MRI質問箱
Q1.
頚動脈プラーク
Q2."out of
phase"について
Q3.Jカッ
プリングとETL
Q4.マトリックスサイズ
Q5.
DWIの信号強度と脳梗塞の程度について
Q6.
バンド幅とメタルアーチファクトの関係
Q7.
FLAIRの信号強度と脳梗塞
Q8.
EPIのアーチファクト
Q9.T1値と磁場強度の関係
Q10.
ブルーベリージュース
Q11.
金属探知機と常磁性体
Q12.
"Intraarterial signal"について
Q13.造影剤
の同意書
Q14.
長方形マトリックス
Q15.頸
部ステントとアーチファクト
Q16.
造影剤投与後のT1,T2,FLAIRについて
Q17.
中大脳動脈のsegmentについて
Q18.T2
shine-throughについて
Q19.
血腫の信号強度変化
Q20. 下垂体後葉が高信号である理由
Q1. 頚動脈プラーク
Q;最近、頚動脈プラークについて研究しています。MRIにおいてもプラークが良く見えると報告がされているようですが、BB、FST1、FST2などで
高信号になる・・・MPRAGEでも良く見える・・・など様々な情報がありました。プラークについて良く書いてあるホームページなど情報があったら教えて
ほしいのですが・・・宜しくお願いします(アチーバ様)
A;プ
ラークイメージングについて体系的に記された書籍は、残念ながら(現時点では)ないようです。MRによるプラークイメージングの初歩でしたら、映像情報別
冊の「ルーチンクリニカルMRI・2004」に、頸動脈プラーク診断の記事がありますが、これでは少々物足りないか・・。
http://www.eizojoho.co.jp/_etc/mri2004.html
撮影法については、RADFAN(2004-12)に、札幌医大原田さんの方法が書いてあります。
http://www.e-radfan.com/main/2004_12.html
もし事情が許すのでしたら、6月17日に大阪で開催される「第14回・日本MRA研究会」に参加すれば最新の研究成果を見聞することができると思います。
頚動脈硬化の画像診断は他にも超音波やCTに関する文献がネットでいろいろ見つかりますので、検索してみてください。
日本脈管学会のように、過去の学会誌をすべて読めるサイトもあります。関連情報のネタとして、大いに役立つでしょう。
http://www.jc-angiology.org/journal/index_ja.html
思いつく単語をいろいろ組み合われば、いろいろ見つかりますので、お試し下さい。プラーク+頚動脈とか動脈硬化+画像+診断など、しつこく検索すると、思
わぬお宝が出てきたりします(↓その一例です)(ふみぽん)
http://www.gehealthcare.co.jp/rad/mri/case_studies/t_ueno01.html
http://www.secretariat.ne.jp/mra14/index.htm
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/20044411/721.pdf
>アチ-バさん
http://www.imt-ca.com/
>ふみぽんさん
検査時間は確かにあまり変わりません。
SNRとマトリックスがとても優れている以外は何でも1.5Tより優れている訳ではないことがやってて感じます。動きには弱いですし,SNRのリミットが
よく発生しますのでいろいろ欲張れません。長所を理解して使い分ければ素晴らしいと思いますが,経済的効果とのバランスは今のところでは不安なままです。
(MR技師様)
Q2."out
of phase"について
Q; 頭のMRA(TOF)において、脂肪の抑制のために、out of
phaseを使用することは、有効でしょうか?文献ではマチマチです?
眼科の脂肪が抑制されるので有効? Ms/M0が1より大きくなるので(MTC効果)、避けるべき?
等です。画像診断2002・NO12のMRA、MTC画像を参照。(キリン様)
A; 実は、私もずっと同じようなことを考えてまして・・・。
Signa(GE)では推奨条件ではTE6.9msのout-of-phaseに設定してありますので、特に何の疑問も持たずにずっと使い続けております
が、最小TEは2.3ms(ほぼin-phase)まで設定できるため、果たしてどちらが診断に有用なのかと、それぞれを試してみたことがあります。脂肪
のノイズは後処理でカッティングしてしまえば、出来上がりの画像を見比べる限り、ぜんぜん問題になりませんし、MTC効果の影響が出るかと、そうでもない
し、いまでもどちらが良いかとの結論は出てません。
流速の早い血管の分岐部を見たいならminTEに設定した方がいいんでしょうけど、ルーチンや脳ドックの場合は、さてどうするか? という問題に当たって
しまいまして、結局のところ推奨条件のout-of-phaseのTEを使い続けておりますです。(ふみぽん)
>ふみぽん様 キリン様
私はout of phaseとminを目的に応じて使い分けてます。
そこまで違いはない場合もあるでしょうが、何となく気持ち的に変えてます・・・(taku様)
taku様3Tの画像ですか?minTEとの事ですが、脂肪の信号が目立たないのはなぜでしょ?
私も疑問です。ERは長くしないと脂肪の信号が減衰しないと考えしまいます。???(キリン様)
>ふみぽん様 キリン様
説明不足でごめんなさい。
TEを使い分けているのは1.5T撮影の時でして、昨日の画像は仰るとおり3Tです。
3Tではout of phase≒3.3ms≒minTEらしいです (taku様)
Q3.Jカップリングと
ETL
Q;
ETLを短くするとなぜ、Jカップリング、MTが影響してしまうのですか?文献を読んでも結論のみが記載され、なぜ?の部分が説明されていません。参考文
献ありましたら教えてください。(キリン様)
A; ちょっと長いですよ〜。
・・・中性脂肪のプロトンはお互いにJ結合による影響をうけてT2がより短くなっている。これがすぴんエコー(SE)のT2強調像において脂肪組織の信号
が低い原因の一つとなっている。ところが180°パルス(注:共鳴周波数のRFは原子核のスピン状態間の移行(遷移)を促進する)を短い間隔で多数回照射
する高速スピンエコー法(FSE)においては、プロトンのα状態(静磁場と同じ向き)とβ状態(静磁場と逆向き)に留まる時間が短縮されて両者が平均化さ
れるためスピンスピン結合の効果が無くなってくる(デカップリング)。これがFSEのT2強調像において脂肪の信号強度が低下しにくい原因のひとつとなっ
ている。
(「クイズMRI」by荒木力先生、より引用)
http://8054.teacup.com/fumipon/bbs
・・・通常のSE法では、短いT1と比較的長いT2を持つ組織から、予想されるよりも脂肪の信号は低くなる。その
原因は、脂肪分子内の異なる原子核の間の相互作用によりT2を短縮させるJカップリング効果にある。FSEでは短く繰り返される再収束パルス列がこの効果
を損ねることで、脂肪の信号が事実上長いT2を持つこととなり、画像上で高信号となる。
(出典:「標準MRI」by杉村和朗先生(監訳))
・・・FSEにおける脂肪の高信号:頻回の180°RFパルスによるMT(磁化移動)効
果により水(高分子溶液)からの信号が低下するのに対し、脂肪にはMT効果が働かないのも原因の一つである。
(「クイズMRI」by荒木力先生、より引用)
・・・J結合は水素核とその隣の原子間との相互作用の一つであり、共鳴ピークの分裂を起
こさせる。これは長い炭素原子の鎖を持っている脂肪分子の場合に特に顕著である。比較的短いTRにおいてRFパルスの繰り返しによってプロトンが飽和され
ると、これらの結合は切られて(デカップルされて)、分裂したピークが1本になる。1本のピークは分裂したものと比較するとより高く狭いピークを持ち、長
いT2緩和時間に対応している。J結合しているものとデカップルされたものとの違いは、FSEのT2強調画像とSEのT2強調画像を比較により知ることが
できる。FSEイメージは脂肪の信号が本来よりも明るくなっているが、これはプロトンがデカップルされて、T2が明らかに長くなっているからである。SE
においては脂肪のJ結合がT2を短くし、より暗く表される。
(出典:「標準MRI」by杉村和朗先生(監訳))
FSEは脂肪が強調するのではなく、180°パルス連射が水を抑制するから、逆に脂肪が強調されるように見える、というのが正解なんですね。
私も良い勉強になりました(^_^;) (ふみぽん)
Q4.マトリックスサイズ
Q; 軟部組織、骨関節、脳などの撮影をするに当たって、適正なマトリックスってどのくらい
なのでしょうか?そんなことが詳しく載ってるホームページ、雑誌などあったら教えてください(初心者様)
A; お使いになってるMR装置の性能、許容される撮影時間によって、事情が異なりますから、一概にどの程度のマ
トリックスが適正とは決められませんです。FOVの大きさでも変わりますし。マトリックスは、いずれの方向でも増やしていくと、ご存じの通り撮影時間は長
くなります(モーションによる影響も↑)。しかしSNRは分解能に反比例しますから、どこまで細かい部分が見えるかは、やはり機器の性能によります。
・・・地道に適正な条件を割り出すしかないでしょうね(^_^;) (ふみぽん)
Q5.
DWIの信号強度と脳梗塞の程度について
Q;MRは専門外なのですが最近当直でよくDWIをやっています。ふと疑問に思ったことがあります。
DWIで強烈に高信号に写る梗塞と淡く写る梗塞がありますがなぜそうなるのかよくわかりません。
文献などによると急性期〜亜急性期は高信号・慢性期は低信号と書いてありました。しかし当直時間帯でDWIを撮る患者さんは当然急性期です。急性期のなか
でも信号強度に変化があるのでしょうか? 教えていただければ幸いです。(suzuki様)
A;脳梗塞DWIでの信号強度については、様々な要因が考えられます。例えばどの血管が
閉塞(または狭窄)したか?例えば徐々に血管が狭くなることによって発症した脳血栓型の梗塞では、側副血行路が発達するため、発症初期の梗塞巣は限定的
で、多くの部位はいわゆる"penumbra"となりますが、塞栓子が中枢側からいきなり飛んできて内頸動脈や中大脳動脈の起始部が閉塞するような塞栓型
の脳梗塞では、広範な領域が強い高信号となります(ADCが急激に低下)。
また発症時間から間もない脳梗塞(症例にもよりますが、30分〜2時間程度)では、浮腫があまり進行してない可能性もあります(再度、改めて撮影すると高
信号になっていくかもしれません)。(ふみぽん)
Q;先日、
MRAにて中大脳動脈が閉塞していた症例がありましたがDWIは被核部のみの梗塞でした。おそらくアテローム性の脳血栓型なのでしょうか?側副血行路は
MRAじゃ写りませんよね?
当院ではDWIとMRAのみ当直業務でやっていますが、これでtPA静注による血栓溶解療法に踏み切ることはできるのでしょうか?
(suzuki様)
A;>側副血行路はMRAじゃ写りませんよね?
そういう理由で、perfusionMRIやDSAが必須となるわけですね。
側副血行の例として、脳動脈末梢部の「脳軟髄膜血管吻合」というのがありますが、これが発達しているとアテローム性なら、起始部での完全閉塞でも梗塞に陥
る部分は少ないです(ただし広範囲に灌流低下→いずれ脳梗塞になっちゃうかも)。
tPAは、適応にあたってのガイドラインがあるはずです。24時間CTやMRIが可能とか、脳外科医が常に常駐とか、ICU管理とか、いろいろ面倒ですか
ら、まずは対応するスタッフ全員の教育が必要かもしれません。当院でもまだ数えるほどしか使ってません(発症時間とか年齢とか、適応が厳しすぎるの
で・・・) (ふみぽん)
Q6.
バンド幅とメタルアーチファクトの関係
Q; なぜ、BWを大きくすると金属のartifactが減少するのですか?(キリン様)
A; まず「受信バンド幅が広い」ということは、1ピクセルあたりのバンド幅も広くなりますよね。またバンド幅が広くなれば、サンプリング時間は逆比例し
て短く(←動きによる影響はこれで説明可能)なり、短いTEが設定できます(dephasingによる影響を減少)。だから磁性体による影響(例えば体内
金属によるアーチファクト)は少なくできる、ということでよろしいでしょうか? あまりスッキリしない回答ですいません。(ふみぽん)
Q:@バンド幅と磁化率アーチファクト
ですが、いまいち、納得ができません。mortion artifactの減少は説明できますが、磁化率と関係ありますか??ね??(キリン様)
A; ピクセルあたりの周波数幅が小さい→隣接ピクセル間の磁場強度差が少ない→磁場の乱れによるミスレジストレーションを起こ
しやすい、ということです。 (ふみぽん)
Q7.
FLAIRの信号強度と脳梗塞
Q; T2WIで高信号の梗塞は必ずFLAIRでも高信号になりますか?慢性期の梗塞で・・
はFLAIRでは高信号にはならない????ご教授お願いします。(キリン様)
A; FLAIRとはCSF(脳脊髄液)が"null
point(ぬるぽ)"として表示されるT2強調画像である、と考えれば、高信号に表示される脳梗塞は、CSF成分とは異なり、タンパク質や細胞構造の残
骸や酵素分解により生成された様々な物質などとの混濁液だと想像します。時間が経って、脳組織の細胞構造や周辺組織での破壊が進んでいけば、だんだん
CSFに近い成分となり、FLAIRで低信号になっていくのかな?・・・と私の勝手な想像です。説明には、病理学とか生化学的な知識が必要ですねえ、きっ
と。 (ふみぽん)
Q8.EPIのアーチファクト
Q; DWIにおいて、位相方向が大きいと、位相方向??に歪が発生するとはどういうことなのでしょうか??(キリン様)
A; EPIのアーチファクトは「エヌハーフ」アーチファクトといいまして、位相方向に出るのが特徴です。シーケンスの原理的に(傾斜磁場の高速スイッチ
ングのため)起こると言われてます。
・・・位相エンコード傾斜磁場が極めて弱いことと、K空間を往復スキャンするために、わずかの局所磁場の乱れ(静
磁場の不均一性、渦電流や被写体に内在する磁化率の差)と高速に反転する読み取り傾斜磁場とのタイミングのずれにより、奇数番目と偶数番目の行のデータ誤
認を生じることが原因となる(読み取り傾斜磁場が大変強いため、周波数方向には現れにくい)。(出典、荒木力先生著「MRI再入門」より) (ふ
みぽん)
Q9.T1値と磁場強度の関係
Q; T1値はなぜ磁場強度に依存するのですか?T2値は依存しません。(キリン様)
A; これは双極子間−双極子相互作用によります。下記のリンク中の式Cによりますと、共鳴周波数が大きくなるほどT1が長くなることが分かります。(ふ
みぽん)
http://www15.ocn.ne.jp/~komo/1study/11nmr/NMR04.htm
Q10.
ブルーベリージュース
Q; なぜブルーベリージュースはT1短縮作用があるのですか? Mn+2は食品成分表では含まれいません。電子・陽子双極子間相互作用ではな
いのですか???ついでにふみぽんさんの知っている短縮作用のあるものがありましたら、教えてください。私はオリーブオイル、お茶を知っています。
(キリン様)
A; あるんですか?(^_^;)
ブルーベリージュースを造影剤として使おうという試みは昔からありまして、10年ほど前に明治乳業(だったかな?)からサンプルとして配布されたブルーベ
リー100%のジュースを飲んだことがありました。なかなか美味しかったですよ。結局、正式な商品化はされませんでしたが、確かこれはマンガンではなく
て、Fe(2+/3+)イオンのT2star短縮作用を狙ったものだったはず(SPIOとかUSPIOと同じですね)。↓このリンクの下の方に書いてあり
ますが、パイナップルジュースも同じような作用があるらしいです。(ふみぽん)
http://www.mr-tip.com/serv1.php?type=db1&dbs=Ferristene
Q11.金属探知機と常磁性体
Q; Gd剤は常磁性体であるのになせ、金属探知機には反応を示さないでしょう
か?また磁場の中に入れたも、引き付けられません。おかしくないでしょうか・・・・磁石に反応する(吸い付く)のは強磁性体だけでしょうか??
ちなみにGd金属は強磁性体でGdイオンは常磁性体です。しかし、フェリセルツはFeイオンであっても強磁性体であるの関わらず、金属探知機にも、磁石に
も反応しません? どういう事でしょう?? (キリン様)
A; このあたりの解説は「クイズMRI」に詳しいですね。
金属探知機に反応を示すのは強磁性体のみです。また鉄の金属は強磁性体ですが、イオン化されると常磁性体になります。とりあえずは下記のサイトでお勉強し
てください(*^_^*) (ふみぽん)
http://www.elct.eng.himeji-tech.ac.jp/elct1/mag01.html
http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/Lecture/lectureindex.htm
http://www16.ocn.ne.jp/~lepton/research/
http://www.garrettjapan.com/faq.htm
Q; 金属探知機は強磁性体だけですか?1円、十円も反応しました??(キリン様)
A; 金属探知機には、原理的にもいろんなタイプがあるようでして、強磁性金属に限らず
検知可能な製品も売ってます(下記リンク参照)。このあたりは私に聞くよりも検索エンジンに頼った方が早いでしょう。 (ふみぽん)
http://www.mksci.com/id/lw.html
Q12.
"Intraarterial signal"について
Q; 脳梗塞の所見である、intraarterial
signalがよく理解できません、血流の遅れが高信号に現れるとありますが、実際の画像がありましたら、教えてください。MRI応用自在P176には画
像がありますが、どこがintraarterial signalか分りません。(キリン様)
A; これはFLAIRで閉塞(血栓化)部分が高信号に出る現象です。正常な血流はRFパルスを180-90-180と与えている間に絶え間なく動いてい
るため無信号となりますが、静止している血栓は高信号に表示されるわけです(intraarterial→intra+arterial「動脈の中」)。
(ふみぽん)
Q13.
造影剤の同意書
Q; 造影剤使用時にはなぜ同意書が必要なのですか?抗生剤も副作用は造影剤よ
りも高頻度であるのに、同意書は取りません。なんか変??ですよね??なぜ造影剤だけ特別扱いなのですか?(キリン様)
A; 造影剤で同意書を取るようになったのは、ここ最近になってからです(テストアンプ
ルが廃止になった頃か?)。抗生剤では副作用が多い製剤だと皮内テストをやりますね。(ふみぽん)
Q14.
長方形マトリックス
Q: マトリックスの話ですが、256の100%(256×256)と512の50%
(256×512)正方形と長方形と有りますが、どんなときどっちを使うものなのですか?(アチーバ様)
A; いわゆる長方形FOV(rectangular
FOV)ですね。例えば頭部axialのように撮影対象が縦長の場合、少ない方の数値を位相エンコードに割り当てれば同じ時間でも高解像で撮影できるとい
う小技です。Signaですと"Phase FOV"という便利な機能があります。(ふみぽん)
Q15.頸
部ステントとアーチファクト
Q; 教えていただきたいのですが、2D-TOFで頸部ステントを封入したファ
ントムを撮影しました。ステントの前後がゆがんでいるのですが、磁化率アーチファクトの影響だけと考えて良いものなんでしょうか?ちなみに撮像中ファント
ム内部には30倍に希釈したGd-DTPAを3ml/secで流しています。(Intra様)
A; いまいち状況が掴みきれませんが、アーチファクトの原因が磁化率効果しか考えられ
ない状態なのであれば、きっとそうに違いありません(^_^;) この掲示板は画像もアップできますから、実際にそのMR画像を見れば、分かるかもしれま
せんね。
ステントの材質は何か? 造影剤の希釈率(30倍って、かなーり濃いのではないかと・・・)
3D-TOFなら、どうなるか? ファントム内の流速が速すぎないか? (ふみぽん)
Q; ご指摘ありがとうございます。今3D
-FFE(centra)との比較していて、30倍に希釈したGd-DTPAというのは、動脈相での造影剤濃度を想定したものなのですが、もし他に適正な
濃度があればお教えいただければ幸いです。ちなみに2D-TOFでの画像はこんな感じです(画像省略)。(Intra様)
A; ある論文を調べたら、SNRが最大になる造影剤濃度は2.5%(50倍)とありま
した。多くの実験では、5%や10%あたりを使っているようですが、30倍と50倍なら大して変わりませんね、失礼しました。
画像を見た感想ですが、ステントの前後は乱流による影響も考えられるかなと。個人的には、ステント内部の信号低下が何によるものか、気になります。3D-
FFEの造影MRAとは「プリパルスと短いTR,TEによる、centric(またはelliptic-centric)収集での造影MRA」と解釈して
よろしいでしょうか。Philips用語に疎いもので(すいません)。(ふみぽん)
Q; 3D-FFEについては、ふみぽんさんのおっしゃる通りで、GEでいうcentricに
あたると思います。また画像についてのご意見ありがとうございます。あとステント内部の信号低下が何によるものかについてなんですが、当方でもいろいろ原
因を考えているのですが明確な答えに行き着いていないのが現状です。ただ実験で2D-TOF、3D-FFE(centra)どちらにおいても信号強度の低
下がみられたことから、ステント自体の影響なのはわかりました。もしはっきりした原因が解りましたら、報告させていただきます。(Intra様)
Q16.造影剤
投与後のT1,T2,FLAIRについて
Q; 頭部の撮像で、造影剤投与後 T2,
FLAIR,DWIを撮像すると画像はどうなるのでしょうか?実は先日、造影剤投与後に追加でT2のオーダーがありまして撮像したのですが、明らかな影響
はないように思えたので。(suneo様)
A; 造影剤には「T1短縮作用」と「T2短縮作用」があります。
低濃度では前者の影響が強いため、T1強調画像において造影剤を取り込んだ組織が高信号となりますが、高濃度ではT2短縮効果が顕著となり、逆に低信号と
なってしまいます(様々な濃度で希釈した造影剤を撮影することで簡単に検証できます、ぜひお試しください)。
よって回答ですが、
・T2強調画像:T1強調画像で高信号となる部位の相対的信号低下。
・FLAIR(T2FLAIR):T2強調画像と同様。ただしシーケンスの原理上、造影剤の影響でT1短縮された組織がたまたまnull
pointとなり、無信号となる可能性あり。
・DWI:原理的に関係ないが、"T2-shine through"の逆の作用が起こる(T2強調画像と同じ)。(ふみぽん)
Q17.
中大脳動脈のsegmentについて
Q; 基本的な解剖学に関する質問で恐縮ですが、脳血管のM1、M2の場所と定義?を教えて下さい。中大脳動脈のどこか?解り
ません。(キリン様)
A; これは簡単です。内頸動脈から前大脳動脈を分岐し、そのあと水平に走行するのがM1、上行するのがM2です。
中大脳動脈のsegmentationは、血管分岐と関係ありませんので、ご注意を。 (ふみぽん)
Q18.
T2 shine-throughについて
Q; DWIはADC値だけでなくT2値も反映している(T2shine
through)のになぜ、慢性期の梗塞はT2WIではhighであるが、DWIではhighにはならないのですか?理論的に説明してもらえればうれしい
です。お願いします。(キリン様)
A; b値の設定によりますね。おおむね1000以上を設定すれば"T2 shine
through"の影響を受けないと言われてます。逆に言えば「低いb値ではT2値が反映」します。つまりb値の設定次第で、慢性期脳梗塞は、highに
もisoにもなりえます。(ふみぽん)
Q19.血腫の信号強度変化
Q; @メトヘモグロビンがT1WIでhighになるのはなぜですか?高分子水
和効果は関係しますか??また細胞外メトヘモグロビンはT2WIでhighになるのはなぜですか?
Aオキシヘモグロビンは非磁性なのでT1、T2WIはisoです。
BデオキシヘモグロビンのT2WIでのlowは磁化率効果のためです。
CヘモジデリンのT1T2WIでのlowは超常磁性体によるものです。
A〜Cは確認事項です。文献やネットを考察した私の理解ですが、間違っていたら訂正してください。(キリン様)
A; まずは血腫内のヘモグロビン変化について(念のため、おさらいです)。
オキシヘモグロビン(反磁性体)→デオキシヘモグロビン(常磁性体)→メトヘモグロビン(常磁性体)→ヘモジデリン(常磁性体)へ変化していきます。
>メトヘモグロビンがT1WIでhighになるのはなぜですか?高分子水和効果は関係しますか??
常磁性体効果によるT1短縮作用です。高分子水和効果は頭蓋咽頭腫やコロイド嚢胞など、プロトンを含む分子が周囲の高分子構造体により移動制限を受けると
きに起こりますが、血腫と関係は薄いと考えます(少しはあるかも)。
>細胞外メトヘモグロビンはT2WIでhighになるのはなぜですか?
これはお手上げです。細胞外液との結合が関係しているのかもしれません。
成書や文献を探した方がよろしいかと(ついでに分かったら教えてください)。
あとAですが、非磁性→反磁性、T2WIはlow-isoですね。
>CヘモジデリンのT1T2WIでのlowは超常磁性体によるものです
Super
Paramagnetismは、常磁性体の粒子径が1〜10nm(例:USPIO)という条件がありますが、沈着したヘモジデリンが超微粒子化する、とい
うことでしょうか? だとすると、どのようなメカニズムでヘモジデリンが細分化されて組織沈着するのか? ご教示願います(^_^;)
(ふみぽん)
Q: >CヘモジデリンのT1T2WIでのlowは超常磁性体によるものです
www1.u-netsurf.ne.jp/~Nakajima/branch/genjunbi9.htm に記載がありました。間接的ですが
MRIのT1値の測定法の資料がありましたら教えてください、MRI撮影技術学に巻末の記載は読みましたが、いまいち理解ができませんでした。お願いしま
す。(キリン様)
A; >
www1.u-netsurf.ne.jp/~Nakajima/branch/genjunbi9.htm に記載がありました。
裁判資料のようですが、よくこんなの見つけましたね〜。
> MRIのT1値の測定法の資料がありましたら
http://www.nv-med.com/jsrt/pdf/2003/59_12/1535.pdf
技術学会誌のバックナンバーを検索したら見つかりました。
double-echo SPGR
を用いた方法で、少々手間のかかる方法ですが、誤差10%以内の高精度でT1を計測できるようです。たぶん現行のSIGNAなら可能だと思います。(ふみ
ぽん)
Q20. 下垂体後葉が高信号である理由
Q; 下垂体後葉がT1WIでhighになるのはなぜ?ですか。脂肪?メラニンによるT1短
縮効果?関係ありますか。ご教授お願い致します。(キリン様)
A; ADH(Antidiuretic hormon
抗利尿ホルモン=バゾプレッシン)が関与しているそうです。
ある文献によると「ADH分泌顆粒」がT1WIの高信号となる、との記載があります。
なぜ高信号になるかは、私には分かりませんが(^_^;) (ふみぽん)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BD%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3