平成8年第4回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
去る9月22日に本県沖を通過いたしました台風17号は、一部河川護岸の崩壊や港湾施設の損壊などのほか、農作物などにも甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた県民の皆様に、心からお見舞い申し上げます。
農作物の被害は、トマト、ナシ、メロン等を中心に、44億円になるほか、パイプハウスなどの施設被害も12億円にのぼっております。このため、県といたしましては、被害発生後、直ちに病害虫防除や排水対策などの技術指導とともに、茨城県農林漁業災害対策特別措置条例を適用し、資金の融資などを行ったところであります。更に、パイプハウスが損壊した園芸施設の緊急整備に対する特別対策を実施することとしまして、その助成に要する経費と公共施設の復旧経費を併せ、5億4,800万円余を、去る10月30日に専決処分いたしました。被害農業者の皆様の負担を少しでも軽減し、生産の安定化が図れるよう努めてまいる所存であります。
次に、地方分権の推進についてであります。地方の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会づくりに向けて、知事会などを通じ、地方分権の推進を国に働きかけているところでございますが、地方分権推進委員会から、年末には、機関委任事務制度の廃止などについて、来春には、国庫補助負担金や税源の見直しなどについて、「勧告」が出される予定となりました。この「勧告」に基づいて、「地方分権推進計画」が早期に作成されるよう、今後とも国に対して働きかけてまいります。
次に、行政改革の推進についてであります。昨年12月に策定いたしました行政改革大綱に基づき、8年度実施計画を策定し、行政改革の推進に努めているところでございます。厳しい財政状況が続くなか、真に求められる施策を選択し、最も効果的、効率的に執行していくには、大綱に掲げました事務執行方法の改善や事務事業の総点検などの推進事項を一つ一つ着実に実行していくことが必要でありますので、引き続き県民の方々のご理解とご協力を頂きながら、行政改革を推進してまいりたいと考えております。
次に、2002年ワールドカップの開催につきましては、国際サッカー連盟ワーキンググループから、公式大会名称は「2002 FIFA WORLDCUP KOREA/JAPAN」、開会式は「韓国」、決勝は「日本」で開催するなどといった内容の提案があったと聞いております。これらのほか、大会組織委員会の構成や大会形式などか、12月7日の国際サッカー連盟理事会において、正式に決定される見通しでございます。現在、日本国内では、15の自治体が開催候補地として立候補しておりますが、去る11月29日の開催候補地自治体知事・市長会議におきまして、会場数は10会場とし、12月25日の日本サッカー協会理事会において選定する旨の説明がありました。県といたしましては、是非とも、茨城県で開催できるよう関係機関に対して強く要望してまいる所存でございます。
次に、百里飛行場の民間共用化でありますが、国におきましては、現在、平成8年度を初年度とする「第7次空港整備五箇年計画」の策定を進めており、今月中にも閣議決定されると聞いております。県といたしましては、この「第7次空港整備五箇年計画」に百里飛行場の民間共用化が位置付けられるよう、運輸省及び防衛庁に強く働きかけているところでございます。
次に、茨城県上海事務所につきましては、本県を広くPRするとともに、事務所の利用促進を図るため、去る11月27日、県内関係者や現地関係者を招き、開設式典をいたしました。今後は、海外情報の的確な提供に努めるとともに、経済活動や国際交流など、中国における様々な活動を支援するための拠点として、あるいは中国の本県への窓口として、その機能の充実に努めてまいります。
次に、県民運動についてでありますが、やさしさとふれあいのある茨城づくりを目指し、昨年9月に設立されました「大好きいばらき県民会議」の活動のひとつとしまして、去る10月5日、笠松運動公園において、幅広い年齢層の方々に福祉活動を身近に感じてもらい、ノーマライゼーソョンの意識を啓発するために「大好きいばらき福祉むら」が開催されたところであります。今後とも、県民運動が、さらに多くの県民の皆様の間に定着していきますよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
次に、第6回世界湖沼会議の開催を契機として盛り上がりをみせた湖沼の水質浄化に対する県民意識の高まりを一過性のものとすることなく、なお一層の広がりと継続を図るため、去る11月8日、9日の2日間にわたり、「いばらき湖沼環境フェア’96」を個沼湖岸の3町村で実施いたしました。今後とも、住民、研究者、企業及び行政の4者のパートナーシップによります湖沼環境の保全に対する一層の気運の醸成と、幅広い角度からの浄化活動の促進を図ってまいります。
次に、地域情報化の推進についてでありますが、県内の産学官のご協力により設立されました「茨城県高度情報化推進協議会」につきましては、去る11月6日に水戸市三の丸の林業会館内に事務所が開設され、本格的な業務の執行体制が整ったところでございます。また、県内の全市外局番15箇所にアクセスポイントを設置するインターネットの接続サービスを、来年1月中旬から本格的に開始することとしており、これにより、今後、地域の情報格差か是正されますとともに、県民レベルの情報の発信、交流の促進が期待されるところであります。
次に、交通ネットワークの整備でございますか、国道6号のバイパスとして、建設省と日本道路公団が整備を進めております東水戸道路のうち、水戸南インターチェンジから水戸大洗インターチェンジまでの区間約5.4キロメートルが、去る12月2日に開通いたしました。東水戸道路は、将来北関東自動車道と接続し、一体となって沿道地域の産業・経済・文化等の発展に資する道路でありまして、残る約4.8キロメートルの区間につきましても、平成10年度開通を目途に、現在工事が進められているところであります。
また、境町の主要地方道結城野田線と国道354号との交差点付近に整備を進めておりました道の駅「さかい」が、県内で4番目の道の駅として、去る10月5日にオープンいたしました。境町は首都圏50キロ圏内にあり、県の西の玄関口の一つとして交通量も多いため、この道の駅「さかい」が、今後多くの方に利用され、情報発信基地として町のPRや地域の活性化に役立つものと期待しております。
次に、かねてより整備を進めてまいりました県立医療大学付属病院が、昨日開院セレモニーを行い、本日より患者の受け入れを始めました。本付属病院は、医療系大学としては全国初の付属病院であり、県内では初めての紹介予約制によるリハビリテーンョン専門病院となります。今後は、付属病院を核とした地域リハビリテーソョンシステムの構築に取り組んでまいる所存であります。
それでは、提出議案等についてご説明申し上げます。今回の提出議案は、条例その他16件、一般会計及び特別会計決算の認定1件、専決処分の報告2件であります。
条例は、改正するもの4件であり、医療法施行令の一部改正に伴い、県立中央病院の診療科目のうち「理学診療科」を「リハビリテーション科」に改めようとする、茨城県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例などであります。
条例以外の議案といたしましては12件で、地方自治法第8条第3項の規定に基づき、出島村を霞ヶ浦町としようとするものなどであります。
次に、認定は、平成7年度茨城県一般会計及び同特別会計歳入歳出決算の認定であり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元の議案書等により、ご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
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