活動を行ってまいります。
ワールドカップ、インターハイの開催 次に、2002年ワールドカップの開催についてでありますが、会場となるカシマサッカースタジアムの増築工事も順調に進んでおり、去る5月11日に行われました国際サッカー連盟FIFAの視察でも、施設整備、芝の管理状況ともに高い評価をいただいたところであります。
また、同じく2002年開催のインターハイにつきましては、去る6月2日に茨城県準備委員会を実行委員会に改組し、本格的な開催準備体制に入りました。
2002年開催予定の2つのスポーツ・ビッグイベントを通して、本県スポーツの飛躍的発展を期するとともに、釆県する多くの人々との交流により、いばらきの良さ、素晴らしさを広く内外にPRしてまいりたいと考えております。
県立施設等の整備 次に、県立施設等の整備についてであります。
まず、笠間芸術の森公園内に整備を進めてまいりました「茨城県陶芸美術館」が完成し、4月15日にオープンいたしました。
「人間国宝展」等の開館記念展は好評を博し、開館2か月余りで、入館者数は7万人に上っております。これからも、企画展や所蔵品の充実に努め、県内外の陶芸ファンの期待に応えてまいりたいと考えております。
また、伊奈町に整備が進められておりました歴史公園「ワープステーション江戸」が、4月21日にオープンし、既に県内外から約14万人の来場者を迎え、これからの本県の新たな観光拠点として期待されているところであります。
次に、常磐新線でありますが、本県側の起点となるつくば駅が、去る5月23日に着工となりました。
東京側の起点である秋葉原駅につきましては、既に平成10年から工事が進められておりますが、今回のつくば駅着工により、鉄道建設にますます弾みがつくことを期待しますとともに、県としましても、平成17年度の開業に向け、関係機関と一丸となって全力で取り組んでまいりたいと考えております。
また、鹿島セントラルビル新館が完成し、6月8日にオープンいたしました。
この新館は、2002年ワールドカップ開催時のメイン宿泊施設となりますほか、インフォメーションサロンやパスポートセンター、さらには、地域住民や来訪者の交流と憩いの場となるモール等を併設する複合施設であり、今後、鹿島地域の商業・業務拠点施設として、大きな機能を果たすことが期待されております。
次に、地域中核病院の整備についてであります。
行方地域において、県および地元5町の支援により、かねてから茨城県厚生農業協同組合連合会が整備を進めておりました「なめがた地域総合病院」が完成し、6月1日から診療を開始いたしました。
診療科目数13料、病床数200床を有する病院として、今後、行方地域の医療水準の向上に大さく寄与するものと期待しております。
一方、茨城県済生会が事業主体となる龍ヶ崎地域の中核病院につきましては、平成14年度オープンに向け、去る5月18日に起工式が行われたところであります。
提出議案等 次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は、条例その他18件、専決処分等の報告5件であります。
条例は、新たに制定するもの2件、改正するもの13件であります。新たに制定する条例は、鹿島セントラルビル新館の完成に伴う「鹿島セントラルモールの設置及び管理に関する条例」などであり、一部を改正する条例は、大規模小売店舗立地法が制定されたことに伴う「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては3件で、「県有財産の取得について」などであります。
報告は5件で、専決処分の報告が1件、予算の繰越についての報告が4件であります。専決処分は、平成11年度の一般会計並びに特別会計の歳入が確定したこと等に伴う予算の補正などであります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。