2000/10/23update |
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第3回公明党全国大会 重点政策(案)
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第1部 第一章 IT革命の果実をすべての国民に 〜21世紀IT社会への基本戦略〜 T 公明党はIT社会についてこう考えます (1)無限の利用可能性と広がりを持つIT革命 IT(情報通信技術)革命は、私たちの生活に、新たなコミュニケーションを開く手段として、あるいはビジネスを効率化する手段として、新たなビジネスを生み出す手段として、個人が社会に参加する手段として、個人が自己実現をはかる手段として、等々、大きな可能性と広がりをもたらしました。 (2)生活変革こそIT革命の核心 インターネットによるネットワーク社会とこれまでの社会のいくつかの発展段階とは、決定的に違います。それは、地球規模でリアルタイム(同時性)に、時と場所を選ばずにコミュニケーションできるという特性を持ったことにより、世界が本当の意味で同一社会になり得る可能性を持ったということです。 IT革命の進行によって、生産、消費、通信、娯楽の形態が根本的に構造変化し始めており、世界は、まさに「産業文明の新しい潮流」「新しい政治形態」「新しい社会の発展段階」に突入しようとしています。 (3)IT革命は直接「的」民主政治への道程 政治や行政、司法に関しても制度の大きな変化が予想されます。国会や地方議会に提出されている法案や条例についても国民が直接意思表示できるという時代が来ます。これは、代議制自体が変化する可能性を示唆しています。司法においても、国民が司法に参加する機会を大きく開く可能性があります。 (4)経済新生・構造改革を促すIT革命 IT革命は経済構造や暮らしぶりを激変させています。米国の長期にわたる経済発展はIT産業がその原動力となっていることは周知の通りです。電子商取引(e−コマース)の発展は、流通・小売りの段階だけに止まらず、消費者と生産者、事業者相互間でのリアルタイムでの意思疎通を可能とし、注文即生産というような生産段階にまで至る構造変化が驚異的な速さで進行しようとしています。 (5)人間の光と陰を映し出すIT革命 IT革命の進展が驚異的な速さであるだけに、乗り越えなければならない課題も顕在化しています。欧米、特に米国では、ITによる貧富の格差の拡大が社会問題の一つとして顕著になっています。また、ネット社会の広がりとともに、悪意をもって利用しようとする行為も目立ち始めています。顔が見えにくいインターネットの特徴を悪用した詐欺行為、またはわいせつ情報などの有害コンテンツの掲示、差別情報などのプライバシー暴露、さらにはサイバーテロやハッカーのような不正アクセスなど、社会秩序を乱すような反社会的行為を行うものまで出始めています。 インターネット・ネットワークは今や、社会の重要な生活基盤(インフラ)を構成しています。個人情報の保護は当然のこととして、個人認証など本人確認できる制度の整備が不可欠です。 U 人にやさしい「イコール・フッティング社会」をめざして 〜米国を超える日本型IT社会への基本戦略〜 1 五年後の日米逆転をめざして〜政治主導でIT革命を推進 ○ 日本型IT社会の実現に向けて、ビジョン、目標、実施計画、達成時期等について、基本戦略を早急に策定する必要があります。米国や韓国等の事例を踏まえても、政治のリーダーシップが何よりも重要です。 ○ 現在、政府にIT戦略本部・戦略会議が設置されていますが、戦略本部の全員一致という意思決定のあり方は検討すべきです。また、IT担当大臣は専任とすべきです。さらに、民間主導の事務局として少数精鋭のもとでIT革命を強力に推進する体制をつくるべきです。 ○ 政治主導によって、日本型のIT革命を速やかに遂行し、社会生活、経済活動、インフラ環境ともに米国を超えるIT社会を2005年までに実現することをめざします。 2 イコール・フッティング社会の実現を可能にするIT革命 ―低所得者や高齢者の情報格差(デジタルデバイド)を防止― ○ 「イコール・フッティング社会」とは、健常者も身障者等も、また、世代や所得の違いがあっても、ITに接し利用する機会は等しく均等に用意されている、共に等しい高さの足で立つ、そういう社会をイメージしたもので、私たちがめざすIT社会像です。公明党がかつて提案した「福祉社会トータルプランのIT社会版」といえば分かりやすいかと思います。IT革命は、それまで個人の力だけでは社会参加が難しかった身障者が、ITという手段を得ることによって、健常者と等しく社会参加や自己実現ができる道を開くことを可能にします。 ○ 日本国憲法第25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。先天的・後天的に身体的なハンディ・キャップを持つとしても、その生活のあり方は法の下に平等であって、そのための「IT手段の保障」は政治の責任だと考えます。 ○ 低所得者や高齢者が、所得や世代の格差によってITに接する機会を得られないため、獲得されるべき生活の便利さや多様さを手に入れられず、生活上の差別が生じるようなことがあっては不平等といわざるを得ません。自助・共助・公助という視点に立って、これら情報格差を予防し、すべての人が平等に生きるための環境づくりなどの施策を積極的に推進します。 3 「速く(3Mbps)」「安く(月額3000円)」「早く(3年後)」のために ―世界最高の「速く」「安い」通信環境の実現を― ○ わが国は、欧米のみならず、アジア諸国にも高速大容量ネットワークの普及においては圧倒的に先を越されています。米国に比べて2倍近いわが国の通信コストの高さがIT立国の最大の阻害要因となっているのです。欧州においても「米国並みの通信料金の実現」を国家戦略として掲げ、EU首脳会議で「e−ヨーロッパ構想」を本年7月に採択し、2002年を実現のための期限と設定しています。 ○ 通信料金の引き下げは、その本質的な意味は、料金こそ最大の通信インフラである、ということに尽きます。低所得者でも安心して自由にITを活用できるかどうかという鍵は、料金面での負担の大きさにあることはいうまでもありません。 5年後のIT革命の日米逆転を実現するために、遅くとも2003年までに、光ファイバーやDSL(デジタル加入者線)、CATV等の一層の普及をはかりながら、速く、安い、高速大容量の通信環境をつくることを最優先すべきです。 4 制度を1年以内に見直し、高速大容量ネットワークを速やかに実現 ○ 低料金で通信ネットワークが利用できたとしても、その通信ネットワークが脆弱では意味がありません。高速大容量ネットワーク(ブロードバンド)になれば、インターネットを活用した経済活動は飛躍的に拡大することが予想されます。生活の利便性も向上することは当然です。 また、ブロードバンドを最大限に活かせるのは「教育現場」です。視聴覚を存分に働かした効率的、かつ多彩な内容の授業と、そうでない場合のどちらが教育上有効か、いうまでもないことと思います。 ○ ブロードバンドの推進においてはアジア諸国など世界からも遅れているわが国としては、事態を手遅れにしないために、遅くとも1年以内に制度を集中的に見直すことが不可欠です。法改正と施行への周知期間等を考慮すれば、遅くても次期通常国会において、通信市場の競争条件の整備等の喫緊の法改正を行い、引き続いて、速やかに関連する政省令を改正する、といったスケジュールが是非とも必要です。 V 「速く・安く・安心な」IT革命を実現するために 1 ネットワーク事業への参入拡大のための競争ルールの整備 (1)通信・放送関係の法律を一括改正し、新情報通信法を制定 ○ 電気通信事業分野においては、「事業法から競争促進法へ」というネットワーク事業への参入拡大のための競争ルールの整備の必要性については、すでに共通の認識が形成されています。インターネット電話やwebTV、あるいは回線設備を持っても自らは事業を行わず貸し付けだけを行ういわゆる“ゼロ種”の出現等によって、もはや一種・二種等の電気通信事業者の区分や放送事業者といった区分も意味を持たなくなっております。このため廃止を含めて見直します。 ○ 事業参入は届け出制とし、事業者が自らの経営判断に基づき業務を自由に組み合わせるようにすべきです。電気通信事業分野における独占禁止法の運用強化をはかり、競争メカニズムを導入して、料金の速やかな引き下げをはかる必要があります。市場における支配的事業者(ドミナント)規制を行いつつ、被支配的事業者に対して一層の規制緩和を断行し、これら制度改革をテコとして、低廉で使い勝手のよい通信サービスの早期実現をはかります。このため、通信・放送関係の法律を速やかに一括改正し、新情報通信法の制定をはかります。 (2)電気通信市場の競争の促進 ○ 通信市場における競争促進のための最も重要なポイントは、NTTグループの「独占の弊害を排除する」ことと「グループ各社の経営自主性を確保する」ことです。その両方の効果が相まってこそ健全な通信市場が形成されます。 ○ 昨年のNTT再編の本来の目的は、「公正有効競争条件の整備」にありました。しかし、持株会社という現在の経営形態では、グループ全体としてはかえって市場支配力が増していると指摘されています。私企業としてのNTTのあり方については、「完全資本分離」の方向性をめざすべきです。 少なくとも、現行方式の問題点として指摘されている点に、a)各社に対する持株会社や行政による必要以上の経営介入、b)持株会社による資金や資材の一元的な調達と各社への融通、さらには各社の利益留保の持株会社による一元的な留保、c)グループ内における顧客情報や営業委託等の取引のあり方に関する透明性の確保、d)「すべての国民にあまねく」というユニバーサル・サービスの問題、等があります。 ○ a)〜c)については、その問題点を排除しなければなりません。また、d)については、その内容・あり方を見直し、それを義務づけしているNTT法は廃止するとともに、電気通信事業法において担保します。全体として、NTTグループについては独占禁法の運用を強化することで競争の促進をはかるべきだと考えます。 ○ 競争の促進のための改革を行わないまま、各社の自主性を強めようとすれば、NTTグループを肥大化させ独占の弊害をさらに拡大する結果に終わります。これでは、わが国IT革命の推進に逆行します。 ○ NTTは、その沿革から、公益性と私企業性の両面を併せ持っています。特に、固定電話サービス(独占部門)を受け持っている東西地域NTTが、このままの形で経営の自主性を強め事業拡大しようとすれば、より独占力が強まるおそれがあります。 このため、あまねくサービスを必要とする固定電話サービスは確保しつつ、その業務の拡大については、当面、一定の制限が必要です。 ○ 米国の通信改革においては、競争促進策の導入とセットにして、ユニバーサル基金を創設しました。このユニバーサル基金は、過疎地や低所得者などへの援助を行うことによって、インターネット時代の情報弱者への予防措置としただけに止まらず、学校などへの通信インフラ整備や優遇料金等の資金補助なども行っています。 わが国におけるユニバーサル基金の設立については、公平で有効な市場競争の促進のための環境整備、NTTグループの経営のあり方、ユニバーサル・サービスの確保のあり方等の問題と併せて、検討すべきです。 ○ 電気通信事業者が光ファイバー網等の回線を敷設する際、道路や河川等の公共空間を利用する際の諸手続の煩雑さや情報入手の困難さ、あるいは技術基準が統一されていないこと等が大きな支障となっています。 事業者が自ら線路(通信ケーブル)を敷設する場合、道路や河川等の占用規制を緩和すべきです。問題解決を優先した線路敷設の円滑化及び迅速化のための民間ベースでのガイドラインを策定することを妨げるものではありません。 しかし、公益事業者の設備(電柱・管路等)を新規参入者が利用する場合には、紛争処理機能と組み合わせた上でルールを明確にするための法的な整備が必要です。 ○ 2001年1月から中央省庁の再編によって通信・放送事業分野を所管する郵政省と公正競争の監視役である公正取引委員会が、総務省という一つの省庁の中に置かれることになっています。技術の驚異的な進歩を踏まえれば、情報通信分野における監視・裁定機能は一層強化されるべきです。公正競争の促進という公正取引委員会の機能にかんがみ、内閣府に置くことを検討します。 (3)電波周波数のオークション制度の導入の検討を推進 ○ 電波は貴重な国家資源と位置づけられ、わが国では、電波法によって無償割当となっていますが、電波を保有する国家がその国家目的を遂行するために必要な場合に限られるべきで、商業目的で提供されている現状においては、電波の無料使用はその根拠を失っています。米国や英国など先進国においては、電波入札制度は、新規免許を中心に今や普通のこととなっています。 ○ 電波入札のあり方については、国有財産の無料使用をどう考えるかという視点から検討を進めるべきですし、その際、膨大な赤字を抱える国家財政にとって歳入全体を見直すなかで、貴重な国有財産として、特定分野だけの財源とすべきではなく、一般財源とすべきです。 2 電子政府・電子自治体の早期実現 (1)統一仕様の義務づけ 2003年度には全国の自治体が中央省庁の霞ヶ関WAN(中央省庁の地域統合LAN)と光ファイバーで結ばれることになっています。世界最高の電子政府を早期に実現するには、中央各省庁バラバラの電子システムでは非常に国民及び企業にとって使い勝手が悪いものとならざるを得ません。このため各省庁に統一仕様の義務づけをすべきです。 (2)特別交付税交付金の活用など電子自治体の早期実現への取り組み 電子政府の実現には、生活に直結している地方自治体への早期普及が不可欠です。このため、電子自治体の実現に先進的に取り組んでいる自治体に対しては、特別交付税交付金による優遇策等で支援します。 また、隣接する自治体等において共通する業務を共同化して一括運営する「バーチャル市町村合併」を推進します。これは、市町村合併への環境も整えます。さらに、納税業務の電子化や公共事業の競争入札における電子申請や自宅からでもインターネットを通じて行政手続ができる仕組みを推進します。 3 教育の情報化 (1)高速大容量の通信回線インフラの整備 教育の情報化は、次代を担う子どもたちに、情報の活用能力や国際性を涵養するとともに、地域や個人間等の情報デバイドの予防措置としても、大きな意義を持っています。このため、教育施設への光ファイバーやDSL(デジタル加入者線)など、高速大容量の通信回線インフラの整備は不可欠です。また、カリキュラムにIT教育を小学校段階から導入することや、教育コンテンツの開発の促進、教員研修や校外からのインストラクター併用・活用等をはかる仕組みなどを早急につくります。 (2)小中学校等におけるインターネット接続の環境整備 欧米等では図書館を活用した公共イントラネットが普及しており、デジタル・デバイド対策の大きな柱の一つとなっています。情報リテラシー(活用能力)の向上という意味からも、小中学校等におけるインターネット接続の環境整備は非常に重要です。これら教育施設等のインターネット接続環境を地域に開放すれば、それらを通じた地域交流の広がりも大きな効果が期待できます。 (3)教育に係る通信料金の負担軽減 学校等における通信料金の負担は、教育の情報化を阻害する大きな要因となっています。米国等ではユニバーサル基金等を通じて、通信事業者が学校教育現場の通信料金を負担するシステムができています。市場競争の促進による通信料金の引き下げのための法整備等と併せ、教育に係る通信料金の負担軽減をはかるための仕組みを検討します。 4 公共事業による教育施設等への光ファイバー網の敷設(「Fiber to the School」) 現在、通信インフラの整備のため、2005年までに一般家庭を対象にした光ファイバー網の全国配備を進めようとしています。しかし、学校等の地域開放や、図書館等の公共機関等に誰もがいつでもインターネットを使えるような環境を一日も早く整備することの方が、より優先されるべきです。 このような教育関係施設等への光ファイバー網の敷設(「Fiber to the School」)に関しては、民間活力の活用と併せて、公共事業扱いにして速やかに敷設できるよう、積極的に推進します。 5 IT技術を活用しチャレンジドの自立と社会参画を促進 (1)SOHOや在宅ワークなど就労機会の促進等 ○ ITを活用してチャレンジド(心身に障害を持つ人たちが、障害を持つがゆえの様々な体験を自分自身のため、社会のために積極的に活かしていこうという、前向きに生きる意思と姿勢をこめた最近の呼称)の自立と社会参画、特に就労を促進することは、イコール・フッティング社会の実現にとって欠かせません。 ○ 一人でも多くの人が自分に最もふさわしい働き方でそれぞれ社会に参画し、社会を支えるという構造にわが国のシステムを変えていく必要があります。このため、具体的にチャレンジドの人たちにとっても使いやすいユニバーサル・デザインによる端末機器等の開発支援を進めます。 ○ また、SOHO(Small Office Home Office=在宅勤務も含めた新しい勤務形態)や在宅ワークの促進、あるいは企業等への就労促進に向けた技術習得の機会を広げるとともに、高速大容量の通信環境等の整備を進めます。さらに、仕事の発注や就労のためのコーディネイト機関の制度づくりを推進します。 (2)公共事業による社会福祉施設等への光ファイバー等の敷設(「Fiber to the Challenged」) 教育機関等への光ファイバー網等の敷設と同じく、社会福祉関係等の施設に高速大容量の通信インフラを整備することは、チャレンジドの人たちが健常者と等しい程度に働き、自立と社会参画をするために必要不可欠な環境です。 このため社会保障福祉施設等への光ファイバー等の敷設についても、公共事業扱いにして速やかに敷設できるよう、積極的に推進します。 6 利用者保護の整備 IT革命の最重要な仕組みの一つが電子商取引です。しかし、わが国においてその普及を今ひとつ進展させていない最大の要因は、利用者のプライバシーの漏えい等に対する不安感だという調査結果があります。 IT社会はその利便性の一方、情報化が進む半面で個人情報の保護や社会システムの脆弱性に懸念が残ることも事実です。こうした不安感を除去するための不断の取り組みが不可欠です。個人情報保護や認証システムの整備、知的財産権保護、研究開発など、法律の制定を含む制度の改革に積極的に取り組みます。 |
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