◇穏やかな秋

　天気は数日の周期で変わりましたが、移動性高気圧におおわれ晴れる日が多くなりました。また、低気圧が本州付近を通過することが少なく、上旬から下旬の前半にかけては降水量が少なくなりました。しかし、26日から27日にかけて本州付近を上層の気圧の谷が通過した際、日本の南から北上してきた台風第20号がらの湿った空気が入り、100mm前後のまとまった雨が降ったため、月降水量は164.0mmとほぼ平年並みになりました。一方、日照時間も165.0時間と平年の108％になり、ほぼ平年並みでした。

　気温の推移を見ると、前月は中旬を中心に暑い日が続きましたが、9月下旬に寒冷前線が本州を南下した後は北から寒気が南下してくるようになり、気温は順調に下がっていきました。しかし、10月の下旬に入ると本州の南で上層の高気圧が強まり、暖かい空気が入りやすくなって気温が平年より高い日が続きました。この結果、月平均気温は17.1℃と平年より0.5℃高くなりました。

10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 17.1 16.6 月降水量（mm） 164.0 159.2 月日照時間（時間） 165.0 152.5

旬別降水量(mm) 旬 降水量 平年値 上旬 21.0 53.7 中旬 15.0 59.7 下旬 128.0 45.8

　●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける850hPa気温の推移

　●参考：9月から10月にかけての日平均気温の推移（日立市役所）

　27日、上層の気圧の谷が本州付近を東へ進むとともに、台風第20号が関東地方の南を北東へ進みました。台風は規模が小さく勢力も弱かったため、日立市では台風の直接の影響はありませんでしたが、気圧の谷の前面に向かって南から湿った空気が入ったため、27日の明け方から夜にかけてまとまった雨が降りました。日立市では27日の降水量が97.0mmになり、前日の降水量28.5mmに続いて、10月1日から2日にかけて降った降水量17.5mmの雨以来のまとまった雨量になりました。

　日立市でやや強い雨の降った27日14時の降水量分布をアメダスで見てみると、房総半島を除く関東地方の大部分の地域では降水量が10mm以下となっています。しかし、茨城県の日立市から水戸市にかけては20mm近いやや強い雨が降っています。この日のつくばにおける高層観測の結果を見ると、下層では北東の風が吹いていますが中層では南から南南東の風が吹いており、南からの湿った空気が茨城県北部の山地に当たり、その南側で雨量が多くなったと考えられます。この結果、市内の降水量を比べてみると、いつもとは逆に市の南端にある南部支所で日降水量が116.5mmと最も多くなりました。

　なお、台風が東経140度線を超えた16時頃から北の高気圧から台風に向かって吹き込む北東の風がやや強まりましたが、最大瞬間風速は17時27分に記録した17.6m/sで、20m/sを超えることはありませんでした。

　●10月27日の市内の降水量（mm）

観測地点	総降水量	最大1時間降水量
		降水量	日時
日立市役所	97.0	15.5	27日14時10分
北部消防署	107.5	21.5	27日14時00分
本山	92.0	11.5	27日14時00分
西部出張所	70.5	10.0	27日18時00分
諏訪広場	94.0	14.0	27日14時00分
南部支所	116.5	22.5	27日13時00分

　●参考：10月27日の南部支所における降水量の推移と日立市役所における風速の変化

　●参考：アメダスによる降水量の分布と降水量レーダー図（10月27日14時）

　●参考資料

台風第20号の経路図	2007年10月27日15時の地上天気図
2007年10月27日09時の気象衛星水蒸気画像	2007年10月27日09時の500hPa面高層天気図

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作成日：2007/11/10
訂補日：2013/06/17
名前 日立市天気相談所