◇雪の多かった2月

　1月31日に強い寒気を伴った上層の気圧の谷が東へ抜けた後、気圧系の流れが変わり偏西風の蛇行は解消しました。このため、寒気の流入は弱まり気温は平年並みに戻りました。冬型の気圧配置が続くことはなく、高気圧と低気圧が短い周期で通過しました。特に、中旬の前半は本州南岸を複数の低気圧が通過し、雪が降って気温が下がる時がありました。しかし、下旬になると暖かい南風が入り、気温は平年を上回るようになりました。この結果、月平均気温は5.2℃と平年より高くなりました。

　一方、中旬から下旬にかけて次々と通過した低気圧の影響で、月降水量は83.0mm（平年比147％）と平年より多くなりました。月の初めと下旬は晴れる日が続いたものの、中旬前半に天気がぐずついたことから日照時間は166.6時間（平年比97％）と、ほぼ平年並になりました。また、冬型の気圧配置となることが少なく、雨や雪の降る日も多かったために月平均湿度は66％となり、2月の平均湿度としては市役所観測開始以来4番目に高くなりました。

2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 5.2 4.6 月降水量（mm） 83.0 56.3 月日照時間（時間） 166.6 172.1

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 4.7 4.2 中旬 4.4 4.6 下旬 6.6 5.1

　●12月から2月にかけての日立市役所における日平均気温の推移

　※上のグラフの元データ：エクセル2000ファイル（111KB）

　1月は冬型の気圧配置が続いて、晴れて乾燥した日が続きました。1月の500hPa月平均天気図をみると、日本の東海上を中心に平年より高度が低く、低気圧が発達しやすかったこと表しています。このため、日本付近では偏西風が南に蛇行して北からの寒気が流れ込みやすくなりました。2月に入ると、500hPa月平均天気図で示されるように日本の東で高度が上がり、地上でも高気圧の勢力が強まりました。このため、日本の西が気圧の谷場となり、日本付近は西南西からの流れが卓越して低気圧が頻繁に本州付近を通過しました。

　●参考：1月と2月の月平均500hPa高度・偏差図

　※実線は等高度線、点線は等偏差値線、陰影域は負偏差を表す。

　低気圧の経路は本州南岸を通ることが多く、低気圧の通過に伴って地表付近へ北から冷たい空気が引き込まれて雪の降る日が多くなり、降雪日数は6日となりました。ただ、昨年と異なり、低気圧が接近するまでは比較的気温が高くて降り始めは雨となることが多かったため、市役所では11日から12日を除いて積雪にはなりませんでした。一方、山間部では気温が市役所よりも2℃近く低く、0℃前後まで下がったため6日とも積雪となりました。特に、14日から15日にかけては低気圧がやや発達して降水量が市役所で13.0ｍｍと多くなったことと、降り始めから気温が0℃近くで推移したことから、奥日立きららの里では積雪が20cmになりました。

　今年の2月の雪が降った日を見ると、下表のようにいずれも南岸低気圧または気圧の谷に伴う冷たい北東風の流入で雪が降りました。この内、11日から12日は降り始めから降り終わりまで雪でした。しかし、それ以外の日は低気圧が近づいた時間帯のみ雪に変わり、それ以外の時間帯は雨が降りました。関東地方では、気温のわずかな違いによって雨になったり雪になったりします。今年の2月は平年よりも気温が高かったものの、低気圧が本州南岸を通過して一時的に北から地表付近へ冷たい空気が入り、雪になる日が多くありました。

　※9日、11日、12日、14日、15日は降雪時間帯が夜間のため最深積雪は観測していません。表の値は、8時または17時の積雪深です。

　●2月9日09時の地上天気図と8日から9日の気温の推移

9日の市役所の積雪：なし 奥日立きららの里 の積雪：6cm 降雪時の最低気温 9日02時50分、1.1℃

　●2月11日15時の地上天気図と11日から12日の気温の推移

12日の市役所の積雪：4cm 降雪時の最低気温 11日02時50分、0.3℃

　●2月14日21時の地上天気図と14日から15日の気温の推移

15日の市役所の積雪：なし 奥日立きららの里 の積雪：20cm 降雪時の最低気温 14日24時00分、1.1℃

　●2月28日09時の地上天気図と27日から28日の気温の推移

28日の市役所の積雪：なし 奥日立きららの里 の積雪：7cm 降雪時の最低気温 28日10時30分、0.9℃

【観測日誌2011年へ】　【ホームページへ】

作成日 2011/04/28
訂補日2011/06/29
名前 日立市天気相談所