平成10年第3回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
集中豪雨災害 |
まず、このたびの記録的な大雨は東日本各地に被害をもたらし、特に、県内では、上流地域の集中蒙雨の影響により、水戸市、ひたちなか市など那珂川流域市町村に多大の被害が発生いたしました。
今回の災害では、負傷された方が5人、家屋の漫水が延ベ1046棟に上ったほか、農作物の被害面積は、水稲、ネギ、ゴボウなどを中心に約1334ヘクタールに及んでおります。また、多くの方々が避難を強いられたほか、道路や鉄道の不通、停電などにより、日常生活にも大きな影響が生じました。こうした被害は.今後の調査の進展によって、さらに拡大することが予想されるところであります。
ここに、被害に遭われた県民の皆様に対し、衷心よりお見舞い申し上げますとともに、救援活動に当たられました消防、水防、自衛隊、警察、日本赤十字社、災害ボランティアの皆様等に対して、深く感謝の意を表する次第であります。
県では、この災害に対処するため、直ちに災害対策本部を役直し、被害状況の把握や道路、河川の応急措置などの対策に当たったほか、陸上自衛隊に災害派遣要請を行うとともに、特に被害の大きい水戸市に災害救助法を適用したところであります。
今回の災害による土木や農業用施役など公共施投の災害復旧につきましては、既に計上しております災害復旧費等で対応してまいりますとともに、農作物の被害に対しましては、農林漁業災害対策特別措置条例を適用し、農業施役の復旧資金等への利子補給や病害虫防除用農薬の購入に対する助成等の各種対策を実施してまいります。
また、被災中小企業の皆様を支援するため、中小企業緊急対策融資に係る金利の引下げなど融資条件の緩和を図るとともに、中小企業特別相談窓口を県内10か所に役置いたしましたはか、住宅に被害を受けた方に対しましては、住宅金融公庫資金を併用した民間金融機関の融資に対する利子補給や県営住宅への緊急優先入居の制度を適用してまいることといたしております。
さらに、災害救助法に基づき、水戸市が実施した被災者に対する避難所の役置や生活必需品の供給など、災害救助に要した責用を負担することといたしております。
一方、国に対しましては、公共施設の災害復旧、市町村への普通交付税の繰上交付及び特別交付税の増額、災害廃棄物の処理等について要望するとともに、天災融資法の早期発動について要請してまいる考えであります。
今後は、早期に所要の予算措置を講じ、一日も早い災害の復旧と被災された方々の生活の不安の解消に全力で取り組んでまいります。
経済対策 |
次に、経済対策についてであります。
最近の我が国経済は、経済企画庁が発表した8月の「地域経済動向調査」において、日本列島総不況と指摘されているように、全体として非常に厳しい状況となっております。また、こうした動きは県内経済においても同様であり、生産、消費等の各種指標が前年を下回る水準となるなど、長期的に景気の低迷状態が続いております。
こうした経済状況の下、本県におきましても、厳しい財政事情の下ではございますが、国の総合経済対策と連携しつつ、県内経済を一日も早く回復軌道に乗せるため、今回の補正予算において、社会資本の整備や中小企業対策等を中心に、特別会計、企業会計を含め総額703億円と、1回の補正としては過去最大規模の経済対策を講じることといたしました。
その概要を申し上げますと、まず社会資本の整備につきましては、物流効率化、環境、福祉・医療・教育、中心市街地活性化など幅広い分野にわたって積極的に推進することとし、合わせて660億円を措置いたしたところであります。
このうち、国補事業につきましては、国の経済対策に伴う公共事業を512億円、公共事業以外の投資的経費を43億円追加計上いたしております。
また、いわゆる地方単独事業につきましては、県単公共事業を48億円追加補正いたしますほか、公共事業以外の投資的経費につきましても、経済対策に係る国の財源措置等を勘案し、既に実施設計を終了している新大洗水族館建設事業などを前倒し実施するなど、57億円を追加することとし、併せて100億円を超える増額措置を講じたところであります。
次に、中小企業対策といたしましては、倒産の増加など中小企業を取り巻く現下の厳しい経営環境に鑑み、倒産関連企業や不況業種と認定された企業が安定的に必要な資金を確保できるよう、新たに、融資金利2.0パーセントの連鎖倒産防止等緊急融資制度を創設し、50億円の融資枠を設けるとともに、今後も高い資金需要が見込まれる中小企業パワーアップ融資につさましても、融資枠を当初の100億円から150億円に拡大したところであります。
また、金融機関の貸出し姿勢に依然慎重さが見られることから、中小企業の信用補完制度を充実し、金融の円滑化を図るため、信用保証協会基本財産出えん金を大幅に増額いたしました。
さらに、県内の厳しい雇用情勢に対応するため、緊急雇用対策といたしまして、緊急求人開拓推進員を増員し、全職業安定所に配置するとともに、事業主と求職者の合同面接会の開催回数を増やし、県内5ブロックで実施できるようにしたほか、企業に対する求人要請を行うこととするなど、きめ細かな対策を溝じたところであります。
今後とも、景気の動向や国の対応に十分留意しつつ、本県経済の回復に向けて最善の努力をしてまいりたいと存じます。
県庁跡地利用対策等 |
次に、県庁跡地の利用についてであります。
先の第2回定例会において申し上げましたように、財政状況の急激な悪化に伴い、県庁移転後直ちに本格的な跡地利用のための施設整備を行うことは、極めて困難な状況となりましたので、当面の暫定的な利用方法について、専門家による懇談会からご提言をいただくとともに、関係各方面のご意見も伺いながら、県庁跡地の歴史的な重要性、周辺への影響、今後の財政見通し、暫定利用に係る費用対効果など様々な角度から総合的かつ慎重に検討してまいりました。
その結果、当面の暫定利用のあり方といたしまして、県議会議事堂を図書館に転用いたしますとともに、本庁舎につきましては、多数の利用者が見込まれる事務所的な活用を基本として検討をしていくことといたしました。
現在の図書館は、建築後40年が経過し、老朽化・狭隘化が著しく、その整備は緊急の課題となっておりますことから、議事堂の活用を図ることとし、今回の補正予算において議事堂改修に向けた基本設計費を計上いたしたところであります。
また、議事堂と本庁舎を除く残り5棟につきましては、機能性の面から再活用は極めて難しいものがあり、移転後の庁舎管理上の問題もあることから速やかに取り壊すこととし、今回の補正予算において解体に係る設計費を計上いたしました。
県庁跡地につきましては、今後の経済情勢や財政状況などにもよりますが、出来るだけ早い時期に本格的整備を図っていけるよう努力してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
なお、新県庁舎への移転につきましては、来年3月下旬から4月上旬の2週間程度の期間で作業を実施する予定であり、今後、鋭意その準備を進めてまいります。
ダイオキシン対策 |
次に、ダイオキシン対策についてであります。
去る6月4日、日本環境化学会の討論会において、龍ヶ崎地方塵芥処理組合城取清掃工場周辺住民の血液中から、高濃度のダイオキシン類が検出されたとの調査結果が発表されました。
県といたしましては、この調査結果を受け、実態を把握することが急務であると考え、国や地元とも連携しながら、土壌、大気、水質等の環境調査を進めてきたところでありますが、今般さらに、血液中におけるダイオキシン類の濃度検査等の健康調査を実施することとし、今回の補正予算において調査費を措置いたしたところであります。
今回の健康調査の実施に当たっては、調査の信頼性を高め、調査プロセスの透明性を確保する観点から、公衆衛生や医学、環境分析等の専門家及び住民代表等から構成されます検討委員会を設置し、調査対象や具体的手法等を十分検討しつつ進めることといたしております。
また、調査結果につきましては、今年度中にデータの評価・分析を行い、できるだけ早い時期にその概要を公表いたしたいと考えております。
龍ヶ崎地域中核病院の整備 |
次に、龍ヶ崎地域における中核病院の整備についてであります。
現在、第3次茨城県保健医療計画の策定に向け、保健医療圏の見直し作業を進めているところでありますが、人口急増に伴う医療需要の増大に対応するため、従来の取手サブ保健医療圏を独立の医療圏として位置づけることとし、併せて、特に病床が不足している龍ヶ崎地域において、地域の中核となる総合病院の整備、促進を図ることとしております。
龍ヶ崎地域中核病院の整備は、地元における長年の悲願であり、済生会病院を誘致するため、これまで県の仲介のもと、龍ヶ崎市と事業主体である「社会福祉法人恩賜財団済生会」との間で協議・調整を進めてまいりましたが、このほど総合病院の整備について基本的な合意に至った次第であります。
県といたしましても、市と十分連携を図りながら、中核病院の整備促進について積極的に支援してまいりたいと考えております。
ゆうあいピック茨城大会の開催 |
次に、来月の17日から2日間にわたって開催される「ゆうあいピック茨城大会」につきましては、4月に大会実施本部を設置し、準備を進めてまいりましたが、大会運営に携わるボランティアの募集には、実に7,000名を超える方々からご応募をいただくなど、県民の皆様の関心も高まりをみせております。
また、去る6月28日に、開催100日前を記念する「ゆうあいフェアいばらき」を開催し、大会のPRと気運の醸成を図ったところでありますが、先月初めには、本県選手団500名の構成も決定し、いよいよ本番に向けたムードも盛り上がってきているところであります。
開催まで残すところ44日となりましたが、全国から来県する約4200名の選手団を温かく迎え、知的障害者のスポーツの祭典として感動あふれる大会となりますよう、準備に万全を期してまいりますム
首都機能誘致 |
次に、首都械能誘致についてでありますが、移転候補地が茨城中北部地域へと拡大されたことに伴い、去る7月16日に、地元誘致組織が、24市町村から、県北部を含む47市町村による構成へと拡大改組されたところであります。
また、7月29日には、本県をはじめとする「北東地域」の5県による「北東地域首都機能移転5県知事会議」が開催され、北東地域への移転実現に向け、協力して積極的に取り組んでいくことを決議いたしました。
こうしたなかで、いよいよ今月29日には.国会等移転審議会により本県について現地調査が行われることとなっており、この機会に本県候補地の優位性を最大限にアピールするとともに、来年秋頃に予定される最終的な移転候補地選定に向けて、県議会や地元誘致組織とも連携しつつ、より一層積極的な帝致、PR活動や県民の合意形成に努めてまいります。
産業廃棄物不法投棄対策 |
次に、産業廃棄物不法投棄対策についてであります。
この4月から、不法投棄の一掃を目的とした「WASTE(ウェイスト)・クリーンアップ茨城大作戦」を展開しておりますが、去る7月25日、茎崎町において、自治体代表者やボランティアU・D監視員など約1000名が参加し、「不法投棄防止県民大会」を開催いたしました。
大会では、300万県民が一丸となって不法投棄のない環境づくりに努力する旨の宣言を採択するなど、不法投棄防止に向けた取り組みへの意欲を新たにしたところであります。
また、これまでに県民から寄せられた通報件数や不法投棄現場での監視件数、警察による摘発・検挙件数が昨年度を大幅に上回るなど、大作戦の成果は顕著に現れてきており、今後とも県民総ぐるみで監視の目を光らせ、不法投棄の一掃に努めてまいります。
原子力防災対策 |
次に、昨年3月に発生した動燃東海事業所における火災・爆発事故を契機に、原子力防災対策等の見直しを行うため、同年8月に原子力防災対策検討委員会を設置し、検討を進めてまいりましたが、このはど、委員会の最終報告書がまとまり、8月20日に提出されたところであります。
報告書では、住民避難計画策定の基本的な考え方などについて様々なご提言がなされており、県といたしましては、本報告書を踏まえ、今年度末を目途に原子力防災計画の改定を行い、より一層実効性のある原子力防災対策を確立してまいります。
地域高規格道路の追加指定 |
次に、地域高規格道路の追加指定についてでありますが、6月16日付けで、新たに2路線が指定され、1路線が格上げされたところであります。
即ち、水戸外環状道路から国道118号に至る「茨城北部幹線道路」が候補路線として、また百里飛行場と常磐自動車道及び東関東自動車道水戸線を結ぶ「百里飛行場連絡道路」が計画路線として、それぞれ新たに指定されるとともに、谷和原村の常磐自動車遥から栃木県に延びる「常総・宇都宮東部連絡道路」が候補路線から計画路線に格上げになりました。
今回の指定を受け、各路線ごとに所要の調査を行うなど、早期整備に向けた準備を進めてまいります。
園芸日本一「10アップ運動」の推進 |
次に、日本一の園芸県を目指し、生産者自らが生産量や品質等について10パーセントアップすることを目標に掲げて実践する、園芸日本一「10アップ運動」の推進大会が、8月25日、つくば市において盛大に開催されました。
大会では、この運動に取り組む66市町村の365生産集団をはじめ、農協、市場関係者など約1000名が一堂に会し、力強い運動の展開を誓い合ったところであります。
県といたしましても、生産振興を図るための施設化や機械化に対する助成など、「10アップ運動」の成功に向けて、積極的に支援してまいります。
ワールドカップの開催 |
次に、先に開催されたワールドカップフランス大会は、地元フランスの優勝で幕を閉じたところでありますが、私も日本対クロアチア戦を中心に、大会運営、警備.交通輸送状況など現場の状況について視察をしてまいりました。セキュリティ面での対応や交通規制など、大いに学ぶべき点があり、今後の本県の対応に生かしてまいりたいと考えております。
いよいよ本県が開催地となる2002年の大会まであと4年となりましたが、今後は、会場となりますカシマサッカースタジアムの改修に着手いたしますとともに、交通輸送対策や警備対策、ボランティア対策などの検討を進める一方、ワールドカップ開催に向けた気運の醸成を図ってまいります。
県立施設等の整備 |
次に、県立施設等の整備についてでありますが、去る7月5日、大子広域公園内に多目的温泉プール「フォレスパ大子」がオープンいたしました。
この温泉プールは、近年の余暇の拡大や健康への関心の高まりに対応するため、大子町の豊富な温泉資源を活用し、幅広い年齢層の方々に一年中利用していただける施設として整備いたしたものであります。
オープンから約2か月間の8月末までに、県内外から延ベ7万5千人の方が訪れており、新しい時代のスポーツ・レクリエーション拠点として大いに活用され、併せて県北地域の活性化にも寄与するものと期待いたしております。
提出議案等 |
次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出鶉案は、予算の補正に関するもの12件、条例その他18件、公営企業会計決算の認定1件、専決処分の報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算は、さきに申し上げましたように、経済対策に関連する経費を計上するほか、国庫補助事業など額の確定したもの及び当初予算締成後の情勢の変化に対応するため緊急に必要となったものにつきまして、予算措置を溝ずることといたしました。
今回の補正予算の財源といたしましては、国庫支出金や県債を活用するとともに、所要の一般財源50億200万円は、経済対策分として増額された地方交付税43億5500万円及び平成9年度からの繰越金の一部6億4700方円を充当することといたしました。
次に、公共事業以外の歳出の主なものについて申し上げます。
まず、経済対策に関連するものといたしまして、
新大洗水族館の整備事業費:36億1、200万円
ダイオキシン類分析測定機器の導入経費:1億8、200万円
メディアパークシティ構想に係る第3セクター設立出資金等:5億8.600万円
老人ホーム等社会福祉施投の整備に対する助成:18億3、300万円
連鎖倒産防止等緊急融資制度の創設:50億円(融資枠)
中小企業パワーアップ融資の融資枠の拡大:50億円(融資枠)
信用保証協会基本財産出えん金の増額:2億5.700万円
緊急雇用対策に係る経費:1400万円
畜産試験場の整備事業費:5億2000万円
中学校における「心の教室相談員」配置に要する経費:8900万円
などを計上いたしました。
経済対策以外の主なものといたしましては、
県議会議事堂を図書館に転用するための基本設計費:2500万円
ダイオキシン類に係る健康調査の実施に要する経費:6800万円
中小企業年末融資の融資枠の拡大:261億円(融資枠)
棚田地域の保全を目的とした基金の造成:1億8000万円
生徒数の確定に伴う私立高等学校等経常費補助の増額:3億8600万円などであります。
これらによる今回の補正予算の総額は、751億6900万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は、1兆1980億9700万円となります。
また、債務負担行為としては、新大洗水族館建設工事請負契約など新規8件、変更1件であります。
次に、特別会計及び企業会計の補正予算についてであります。
特別会計は、経済対策関連の流域下水道事業の補正など8会計の補正が、総額318億1200万円、債務負担行為が、新規2件、変更3件となっております。また、企業会計は、経済対策に係る水道事業の補正など3会計の補正で、総額2億5600万円であります。
次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。
条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの7件であります。新たに制定する条例は、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法の施行に伴い必要な手続きを定めようとする「茨城県特定非営利活動促進法施行条例」であり、一部を改正する条例は、保健所の再編整備に係る「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては10件で、「八千代町と石下町の境界変更について」などであります。
次に、認定は、平成9年度茨城県公営企業会計決算の認定であり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。