◇昨年に引き続き寒い1月

 日本の東で上層の気圧の谷が深まり、日本付近では冬型の気圧配置が続いて寒気の入る日が多くなりました。このため、関東地方では晴れて乾燥した天気が続き、気温も低くなりました。下旬の前半には本州付近が気圧の谷となり、一時的に曇りや雨の日が多くなり冷え込みも弱まりました。しかし、下旬の後半には日本付近で偏西風が南へ大きく蛇行して再び冬型の気圧配置が強まるとともに、強い寒気が南下してきて気温は一段と低くなりました。この結果、月平均気温は3.6℃と平年より1.0℃低くなりました。

 一方、冬型の気圧配置が続いて晴れる日が多かったため、月の日照時間は223.3時間と平年の117%になりました。これは、1月の日照時間としては2011年の227.3時間に次いで、日立市役所観測開始以来5番目に多い記録です。また、月の降水量は14日に南岸低気圧が急速に発達しながら通過して37.0mmの雨が降ったことから、54.5mmとほぼ平年並みになりました。

1月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 3.6 4.6
月降水量(mm) 54.5 49.6
月日照時間(時間) 223.3 191.3
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 3.7 5.1
中旬 3.3 4.5
下旬 3.9 4.3

 ●過去5年間の1月の気温(日立市役所と南部支所及び水戸)

1月平均気温(℃)
日立
市役所
南部
支所
水戸
(金町)
2009 5.3 4.5 4.0
2010 5.0 3.9 3.4
2011 2.9 2.2 1.9
2012 3.0 2.3 1.8
2013 3.6 3.1 2.7
平年値 4.6 3.0
冬日の日数
日立
市役所
南部
支所
水戸
(金町)
2009 13 21 21
2010 13 22 27
2011 23 28 29
2012 20 27 28
2013 17 23 27
平年値 16.6 24.7

 最初に述べたように、今年の1月の平均気温は平年よりも低くなり、2011年から3年連続して月平均気温が平年を下回りました。ただし、月平均気温が低かった割には朝の冷え込みが弱く、日最低気温が0℃未満(冬日)となった日数は17日とほぼ平年並みでした。なお、市内の南部支所では市役所よりも月平均気温が0.5℃低く、冬日の日数も23日と多くなりました。

 ●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2013年1月の日立市役所における日平均気温の推移 2013年1月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(1301data.xls:113KB

 冬型の気圧配置が続く中、14日は沿海州と東シナ海から本州上を上層の気圧の谷が位相をそろえて深まりながら東へ進みました。これに伴って、13日の朝に東シナ海で発生した低気圧が、急速に発達しながら本州の南を東北東へ進みました。下の850hPa面高層天気図に見るように、850hPaの0℃の等温線は本州南岸を東西に横切っており、下層の寒気はそれほど強いものではありませんでした。しかし、低気圧が陸地から比較的離れて進み、低気圧に伴う暖気が入らなかったこと及び内陸部の冷たい空気が低気圧の接近に伴って北から北北西の風となって関東地方南部へ吹き出したことから、関東地方南部では9時頃から気温が急速に下がりました。このため、未明から降り出していた雨が雪に変わり、夕方まで降り続きました。この結果、南部では北部よりも積雪が多くなり、横浜では最深積雪が13cmになりました。茨城県内でも、9時頃から11時頃にかけて急に気温が下がり、ほとんどの所で雨が雪に変わりました。特に、冷たい空気の通り道となった茨城県西部では積雪が多くなり、下妻市では最深積雪が14cmになりました。

 日立市役所における気温の推移を見ると、0時11分にこの日の最高気温7.5℃を記録した後、3時過ぎから北東の風が強くなり始めるとともに気温が下がり出しました。9時に2.0℃まで下がった後、気温の下がり方は鈍くなりました。しかし、その後も気温はゆっくりと下がり続け、14時59分にこの日の最低気温1.1℃を記録しました。その後、夕方から気温は徐々に上がり出し、夜には3℃近くまで上がりました。このため、3時頃から降り出した雨は、10時頃から雪が混じるようになり、14時前から16時にかけては雪に変わりました。その後は再び雪混じりの雨となり、18時過ぎには完全に雨となった後、19時には止みました。日立市役所では15時から16時に1cmの積雪を観測したものの、夕方以降は気温が上がったため17時には積雪はなくなりました。一方、山間部では氷点下の気温が続いたため、明け方から夕方にかけて雪が降り続き、積雪が10cmを超えました。

 また、低気圧が東北東へ進みながら急速に発達したため、関東地方南部では低気圧が近づいた夕方を中心に平均風速が15m/sを超える北から北北西の風が吹きました。日立市役所でも3時過ぎから北北東の風が徐々に強くなり、18時18分には最大風速10.0m/sを記録しましたが、関東地方南部のように平均風速が15m/sを超えることはありませんでした。低気圧が東へ遠ざかった23時過ぎには風は収まりました。

 ●14日の最深積雪(cm)

観測地点 最深積雪 観測地点 最深積雪
日立 1 宇都宮 3
大子 6 前橋 0
水戸 1 熊谷 4
鉾田 1 東京 8
つくば 3 千葉 8
下妻 14 横浜 13

 ※大子、鉾田、下妻は22時までの値

 ●1月14日の風速(m/s)

地点 最大平均風速 最大瞬間風速
風向 最大値 時刻 風向 最大値 時刻
日立市役所 北北東 10.0 18:18 北北東 20.1 17:40
南部支所 9.7 15:06 ** **.* **:**
会瀬 北北東 10.6 18:02 北北東 21.0 18:01
水戸 北北東 8.4 09:26 13.5 17:21

 ●1月14日の気温(℃)

 いずれの地点でも最低気温が15時前後に出ています。

地点 日平均気温 最高気温 最低気温
平均気温 平年値 気温 時刻 平年値 気温 時刻 平年値
日立市役所 3.5 4.6 7.5 00:11 9.3 1.1 14:59 0.3
南部支所 3.6 - 7.7 00:05 - 1.3 14:23 -
会瀬 3.6 - 7.6 00:05 - 1.1 14:36 -
水戸(金町) 3.1 3.0 6.9 03:24 8.9 0.7 15:50 -2.1

 ●1月14日の気温と風速の推移(10分値)

2013年1月14日の日立市役所と水戸の気温の推移(10分値) 2013年1月14日の日立市役所の風速の推移(10分値)

 ※上のグラフの元データ:130114da.xls(エクセル2000ファイル、370KB)

 ●1月15日朝の積雪の様子(市役所から北西を見る)

2013年1月15日朝の積雪の様子(市役所から北西を見る)

 ●参考:1月14日06時と13時のアメダスによる気温と風の分布

 ●参考:1月14日15時の地上天気図と09時の850hPa面高層天気図

2013年1月14日15時の地上天気図 2013年1月14日09時の850hPa面高層天気図

 ●参考:1月13日から15日の地上天気図

 低気圧の中心気圧は13日21時の1000hPaから14日21時には964hPaと24時間で36hPa低下し、急速に発達しました。

2013年1月13日09時の地上天気図 2013年1月13日21時の地上天気図 2013年1月14日09時の地上天気図 2013年1月14日21時の地上天気図 2013年1月15日09時の地上天気図

 ●参考:1月13日から15日の気象衛星赤外画像

 低気圧の発達に伴って、低気圧の北側に広がる雲が白さを増し(雲が発達し雲頂高度が高くなる)、雲の形も木の葉状からカンマ状に変化していきました。

2013年1月13日09時の気象衛星赤外画像 2013年1月13日21時の気象衛星赤外画像 2013年1月14日09時の気象衛星赤外画像 2013年1月14日21時の気象衛星赤外画像 2013年1月15日09時の気象衛星赤外画像

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作成日 2013/02/13
名前 日立市天気相談所