◇暖かい立春

 今月も1月に引き続き強い寒気の南下がほとんどなく、高気圧と低気圧が数日の周期で交互に通過し、冬型の気圧配置は長続きしませんでした。特に、上旬は南から移動性高気圧におおわれて気温の上がる日が続き、平年の気温よりより3.6℃高くなりました。このため、月平均気温は6.9℃と平年より2.5℃高くなりました。これは、観測開始以来1979年の7.4℃に次いで、1959年と並んで高く、2月の平均気温としては高い方からの日立市役所観測記録順位第2位でした。

 また、1月と同様に明け方の冷え込みは弱く、1日の最低気温が0℃未満になった日は8日と、平年(14.4日)の半分程度の日数しかありませんでした。さらに、上旬と下旬は移動性高気圧におおわれて晴れる日が多かったため、月日照時間は206.0時間と平年の119%になりました。一方、月降水量は33.5mmと平年の54%しかありませんでした。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 6.9 4.4
月降水量(mm) 33.5 61.8
月日照時間(時間) 206.0 173.0
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 7.5 3.9
中旬 6.4 4.6
下旬 6.8 4.8

 ●2月の気温に関する記録

月平均気温(℃)
順位 気温
1 1979 7.4
2 2007 6.9
3 1959 6.9
4 1966 6.6
5 1960 6.4
冬日の日数
順位 日数
1 1979 5
2 1990 6
3 1973 7
4 1976 7
5 2007 8
5 2002 8

※順位は、1953年から2007年の統計で、値の多い方または少ない方からの順位

 ●2006年12月から2007年2月にかけての気温の推移

2006年12月から2007年2月にかけての日平均気温の推移(日立市役所)

 14日の日中、日本海を低気圧が発達しながら北東へ進みました。この低気圧に向かって、暖かい南よりの風が吹き込み、各地で強い風が吹き荒れるとともに気温が上がりました。このため、気象庁では関東から九州までの各地方で、「春一番」が吹いたと発表しました。気象庁の観測結果では、関東地方南部での最大瞬間風速は、東京都大手町で22.0m/s、千葉市で30.2m/s、横浜市で28.3m/sに達し、気温も18℃近くまで上昇しました。

 しかし、関東地方の大部分の地域では、前日まで寒気が入っていた影響で地表付近に冷たい空気が滞留し、南からの暖かい空気は上層を吹き抜けていったため、強い南西の風は吹かず、気温も10℃まで上がりませんでした。日立市は海に面しているため、昼過ぎから南西の風が入りましたが、強く吹くことはありませんでした。日立市の14日の最大風速は、寒冷前線通過時の20時15分に観測した6.6m/sで、風向は西北西でした。

 東京の都心にある大手町と、その北西に約10km離れたアメダス練馬の気温の変化を見ると、大手町では昼前から南西の風が入り始めるとともに気温が上がりだしています。その後、風向が変化するたびに気温が上下しながら上昇していき、南西の風が強く吹いた18時30分に最高気温17.3℃を記録しています。一方、練馬では1日弱い北よりの風が吹き、日中の気温も8℃前後でほとんど変わりませんでした。

 また、日立市と水戸市の気温の変化を比べてみると、南に位置している水戸市の方が、気温の上がり始めるのが遅くなっていました。日立市役所では、13時頃から南西の風が入り始め気温が上がっていきました。そして、寒冷前線が近づき南西の風が強まった18時46分に最高気温15.2℃を記録しました。水戸では、南西の風に変わるのが遅れ、17時頃から南西の風が吹き始め、18時14分に最高気温15.2℃を記録しました。日立市は海に面しているため、冷たい空気が地表付近に滞留しにくく、このような違いが現れたと考えられます。

 今回は、前日まで寒い日が続き、当日は雲におおわれて日射がなかったことから、地表付近にいつまでも寒気が滞留し、気温の境目がはっきりと現れました。同じように、関東地方の平野部で、地表付近に寒気が滞留し、暖気が上層を吹き抜けて気温が上がらなかった例として、2003年1月3日と2000年11月21日の現象を観測日誌に掲載しています。

 2月14日の観測記録

関東地方の観測記録
地点 最大風速
(m/s)
同風向 最大瞬間
風速(m/s)
同風向 最高気温
(℃)
宇都宮 4.9 北東 7.4 北北東 9.3
熊谷 3.8 北西 7.0 北西 10.1
東京 7.8 南西 22.0 西南西 17.3
横浜 13.6 南西 28.3 南西 17.4
千葉 17.6 南西 30.2 南西 18.8
日立市と水戸の観測記録
地点 最大風速
(m/s)
同風向 最大瞬間
風速(m/s)
同風向 最高気温
(℃)
日立市役所 6.6 西北西 12.5 西北西 15.2
南部支所 5.2 西北西 10.1 北西 12.9
水戸 3.4 北西 9.6 南南西 15.2

 14日から15日にかけての気温の推移

14日から15日にかけての気温の推移(日立市、水戸) 14日から15日にかけての気温の推移(東京都大手町、練馬、千葉県千葉市)

 参考:2月14日18時の気温と風速の分布(アメダス)

2007年2月14日18時の気温の分布 2007年2月14日18時の風向、風速の分布

 参考:2月14日の地上天気図と高層(850hPa面)天気図

2007年2月14日18時の地上天気図 2007年2月14日21時の850hPa高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。網掛けの部分は、気温と露点温度の差が3℃以下(空気が湿っていることを表す)の領域を表しています。


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作成日:2007/03/10
訂補日:2013/01/30
名前 日立市天気相談所