平成11年第3回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
降ひょう等災害 まず、去る9月1白、県西地域において、降ひょう及び突風により、梨を中心とする農作物に被害が発生いたしました。被災されました農家の方々に対しまして、心からお見舞い申し上げます。
県といたしましては、被害発生時より、病害虫防除などの技術指導に努めてまいりましたが、本日、茨城県農林漁業災害対策特別措置条例に基づく災害に指定したところであります。今後とも、被災状況の把握に努め、適切な処置を講じてまいりたいと存じます。
緊急雇用対策 次に、緊急雇用対策についてであります。
最近の我が国の経済動向を見ますと、景気は下げ止まり、企業の景況感もやや改善傾向にある一方で、完全失業率が過去最悪の水準となるなど、雇用情勢は一段と厳しい状況となっております。
県内におきましても、有効求人倍率が引き続き低水準で推移し、7月の雇用保険受給者数が過去最高となるなど、雇用情勢は悪化が続いております。
こうした状況を踏まえ、政府は去る8月11日、70万人を上回る規模の新たな雇用・就業機会の創出を目標とする緊急雇用対策を決定し、先の通常国会において、この対策を実施するための補正予算を編成したところであります。
県といたしましても、現下の厳しい情勢を踏まえ、国の緊急雇用対策と連携しつつ、全庁挙げて緊急に雇用対策に取り組む必要があることから、今般、「茨城県緊急雇用対策」を決定し、所要の経費を今回の補正予算で措置することといたしました。
その概要を申し上げますと、国からの交付金約42億円をもって緊急雇用対策基金を設置するとともに、これを活用し、平成13年度末までの約2年半の間に、県及び市町村において、教育・文化、福祉・医療、環境及び産業振興などの分野で緊急に対応すべき事業を実施することにより、臨時応急的に約7千人の雇用就業機会の創出を図ることといたしたところであります。、
今後は、こうした雇用対策を速やかに実施に移すとともに、引き続き景気の動向や国の対応に十分留意しつつ、適切かつ効果的な施策の推進に努め、県内経済の一日も早い回復に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。
行財政改革・地方分権の推進 次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。
長引く景気の低迷により、危機的な財政状況が続いておりますが、本年度の県税収入につきましては、企業収益の悪化などにより、7月末の調定額が、前年同期に比ベ5.3パーセント程度下回っており、このまま推移しますと、当初予算計上額を確保することは極めて困難な状況となってまいりました。
このような状況の下で、来年度以降の財源不足は一層の拡大が予想され、今後県財政は、さらに深刻な事態に直面することが必至の情勢となっております。こうした現下の厳しい財政状況に鑑み、今般、私をはじめ執行部における特別職等の給与について減額することとし、現在、特例条例の制定に向けて詰めを行っているところであり、今定例会において追加提案をいたしたいと考えております。
今後とも、全力を傾注して行財政改革に取り組み、一日も早くこの危機的な財政状況を克服してまいりたいと存じます。
一方、先の通常国会においていわゆる地方分権一括法が成立し、地方公共団体の長年の念願であった地方分権は、いよいよ実施の段階となってまいりました。
県といたしましても、新時代にふさわしい地方自治を確立するため、今後関係条例の整備など、一連の制度改正に向けた準備に万全を冬くすとともに、地方の自主性に基づいた事業を法の趣旨に沿って実施できるよう、地方税財源の充実強化などについて.引き続き国に要望してまいります。
県計画の改定 次に、茨城県長期総合計画の改定についてであります。
平成7年に県政運営の基本方針となる茨城県長期総合計画を策定して以来、本年度で計画期間の前半5年が経過しようとしております。この間、計画に基づく各種施策の推進により、県勢は、各分野にわたって着実な伸展をみて重たところであります。
しかしながら、近年、予想を上回る少子・高齢化の進展、長期にわたる景気の低迷など行政を取り巻く環境は大さく変化し、県人口など、計画との乖離が少なからず見受けられるようになってまいりました。
こうしたことから、社会経済情勢の変化に的確に対応しうる新たな県政運営の指針を示すことが必要であると考え、今般、計画期間の後半5年間について長期総合計画を改定することといたした次第であります。
今後、平成12年秋の改定を目途に検討を進めてまいりたいと存じます。
オウム問題 次に、オウム問題についてでありますが、去る6月24日、住民の不安解消と安全確保を図るため、三和町及び旭村におけるオウム真理教団の拠点施役付近に、特別警戒警備派出所を設置し、警察官による常時監視体制を整えたところであります。
また、この問題は、一地域または一自治体レベルでは解決が困難でありますので、去る7月12日、内閣官房長官や自治大臣、法務大臣等に対し、国として実効ある対策を早急に講ずるよう強く要望してまいりました。
今後とも、庁内に投直したオウム問題連絡会議を中心に、県としての対応策を検討するとともに、関係町村との連携を図りつつ、住民の不安解消に努めてまいりたいと考えております。
緒川総合開発事業の休止 次に、緒川総合開発事業につきましては、去る7月16日に開催されました茨城県公共事業再評価委貞会において、休止が妥当との意見が具申されたところでありますが、県といたしましては、この再評価委員会の意見を尊重し、本事業を休止することといたしました。
計画公表から既に32年が経過し、地元の皆様には長期にわたり多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げますとともに、今後は、利水・治水の代替案や生活基盤の整備につきまして、地元の要望を十分踏まえながら早急に検討・調整を進めてまいりたいと存じます。
首都機能誘致 次に、首都機能誘致についてでありますが、去る7月29日、北東地域への移転実現に向け、関係5県が一堂に会し、「北東地域首都機能移転促進大会」を開催いたしました。大会では、5県の結束をアピールした共同宣言を採択するとともに、北東地域の優位性や5県の機能連携構想などを示し、大会終了後は、国土庁長官等に対し要望活動を行いました。
また、去る8月4日、調査対象地域となっている全国3地域の関係者等による初めての統一行動として、総決起大会が開催され、移転実現に向けて一致団結していくことを確認したところであります。
さらに、8月11日には、衆議員国会等の移転に関する特別委員会におきまして、参考人として意見陳述を行い、移転の必要性や本県の優位性、取り組みの状況などについて説明してまいりました。
いよいよこの秋には、国会等移転審議会から移転先候補地の答申がなされる予定となっております。残された期間はわずかではありますが、県議会や誘致組織と連携し、全県挙げてより積極的な誘致、PR活動に努めてまいります。
百里飛行場民間共用化 次に、百里飛行場の民間共用化についてでありますが、先般まとまりました国の平成12年度予算の概算要求に、共用化に係る事業費が盛り込まれました。
昨年の調査費計上に引さ続き事業費が盛り込まれたことは、共用化の早期実現に向けて大きな進展であり、先の第2回定例会において意見書の採択をいただいた県議会や関係者のご支援に改めて感謝申し上げる次第であります。
今後は、この事業費が確実に国の予算に組み込まれますよう関係機関に強く要望いたしますとともに、一日も早い共用化の実現に向けて、運輸省、防衛庁との調整を進めてまいりたいと存じます。
県立施設等の整備 次に、県立施設等の整備についてであります。
まず、去る8月6日、県立こども病院に、入院患者さんの家族が付添いのために長期滞在できるファミリーハウスがオープンいたしました。これにより、付添う家族の経済的、精神的負担の軽減が図られるものと考えております。
次に、県内6番目の流域下水道となる鬼怒小貝流域下水道が、7月8日に下妻市の一部において供用を開始いたしました。今後、残る市町村につきましても、できるだけ早い時期の供用開始を目指してさらに整備を進めてまいります。
次に、東水戸道路の水戸大洗インターチェンジからひたちなかインターチェンジまでの4.8キロメートルの区間及び常陸那珂有料道略のひたちなかインターチェンジからひたち海浜公園インターチェンジまでの2.9キロメートルの区間が、7月22日に開通し、両道路の全線が開通いたしました。
今後、両道路は、北開東自動車道と一体となって、北関東内陸部とひたちなか地区をつなぐ重要な役割を果たすものと期待いたしております。
次に、栃木県との県境に整備を進めてまいりました県道須賀川大子線の茶の里トンネルが8月31日に開通いたしました。これにより、交通の利便性が向上し、地域の活性化に寄与するものと考えております。
次に、去る9月2日、県内で6つ目となる「道の駅・しもつま」が、国道294号沿いにオープンいたしました。この施設は、県内最大の敷地面積と和風づくりで統一した建物が特色であり、今後、情報交流の拠点として地域の振興にも大いに役立つものと期待いたしております。
次に.笠間芸術の森公園内に整備を進めております陶芸美術館の建築工事がこの程完了の運びとなり、今定例会に設置・管理に係る条例を提案いたしておりますが、今後、展示関係の工事などを経て、来年4月15日の開館を目指してまいります。
職員の綱紀粛正 なお、このたび、県立長生園の元職員が、業務上横領の容疑で逮捕されるという事態が発生いたしましたことは、誠に遺憾にたえないところであります。
このような不正な行為は、入所者の信頼を裏切る悪質極まりないものであり、ご迷惑をおかけした方々に対し、心からお詫び申し上げる次第であります。
今回の事態を厳粛に受け止め、今後、二度とこうした不祥事が発生しないよう、職員の服務規律の確保と綱紀粛正のさらなる徹底を周り、県民の皆様の信頼回復に全力を冬くしてまいりたいと存じます。
提出議案等 次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの5件、条例その他16件、認定1件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算においては、先に申し上げましたように、緊急雇用対策に関連する経費を計上するほか、国庫補助事業などで額の確定したもの及び当初予算編成後の情勢の変化に対応するため緊急に必要となったものにつきまして、予算措置を溝ずることといたしました。
今回の補正予算の財源といたしましては、国庫支出金や県債を活用するとともに、所要の一般財源25億9、500万円は、平成10年度からの繰越金の一部を充当することといたしました。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
まず、緊急雇用対策に関係するものといたしまして、
緊急雇用対策基金積立金 41億7、600万円 介護保険相談員設置事業費 300万円 いばらき未来産業プロジェクト推進費 900万円 緊急労働相談員設置事業費 1、400万円 大学・短大等緊急インターンシップ支援事業費 1、100万円 パソコン等巡回指導員配置事業費 4、500万円 情報・外国語教育臨時講師配属事業費 3、000万円 社会人TT配置事業費補助 3億9、800万円 緊急雇用対策事業費補助 1億円 などを計上いたしました。
緊急雇用対策以外の主なものといたしましては、
県計画改定費 1、400万円 少子化対策特別啓発事業費 5、600万円 痴呆性老人グループホーム整備費補助 1億9、400万円 中小企業年末融資融資砕鉱大 212億円(融資枠) 県税過誤納還付金 16億2、800万円 国補公共事業費 37億8、900万円 県単公共事業費 7億800万円 などであります。
これらによる今回の補正予算の総額は、195億2、100万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は、1兆96う億2、500万円となります。
また、債務負担行為としては、街路改良工事靖負契約など新規2件、変更2件であります。
次に、特別会計の補正予算についてであります。
特別会計は、国庫補助金の確定に伴う流域下水道事業の補正など4会計の補正が、 総額5億8、300万円、債務負担行為が、新規2件、変更1件となっております。
次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。
条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの6件であります。新たに制定する条例は、緊急雇用対策に係る基金を設置するための、「茨城県緊急雇用対策基金条例」であり、一部を改正する条例は、県立医療大学の入学料等を改定するための、「茨城県立医療大学授業料等徴収条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては9件で、「工事請負契約の締結について」などであります。
次に、認定は、平成10年度茨城県公営企業会計決算の認定であり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、絆細につきましては、お手元の議案書等によりご審譲の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。