国内外の諸情勢が大きく変化する中で、戦後の経済成長を支えてきた日本型経済社会システムが根本的な見直しを迫られ、新しい日本の創造に向けて懸命な努力が続けられている現在は、明治維新や戦後の混乱期にも匹敵する変革の時代であると言われております。
このような時こそ、将来を見据えた確かな先見性と社会経済の変化に的確に対応できる柔軟性を持って、県政の運営に当たっていくことが必要であります。
幸い本県は、全国でも有数の発展可能性を持った県であります。恵まれた条件を活かしながら、新たな発展の基盤づくりや少子・高齢社会への備えを進めることに全力で取り組み、県民一人ひとりが将来に夢や希望が持てる明日の茨城を築いてまいりたいと考えております。
さて、激動の世紀とされる20世紀も残すところあと僅かとなり、世界も日本も21世紀に向けて新たなスタートを切ろうとしております。
世界におきましては、冷戦構造の終焉に伴う世界経済の一体化や、情報通信技術の飛躍的な発展が進むとともに、一方では人類の生存基盤そのものに関わる地球温暖化の問題や人口問題などがますます深刻さを加えております。
我が国におきましても、このような世界の潮流の中で、従来の規制や裁量型の仕組みから世界共通のルールで競い合う制度への切り換え、資源やエネルギーを大量に消費してきたライフスタイルの見直しなどが進められるとともに、一方では、先進諸国の中で最も深刻になっている少子高齢化に対する抜本的な対策が強く求められております。
このため、国においては、日本型のシステムが著しい制度疲労を来しているという観点に立ち、新たな時代を先取りする経済社会システムを創り上げるために、行政改革、財政構造改革など6つの改革に取り組んでいるところであります。
しかしながら、その一方で、金融ビッグバンが緒についたばかりの我が国経済は、金融機関の経営破綻に見られるように、市場経済の厳しい審判を受けており、金融システムに対する内外の信頼の低下とともに、ここにきて景気の停滞感が一段と強まっております。
このような状況を踏まえ、政府におきましては、さきの6つの改革を引き続き進めると同時に、経済活動の根幹である金融システムの安定化対策や2兆円規模の特別減税、さらには補正予算の編成などを実施し、我が国経済の一日も早い景気回復をめざしているところであります。
こうした内外の環境の中で、本県の財政状況を見てまいりますと、長びく景気の低迷による税収の伸び悩み等から、ここ数年多額の県債の発行や基金の大幅な取り崩しを余儀なくされており、まさしく危機的な状況にあります。迫り来る少子・高齢社会に備え、確固とした行財政基盤を構築することが求められている現在、行財政改革は不退転の決意を持って取り組まなければならない待ったなしの最重要課題であります。
平成10年度を行財政改革元年と位置づけ、簡素で効率的な行政を確立し、将来にわたって安心できる豊かな福祉社会を構築してまいりたいと存じます。
一方で、停滞感を強めている県内経済情勢の変化に機敏に対応し、国の施策とも連携を図りながら、本県経済の活性化に努めてまいることも極めて重要であります。
このように、県政の運営は、一見相反する潮流の中でますます難しい舵取りが要求されておりますが、行財政改革に引き続き取り組んでまいりますとともに、県内景気の動向にも細心の注意を払ってまいりたいと考えております。
目を教育関係に向けますと、家庭や地域において人間関係が希薄になっているという指摘がなされている中で、神戸市の中学生による小学生殺害事件を契機に、子どもたちの心の教育のあり方が課題となっております。
神戸市の事件の後も、中・高校生によるナイフ等を使用した殺人、傷害事件が続発し、大きな社会問題となっておりますが、本県の高等学校でも刃物による傷害事件が起きましたことは、まことに憂慮すべき事態であります。
今後は、学校、家庭、地域社会が一体となって、児童生徒の小さなサインを見逃さない体制づくりに努めるとともに、子どもの心のケアを含めた相談体制の一層の充実を図るなど、適切な対応策を講じてまいりたいと考えております。
一方で、平成10年は本県にとりまして明るい話題の多い年であります。
NHKの大河ドラマ「徳川慶喜」は好調な滑り出しを見せておりますが、徳川幕府最後の将軍として、近代日本への橋渡しを行った慶喜公の人間像が全国に紹介されますことは、茨城の風土、歴史、文化を日本中の人々に知ってもらうまたとない機会であり、JR6社と共同で実施しているデスティネーションキャンペーンの実施と併せ、本県の観光・文化の振興に大いに寄与するものと期待いたしております。
また、本年末には、県内4番目の重要港湾として整備を進めてまいりました常陸那珂港にいよいよ第1船が入港することになりますが、北開東自動車道の整備と相まって、北開東やその周辺地域の新しい海の玄関口として大きな役割が期待されております。この新たな物流基盤の整備は、新しい産業の集積を促し、本県産業活性化の大きな起爆剤になるものと確信いたしております。
日本の社会全体が、深刻な閉塞感に覆われている今日、このような明るい話題が全国に発信されることは、本県のイメージアップにも結び付いてまいるものと考えております。
次に平成10年度予算編成に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
まず第1に、行財政改革及び地方分権の推進であります。
行財政改革につきましては、先の議会において、行財政改革調査特別委員会から中間報告を受けておりますので、これらを踏まえながら、平成10年度の予算編成や組織の見直しを行った次第であります。
予算の編成に当たりましては、事務事業の徹底的な見直し、公共事業の抑制、大規模建設事業の先送りなど一切の聖域を設けることなく、歳出全般について見直しを実施し、真に必要な分野に重点的に予算を配分いたしました。
また、組織の見直しにつきましては、衛生部と福祉部の統合や、農林水産部と農地局の統合など、本庁部局の再編について、平成11年度を目途に具体的な作業を進めているところでありますが、職員数につきましては、平成10年度に、教職員を含め約330人を削減してまいります。
今会期中に取りまとめられる予定と伺っております行財政改革調査特別委員会の「最終報告」や行政改革推進懇談会のご意見を踏まえ、3月末には新たな大綱を策定し、引き続き総力を挙げて行財政改革に取り組んでまいる覚悟であります。
さらに、地方分権につきましては、国において今年の前半にも「地方分権推進計画」を作成するとともに、地方分権推進委員会においては、中央省庁再編に合わせた、新たな地方への権限委譲について検討し、第5次の勧告を行う予定となっており、地方分権は本格的な実施の段階を迎えることとなります。
こうした地方分権の動きに対応し、簡素で効率的な行政運営体制の整備確立に努めることはもちろん、政策形成能力を始めとする行財政能力の一層の向上に努めてまいります。また、併せて、県と並ぶ地方分権の担い手である市町村の行財政能力の充実・強化を図るため、広域行政の推進にも努めてまいります。
第2は、少子・高齢社会に備えた福祉・医療体制の充実であります。
21世紀半ばには国民の3人に1人が65歳以上という本格的な高齢社会の到来が予想される中、高齢者の介護は国民推もが直面しなければならない大きな課題となっております。このため、介護を必要とする高齢者を社会全体で支援する介護保険制度が、平成12年4月からスタートすることになりました。
県といたしましても、この制度の本格的な実施に向け、人材の確保や施設の整備など、円滑な導入を図るための各種施策を展開するとともに、高い評価を受けている地域ケアシステムを今後とも活用し、介護保険制度との調整を図りながら、本県独自の手厚い介護システムを築き上げてまいりたいと考えております。
また、少子化の進行は、労働力人口の減少をもたらすなど、社会経済活動全般に大きな影響を与えるものであり、本県におきましても、その対策が喫緊の課題となっております。このため、新たに妊産婦のための医療賛助成制度を導入し、子どもを持ちたい人が、安心して子どもを産める環境づくりを進めてまいります。
医療面におきましては、行方地域における総合病院の建設や、地域がんセンターの整備を支援するなど、県民碓もが、いつでも、どこでも安心して医療サービスが受けられる体制づくりを進めてまいります。
第3は、産業の活性化対策であります。
我が国の企業は、経済のボーダーレス化、規制緩和の流れや、アジア地域における工業生産力の向上などによる厳しい競争の渦中にあり、こうした環境変化の中で、県内の中小企業は、親企業依存体質からの脱却、独創的な商品の開発、安定的な販売ルートの確立などが求められております。
また、金融制度改革の一環として行われる早期是正措置導入を目前に控え、金融機関の企業への貸出し姿勢に厳しさが見られ、中小企業の資金調達への影響が懸念されております。
こうしたことから、中小企業の円滑な資金調達を支援するための融資制度の充実や受注確保対策などを進めるとともに、産業構造変化の影響を強く受けている特定地域につきましては、地域の産業集積を活かした技術の高度化、新分野への進出、産学官共同研究による新産業の創出などを促進してまいります。
農林水産業につきましては、魅力とやりがいのある農林水産業の実現を図るため、担い手の育成や生産性の一層の向上、農林水産物のブランド化や販売促進などに積極的に取り組み、生産者が将来にわたって希望の持てる農林水産業の確立に努めてまいります。
第4は、地球環境の保全であります。
日本人宇宙飛行士として初の船外活動をし、先般県民栄誉賞を受賞されました土井隆雄さんは、宇宙から見た地球について、「青く光輝いていて、とても美しかった」と感想を述べておられます。
このかけがえのない地球の環境を守り、子孫へと引き継いでいくことは、現在地球上に住むすべての人々に課せられた課題であり、私たち県民も、一人ひとりが日常生活の中で、環境との関わりについて認識を新たにし、環境に配慮した行動を早急に実践していく必要があります。
このため、県といたしましては、環境への負荷の少ない資源循環型社会を目指した取組みを、県民や事業者と一体となって進めているところでありますが、さらに、このたび県自らが消費者・事業者の立場に立って、率先して省エネルギー・省資源等に取り組むため、「茨城県環境保全率先実行計画(県庁エコ・オフィスプラン)」を策定し、環境に配慮した行動を実践していくことといたしました。
今後とも、本県の美しい県土を守り、県民の皆様が安心して暮らしていける環境づくりを推進するため、ダイオキシン対策、産業廃棄物対策、霞ケ補の水質浄化対策、原子力安全対策などの重要課題に真剣に取り組んでまいります。
第5は21世紀に向けた社会資本の整備であります。
本年は、常磐線が全線開通して100周年に当たりますが、県内を縦に貫く大動脈の完成は、本県の産業や文化の発展に測り知れない貢献を果してまいりました。そして1世紀が経過した今、常陸那珂港の北埠頭に第1船を迎え入れる歴史的な瞬間が再び訪れようとしております。
このような記念すべき年にこそ、広域的な交通ネットワークの果たす役割の重要性を改めて認識し、現在県内で進められている、常陸那珂港の整備を始め、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道、東関東自動車道水戸線や常磐新線の整備、さらには百里飛行場の民間共用化などに着実に取り組んでまいらなければなりません。
幸い、これらの事業は概ね順調に進められておりますが、今後とも関係機関と密接な連携を取りながら事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。
また、このような交通基盤の整備は、人や物の流れを活発にし、新たな産業の集積を促進いたします。こうしたポテンシャルの高まりを最大限に活用するためにも、茨城中央工業団地やつくば国際会議場の整備、さらにはメディアパークシティ構想の推進など、新たな発展の基盤づくりを着実に進めてまいります。
次に、予算について申し上げます。
本県の予算編成の前提となる国の予算は、昨年12月に制定されました「財政構造改革法」の制限の下に編成されたところであり、一般会計予算総額は77兆6、692億円、対前年度比0.4%増と極めて緊縮型の予算となっております。
特に、政策経費であります一般歳出については、対前年度比1.3%滅と11年ぶりでマイナスとなり、なかでも公共事業関係費についてはマイナス7.8%と過去最大の縮減幅となっております。
また、地方公共団体の予算編成上の指針であります地方財政計画をみますと、歳出のうち公債費等を除いた地方一般歳出が、対前年度比1.6%滅と初めてのマイナスとなり、特に、地方単独事業については、対前年度比4.0%滅と昭和59年度以来のマイナスとなっているなど、国予算と同様、極めて厳しいものとなっております。
次に、本県の平成10年度当初予算について申し上げます。
まず、来年度の財源見通しでございます。歳入の中心であります県税収入につきましては、地方消費税が平年度化され大幅な増となる反面、法人関係税や個人県民税等の落ち込みが予想され、全体としては、3.4%の増加に止まる見込みであります。
一方、地方消費税については、都道府県間の清算後の収入の2分の1は市町村交付金となるほか、平成9年度の臨時税収補てん債や消費譲与税の制度が廃止されるところから、これらの要因を加味した実質的に確保できる一般財源の額は、前年度に比べ約6億円の増と、ほとんど伸びが期待できない状況となっております。
こうしたことから、今回の予算編成におきましても、一般財源基金を、464億3千万円取り崩し、所要の財源を確保したところであります。
一方、歳出につきましては、このような厳しい財政状況を見通し、昨年の夏以来真剣に行財政改革に取り組んできたところであります。その結果、一般行政施策についてはすべての事務事業について、聖域なく見直しを行い、1、333件の事業について約240億円の削減を図るとともに、公共事業については、国補で前年度対比11.7%、県単で同15.0%の事業真の縮減を図ったところであります。また、大規模建設事業につきましても、極力事業費の圧縮を図りますとともに、先送り可能な事業については、平成10年度は原則先送りとし、歳出の抑制に努めたところであります。
なお、県単の公共事業につきましては、15%の縮滅を図っておりますが、その他の県単投資的経費を含めたいわゆる地方単独事業全体としては、継続事業等があり、2.9%の増となっております。
この結果、平成10年度一般会計予算の総額は、1兆1、229億7百万円、前年度当初予算に比ベ1.9%の増となっておりますが、平年度化で大幅に増加いたします地方消費税清算金及び交付金を除いた実質的な伸び率といたしましては、マイナス1.8%となり、一般会計としては、骨格予算の年度を除き、戦後初めてのマイナスとなっております。
また、特別会計は、17件で、総額1、170億66百万円となり、7.2%の減、企業会計は5件で、総額985億93百万円、11.4%の増となっております。
なお、債務負担行為は、一般会計で新規47件、特別会計で新規8件、企業会計で新規7件であり、その内容は建設工事の請負契約などであります。
また、併せて昨年度から始めました介護ふれあい体験事業を引き続き進め、在宅福祉三本柱の一層の利用促進に努めてまいります。
少子化対策といたしましては、新たに妊産婦を対象に、早期受珍・早期治療に資するため、医療費の助成制度を創設いたします。さらに、父子家庭に対しましても、新しく医療費助成制度を創設し、子育てを支援してまいります。
なお、本県の医療費助成制度を今後安定的に継続していくとともに、医療費の適正化にも資するため、11月から、外来に限り1回につき500円、月1、000円を限度とする自己負担金制度を導入することといたしました。
また、新たに低年齢児の子育て支援策として、学校の余裕教室等を活用し、未就学の親子の相談、交流のための場の整備や、運営に対し助成をしてまいります。
また、県立福祉施設につきましては、全体的に施設の老朽化が進みますとともに、その投割や機能の見直しが必要となっておりますが、緊急性の高い内原厚生園の改築に係る基本計画を策定してまいります。
さらに、知的障害者の地域社会との交流とスポーツヘの参加を促進するため、10月17日から2日間にわたって、笠松運動公園陸上競技場を中心に「ゆうあいピック茨城大会」を開催いたします。大会の成功はもとより、全国から釆県する選手や応援の方々を温かく迎えるため、万全を期して取り組んでまいります。
県民がいつでもどこでも適切な医療が受けられるよう、新たに、行方地域中核病院の整備に対し助成してまいります。
また、難治性がんを治療するための地域がんセンターの整備につきまして、引き続き筑波メディカルセンター病院への助成を行います。
さらに、先天性の心臓疾患を持つ新生児の開心手術の可能な施設が、県内では筑波大学付属病院に限られておりますので、新たに県立こども病院に、開心手術ができる体制を整備し、小児医療体制の充実を図ってまいります。
また、血液の円滑な供給を図ることは医療行政を支える上で最も重要な課題でありますので、県内3箇所目となる日立献血ルームの整備に対する助成を行い、成分献血の促進を図りながら、献血率の向上に努めてまいります。
第2は、ゆたかさを実感できる安全快適な生活環境づくりについてであります。
また、産学官が結集して研究に取り組む地域結集型共同研究事業により、従来のものに比べ効率が良く維持管理の容易な新しい生活排水浄化システムや、窒素・りんの除去を主眼とした合併処理浄化槽などに関する研究開発に取り組んでまいります。
さらに、霞ヶ浦を始めとする湖沼に関する幅広い調査研究や環境教育・学習、市民活動支援などの機能を有する(仮称)霞ヶ浦環境センターの整備については、立地場所の選定作業を進め、基本計画を策定してまいります。
また、市町村に対しましては、ごみ焼却施設の大型化がダイオキシン対策の上で有効でありますので、ごみ処理の広域化を指導してまいりますとともに、ダイオキシンの削減に効果のあるバグフィルターの整備に対して助成をしてまいります。
事業所に対しましては、ダイオキシン対策としてごみ焼却施設を整備する場合は、通常、2、500万円である融資限度額を5、000万円に引き上げるとともに、融資金利につきましても、通常の3.0%を2.2%に引下げるなど、特別の融資制度を創設し、ダイオキシン対応の焼却施設の整備促進を図ってまいります。
なお、県有のごみ焼却施設につきましては、本年4月から、一部の施設を除いて使用を取り止めますとともに、特に県立高校におきましては、環境教育も兼ねてごみの分別収集を行い、環境保全の重要さを学ばせてまいりたいと考えております。
さらに、産業廃棄物の不法投棄も大きな社会問題となっておりますことから、併任警案官や不法投棄監視指導員の増員を図るとともに、一般県民にも不法投棄監視員として協力していただく制度を導入するなど、発見通報体制、監視指導体制の充実強化を図ってまいります。
また、都市化の進展により失われつつある平地林を保全するため、(仮称)水郷県民の森の整備を引き続き進めるほか、青少年が平地林の重要性を理解し、育林体験をする場として、新たに「学びの森」を整備しながら、県民参加の森づくりを進めてまいります。
防災体制の整備につきましては、災害時に、市町村や防災関係機関と迅速かっ的確に情報の収集・伝達を行うための防災情報ネットワークシステムを、新庁舎の建設に併せ平成11年度の稼働に向けて整備してまいります。
安全な交通社会づくりといたしましては、交通事故が多いことなどにより、「交通安全対策推進市町村」として指定され、年間を通じた交通安全対策を実施する市町村に対して助成する、わたしのまちの交通安全推進事業を創設するなど、地域に根ざした運動をきめ細かく実施してまいります。
第3は、個性と創造性に富むこころ豊かな人づくりについてであります。
また、児童生徒一人ひとりの個性を生かす教育の充実が重要となっております。このため、高等学校におきまして、選択制を大幅に取り入れた新しいタイプの学校の整備を進めてまいりましたが、本年4月から、牛久栄進高校を普通料の全日制単位制高校として、八千代高校を普通科と専門学科を統合した総合学料の高校としてそれぞれ開設いたします。
次に、生徒数の減少等に対応した今後の県立高等学校の適正配置や高校教育のあり方等が課題となっておりますので、これらの課題について、来年度から高等学校審議会で検討を進めてまいります。
また、私立高等学校等の経常費に対する助成につきましては、従来その一部を父母負担軽減分として父母に交付しておりましたが、今回からすべて学校設置者補助に切り換え、学校経営の安定化と授業料の値上げの抑制等に資することとするとともに、学校法人立専修学校の運営章に対する助成の拡充を図ってまいります。
次に、障害児教育の推進につきましては、新たに、県立盲学校に幼稚部を設置いたしますとともに、平成11年度開校予定の高等養護学校の整備を引き続き進めてまいります。
また、平成12年春の開館をめざし、笠間芸術の森公園内に、「伝統工芸と新しい造形美術」をテーマとした(仮称)アート館を引き続き整備してまいります。
次にスポーツ関係の施策でございますが、ワールドカップにつきましては、会場となりますカシマサッカースタジアムの改修工事に着手するとともに、交通輸送対策、ボランティア対策などの検討を進め、ワールドカップ開催に向けての準備を進めてまいります。
また、インターハイにつきましては、メイン会場となる笠松運動公園における陸上競技場等の改修や水泳プールを整備するための実施設計等を行ってまいりますとともに、競技会場となる市町村体育施設の整備に対しても引き続き助成してまいります。
第4は、新しい魅力と活力あふれる産業社会づくりについてであります。
また、平成10年度から新たに緊急生産調整推進対策が実施され、全国的なとも補償制度がスタートいたしますので、これに地域で集団加入する地区に助成することとし、生産調整の100%達成を図ってまいります。
さらに、新食糧法の施行により、米について市場原理が導入され、産地間競争が激化しておりますことから、新たにいばらきのうまい米づくり推進事業を展開し、稲作生産者の組織化や、生産コストが安く食味の良い米づくりを支援するとともに、本県独自の新品種「ゆめひたち」のブランド化など、茨城米のイメージアップと消費拡大を図ってまいります。
園芸の振興につきましては、生産者、関係団体自らが具体的な目標を定め、生産量や販売額の10%アップを図る園芸日本一「10アップ運動」推進事業を創設し、日本一の園芸県の実現を目指してまいります。
林業の振興につきましては、「きのこ研究館」や4月にオープンいたします「きのこ博士館」を活用して、特用林産物の研究・生産支援を行うとともに、県民に対し林業についての理解の促進を図ってまいります。また、林業労働力を安定的に確保するため、新たに「林業労働力確保支援センター」を設置いたします。
水産業の振興につきましては、霞ヶ浦・北浦の水産資源の増大や漁場環境の改善を図るため、水生植物帯の再生をめざした調査を実施するなど、水産資源の維持増大と漁業経営の安定化を図ってまいります。
さらに、激しい産地間競争に打ち勝つために、首都圏の量販店とタイアップして、「うまいもんどころ販売コーナー」を一斉に設置し、関係者一丸となって統一的な売り込みを図ってまいります。
また、中小企業にとって受注確保や販路開拓が大きな課題となっていることから、大市場であり、大手メーカーや流通業者等が集積している東京に、受注・販路拡大エキスパートを新たに設置し、首都圏を中心に発注先・販売先企業の斡旋・紹介などをしてまいります。
さらに、産業構造変化の影響を強く受けている県北臨海地域につきましては、日立地区産業支援センターの整備に対する助成を行いながら、県北臨海地域における新産業の創出や中小企業の新技術・新製品の開発等を支援してまいります。
商業の振興につきましては、モータリゼーションの進展等により中心市街地の商店街において深刻な衰退現象が見られ、街の顔が失われつつあることから、新たに、街路整備や区画整理事業等の街づくりと一体となった取組みを促進し、中心市街地における商店街の再活性化を図るため、中心商店街再生支援事業に取り組んでまいります。
地場産業の振興につきましては、厳しい経営環境にある筑波西部地域石材産地において、特定産業集積活性化法に基づく活性化計画を早期に策定し、加工技術を活かした新商品の開発などを促進するとともに、県内産石材製品の首都圏への販路拡大を図るための展示商談会に対し、助成を行ってまいります。
観光の振興につきましては、大河ドラマ「徳川慶喜」放送の効果を最大限に活用するため、NHKが実施する徳川慶喜展に併せて、本県の観光と物産を売り込む「いばらきフェア」を京都、東京などで開催するはか、1月に開館した「大河ドラマ徳川慶喜展示館」を中核として様々な広報・宣伝活動を展開してまいります。
また、「漫遊いばらき観光キャンペーン」につきましては、常磐線、水郡線にSLを走らせるなど、JR6社と共同で実施しているデスティネーションキャンペ−ンの成果を踏まえ、魅力的な旅行商品の企画・販売の促進や観光客に対するおもてなしの心の高揚を図ってまいります。
また、雇用情勢は依然として厳しい状況にありますので、製造業が集積している県北臨海地域において、技能労働者のための情報提供コーナーを設置するとともに合同面接会を開催するなど、雇用の場の確保を図ってまいります。
第5は、いばらきの発展と交流を支える基盤づくりについてであります。
また、(仮称)友部インターチェンジから(仮称)岩瀬インターチェンジまでの約18キロメートルの区間につきましては、昨年末に施行命令が出され、事業に着手されたところであり、今後は1日も早い完成に向けて整備の促進に努めてまいります。
さらに、一昨年に一部供用を開始いたしました国道6号東水戸道路につきましては、水戸大洗インターチェンジから(仮称)国道245号インターチェンジまでの区間について、来年度内の供用をめざして、引き続き整備の促進を図ってま一いります。
首都圏中央連絡自動車道につきましては、今月から常磐自動車道と国道6号の間の用地取得に一部着手したところであり、東関東自動車通水戸線につきましては、鉾田町から茨城町間の早期施行命令に向けた調査や、潮来町から鉾田町までの区間のルート決定に向けた調査が引き続き進められる予定であります。
次に、港湾の整備についてでありますが、常陸那珂港につきましては、本年末に内貿地区の供用開始が予定されており、さらに11年末の外貿コンテナターミナルの供用開始に向け、東防波堤の整備促進や、北埠頭の埋め立て、スーパーガントリークレーンの整備などに努めるとともに、定期航路等の開設のためのポートセールスを積極的に進めてまいります。
また、鹿島港につきましては、北公共埠頭の早期供用開始に向け、航路の浚渫を開始いたします。
常磐新線の建設につきましては、地元の方々のご理解をいただきながら苅間トンネルの問題を早期に解決するとともに、つくば地区の都市計画をできるかぎり早く決定し、平成17年度の開業に向けて、全力をあげて取り組んでまいります。
百里飛行場の民間共用化につきましては、空港整備七箇年計画に基づき、具体的な空港計画の策定に向けて引き続き調査検討を行い、運輸省、防衛庁と協議・調整を進めてまいります。
筑波研究学園都市に整備しております(仮称)つくば国際会議場につきましては、平成11年6月の開館に合わせ、現時点で既に約30件の国際会議や国内の学術会議などが決定、若しくは内定しているところであります。今後ともサイエンスシティつくばにふさわしい国際会議等の企画・誘致を進めるなど、開館に向けた準備に鋭意取り組んでまいります。
次に、首都機能移転についてでありますが、さきに開催された政府の国会等移転審議会において、本県が調査対象地域の一つとして選定されました。今後、国の作業も大詰めを迎えることになりますので、本県が持つ優位性について、より一層アピールするとともに、各種広報活動やシンポジウムの開催などに取り組んでまいります。
条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの17件、廃止するもの1件、合わせて19件であります。
新たに制定する条例は、蚕糸業に関する許認可統制命令が廃止されたことに伴い、新たに繭の品質評価手数料を定めるための「茨城県繭品質評価手数料徹収条例」であり、一部改正を行うものといたしましては、地方税法の改正に伴い、個人の県民税に係る特別滅税について所要の改正を行うための「茨城県県税条例の一部を改正する条例」や水戸産業技術専門学院を水戸市下大野町に移転するための「茨城県県立職業能力開発校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては5件で、平成10年度当せん金付証票の発売総額を定めることなどであります。
以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。