2000/10/23update

第3回公明党全国大会 運動方針(案)


W 国民の期待に応えられる党の構築を

一、 今、政党に何が求められているのか

1、「無党派層」は政治への期待の裏返し

 新しい世紀を迎えるに当たって、私たちは「国民は今、政治に、そして政党に何を求めているのか」を冷厳に見据えていく必要があります。その際、考慮すべき最も重要なことの一つは、「無党派層の増大」です。いわゆる無党派層、支持政党なし層が世論調査などで過半数を超えているという現実は、政党政治にとってまさに非常事態であると言うほかありません。なにゆえにかくも激しい政党離れが起きているのか。選挙のたびごとに投票政党を変える変動票≠フ増大、政党支持の流動化は、何を示しているのか。「政党不信・政党拒否」あるいは「政党使い捨て時代」などといった声さえ聞かれる現状は極めて深刻であります。
 しかし、だからといって政党政治の否定からは、今日の危機を打破する力は何も生まれてきません。政党は民主政治の核であり、最も基本的なツール(道具)であり、政党否定は民主政治そのものの否定となりかねません。政党の主要な役割は民意の吸収・統合・調整――つまりは政策化にあります。その意味で、政党の生命は政策にあります。またその政策の実行、責任、継続性を担保する上で、政党の存在は不可欠です。
 われわれは、無党派層の増大を、政党不用論の表われなどではなく、むしろ激しい時代の変化、価値観の多様化の中で、民意を的確に汲み上げ、果断に政策を実行し、国の進路を切り開いていく「政党のリーダーシップ」に対する強い期待の表われ、つまり期待の裏返しにほかならないと見るべきです。無党派層は、従来の伝統的な政治的無関心層とは異なります。従って、私たちは、成熟した民主主義の実現を目指し、政治的無関心層に対して政治参加を促す不断の努力を重ねるとともに、無党派層の増大、政党離れという今日の現状を謙虚に反省し、国民の信頼回復に全力をあげることこそが、今、わが国の政党、政治家に求められている喫緊の課題であると考えます。
 無党派層の増大は、根本的には、国民のニーズ(要求)を汲(く)み上げ、それに応えるという政党本来の機能が衰弱していることに起因していることは明らかです。では、今日、政党にとりわけ求められる機能、能力とは何か。それは、第一に「将来ビジョンを指し示すリーダーシップ・決断力・実行力」、第二に「アカウンタビリティ(説明責任能力)」、そして第三に「開かれた論争を通して合意を形成する能力」であるといえます。

2、国民の中で政策立案する党

 公明党は、今日まで、昼夜を分かたぬ党員・支持者の皆さまの懸命な支援を受けつつ、幾多の激動の波を乗り越えてきました。その中で、国民の生の声を政策化し、地方議会で、国政の場で堂々の論陣を張り、他党が目を見張る政策の実現を勝ち取ってきたことに大きな誇りを持っています。なかでも、市民相談に象徴されるように、徹底して暮らしの現場に身を置いて共に悩み、生活現場の真っ只中から政策を立案し、その不断の闘いを通して政策立案能力、合意形成能力、将来ビジョンを示すリーダーシップを練磨してきました。「市民相談の党」と称されることは、公明党の最大の誇りです。国民の声こそ、新しい価値を創造する政治・社会変革の限りないエネルギーであります。これまでの日本の政治が常に中央より地方へ、上から下へと国民に発せられてきたことを思う時に、国民とともに考え、国民の中で政策立案する党でなければなりません。
 公明党は、二十一世紀を前にして、政党の衰弱化、機能不全が指摘される中で、常に「政党は国民のために何をなすべきか、どうあらねばならないか」を我が身に問い掛けながら、国民の期待、国民のニーズにこたえられる強靭な党、国民の中で政策立案する柔軟で開かれた党の構築を目指して全力を挙げてまいります。


二、 日常活動の質量ともの強化を

1、 議員が徹して地域の中へ、住民の中へ

 国民の期待、信頼に応えられる強靭な党を構築するには、まず国会・地方議員の一人ひとりが党の原点である「現場第一主義」に基づき、徹底して地域の中へ住民の中へ飛びこんで共に汗して闘い抜くという姿勢をこれまでの何倍も強化していくことが肝要です。現場から遊離した“机上”だけのプランは公明党の政治ではありません。また、市民相談・暮らしの相談活動にしても、“待ちの姿勢”や“受け身の姿勢”ではなく、「地域の中へ」「住民の中へ」を合言葉に、自ら飛び込み、懸案・課題を掘り起こすという、文字通りの現場第一主義の積極的姿勢で闘い抜いていこうではありませんか。
 公明党は、今年六月の衆院選挙において、党として過去最高の比例区票七百七十六万票を得ながら、大政党に有利とされる小選挙区で十八選挙区中十一人が惜敗し涙をのみました。この衆院選の結果を踏まえ、党は七月に全国県代表協議会を開き、明年夏の参院選、東京都議選の大勝利に向けて党勢拡大の闘いを開始、全党あげて、どんなに厳しい状況下にあっても勝つことのできる強靭な底力を持った党の構築を誓い合いました。いかなる情勢のもとでも、どんな逆風の中でも勝ち抜ける「強靭な党の構築」、それが明年の政治決戦に向けての私たちの最大の目標です。
 党勢拡大とは、党の支持基盤、党の底力を拡大していくことです。底力とは、何があろうとも揺るがぬ、地域住民と公明党との絆(きずな)の強さ、信頼関係の深さにほかなりません。そして、住民と公明党との絆を強め、信頼関係を深めていくものこそ、市民相談をはじめとする党の日常活動です。市民相談、議会活動、地域活動、広報宣伝活動、公明新聞拡大など、党の日常活動全般にわたり質量ともにどこまで闘いを強化・充実させていくことができるか、国民の期待に応え、住民の信頼を勝ち得る「強靭な党の構築」は、すべてこの一点にかかっていると言えます。
日常活動の強化・充実に当たって重要なのは、常に新しい視点、新しい発想に立って活動の在り方を見直し、知恵と工夫をこらして住民のニーズに合致した活動を展開していくことです。無党派層の増大が指摘されますが、無党派層は単なる政治的無関心層ではありません。激しい時代の変化の中で、地域には課題が山積しており、人々は、どの党が地域の課題に取り組み、地域の発展に努力しているのか、と鋭い眼差しを注いでいます。地域の中で住民の信頼を勝ち得ていくためには、不断に活動の在り方を見直し、改革していくことが不可欠です。

 2、 ホームページ開設をはじめ広報宣伝活動を強化

 いかにして地域に「公明党」の名を浸透させていくか。今後の私たちの闘いの焦点は、まさにここにあります。そのためには党組織の強化、日常活動、地域活動の積極的な展開が欠かせませんが、なかでも「議員だより」「支部ニュース」など地域新聞の発行や街頭での継続的な演説・宣伝活動、党掲示板の活用をはじめとする、地域に密着した草の根の広報宣伝活動の強化・拡充は、今後の党活動の大きな柱となるものです。
 理解は、「知る」ことから始まります。無党派層の増大を挙げるまでもなく政党に対する有権者の信頼は激しく変化しており、公明党がどういう政党で、どういう活動をし、何を目指しているのかを知ってもらわなければ、党に対する理解と共感の輪は広がりません。とりわけ、公明党の連立参加に伴って、党本部や公明新聞編集部には、「一連の公明党の輝かしい実績や成果が一般の商業紙ではまともに報じられていない。党の実績が人目に触れないのは残念」といった声が多く寄せられており、広報宣伝活動の役割は、飛躍的に重要性を増しています。更に、連立参加に伴って一部の政治家やマスコミなどによる公明党への中傷・誹謗(ひぼう)も激しさを増しており、そうした公明党のイメージダウンを狙った悪宣伝をはねかえすためにも、広報宣伝活動がかつてないほど重要になっていることを銘記する必要があります。
 特に、新しい時代の変化の中で今後、極めて重要な役割を果たしていくと思われるインターネットのホームページや電子メールを利用した広報宣伝については、党中央、各県本部、各議員レベルで取り組みを強化してまいります。

 3、 各種団体との連携の強化

 各種団体との連携の強化は、今後の党の大きな課題です。「官から民へ」という時代の流れの中で、NGOやNPO団体の活動は飛躍的に高まっています。経済団体や労働組合、福祉団体、環境保護団体、宗教団体をはじめとする各種団体、また、地域を支える諸団体との連携・交流を強め、国民の広範な声を吸収していくことは、公明党が更に国民の期待に応えられる党へと前進していく上で極めて重要であり、今後の党活動の大きな柱と位置づけ全力で取り組んでまいります。各種団体とのネットワークの強化・拡充については現在、党本部に設置された団体渉外委員会を中心に取り組みが進められていますが、更に県本部段階においても党本部と連動した団体渉外体制の整備・強化に努めてまいります。

 4、 公明新聞の拡大

 「参院選、都議選の大勝利は、機関紙拡大から」を合言葉に闘おう!――今年七月、衆院選挙の直後に開かれた機関紙購読推進委員会では、明年夏の政治決戦に向けて、議員を先頭に公明新聞拡大への波を起こしていくことが確認されました。党勢拡大の基本は、市民相談、議会活動、地域活動、広報宣伝活動など、党の日常活動全般にわたってより一層闘いを強化・充実していくことに尽きますが、なかでも公明新聞拡大は党勢拡大の要(かなめ)となるものです。
 無党派層の増大に見られるように、政党に対する有権者の信頼は激しく変化しています。そのなかにあって、公明党はどういう政党なのか、何を目指しているのか、日々どういう活動を展開しているのかを知ってもらうには、公明新聞を通して日々新鮮な公明党情報を、人々の中に、地域の中に広げていく以外にありません。特に、連立参加によって公明党の存在感が重みを増し、公明党の政策、行動に対する人々の関心が飛躍的に高まっている中で、連立与党唯一の日刊機関紙である公明新聞の重要性もまた飛躍的に高まっています。
 先の衆院選挙においても、地域の事情もあり一概には言えませんが、各県単位などで衆院比例区の得票結果と公明新聞の購読推進状況を照らし合わせてみると、比例区の得票率が高かったところは一様に公明新聞の購読率が高く、推進部数も多いというデータが出ています。どんな状況のもとでも勝てる強靭な底力を持った党の構築――それが明年の政治決戦に向けての私たちの最大の目標ですが、党の底力は公明新聞拡大によって培われるといっても過言ではありません。「公明新聞を拡大していくことが党勢拡大に直結する」との思いで、議員を先頭に公明新聞の拡大に全力を挙げていこうではありませんか。

 

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