県議会本会議速報
平成12年 第3回定例県議会本会議
速 報
<平成12年9月5日 火曜日 午後1時開議>

知事提案説明要旨

平成12年9月5日

 平成12年第3回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

最近の経済動向と財政運営

 最近の我が国の経済動向を見ますと、平成11年度の実質経済成長率が3年ぶりにプラスに転じるなど、一部に明るい兆しも見え始めてきましたものの、雇用は完全失業率が高水準で推移し、また、個人消費も未だ低迷が続くなど、景気はなお厳しい状況を脱しておりません。

 こうした状況を踏まえ、政府は、引き続き景気の下支えに万全を期すること等を目的に、去る7月25日、5,000億円の公共事業等予備費の使用を閣議決定いたしました。

 県におきましても、県内経済の自律的回復に向けて速やかな対応を図るため、国の公共事業等予備費を中心に、県民生活の向上や県土の発展基盤づくりのための公共事業費約59億円を今回の補正予算に計上することといたしました。

 県では現在、財政再建プランの初年度として、財政健全化に向けて積極的に取り組んでいるところでありますが、景気の動向や国の対応に十分留意しつつ、県内経済の着実な回復に向けて、今後とも、適切かつ効果的な施策の推進に努めてまいりたいと存じます。

地方分権の推進

 次に、地方分権の推進についてであります。

 市町村合併は、分権を実効あるものとする上でも、避けて通れない課題であり、県としましては、現在「市町村合併推進委員会」において、県内市町村の合併パターンを検討しているところでありますが、本年中には、この合併パターンを含む「市町村の合併の推進についての要綱」を策定し、合併に関する世論の喚起、気運の醸成を図ってまいりたいと考えております。

 また、潮来町と牛掘町につきましては、平成13年4月1日から牛掘町を廃し、その区域を潮来町に編入したい旨の申請がなされましたので、今回ご議決を賜るべく議案を提出いたしたところであります。

 また、合併後の市となるべき人口要件を3万人まで引下げるよう、「市町村の合併の特例に関する法律」の改正を国に対し要望しているところでありますが、両町が、合併により、市制施行も展望しつつ、鹿行地域の地方中核都市としてさらなる発展を遂げられるよう期待したいと存じます。

 また、地方分権一括法による地方自治法の改正に伴い、人口20万人以上の市に一定の権限を委譲しようとする「特例市制度」が、本年4月から施行されたところでありますが、このたび水戸市より、平成13年4月の特例市施行に向け、県の同意を求める申し入れがありましたので、今回関係議案を提出いたしております。

 県としましては、市町村が地方分権の主たる担い手として発展していけるよう、今後とも、権限の委譲や合併、広域連合などの広域行政を推進しながら、市町村の行財政基盤の充実強化を積極的に支援してまいりたいと考えております。

 参考:潮来町と牛掘町の合併情報(http://www.net-ibaraki.ne.jp/itako/gappei/gappei.htm)

少子化対策

 次に、少子化対策についてであります。

 一人の女性が一生の間に生むであろう子どもの数、いわゆる合計特殊出生率について、先般、平成11年の数値が公表されましたが、全国で1.34、本県で1.42と人口を維持するのに必要な水準の2.08を大幅に下回っております。

 このまま少子化が進行しますと、社会、経済に及ばす影響は極めて大きなものとなることが懸念されております。

 このため、県では、本年度内に新たなエンゼルプランを策定することとし、従来の子育て支援策に加え、少子化の一番の要因といわれる未婚率の上昇への対応策などについても、検討してまいりたいと考えております。       ・

最近の社会問題

 次に、最近の社会問題についてであります。

 まず、青少年の非行対策でありますが、最近、青少年による通常では考えられないような、凶悪な事件が多発しており、本県でも、17歳の少女2名等による成人女性に対するリンチ事件(4月)などが発生しております。

 今年度から、小学校1年生に自立心や責任感、思いやりの心を育むための「お手伝い・ボランティア奨励事業」や中学2年生に職場を知ってもらう「社会体験事業」などに淑り組んでいるところでありますが、これらの問題に対処していくためには、やはり、小さいうちから「命の大切さ」を教えていくとともに、善悪の判断や社会性などをしっかりと身につけさせていくことが重要ではないかと考えております。

 次に、児童虐待対策でありますが、去る7月、鹿嶋市で、小学校3年生が母親とその内縁の夫の虐待により死亡するという痛ましい事件が発生しました。

 昨年度は県内で、取手市とひたちなか市で死亡事件が起きており、児童相談所に寄せられた相談件数は270件と、前年度の約2.5倍に急増しております。

 このため、県では、関連機関の連携強化のため、「児童虐待対策基本方針」を定めるとともに、児童虐待防止シンポジウムを開催するなど、対策の強化を図ってきたところであります。

 しかし、今回の事件は関係機関への通報もなく、虐待の事実を把握することができなかったことから、現在、児童虐待対策推進会議において、早期発見のための行動指針の策定等を進めているところであります。

 次に、ストーカー対策でありますが、ストーカー行為に関する警察への相談件数は、本年6月までに500件を超えており、去る8月9日には、岩井市在住の女性が元の交際柏手に殺害されるという、悲惨な事件が発生しました。

 本年5月に成立した「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が、11月に施行されますが、県としましても、広報啓発活動の充実や貸し出し用の防犯器具(ブザー)の整備などを行いながら、ストーカー犯罪の未然防止に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、レジオネラ症対策でありますが、去る6月、石岡市の「ふれあいの里石岡ひまわりの館」を利用した方々につきまして、レジオネラ症の集団発生が起き、これに係る患者数は、疑いも含め40名余(うち死者3名、レジオネラ症確定者26名)にのぼっております。

 このため県では、同施設に対し、公衆浴場法に基づく営業停止処分を行うとともに、対策本部を設置し、感染原因及び感染経路め究明を行いながら、再発防止について指導しているところであります。

 なお、県内の類似施設に対しましては、7月末に保健所による一斉立ち入り検査を実施したところですが、今後さらにレジオネラ菌の検査を含む指導や事故防止のため、保健所への相談員の配置、講習会の開催などを行ってまいります。

 次に、医療事故対策でありますが、先ごろ、県内病院(筑波大学付属病院)において、組織検体の取り違えによる患者の誤認手術及び薬剤の過剰投与による医療事故の発生が明らかになりました。

 県では、これまで医療事故防止について、各医療機関の取り組み強化を促してきたところであり、本年度は、医療法に基づく定期医療監視(立ち入り検査)の重点事項としていた矢先の出来事で、誠に遺憾なことであります。

 当該事故に対しましては、速やかに立ち入り検査等を行い、原因の究明、再発防止策の徹底などを指示するとともに、県内医療機関に対し、改めて医療事故防止についての更なる対策強化を図るよう通知したところであります。

 次に、オウム問題でありますが、団体規制法により観察処分を受けたオウム真理教につさましては、本県では、去る6月に旭村から信者が撤退いたしましたが、三和町の拠点施設におきましては、依然として活発な活動を行っており、警察官による24時間の警戒警備が実施されているところであります。

 さらに、この7月には、オウム真理教関係者が龍ヶ崎市に転入し、住民の方々に大さな不安をもたらしているところでありますが、8月4日から、警察官による居住施設付近の警戒警備が実施され、さらに今月からは、24時間体制へと警戒警備の強化を図ることとしております。

 県としましては、今後とも、オウム真理教(アレフ)の活動を注視するとともに、関係市町と連携を図りながら、住民不安解消のために努力してまいりたいと存じます。

 これら一連の深刻な社会問題は、まさに、命の大切さに対する認識の希薄化、職業倫理の弛緩などの現れであり、日本社会がこれから先21世紀に向けてどうなっていくのかと危機感すら覚えるところであります。

 県としましては、今後とも、学校、家庭、地域社会の密接な連携のもと、子供たちが、たくましいだけでなく、社会の一員として、思いやりの心や責任感を養うことができるよう、施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

交通安全対策

 次に、交通安全対策についてであります。

 先月下旬から今月初めにかけ、県内で交通死亡事故が相次ぎ、去る9月2日に交通死亡事故多発警報を発令いたしました。

 県としましては、新聞、ラジオ等あらゆる広報媒体を活用し、交通事故防止の呼びかけなどを行うとともに、市町村及び関係団体と協力し、交通事故の抑制に向けて努力してまいりたいと存じます。

過疎地域の振興対策

 次に、過疎地域の振興対策についてであります。

 本年4月に、新過疎法として「過疎地域自立促進特別措置法」が、10年間の時限立法として施行され、大子町など9町村が引き続き過疎地域に指定されるとともに、桂村が今回から指定をはずれ、5年間の経過措置が適用となる特定市町村となったところであります。

 新過疎法では、従来の地域格差是正に加え、新たに、高齢社会の先進地域としての保健福祉の充実や風格のある個性豊かな地域社会の形成をめざすことなどが、過疎地域の目標とされました。

 このため、県におきましては、今般、これからの過疎対策の大綱として「茨城県過疎地域自立促進方針」を決定したところでありますが、今後、この方針を踏まえ、県及び各町村が自立促進計画を策定し、協力して、過疎地域の振興に努めてまいりたいと存じます。

百里飛行場民間共用化

 次に、百里飛行場の民間共用化についてであります。

 去る7月7日に空港整備法施行令の一部改正が行われ、百里飛行場が共用飛行場に指定され、早期の共用化に向け大きく前進をいたしました。

 また、先般まとまりました国の平成13年度予算の概算要求に、用地買収など本格的な事業に着手するための11億円余の事業費が盛り込まれましたが、この事業費が確実に国の予算に組み込まれ、共用化の実現に向けて、さらに大きな一歩を踏み出すことが出来ますよう、今後とも、関係機関に強く働きかけてまいりたいと考えております。

常陸那珂港の利用促進

 次に、常陸那珂港の利用促進についてであります。

 常陸那珂港は、この4月に外貿埠頭の供用が開始され、一般船による定期航路の運航が始められたところですが、このたび、韓国の釜山との間に、初の外貿定期コンテナ航路が開設され、去る8月3日に第1船が入港しました。これにより、釜山を経由して中国、北米、欧州とのコンテナ貨物の取扱いが可能となりました。

 また、常陸那珂港の利用促進と地域経済の活性化を図るため、「茨城県地域輸入促進計画」を作成し国に協議していたところですが、去る8月16日に国の同意が得られ、常陸那珂港とその周辺地域が、輸入促進地域(いわゆるFAZ)とされたところであります。

 これを契機に、常陸那珂港につきましては、今後さらに、北米などとの定期航路が順次開設されるよう、精力的な誘致活動に努めますとともに、北開東地域の新たな国際物流拠点をめざし、一層の整備を進めてまいりたいと考えております。

緒川総合開発事業の中止

 次に、緒川総合開発事業の中止についてであります。

 緒川ダムにつきましては、昨年8月に事業の休止を決定して以来、利水、治水の代替案や生活環境基盤の整備について検討、調整を進めてまいりましたが、去る7月26日に開催されました茨城県公共事業再評価委員会において、代替案等に関する県の検討結果を報告し、中止が妥当との意見が具申されたところであります。

 県としましては、この再評価委員会の意見を専重し、8月3日、本事業の中止を決定するとともに、中止に伴う諸対策を全庁的に推進するため、「緒川ダム関連対策推進本部」を8月末に設置いたしました。

 今後は、利水、治水の代替案を具体化するとともに、生活環境基盤の整備につきまして、地元と十分に調整を図りながら対応してまいりたい考えております。

県立施設等の整備

 次に、県立施設等の整備についてであります。

 まず、去る7月10日、かねてより友部町から八郷町に移転整備を進めておりました「茨城県畜産センター」が開場しました。

 本センターは、広大な敷地に、最新の研究施設や家畜飼養施設とともに、畜産への理解を深めるための体験施設等を配する、県民に開かれた施設となっております。

 今後は、本県畜産技術の研究の拠点として、畜産農家の大きな課題である家畜排泄物処理技術に関する研究やクローン技術等を活用した先端研究などに、重点的に取り組んでまいります。

 次に、県税事務所につきましては、納税者の利便性の向上を図るため、去る8月1日、水戸及び土浦の陸運支局の構内に、新たに自動車税分室を開設し、自動車税の収納業務や納税証明書の発行業務を開始いたしました。

 また、行政情報ネットワークシステムにつきましては、既に昨年度、新県庁舎に庁内LANを導入したところでありますが、このたび、出先機関を結ぶ通信回線やパソコンの配備が完了し、8月からは、本庁及びすべての出先機関において、電子メールによる文書の送受信などがでさるようになりました。

提出議案等

 次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。

 今回の提出議案は、予算の補正に関するもの6件、条例その他12件、認定1件、報告1件であります。

 まず、一般会計の補正予算についてであります。

 今回の補正予算におきましては、先に申し上げましたように、国の公共事業等予備費に関連する経費を計上するほか、国庫補助事業などで額の確定したもの及び当初予算編成後の情勢の変化に対応するため緊急に必要となったものなどにつきまして、予算措置を講ずることといたしました。

 今回の補正予算の財源としましては、国庫支出金や有利な財源措置のある県債を活用し、一般財源の持ち出しを抑えることとし、所要の一般財源14億7,200方円につきましては、平成11年度からの繰越金の一部を充当することといたしました。

 次に、歳出の主なものについて申し上げます。

  吾国山洗心館施設改修事業費 3,800万円

  公共処分場基本調査費 3,300万円

  新エンゼルプラン策定・推進事業費 1,200万円

  老人福祉施設整備費補助 6億6,800万円

  レジオネラ症防止対策事業費 500万円

  中小企業年末融資(融資枠拡大) 218億円(融資枠)

  中小企業IT活用支援フェア開催事業費 200万円

  降ひょう等被害対策費 2,600万円

  国営造成施設管理体制整備促進事業費 1,500万円

  常陸那珂港FAX施設整備費補助 1,400万円

  本城橋整備費 1,800万円

  ストーカー対策推進費 100万円

  国補公共事業費 55億円

  (うち公共事業等予備費分 39億9,900万円)

  県単公共事業費 10億1,500万円

などであります。

 これらによる今回の補正予算の総額は、196億5,800万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は、1兆952億3,100万円となります。

 また、債務負担行為は、新規1件であります。

 次に、特別会計及び企業会計の補正予算についてであります。

 特別会計は、国庫補助金の確定等に伴う都市計画事業区画整理事業及び流域下水道事業の2会計の補正であります。また、企業会計は、公共事業等予備費の活用や国庫補助金の確定等に伴う、水道事業など3会計の補正で、総額13億3,400万円、債務負担行為は、新規1件となっております。

 次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。

 条例は、一部を改正するもの3件で、県民税法人税割の税率特例の期間延長等を行うための「茨城県県税条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては9件で、先に申し上げました「潮来町と牛掘町との合併について」などであります。

 次に、認定は、平成11年度茨城県公営企業会計決算の認定であり、報告は、専決処分の報告であります。

 以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


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