県議会本会議速報
平成11年 第4回定例県議会本会議
速 報
<平成11年12月3日 金曜日 午後1時開議>

知事提案説明要旨

平成11年12月3日

 平成11年第4回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました韻案等の説明と報告を申し上げます。

原子力臨界事故

 まず、9月30日に株式会社ジェー・シー・オー東海事業所の核燃料加工施設で発生した臨界事故についてご報告いたします。

 今回の事故は、原子力事故国際評価尺度において暫定的に「レベル4」とされる、我が国原子力利用史上最悪の事故となってしまいました。

 この事故によって被ばくされた方々はもとより、周辺住民をはじめとする県民の皆様に心からお見舞い申し上げる次第であります。また、風評被害などにより、県全体が甚大な影響を被ることとなり、誠に適憾に存じております。

 県といたしましては、事故発生の連絡を受け、直ちに職員を現地に派遣するとともに、周辺の原子力関係機関に緊急モニタリングの実施を要請したほか、10キロメートル圏内の住民の屋内退避勧告、学校等の休校措置、周辺道路の交通規制などの応急対策を講じたところであります。

 また、県民の健康管理などに万全を期するため、身体表面汚染検査や健康調査、農畜水産物のサンプリング調査を実施するとともに、事故全般にわたる相談に応ずるための「臨界事故相談窓口」や事故に伴うストレス障害に対応するための「心のケア相談所」を開設いたしました。幸い、農畜水産物やその加工品、飲料水等につきましては.その安全性が確認されているところであります。また、住民の健康調査につきましては、1,838名が受診し、再検査等の結果、3名の方が念のため今後も専門医による経過観察が必要と判断されましたが、引き続き、国の健康管理検討委員会において、住民の長期的な健康管理の方針などが検討されているところであります。

 さらに、今回の事故により、様々な影響を受けている県民の皆様を支援するため、中小企業者への緊急対策融資や農業者、漁業者への利子助成制度を創設するとともに、風評被害への対策として、本県農畜水産物や観光施設などの安全性をPRするキャンペーンを首都圏などで実施いたしました。

 また、10月4日には、内閣総理大臣をはじめ、内閣官房長官、科学技術庁長官などに対し、安全審査指針の抜本的見直し、原子力防災対策に係る特別措置法の制定、風評被害対策などについて要望するとともに、株式会社ジェー・シー・オーに対しては、原子力安全協定に基づき、東海事業所内の全ての原子力施設の運転を当分の間再開しないこと、臨界防止対策を含む安全対策、事故発生時の情報伝達体制及び安全に対する基本姿勢に関しての総点検の実施についての措置を求めたところであります。

 なお、今回の事故に対応するため、県において災害対策本部の運営や健康調査等に要した経費のうち、当面10月末までに支出した約3億6千万円につきまして、去る11月30日、株式会社ジェー・シー・オーに対し、損害賠償靖求をいたしたところであります。 一方、国におきましては、今回の事故の重大性に鑑み、先般決定した経済対策に原子力防災・安全対策を盛り込むとともに、特別措置法案及び補正予算案をとりまとめ、現在開会中の臨時国会において審議がなされているところであります。

 県といたしましても、国の対応に呼応しつつ原子力防災体制の充実強化を図るため、今回の補正予算において、国の交付金事業を中心とする総額88億円を超える対策を講じることといたしました。

 このうち、国の交付金等による補助事業として約76億円計上いたしておりますが、その概要を申し上げますと、中性子線測定局の新設など放射線監視体制の大幅な拡充を図るとと、もに、防獲服や各種測定機器などの防災活動資機材を増強するはか、災害発生時に現地災害対策本部となるオフサイトセンターの整備を進めることといたしております。

 また、緊急時医療・保健対策の一環として、新たに、県立中央病院などに人体放射能汚染測定機器を導入するとともに、衛生研究所などに水や食品等の人工放射性核種汚染検査を実施するための体制を整備することといたしました。

 さらに、県民に対する原子力知識の普及に努めるほか、観光や農産物、企業誘致などについてのPRを強化することといたしたところであります。

 また、県単独の事業として約12億円措置いたしておりますが、その主な内容は、風評被害対策をはじめ、中小企業に対する融資枠の拡大や農業者、漁業者に対する利子助成、災害対策本部等の運営などに要する経費であります。

 今回の事故につきましては、その発生当初において、情報の収集・伝達が円滑−つに行われなかったことなど、多くの教訓と反省点が残されました。

 県といたしましては、住民の健康管理や被害への適切な補償、安全審査指針の抜本的見直しなどについて、引き続き国に要請するとともに、今回の経験を踏まえつつ、原子力防災体制全般についての見直し検討を進め、安全で安心できる県民生活め確保に努めてまいる所存であります。

経済対策

 次に、経済対策についてであります。

 我が国経済は、緊急経済対策をはじめとする各般の政策効果の浸透などにより緩やかな改善傾向が続いているものの、民間需要に支えられた自律的な回復には至っておらず、特に雇用情勢は厳しい状況にあります。

 政府は、こうした状況を踏まえ、我が国経済を早急に民需中心の本格的な回復軌道に乗せるため、去る11月11日、総額18兆円を超える「経済新生対策」を決定し、今国会において、補正予算の審議がなされているところであります。

 県におきましても、厳しい財政事情の下ではありますが、国の対策と連携しっつ、県内経済を力強い回復軌道に乗せるため、今回の補正予算において、先程申し上げました原子力防災・安全対策を含め、全会計で総額604億円と、昨年の9月補正に次ぐ過去2番目の規模となる経済対策を講じることといたしました。

 このうち、原子力防災・安全対策以外の経済対策といたしましては、社会資本の整備を中心に、総額516億円を措置いたしたところであります。

 その概要を申し上げますと、国の経済対策に伴う国補公共事業を約462億円増額するとともに、保育所、老人ホームなどの社会福祉施設の整備やインターハイ開催に向けた笠松運動公園の拡張整備、県庁内の情報ネットワークシステムの整備などに約54億円を追加計上いたしました。

 今後は、この経済対策を速やかに実施に移すとともに、引き続き景気の動向や国の対応に十分留意しつつ、県内経済の力強い回復に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

行財政改革・地方分権の推進

 次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。

 現時点の財政収支見通しでは、向こう3年間で合せて3,300億円に及ぶ財源不足が見込まれるなど、本県財政は、再建団体転落という最悪の事態をも想定せざるを得ない危機的な状況に立ち至っております。

 現在、昨年3月に策定した行財政改革大綱に基づき全庁挙げて行財政改革に取り組んでいるところでありますが、大綱策定時の想定をはるかに上回る危機的な財政状況に鑑み、本年度中を目途に大綱の見直しを進めるとともに、併せて財政の危機回避に向けた具体的方策として「財政再建プラン仮称」を策定し、一層強力に行財政改革を推進してまいりたいと考えております。

 一方、地方分権の推進につきましては、先の通常国会における地方分権一括法の成立を受け、今定例会において、市町村への権限委譲などを内容とする分権関連条例案31件を提案しているところであります。

県計画の改定

 次に、茨城県長期総合計画の改定についてでありますが、去る11月19日に開催されました茨城県総合計画審議会において、計画改定についての諮問を行ったところであります。

 今後、審議会において、様々な視点から本県の進むべき方向についてご審議をいただき、来年10月頃には答申を受け、新たな県政運営の指針として決定する予定であります。

県人口300万人到達

 次に、去る10月15日、本県の人口が300万人に到達いたしました。

 県といたしましては、郷土意識の高揚や一体感の醸成を図るため、11月13日の県民の日を中心に、多くの県民の皆様の参加をいただきながら、記念式典や県民まつりなどの記念事業を開催したところであります。

 この度の人口300万人到達を契機として、本県の伸びゆく姿を県内外に広くアピールし、県のイメージアップを図るとともに、県政のさらなる発展に向け、邁進してまいりたいと存じます。

オウム問題

 次に、オウム問題についてでありますが、これまで、国に対し、新法の整備など実効ある対策を早急に講じるよう強く要望してまいりましたが、団体規制法及び被害者救済の、いわゆるオウム対策二法が、本日、成立したところであります。

 県といたしましては、引き続さ国に対し、この法律の早期施行と実効ある運用を求めるとともに、今後とも、関係市町村との連携を図りつつ、住民の不安解消に努めてまいりたいと存じます。

コンピュータ西暦2000年間題

 次に、コンピュータ西暦2000年間題についてであります。

 県におきましては、この問題に全庁挙げて取り組むため、本年3月に対策本部を設し、県が保有する上・下水道や県立病院など県民生活に関わりの深いシステムの総点検や模擬テストを実施するとともに、電気通信事業者などとの協議を進め、万一の事態に備えた危機管理計画を策定したところであります。

 年末から年始にかけては、不測の事態に備えて職員を待機させるとともに、県民への情報提供や相談窓口を充実させるなど、県民が安心して2000年を迎えられるよう、対応に万全を期してまいりたいと存じます。

首都機能誘致

 次に、首都機能誘致についてでありますが、去る10月12日、水戸市内において、「茨城県首都機能移転促進総決起大会」を開催し、本県の優位性と結束をアピールした県民決議を採択するとともに、翌日には、国土庁長官などに対し要望活動を行rったところであります。

 間もなく、国会等移転審議会から、移転先候補地の答申がなされる予定となっておりますが、本県の優位性や誘致にかける熱意を委員の方々にご理解いただき、移転先候補地として選定されることを期待いたしております。

介護保険制度への準備状況

 次に、来年4月からの介魂保険制度導入に向け、去る10月1日から、市町村において要介護認定申清の受付が開始されました。

 11月15日現在で約1万7千件の申請が出てきておりますが、これまで大きな混乱もなく、順調に要介確認定事務や被保険者管理システムの整備など、所要の準備作業が進められているところであります。

 また、県におきましては、介護保険に係る行政処分に対する不服申立を審査、裁決する介護保険審査会を10月1日に設置したところであります。

 県といたしましては、すべての市町村において介護保険制度が円滑に導入されるよう、引き続き支援をしてまいりたいと存じます。

県立施設等の整備

 次に、県立施設等の整備についてであります。

 まず、県庁跡地利用につきましては、移転後の空白期間を極力短縮する方針で旧本庁舎の改装工事を進めてまいりましたが、去る10月21日から、「三の丸庁舎」として一部利用を開始いたしました。

 現在、交流サルーンいばらき、教育・子育て電話相談窓口などが開設されているほか、大好きいばらき県民会議や高度情報化推進協議会が入居しており、年明けには、福祉相談センターやパスポートセンター、水戸生涯学習センター講座室などが業務を開始する予定となっております。

 次に、国道50号内原バイパスの一部として、県道石岡常北線から水戸市加倉井町までの約2.6キロメートルの区間が、去る10月29日に暫定2車線で供用を開始いたしました。これにより、朝夕の慢性的な交通渋滞の緩和が図られるとともに、地域の活性化にも寄与するものと期待いたしております。

提出議案等

 次に、提出韻案等についてご説明申し上げます。

 今回の提出議案は、予算の補正に関するもの3件、条例その他46件、認定1件であります。

 まず、一般会計の補正予算についてであります。

今回の補正予算においては、先に申し上げましたように、原子力防災・安全対策を含む経済対策関連経費について予算措置を溝ずることといたしました。

 今回の補正予算の財源といたしましては、国庫支出金や交付税措置のある県債を活用し、極力一般財源の持ち出しを抑えることとしたところであり、所要の一般財源15億8,100万円につきましては、平成10年度からの繰越金の一部を充当することといたしました。

 次に、歳出の主なものについて申し上げます。.

 まず、原子力防災・安全対策に関連するものといたしまして、

などを計上いたしました。

その他の経済対策に関連するものといたしましては、

などであります。

 これらによる今回の補正予算の総額は、560億9,600万円となり、この結果、補正後の一般会計の予算総額は、1兆1,526億2,100万円となります。

 また、債務負担行為としては、道路改築工事請負契約など新規7件、変更1件であります。

 次に、特別会計の補正予算についてであります。

 特別会計は、経済対策関連の流域下水道事業の補正など2会計の補正が、総額42億6,700万円、債務負担行為が変更4件となっております。

 次に、条例その他の概要についてご説明申し上げます。

 条例は、地方分権に関連するもの31件、その他のもの8件の計39件であり、このうち新たに制定するもの6件、改正するもの33件であります。新たに制定する条例は、地方分権一括法の制定に伴い市町村への権限委譲を定める「茨城県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例」などであり、一部を改正する条例は、機関委任事務制度の廃止に伴い所要の改正を行う「茨城県公文書の開示に関する条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては7件で、工事請負契約の締結などであります。

 次に、認定は、平成10年度茨城県一般会計及び同特別会計歳入歳出決算の認定であります。

 以上で、提出凍寒等の説明を終わりますが、なお、群細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


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