◇昨年に引き続き寒い1月

 12月の下旬から日本付近で偏西風の蛇行が大きくなり、日本付近には断続的に強い寒気が入るとともに冬型の気圧配置が続くようになりました。このため、関東地方では晴れて乾燥した天気が続き、気温も低くなりました。1月中旬になると冬型の気圧配置が緩んで日本の南を低気圧や前線が頻繁に通過しました。このため、関東地方では曇りや雨または雪の日が続き、気温も平年近くまで上がりました。しかし、下旬の中頃になると日本付近で再び偏西風の蛇行が強まり、強い寒気が南下してきて冬型の気圧配置が強まるとともに気温は一段と低くなりました。この結果、月平均気温は3.0℃と平年より1.6℃低くなりました。これは、1月の平均気温としては昨年の2.9℃に次いで低く、日立市役所観測開始以来7番目に低い気温でした。

 一方、冬型の気圧配置が続いたため、12月21日から1月19日まで0.5mm以上の雨が降りませんでした。その後、20日から23日にかけて雨または雪の降る日が続きましたが降水量は少なく、月の降水量は24.0mmと平年の48%しかありませんでした。月の日照時間は186.4時間と平年比97%になり、平年並みでした。

1月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 3.0 4.6
月降水量(mm) 24.0 49.6
月日照時間(時間) 186.4 191.3
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 3.9 5.1
中旬 3.1 4.5
下旬 2.0 4.3

 ●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

1月の日立市役所における日平均気温の推移 1月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●1月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

1月の日立市役所における日最低気温の推移 1月の日立市役所における日照時間の推移

 ※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(1201data.xls:100KB

 また、日最低気温が0℃未満(冬日)となった日数をみると、昨年(2011年)は月を通して気温の下がる日が多く冬日の日数は23日になりました。一方、今年は19日から23日にかけて気圧の谷の影響で最低気温が0℃以上の日が続いたため、冬日の日数は20日昨年より少なくなりました。なお、市内の南部支所では市役所よりも気温の下がる日が多く、冬日の日数は27日と水戸とほぼ同じ程度の冷え込みがありました。

 ●1月の気温の記録(日立市役所及び南部支所と水戸)

月平均気温(℃)
順位 気温
1 1984 2.3
2 1985 2.5
2 1977 2.5
4 1981 2.7
4 1986 2.7
6 2011 2.9
7 2012 3.0

平年値

4.6
冬日の日数
順位 日数
1 1986,1981,1963 26
4 1961 25
5 1990,1985,1977 24
8 2011,2006 23
10 1984 22
11 2004,1996,1974 21
14 2012,1995,1980,1959,1953 20

平年値

16.6
冬日の日数(過去5年間)
日立
市役所
南部
支所
水戸
(金町)
2008 16 20 24
2009 13 21 21
2010 13 22 27
2011 23 28 29
2012 20 27 28
平年値 16.6 24.7

 ※順位は数値の小さい方または多い方からで、1953年から2012年の統計。


◇上層の大気の流れの変化

 初めに述べたように、1月の前半はシベリアの高気圧の勢力が強く、冬型の気圧配置が続きました。下図の6日から10日の5日平均500hPa高度・偏差図をみると、日本の東で上層の気圧の谷が深まるとともに大陸では高気圧が強まっています。このため、日本付近の上層では偏西風が北西から南東へ流れ、寒気の流れ込みやすい気圧配置が続きました。

 しかし、20日に上層の高気圧が日本付近を東へ進んだ後、気圧の場が大きく変わりました。21日から25日の5日平均500hPa高度・偏差図をみると、カムチャッカ付近には上層の高気圧があり、アムール川下流には上層の低気圧があります。このため、日本付近では上層の偏西風の流れが南北に大きく蛇行しています。この上層の高気圧は、月末にかけてシベリアをゆっくりと西へ進みました。このため、アムール川下流の低気圧は東へ進むことができず、ほぼ同じ場所に停滞して日本付近は強い寒気におおわれる状態が続きました。

 ●参考:5日平均500hPa高度・偏差図の比較

1月6日〜10日の5日平均500hPa高度・偏差図 1月21日〜25日の5日平均500hPa高度・偏差図

※500hPa高度・偏差図において、実線は等高度線を、破線は平年との偏差を表します。また、縦線で囲まれた部分は平年より高度が低い(負偏差)領域を表しています。

 上記の気圧の場が大きく転換する過程において、この時季としては珍しく20日から23日にかけて雨や雪の降る日が続きました。地上天気図を見ると、18日に高気圧がひとつ日本の東へ抜けた後、 本州の南岸は気圧の谷場となり低気圧の通り道となりました。23日には低気圧は東へ抜けました。しかし、上層の気圧の谷が西に残り、関東地方には収束域が形成されたため、25日にかけて一時的に天気の崩れる日が続きました。上層の気圧の谷が東へ抜けた26日には冬型の気圧配置となり、すっきりと晴れました。

 同じ期間の500hPa高層天気図を見ると、19日から21日にかけて南東へ進んできた上層の低気圧は、22日以降ほとんど同じ場所に停滞しました。それとともに、上層の偏西風の流れが北西から南東へ変わり、日本付近は寒気におおわれるようになりました。

 ●参考:1月19日から26日の09時の地上天気図(カッコ内は日立市役所における天気)

1月19日09時の地上天気図 1月20日09時の地上天気図 1月21日09時の地上天気図 1月22日09時の地上天気図
1月23日09時の地上天気図 1月24日09時の地上天気図 1月25日09時の地上天気図 1月26日09時の地上天気図

 ●参考:1月19日から26日の09時の500hPa面高層天気図

1月19日09時の500hPa面高層天気図 1月20日09時の500hPa面高層天気図 1月21日09時の500hPa面高層天気図 1月22日09時の500hPa面高層天気図
1月23日09時の500hPa面高層天気図 1月24日09時の500hPa面高層天気図 1月25日09時の500hPa面高層天気図 1月26日09時の500hPa面高層天気図

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作成日:2012/02/14
訂補日:2013/02/13
訂補日:2013/11/20
訂補日:2016/12/08
名前 日立市天気相談所