平成13年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。
(第1 県政運営の基本方針) 激動の20世紀が終わり、21世紀の幕が切って落とされました。
今、我が国では、20世紀の発展を支えてきた画一・横並び主義の社会経済システムが大きな変革を遂げようとしており、真の自由競争社会をめざして、官民をあげた抜本的な構造改革への取り組みが行われております。
加えてIT革命が世界を席巻し、もはや情報通信について国境を意識することなどないように、あらゆる分野で、グローバル化が急激に進展してきております。
一方、我が国の少子・高齢化は依然としてとどまるところを知らず、人口減少の時代がいよいよ目前に迫りつつあります。
こうした中で、地域間の競争は一層激しさを増しております。本県といたしましても、これらの課題に積極的に対応しながら、自己決定・自己責任の原則のもと、国への依存心を捨て、自主自立の地域づくりを進めていくことが必要であります。
私は、21世紀は「交流の時代」になると考えております。人や物、情報などの流れはますます活発化し、その交流の中から多様で豊かな文化や活力が生まれ、ひいては、地域の将来にも大きな影響を与えていくことになると思います。
幸い、本県におきましては、今世紀の早い段階までに、陸・海・空の交通ネットワークの整備が着実に進み、首都圏における新たなゲートウェイが形成され、人・物・情報などの一大交流拠点が形成されてまいります。
また、東海・那珂・ひたちなか地域には、大強度陽子加速器施設などを核として新たな産業集積が図られ、つくばと並ぶ科学技術拠点が形成されてまいります。
そして、県内の既存の工業集積も生かして活力ある産業の振興が図られ、すべての県民が魅力ある職場で働きながら豊かな生活を送ることが出来る、そのような社会が築かれてまいります。
一方、人と人とのつながり、人と地域社会とのつながりが薄れ、従来の地域コミュニティの弱体化が進むとともに、青少年犯罪の凶悪化や児童虐待などに象徴されますように、心の荒廃や倫理意識の低下が、大きな社会問題となっております。
また、大量生産・大量消費による経済成長の裏側で、大量廃棄により、環境の汚染と破壊が深刻化し、人類全体にかかわる地球環境問題が生じております。
このため、私は、豊かな県づくりとあわせ、健康寿命を伸ばす、地域全体で子どもを育てていく、循環型社会を築く、などといった視点を大切にしながら、新たな施策に取り組み、福祉や医療、教育や環境などの面でも充実した県をめざしてまいりたいと存じます。
茨城にとって、21世紀は夢のある、希望にみちた世紀であります。
この4月から、新世紀のグランドデザインを描く「改定長期総合計画」がスタートいたしますが、私は、本計画を県政運営の新たな指針として、県民の皆様との連携と協働のもと、「新しいゆたかさ」と「かがやく未来」の実現をめざし、愛されるいばらきづくりに、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
しかしながら、翻って足元をみますと、本県は引き続き、厳しい試練に直面しております。
長引く景気低迷のもと、本県経済は、企業部門ではようやく回復に向けた動きが見られますものの、その勢いは弱く、個人消費は盛り上がりを欠き、雇用情勢については、なお厳しい状況を脱しておりません。
さらに、県財政は、県税収入が大幅に落ち込む一方、人件費や公債費の増大などにより、巨額の財源不足が見込まれる危機的な状況に瀕し、引き続き財政再建団体への転落も想定せざるを得ない状況にあります。
私といたしましては、この厳しい状況を何としても克服し、21世紀の豊かな県民生活と活力ある地域社会を実現していくため、景気・雇用対策、並びに行財政改革、地方分権の推進などに、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
当面の景気・雇用対策でありますが、昨年9月の補正予算に加え、12月には、国の「日本新生のための新発展政策」と連携した経済対策を講じ、着実にその執行を図っているところであります。さらに、来年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のなかではありますが、社会資本の整備や中小企業対策、雇用対策の実施に加え、IT関連等の新産業の創出などにも力を入れ、景気・雇用対策に配慮いたしたところであります。
また、行財政改革につきましては、財政再建団体への転落という最悪の事態を何としても回避するため、来年度の予算編成に当たりましても、財政再建プランの見直しを行いながら、全事業をゼロベースで厳しく洗い直し、施策の重点化を図りますとともに、県有未利用財産の売却など、歳入・歳出両面にわたる出来る限りの対策を講ずることといたしました。
また、市町村合併につきましては、市町村が行財政能力を高め、広範で複雑・高度化する行政分野に適切に対応していくために、極めて有効な手段でありますので、昨年暮れに策定いたしました「茨城県市町村合併推進要綱」の合併パターンや、今月庁内に設置いたしました「茨城県市町村合併推進本部」を活用しながら、自主的な市町村合併の促進に努めてまいります。
さて、いよいよ来年は、ワールドカップ、インターハイ開催の年となりました。この2つのビックイベントは、内外にいばらきをアピールできる絶好の機会でありますので、大会の成功に万全を期しますことはもとより、事前キャンペーンやイベントなどを通して、本県のイメージアップにも、大いに努めてまいりたいと存じます。
〔予算編成の基本的考え方〕 次に、平成13年度予算編成に当たっての基本的な考え方と21世紀を展望した重点施策について申し上げます。
第1は、少子・高齢社会に向けた福祉や保健、医療の充実であります。
今世紀、我が国は少子・高齢社会が本格化するとともに、人口が減少に転じるという、いまだかつて経験したことのない時代に突入いたします。
未婚率が上昇を続け、晩婚化と相まって、少子化が進行しておりますが、これに歯止めをかけていくためには、「結婚・出産・子育てに夢や希望の持てる社会」を実現していくことが不可欠であります。
このため、新エンゼルプランに基づき、地域における子育てサポート体制の充実強化や仕事と家庭の両立のための働きやすい職場づくり、さらには男女の出会いの場づくりなど、総合的な施策の推進に努めながら、少子化対策県民運動を展開してまいります。
一方、高齢社会への対応につきましては、「いばらき高齢者プラン21」に基づき、介護サービス基盤の整備などを図りながら、介護保険制度の定着と円滑な運営に努めてまいります。また、明るい長寿社会の実現に向け、高齢者の生きがいづくり活動を県民運動として本格的に展開してまいります。
保健・医療の面では、地域の中核となる病院の整備や地域がんセンターの設置を推進いたしますとともに、引き続き、県立医療大学付属病院を核とした全県的な地域リハビリテーション支援体制の整備を進めてまいります。
また、県民の生涯にわたる健康づくりを推進するため、「健康いばらき21プラン」に基づき、県民総ぐるみの運動を展開してまいります。
第2は、安全で快適な生活環境づくりであります。
地球環境問題は、県民一人一人が、人と環境の関わりを深く理解し、日常生活、社会経済活動などのそれぞれの段階で、自らの責任として取り組むべき極めて重要な課題であります。このため、ゼロエミッションをめざした資源リサイクルの推進をはじめ、ダイオキシン対策、廃棄物の公共処分場の整備等に取り組み、環境への負荷を出来る限り減らし、地球と共生する循環型社会の構築を進めてまいります。
さらに、本県の貴重な財産である霞ヶ浦の水質浄化につきましては「(仮称)霞ヶ浦環境センター」の整備を進めますとともに、県民運動の拡充を図ってまいります。
また、原子力の安全対策につきましては、JCO事故の厳しい反省と教訓を踏まえ、この度、原子力災害対策計画を改定いたしましたが、来年度は、それをもとに総合的防災訓練を実施するなど、原子力防災体制の確立に努めてまいります。
第3は、21世紀のいばらきを担う子どもたちの健全育成であります。
近年、学校において、いじめや学級崩壊といった極めて憂慮すべき問題が発生するとともに、成人式の混乱に見られるようなモラルや規律の低下、青少年による凶悪犯罪の続発など、深刻な社会問題が生じております。
その背景には、少子化の進展とともに、子どもたちがお互いに切磋琢磨する機会が減少していることや、規範意識が希薄化していることなどがあげられますが、私としては、学校、家庭、地域社会の密接な連携のもと、子どもたちが、たくましいだけでなく、社会の一員として、思いやりの心や責任感を養っていくことの大切さを痛感しているところであります。
このため、子どもたちが学校や家庭、地域社会のなかで様々な体験や活動を通して、責任感や自立心を身につけていけるよう、多様な機会の提供に努めますとともに、世代間の交流等を促進し、家庭・地域社会の教育力向上を図りながら、青少年の健全育成に取り組んでまいります。
また、学校教育におきましては、開かれた学校づくりを進めますとともに、児童生徒の自主性を高め、よりよい人間関係の育成を図るため、生徒による主体的な学校づくりに取り組んでまいります。
さらに、引き続き、社会人を含めたティーム・ティーチングの活用や情報通信教育を積極的に推進しながら、個性と創造性に富むこころ豊かな人づくりを推進してまいります。
また、障害児教育につきましては、県立特殊教育語学校におきまして、医療的ケアの充実を図ってまいります。
第4は、活力ある産業の育成であります。
産業構造の変革や長引く景気低迷などにより、中小企業の経営環境が厳しさを増しているなかで、企業め新分野進出や開業等を支援する「いばらき未来産業プロジェクト」を引き続き積極的に推進いたしますとともに、ITの活用やベンチャー企業の創業に対する支援を拡充し、創造性や自立性に富み、競争力のある足腰の強い中小企業を育成してまいります。
また、大強度陽子加速器施設の整備や国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致を契機とした、「サイエンスフロンティア21構想」等を新たに策定しながら、新産業の育成と集積をめざしてまいります。
農林水産業は、担い手の不足や高齢化などが進む一方、食料自給率の向上が課題となるとともに、農林水産業の有する多面的機能に対する評価が高まってきております。
このため、新しい農業、林業、水産業の各振興計画の策定を進め、農業につきましては、本県の豊かな自然の恵みを生かしながら、生産性が高く、産地間競争に打ち勝てる農業をめざしますとともに、環境と調和した生産システムを確立し、安全かっ良質な食料の安定的な供給を図ってまいります。さらに、林業につきましては、森林の公益的機能発揮のための豊かな森林の育成や、循環型の資源として地域材の利用促進などに努めますとともに、水産業につきましては、経営の安定化やつくり育てる漁業を一層推進するなど、魅力とやりがいのある、活力に満ちた農林水産業の確立に取り組んでまいります。
第5は、社会資本の整備と交流の拡大であります。
「新しいゆたかさ」を実感出来るような社会、希望に満ちた「かがやく未来」を期待できる社会を実現していくためには、県土の発展基盤の整備が不可欠であります。
北関東自動車道につきましては、出来る限り早期に県内全線が開通できるよう、事業を促進いたしますほか、首都圏中央連絡自動車道及び東関東自動車道水戸線につきましても、着実に整備を促進してまいります。
常陸那珂港は、昨年外貿ふ頭が供用開始され、順調に定期航路が開設されておりますが、今後ともポートセールスに力を入れますとともに、中央ふ頭につきましても本格的に整備を進めてまいります。
また、百里飛行場の民間共用化につきましては、平成18年度前後の開港に向け、来年度から新たな滑走路建設のための用地買収が始まる予定でありますし、常磐新線につきましても、この度「つくばエクスプレス」と新名称が決定し、平成17年度開業に向け、全線にわたり鉄道建設工事が開始されます。
今後とも、21世紀の広域的な交流と連携を支える陸・海・空の交通ネットワークづくりをはじめ、社会資本の整備に積極的に取り組んでまいります。
(第2 予算) 次に、予算について申し上げます。
本県の予算編成の前提となる国の予算は、我が国経済を自律的回復軌道に確実に乗せるとともに、公債発行を可能な限り縮減し、財政の効率化、質的改善を図るとの観点に立ち編成されたところであり、一般会計予算の総額は82兆6,524億円、対前年度比2.7パーセントの滅、また、政策経費であります一般歳出については、対前年度比1.2パーセントの増となっております。
一方、地方公共団体の予算編成上の指針であります地方財政計画をみますと、歳出のうち公債費等を除いた地方一般歳出が、対前年度比0.6パーセントの滅となっており、経費全般について徹底した節減合理化を推進する一方、景気対策への取り組みやIT革命の推進、総合的な地域福祉施策の充実などの重要課題に積極的に取り組むこととされております。
次に、本県の平成13年度当初予算について申し上げます。
まず、来年度の財源見通しであります。歳入の中心であります県税収入につきましては、個人所得の滅により個人住民税が引き続き減少するものの、企業収益の回復による法人2税の増収及び郵便貯金の集中満期到来による県民税利子割の臨時的な増収が見込まれるため、12年度当初予算に比べ4.6パーセント、約140億円の増と、3年ぶりの増額を見込んでおります。法人2税につきましては、前年度当初予算に比べ22.1パーセント増の約900億円と見込んでおりますが、ピークであった平成3年度の約1,500億円と比べますと、その6割程度と、依然として低い水準にとどまっております。
また、その他の一般財源につきましては、地方交付税や新たな臨時財政対策債の発行などにより、はぼ12年度当初予算並みの額を確保出来る見込となっております。
併せて、今回の予算編成におきまして、県有未利用財産の売却や使用料・手数料の見直し等により、歳入の確保を図ったところでありますが、なお不足する財源につきましては、財政健全化債の活用及び一般財源基金の取り崩しにより確保したところであります。
また、歳出につきましては、公債費などの義務的経費が増加いたしましたが、一方で、徹底した事務事業の総点検に取り組み、一般行政施策につきまして、対象経費の約16パーセントの削減を図りますとともに、県単公共事業につきまして、7.5パーセントの事業費の縮減を図ったところであります。
国補公共事業につきましては、景気の動向に配慮し、国の予算措置状況を勘案しながら、本県の所要見込額を計上いたしたところであります。
また、引き続き、緊急雇用対策を実施いたしますほか、福祉・医療や教育、環境、IT戦略の推進などの分野を中心に施策の充実を図ったところであります。
この結果、平成13年度一般会計予算の総額は、1兆855億7,200万円となり、前年度当初予算に比べ、0.9パーセントの増となっております。
また、特別会計は17件で、総額1,137億2,600万円となり、19.4パーセントの減、企業会計は5件で、総額899億3,800万円、2.8パーセントの増となっております。
なお、債務負担行為は、一般会計で新規38件、特別会計で新規7件、企業会計で新規7件であり、その内容は、建設工事の請負契約などであります。
次に、平成13年度の主な施策について申し上げます。
第1は、誰もが健やかに暮らせるやすらぎに満ちた社会づくりについてであります。
(少子・高齢社会への対応) まず、少子化対策につきましては、子育てサポーター派遣事業について、派遣対象を妊娠の段階にまで拡大いたしますとともに、少子化対策推進県民会議を設置し、少子化を考える県民の集いやボランティア団体の交流会等を開催しながら、全県的な少子化対策県民運動を展開してまいります。
また、仕事と家庭の両立支援を図るため、法律により義務とされている範囲を超えて育児休業制度や家族介護休業制度の導入を図る企業に対して、奨励金制度を創設いたしますはか、不妊で悩む方々を対象とする不妊専門相談センターを新たに設置いたします。
さらに、近年未婚率が上昇しているところから、若い男女などが参加する各種セミナー等を開催いたしますとともに、出会いの場を創出する青年交流事業に対して支援をしてまいります。加えて、最近深刻な社会問題となっている児童虐待対策として、24時間の電話による通報・相談窓口を開設いたしますとともに、新たに11月を児童虐待防止強調月間として、キャンペーン等の啓発活動を展開してまいります。
次に、高齢社会への対応といたしましては、「いばらき高齢者プラン21」に基づき、老人福祉施設の整備や人材の確保など、介護基盤の整備を進めますとともに、県内5地域に設置されております「高齢者はつらつ百人委員会」の活動を支援しながら、高齢者の生きがいづくり活動を広く県民運動として展開してまいります。
(男女共同参画の推進) 次に、男女共同参画社会の実現につきましては、「茨城県男女共同参画推進条例」を制定し、男女共同参画計画を策定いたしますとともに、県民フォーラムの開催やインターネット上にハーモニーe−カレッジを開講するなど、啓発活動に努めてまいります。
(福祉コミュニティづくりと福祉サービスの充実) 茨城町に進めております、やさしさのまち「桜の郷」の整備につきましては、中核的な施設となる国立水戸病院が平成16年度開院に向けて移転整備に着手いたしますので、バリアフリーに配慮した、人にやさしいまちづくりのモデルとなるよう、引き続き事業を推進してまいります。また、老朽化の著しい内原厚生園につきまして、県立コロニーあすなろへの移転整備に着手いたします。
また、本県独自の地域ケアシステムを引き続き推進してまいりますほか、お年寄りや障害を持つ方々などが利用しやすいよう、民間バス事業者のノンステップバスの導入に対し、新たに助成を行ってまいります。
(健康づくりと保健・医療の充実) 次に、医療体制の充実についてでありますが、県北地域におけるがん診療体制の充実を図るため、県内4番目となる日立総合病院の地域がんセンター整備に対し助成いたしますとともに、龍ヶ崎地域における中核病院の整備や全県的な地域リハビリテーション支援体制の整備を進めてまいります。
さらに、地域で暮らす精神障害者が、緊急に入院治療を必要とする場合に24時間対応できるよう、移送及び病院の受入れ体制の整備を進めてまいります。
また、県民の生涯にわたる健康づくりを推進するため、「健康いばらき21プラン」に基づき、県民総ぐるみの運動を展開しながら、健康づくり事業に取り組む市町村に対する支援などを行ってまいります。
第2は、ゆたかさを実感できる安全快適な生活環境づくりについてであります。
(安全な県民生活の確保と環境の保全) まず、環境への負荷の少ない循環型社会づくりにつきましては、現在、平成17年度を目標とする第1次廃棄物処理計画の策定を進めておりますが、ごみ減量化行動計画の見直しや建設副産物のリサイクル推進体制の整備、生ゴミ等を利用した新リサイクル技術の開発等を進めますとともに、畜産資源のリサイクルのための施設整備に対する助成を拡充するなど、全県的なゼロエミッションの推進を図ってまいります。
また、笠間市に計画しております公共処分場の整備につきましては、周辺の環境への影響など、引き続き必要な調査を行ってまいります。
原子力防災・安全対策につきましては、引き続き、原子力施設への立ち入り調査休制や環境放射線監視体制の充実強化に努めますとともに、本年2月に改定した原子力災害対策計画に基づき、住民参加型の総合防災訓練を実施してまいります。
また、原子力関係市町村の生活環境などの整備を促進するため、核燃料等取扱税の一部を財源とする補助制度を創設いたします。
霞ヶ浦の水質浄化につきましては、新たに平成17年度を目標年度とする第4期の湖沼水質保全計画を策定し、計画的、総合的な水質保全対策に取り組みますとともに、霞ヶ浦に流入する主要な河川の流域ごとに、浄化のための新たな取り組みを推進してまいりますはか、水質保全に関する調査研究や県民の浄化運動などの拠点となる「(仮称)霞ヶ浦環境センター」の基本設計等を進めてまいります。
またダイオキシン対策につきましては、大気、水質、土壌等のモニタリング調査を全県的に実施し、廃棄物焼却炉等の適正管理の指導た努めますはか、自動車排ガス対策として、ディーゼル微粒子の調査を新たに実施いたします。
なお、引き続き、大好きいばらき県民会議の活動を支援いたしますとともに、三の丸庁舎の交流サルーンいばらきを拠点として、NPOやボランティアなど様々な団体の地域活動を支援してまいります。
(快適な生活環境施設の整備) また、快適な生活環境施設の整備についてでありますが、平成13年度から5カ年計画で、県道及び市町村道の渋滞箇所や交通危険箇所等を重点的に整備する「安全快適なみち緊急整備事業」に取り組みますはか、「生活排水ベストプラン」の見直しを行いながら、引き続き、下水道、農業集落排水施設などの基礎的な社会資本の整備や合併処理浄化槽の普及を計画的に進めてまいります。
さらに、自然豊かな霞ヶ浦の水辺を人々の交流空間として整備していくため、国や地元市町村等と協力して、湖岸に統一デザインによる広域案内板を設置いたしますとともに、平成15年度の自然公園大会開催に向け、会場となる園地の整備等を進めてまいります。
(魅力ある地域づくりの推進) 次に、魅力ある地域づくりについてでありますが、本年5月に施行される改正都市計画法に基づき、都市型社会にふさわしいまちづくりを進めるため、県内41のすべての都市計画区域において、都市計画区域マスタープランを作成してまいります。
また、新過疎法の施行に伴い、県内過疎地域の自立を積極的に促進するため、地域住民の日常生活の利便性の確保や定住、交流活動等に対する支援に重点を置いた、新たな過疎町村への助成制度を創設いたします。
さらに、緒川ダムの建設中止に伴い、遅れておりました地元の道路の整備や河川改修に重点的に取り組みますとともに、生活環境の整備を促進してまいります。
第3は、個性と創造性に富むこころ豊かな人づくりについてであります。
(青少年の育成と学校教育の充実) まず、子どもたちに、社会の一員としての自覚や他人を思いやる心等を育成していくため、新たに、自然のなかで集団活動を体験する「子どもいきいき自然体験事業」を実施するなど、学校や家庭、地域社会における体験事業に積極的に取り組んでまいります。また、青少年の健全育成のため、ふれあいのある家庭・地域づくり推進シンポジウムや高校生によるふれあい広場などを「青少年いきいき交流事業」として開催してまいります。
さらに、生徒主体による学校づくりを進める「みんなが主役、楽しい学校づくり事業」として、児童が主体となって図書を選定する「みんなにすすめたい一冊の本推進事業」、不登校やいじめ等の問題を生徒自身の手で解決する「みんなで進める友達相談事業」などの事業に、新たに取り組んでまいります。また、社会人の活用や複数の教員によるティーム・ティーチングを引き続き推進するとともに、生徒の心の悩みや不安に対処するため、スクールカウンセラーによる相談体制の充実を図ってまいります。
さらに、IT革命に対応していくため、教員に対する研修を実施しますとともに、全ての県立学校の全ての普通教室等においてインターネットを活用した授業が行えるよう、校内LAN及びパソコン等の整備を進めてまいります。
障害児教育につきましては、医療的ケアを必要とする児童生徒が通学する県立特殊教育語学校に、新たに非常勤看護婦を配置し、保護者の負担軽減を図りますとともに、引き続き、不足教室の解消に努めながら、今後の養護学校の整備のあり方について調査検討を進めてまいります。
私学教育の振興につきましては、厳しい財政状況のなかではありますが、私立高等学校や幼稚園の経常費等に対する助成を拡充してまいります。
(生涯学習とスポーツ、文化の振興) 生涯学習の推進につきましては、県立図書館が来る3月24日に移転開館いたしますが、施設のバリアフリー化とともに、視聴覚サービスの充実やボランティアの活用等により、明るく便利な開かれた図書館となるよう努めてまいります。
また、新水族館につきましては、正式名称をアクアワールド茨城県大洗水族館とし、来年3月のオープンをめざし、整備を進めてまいります。
次に、スポーツの振興でありますが、ワールドカップの茨城開催まで、あと460日となってまいりました。本年5月には4万2千人規模のカシマサッカースタジアムの改修が完了し、プレ大会としてコンフェデレーションズカップが開催されますとともに、12月には、本県で開催されるワールドカップ3試合の組合せが決定いたします。
インターハイにつきましても、笠松運動公園の屋内プールをはじめ、競技施設の整備を進めますとともに、開催前年度となりますので、高校生による「インターハイPRキャラバン隊」等を組織しながら、大会に向けた広報啓発活動を行ってまいります。
芸術・文化活動の推進につきましては、小学生を対象とした「ゆかいな世界音楽の旅巡回公演」等に加え、新たに、特殊教育語学校の児童生徒が各学校で舞台芸術を鑑賞できるよう、「虹のステージ巡回公演」をスタートさせます。
第4は、新しい魅力と活力あふれる産業社会づくりについてであります。
(新たな環境に対応した農林水産業の振興) まず、農業についてでありますが、引き続き、認定農業者等への農地の流動化を図り、経営規模の拡大や効率化を進めますとともに、農業情報ネットワークをはじめITを活用した高度な農業経営の支援に努めますはか、新規就農を支援するため、農業信用保証制度を利用した新たな貸付金制度を創設いたします。
また、水田の汎用化を推進いたしますとともに、麦・大豆の本格生産に向けた品質向上対策等に取り組みながら、水田営農の確立と来年度拡大が予定されております生産調整の確実な実施を図ってまいります。園芸の振興につきましては、引き続き、いばらきの園芸「10アップ運動」を全県的に展開いたしますはか、施設化や機械化を進め、生産の安定化や出荷期間の拡大、省力化・低コスト化を推進してまいります。
また、特別栽培農産物に関する認証制度を創設し、安全で安心な農産物の生産・出荷及び消費者に対する農産物選択のための正しい知識や情報の提供に努めますとともに、今後、安全で新鮮な本県産の農林水産物を県民が愛着をもって消費する「地産地消」運動として、「うまいもんどころ食彩運動」を展開してまいります。
さらに、農業経営への女性の参画を推進するため、新たに、元気な女性グループが取り組む直売や農産加工等の活動に対して、支援をしてまいります。
畜産の振興につきましては、家畜排せつ物処理施設の整備を進め、循環型社会に対応した畜産経営の確立を図ってまいりますとともに、林業の振興につきましては、地域材の幅広い分野での利用を促進するため、公共施設等の木質化や乾燥材供給体制の整備等に対し支援を行ってまいります。水産業の振興につきましては、引き続き、つくり育てる漁業を推進いたしますとともに、本県の基幹漁業であるまき網漁業の経営安定を図るため、代船建造や経営のスリム化などを促進してまいります。
(新産業の創造と商業の振興) 次に、商工業関係についてであります。
「中小企業金融安定化特別保証制度」が本年3月末をもって終了いたしますが、県内中小企業にあっては、引き続き厳しい経営環境にありますことから、パワーアップ融資の融資枠を拡大するとともに、IT導入促進融資を創設するなど、制度融資の拡充により、円滑な資金調達を支援してまいります。
また、新産業の創出や中小企業の新分野進出を促進するため、引き続き「いばらき未来産業プロジェクト」を推進いたしますとともに、創業をめざす若い世代をサポートするため、新たに「ヤングベンチャー支援事業」に取り組みます。
さらに、中小企業のIT活用を促進するため、産業情報をインターネットで一元的に提供する「いばらきビジネスサイト」を構築いたしますはか、ITエキスパートの派遣や在職者訓練の実施、さらには地場産業組合等が行うITを活用した販路開拓事業等に対する支援などに、新たに取り組んでまいります。
商業の振興につきましては、賑わいと活力のある商店街づくりを積極的に推進するため、引き続き、中心市街地活性化法に基づく市町村の計画づくりに助成を行いますとともに、商業地域活性化の中心的役割を担う街づくり機関を支援するための「中心市街地商業活性化基金」の増額や、身近な地域商店街の活性化に向けた取り組みを支援するための「地域商店街パワーアップ基金」の計画的な造成を行ってまいります。
(雇用環境の整備と人材の育成) 最近の雇用情勢は、新規求人数が前年同月比で連続して増加しておりますが、雇用保険受給者数は高水準で推移し、依然として厳しい状況にあります。
このため、緊急雇用対策として、最終年度である来年度も約16億円を予算措置いたしますとともに、新規学卒者就職面接会や各地方総合事務所に設置した雇用相談コーナーを通じ、きめ細かな雇用対策を実施してまいらます。
産業の活力を支える人材の育成につきましては、県内の産業技術専門学院の再編整備を進め、時代のニーズに対応した職業訓練内容の充実に努めてまいります。
(観光の振興) 観光の振興につきましては、ワー・ルドカップ、インターハイを翌年度に控え、観光ボランティアガイドの育成や外国語による観光案内表示等の充実に取り組む「ハートフルいばらき21推進事業」を展開し、ホスピタリティの向上に努めてまいります。
第5は、いばらきの発展と交流を支える基盤づくりについてであります。
(交通体系と産業基盤の整備) まず、道路網の整備についてでありますが、北関東自動車道につきましては、栃木、群馬の両県においても順調に整備が進められてきており、今後は一日も早い全線開通に向けて事業の促進に努めてまいります。首都圏中央連絡自動車道につきましては、昨年、県内の工事が着手されたところでありますが、国の新年度予算案において、つくばから江戸崎までが、道路公団の一般有料道路事業に採択されましたので、これにより事業の進捗に大きなはずみがつくものと期待しております。また、(仮称)阿見東インターチェンジと一体となったまちづくりを進める阿見・吉原土地区画整理事業につきましては、平成13年皮内に事業計画を決定し、事業の推進に努めてまいります。東関東自動車道水戸線につきましては、施行命令が出ている茨城町から鉾田町の問で測量・調査が行われているはか、潮来町までの区間で、都市計画決定に向けた手続きが進められており、一日も早い開通に向けて事業の促進に努めてまいります。
また、北関東自動車道と県西地域を連絡する広域的な幹線道路として、「筑西幹線道路」の整備に着手いたします。
次に、港湾の整備でありますが、常陸那珂港につきましては、昨年4月に外貿ふ頭が供用開始され、待望の北米コンテナ航路をはじめ、順調に新規航路が開設され、広く世界と結ばれた国際港湾の姿を見せ始めております。
来年度は、PFIによる管理棟の整備や港湾情報を一元的に管理提供する先駆的なひたちなかWebの構築、さらには中央ふ頭の岸壁整備を進めますとともに、引き続きポートセールスを強力に展開してまいります。また、鹿島港につきましては、北公共ふ頭の早期供用開始に向け、泊地等の整備を進めてまいります。
常磐新線につきましては、先頃、一般公募をもとに、鉄道名称が「つくばエクスプレス」に、沿線の地域愛称が「みらい平・いちさと」に、それぞれ決定されたところでありますが、今後、平成17年度開業に向け、来年度の早い時期に、全線にわたって新線の工事が着手されるよう、一層の整備促進を図ってまいりますとともに、つくば地区においても、新たに土地区画整理事業の工事に着手してまいります。
百里飛行場の民間共用化につきましては、国の新年度予算案に、新たに用地取得費等が盛り込まれたことにより、平成18年度前後の開港に向けて、大きく踏み出したものと考えており、今後とも、国や地元市町村などと緊密な連携をとりつつ、一日も早い開港に向けて、全力をあげて取り組んでまいります。
(情報交流空間づくり) 次に、情報交流空間づくりの推進についてであります。
IT革命への対応は、我が国の喫緊かつ重要な課題であり、本県におきましても、昨年「茨城県IT戦略会議」を設置し、去る2月23日に、電子県庁の構築とITを活用した産業の振興方策について、中間報告をいただいたところであります。
今後、電子県庁の実現に向けて、国、県、市町村を結ぶ総合行政ネットワークを構築しながら、文書の電子化や電子申請等を進めてまいりますとともに、公共工事におけるIT化等を併せて推進してまいります。さらに、昨年の12月補正で造成した「情報通信技術講習推進基金」13億円を活用し、市町村と分担しながら、一般県民の方々約12万人を対象としたIT講習を実施してまいります。
さらに、ICカードシステムやマルチメディア住宅等の導入により、情報付加価値の高い未来型の都市づくりをめざす「っくば情報交流空間整備推進事業」に引き続き、取り組んでまいります。
(新産業の集積促進) 新産業の集積促進につきましては、大強度陽子加速器施設の整備や国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致を契機に、県北地域における研究開発機関や関連先端産業の集積とその波及効果を展望する「サイエンスフロンティア21構想」の策定に取り組んでまいりますとともに、県内の新たな輸送ルートや環境保全型物流システム、流通団地の活性化方策などを提案する「総合物流計画」、新エネルギーの導入や省エネルギーの普及、エネルギー施策による地域振興方策などを盛り込んだ「エネルギープラン」を新たに策定してまいります。
(第3 条例その他) 次に、条例その他について申し上げます。条例は、新たに制定するもの9件、改正するもの24件、廃止するもの1件、合わせて34件であります。
新たに制定する条例は、男女共同参画の推進のための「茨城県男女共同参画推進条例」、職員の新たな再任用制度導入のための「職員の再任用に関する条例」、市町村の合併の特例に関する法律の規定に基づく「行方郡潮来町と同郡牛堀町との合併及び潮来町が市となることに伴う県議会議員の選挙区の特例に関する条例」、警察法の規定に基づき、警察署協議会の設置及び運営に閲し必要な事項を定めるための「茨城県警察署協議会条例」、県民等の平穏な生活を保持するための「茨城県公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例」などであり、一部改正を行うものといたしましては、手数料の見直し等に係る「茨城県手数料徴収条例の一部を改正する条例」、県央広域工業用水道事業の給水開始等に伴う「茨城県工業用水道条例の一部を改正する条例」、警察法施行令の一部改正に伴い、警察職員の増員等を図るための「茨城県地方警察職員定員条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては2件で、地方自治法の規定に基づき、潮来町を潮来市とすることについて、などであります。
以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。