平成10年第2回県議会定例会の開会に当たり,提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
まず、去る5月11日と13日にインドにおいて、また28日と30日にはパキスタンにおいて相次いで地下核実験が行われました。
一昨年の国連総会において、包括的核実験禁止条約(CTBT)が圧倒的多数の賛成で採択されるなど核軍縮の国際世論が高まる中、地下核実験が強行されたことは、許しがたい行為であり、極めて遺憾であります。
核兵器の廃絶は全世界、全人類共通の願いであり、今回の核実験に厳重に抗議するとともに、世界の恒久平和の実現を目指し、すべての国が一切の核実験の禁止と核兵器廃絶に向け真摯に取り組むよう強く求めるものであります。
次に、経済対策についてであります。
最近の我が国経済は、金融機関の不良債権処理の遅れやアジア地域における経済の混乱、家計や企業の景況感の悪化などを背景として、景気の停滞は一層厳しさを増し、極めて深刻な状態となっております。
政府は、こうした状況に対応し、我が国経済を力強い回復軌道にのせるとともに、21世紀の活力ある経済社会を実現するために、去る4月24日、特別減税や社会資本の整備による内需拡大策など、総額16兆円を超える過去最大規模の「総合経済対策」を決定し、現在国会において、補正予算の審議がなされているところであります。
県といたしましても、県内経済の厳しい現況に鑑み、国の総合経済対策における公共事業等の積極的な施行方針と歩調を合わせ、上半期の契約目標率を82.0パーセントと設定し、過去最大の大幅な前倒し発注により、積極的に施行の促進を図っているところであります。
また、国の総合経済対策に関連する公共事業等の追加につきましては、国の補正予算の成立を待って、県単独事業と合わせて、次回定例会において総合的な形で予算の補正を行う考えであります。
なお、厳しい経営環境にある中小企業を金融面から支援するため、先の第1回定例会において、中小企業パワーアップ融資の融資枠の倍増や信用保証協会の基本財産出捐金の大幅増額などの措置を講じたところでありますが、その後も、金融懇談会等の場を通じて、随時、県内金融機関に対し、円滑な資金提供についての要請を行っているところであります。
また、今般、中小企業の季節的な資金需要に対応する中元融資について、融資金利の引下げと融資枠の拡大を図ることとし、6月1日から申込みの受付を開始いたしました。
さらに、厳しい雇用情勢に対応するため、先般、経済4団体に対し求人の要請を行うとともに、雇用環境の特に厳しい地域においては、臨時に求人開拓推進員を配置するなど、積極的な求人要請・開拓に努めているところであります。
今後とも、景気の動向に十分留意しながら、国との連携を図りつつ、県内経済の一日も早い回復に向けて、適切かつ効果的な措置を講じてまいりたいと存じます。
次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。
去る3月26日、平成10年度から概ね3年間を推進期間とする、新たな「行財政改革大綱」を策定いたしました。
その主な内容でありますが、まず、「財政運営の健全化」につきましては、「一般財源基金からの繰入れに依存せず、単年度収支が概ね均衡する財政構造の実現」を当面の目標とし、平成15年度までのできるだけ早い時期に達成すべ、く、特に、平成10年度から12年度までの3年間を集中改革期間と位置づけ、重点的に取り組むこととしております。
次に、「行政運営体制等の再編・整備」につきましては、知事部局の組織機構について、来年4月に、今後の少子・高齢化に対応する観点から福祉部と術生部を、また、農政を総合的に推進する観点から農林水産部と農地局をそれぞれ統合し、現行の8部1局を7部体制に再編、整備することとしております。今回の7部体制への再編により、全国的にも数少ない、地方自治法の法定部数を下回る組織体制に移行することになります。
また、併せて定員の適正化を進めることとし、平成10年度から15年度までの間において、一般行政部門で約400人、教育部門で約1,000人、合わせて約1,400人を目標に削減を図ることとしております。
この組織機構の再編及び定員の適正化を図るため、今定例会に、関連条例の一部改正案を提案申し上げているところであります。
一方、地方分権の推進につきましては、5月29日に国の地方分権推進計画が閣議決定され、国会報告が行われたところでありますが、今後、地方自治法をはじめとする関連法令の改正など一連の制度改正が予定されており、いよいよ地方自治の新しい時代の幕が切って落とされようとしております。
県といたしましても、こうした制度改正に的確に対応するため、現在、庁内に設置しております地方分権研究会を中心に、鋭意検討を進めているところであります。
今後は、新たな大綱に基づき、全庁一丸となって行財政改革に取り組み、地方分権の進展や少子・高齢化など、新しい時代に的確に対応しうる確固たる行財政基盤を構築するとともに、簡素で効率的な行政運営体制の確立に取り組んでまいりますので、県議会はじめ県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
次に、原子力安全協定の改定についてであります。昨年3月に発生した動燃東海事業所の火災爆発事故を契機に、協定の見直しを行ってまいりましたが、新たに常陸太田市を隣接市町村として協定に加えるとともに、立入り調査要件の整備など所要の改定を行い、去る3月31日、県、関係市町村及び原子力事業所との間において、新たな協定を締結いたしました。今後とも、協定の適正な運用に努め、原子力安全対策の一層の充実を図ってまいります。
次に、廃棄物対策の推進についてであります。
最近ますます悪質巧妙化する産業廃棄物の不法投棄対策として、本年4月より、併任警察官や不法投棄監視指導員の増員を図るとともに、ボランティア監視員を配置するなど、発見通報、監視指導体制の充実強化を図りました。また、不法投棄の一掃を目指し、4月から9月までの6か月間にわたり、警察と行政及び住民ボランティアが連携して、悪質事案の取締りと広報啓発活動に取り組む「WASTE(ウェイスト)・クリーンアップ茨城大作戦」を展開しているところであります。
次に、ごみ減量化につきましては、このたび、最終処分場の逼迫、ダイオキシン問題の深刻化など、社会情勢の変化を踏まえ、「第2次ごみ減量化行動計画」を策定いたしました。この計画に基づき・行政・事業者・県民それぞれが役割を担い、一層のごみ減量化に努めてまいります。
さらに、今般、ごみ焼却施設に係るダイオキシンの新たな排出基準に対応するため、「ごみ処理広域化計画」を策定し、市町村に提示いたしました。この計画では、当面の広域化ブロックとして22、将来的な広域化ブロックとして10ブロックを設定するとともに、焼却灰溶融の広域処理ブロックとして7ブロックを設定しており、今後は、本計画を指針とし、中長期的視点に立って市町村ごみ処理施設の広域化を推進してまいります。
次に、首都機能誘致についてでありますが、去る4月21日に国会等移転審議会によるヒアリングが行われ、この席で、本県の移転候補地である「茨城中北部地域」について、災害に対する安全性、東京との程よい距離など、その優れた特性等をアピールしてまいりました。また、5月には、亀井国土庁長官や衆議院国会等の移転に関する特別委員会の委員の方々に現地をご視察いただきましたが、当地域の優れた状況等についてご理解を得られたものと考えております。
今後は、審議会による現地視察など、国の移転候補地の選定作業がいよいよ大詰めを迎えることになりますので、本県の持つ優位性について、より一層アピールするとともに、積極的な誘致活動と県民の合意形成に努めてまいります。
次に、百里飛行場の民間共用化についてでありますが、これまで運輸省、防衛庁との協議、調整において最大の懸案でありました滑走路問題につきまして、去る3月26日、「主として民航が使用する新たな滑走路を現滑走路の西側210メートルの位置に設置する」との基本的な検討の方向が確認され、共用化の実現に向けて大きな一歩を踏み出すこととなりました。
この基本的方向に基づき、具体的な空港設置計画などについて、さらに協議調整を進め、共用化の早期実現を因ってまいります。
次に、研究学園都市の整備推進についてでありますが、一昨年来作業を進めてまいりました、国の「研究学園地区建設計画」、及び県の「周辺開発地区整備計画」の改定につきまして、4月20日にそれぞれ内閣総理大臣の決定・承認が得られ、つくばの新たな発展段階に向けた21世紀の都市整備指針として、新計画がスタートすることになりました。
今後は、関係機関と連携を図りつつ、これらの計画の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、本県農産物のイメージアップと販売の促進を図るため、5月22日から3日間、首都圏の量販店93店舗に「うまいもんどころ販売コーナー」を設置し、メロンを中心に第1回目のフェアを実施いたしました。
今回初めての試みにもかかわらず、連日多くの方々が訪れ、好評のうちに終わることができました。
今後も、引き続き、なし、秋野莱など、季節に合わせた農産物を対象にフェアを開催し、首都圏の方々にいばらきの味を堪能していただきながら、本県農産物の消費拡大に努めてまいります。
次に、県立施設等の整備について申し上げます。
まず、(仮称)霞ケ浦環境もンターの整備につきましては、これまで「位置選定研究会」を設置し、立地場所の検討を行ってまいりましたが、去る5月7日、土浦市と霞ヶ浦町にまたがる沖宿・戸崎地区を最適位置として選定した旨、同研究会から報告がありました。県といたしましては、本報告を受け、この地区にセンターを建設することとし、年度内に策定を予定している基本計画のなかで、施設の内容、規模などについて検討を進めてまいります。
次に、かねてより、ひたちなか地区への移転新築を進めてまいりました、ひたちなか保健所が完成し、3月25日から業務を開始いたしました。精神保健福祉の充実を図るための専用のデイケア室を設置するなど、機能面での充実を図っており、今後、地域保健の拠点としてさらに大きな役割を果たしてまいりたいと考えております。
次に、本県特用林産物の一層の振興を図るため、林業技術センター内に整備を進めておりました「きのこ博士館」が4月28日にオープンいたしました。次代を担う児童・生徒をはじめ県民の皆様に、きのこをはじめとする本県の特用林産物について、楽しみながら学び、理解や親しみを深めていただくとともに、昨年オープンいたしました「きのこ研究館」と合わせ、特用林産物のより一層の生産振興と需要拡大に役立ててまいります。
次に、幹線道路網の整備についてであります。
去る4月8日に北開東自動車道の(仮称)岩瀬インターチェンジから栃木県境までの区間などにつきまして、建設大臣から日本道路公団に対して施行命令が出され、これにより、群馬県高崎市までの全線約150キロメートルについて事業化が図られたところであります。5月28日には、中心杭打式が行われたところであり、今後は、一日も早い完成に向けて整備の促進に努めてまいります。
また、4月11日に一般国道50号結城バイパスの一部3.5キロメートル区間が開通し、既に開通している部分と合わせ、主要地方道結城野田線から下館市布川までの5. 8キロメートルの区間が供用の運びとなりました。さらに、4月17日には、同じく国道50号の下館バイパスの一部、下館市岡芹から同市川澄までの2.3キロメートルの区間が開通いたしたところであります。国道50号をはじめ市街地部分の混雑緩和を図る国道バイパスにつきましては、引き続きその整備を促進してまいります。
次に、霞ヶ浦の水質浄化を目的として阿見町の清明川の調節池に整備を進めてまいりました礫間接触酸化施設が本年3月完成いたしました。この施設は、昨年完成いたしました水生植物による植生浄化施役とともに直接河川の水質浄化を図るものでありますが、併せて、調節池の敷地を活用して、親水性広場や緑地など良好な水辺環境を整備しており、住民の浄化意識の高揚や河川環境保全への啓発にも役立ててまいりたいと考えております。
次に、去る5月2日、赤十字血液センターの日立献血ルーム「さくら」が、県内3箇所目の献血ルームとして、日立駅前にオープンいたしました。また、昨年問題となりました赤十字血液センターの労働争議につきましては、この程、労働基準法に基づく労使協定が締結され、時間外や休日の採血業務が再開されるなど、正常化が図られつつあり、今回の日立献血ルームのオープンと相まって、今後本県の献血率の向上が図られるものと期待いたしております。
次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は、条例その他16件、専決処分等の報告5件であります。
条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの8件であります。新たに制定する条例は、平成12年度から介護保険制度が導入されることに伴う「茨城県介護支援専門員実務研修受講試験手数料徴収条例」であり、一部を改正する条例は、本庁部局の再編整備に係る「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては7件で、「高萩市と北茨城市の境界変更について」などであります。
報告は5件で、専決処分の報告が1件、予算の繰越についての報告が4件であります。専決処分は、平成9年度一般会計の歳入が確定したことに伴う予算の補正などであります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、絆細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。