◇月後半に強い寒気が南下
月の初めは、日本海を発達しながら進んだ低気圧に向かって南から暖かい空気が入り気温が高くなりました。その後は、数日の周期で低気圧が通過し、低気圧の通過後は冬型の気圧配置となって気温は低くなりました。月の半ばは本州南岸を頻繁に低気圧が通過し、曇りや雨の日が多くなりました。下旬に入ると、日本付近で偏西風が南へ大きく蛇行し、上層から下層にかけて強い寒気が南下してきました。このため、冬型の気圧配置が強まり、晴れて乾燥した天気が続くとともに一段と気温が低くなりました。
旬別の平均気温をみると、上旬が5.7℃、中旬が3.2℃、下旬が2.9℃と春に近づくにつれて気温が低くなっていきました。この結果、月平均気温は4.0℃と平年より0.6℃低くなりました。一方、冬型の気圧配置になることが多かったことから、月の降水量は28.5mmと平年の半分になりました。ただ、月半ばに曇りや雨の日が多かったことから、月の日照時間は179.6時間(平年比104%)とほぼ平年並みになりました。
2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.0 4.6 月降水量(mm) 28.5 56.3 月日照時間(時間) 179.6 172.1
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 5.7 4.2 中旬 3.2 4.6 下旬 2.9 5.1
●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
今年の2月は、1日から6日にかけて連続して最高気温が10℃を超える暖かい陽気で始まりました。500hPa高度の1月31日から2月4日までの5日間平均(下の5日平均500hPa高度・偏差図)をみると、日本付近は偏西風が西から東へ流れるとともに高度の正偏差域に入り、南から暖かい空気が入りやすい気圧系となっていました。
しかし、6日に上層の気圧の谷が通過した後は大気の流れが変わり、日本付近で偏西風が南へ蛇行するようになりました。下の2月20日から24日までの5日平均500hPa高度・偏差図に見るとおり、日本付近は負偏差の領域に入り寒気の入りやすい気圧系となりました。特に、20日から26日にかけては強い寒気がシベリアから南下してきて日本の東へ進み、全国的に気温が低くなりました。
日立市役所でも、23日を除き19日から26日にかけて日最低気温が氷点下となりました。その中でも25日の朝は冷え込みが強まり、最低気温-5.2℃とこの冬最も低くくなりました。日立市役所で最低気温が-5℃未満となったのは、2006年2月4日の-5.5℃以来のことです。ただ、月の初めに暖気の入るときがあったことと季節風が強く吹いて冷え込みが弱い時があったことから、日最低気温0℃未満の日(冬日)の日数は14日とほぼ平年並みでした。
●過去10年間の冬季の気温の記録と冬日の日数(日立市役所)
月平均気温(℃) 年 前年
12月1月 2月 2004 7.5 4.4 6.2 2005 8.6 4.9 4.0 2006 4.7 3.6 5.1 2007 8.4 6.5 6.9 2008 7.6 4.3 4.0 2009 8.3 5.3 5.7 2010 7.5 5.0 4.4 2011 8.5 2.9 5.2 2012 5.6 3.0 3.6 2013 6.1 3.6 4.0 平年値 7.3 4.6 4.6
月最低気温(℃) 年 前年
12月1月 2月 2004 -2.1 -3.4 -2.7 2005 -0.7 -3.7 -2.6 2006 -3.1 -4.8 -5.5 2007 -0.2 -1.3 -1.8 2008 -0.3 -3.0 -3.8 2009 -3.4 -2.8 -1.9 2010 -1.9 -2.2 -3.3 2011 -0.5 -3.1 -2.2 2012 -2.2 -4.2 -4.4 2013 -2.6 -3.3 -5.2
冬日の日数 年 前年
12月1月 2月 計 2004 2 21 11 34 2005 4 19 14 37 2006 16 23 11 50 2007 2 5 8 15 2008 1 16 22 39 2009 5 13 6 24 2010 6 13 16 35 2011 1 23 10 34 2012 11 20 15 46 2013 8 17 14 39 平年値 6 17 14 37
最低気温(℃)の記録 順位 最低
気温年月日 時刻 1 -5.5 2006/02/04 06:32 2 -5.2 2013/02/25 05:54 3 -4.8 2006/02/05 02:52 3 -4.8 2006/01/06 07:04 5 -4.7 2000/02/25 06:06 ※月平均気温の青色で塗った欄は気温が平年以下の月を表す。
※月最低気温の青色で塗った欄は気温が-5℃未満を表す。
※最低気温の順位は数値の低い方から。
●参考:2月初めと下旬前半の5日平均500hPa高度・偏差図
※実線は等高度線、点線は等偏差値線、陰影域は負偏差を表す。
●参考:2月2日と24日10時の気象衛星可視画像
2日の気象衛星可視画像では、本州の南に寒冷前線の雲が帯状にのびています。一方、日本海には下層雲が残っているものの目立った雨雲はなく、晴天域が広がっています。これに対して24日の気象衛星可視画像では、日本海には寒気による筋状雲が一面に広がり、北日本では太平洋側にも雲が広がって寒気の強いことを示しています。
上で述べたように、22日から25日にかけて日本付近に強い寒気が入りました。つくばにおける高層気温の観測結果を見ると、高さ5500m付近(500hPa面)の気温は25日09時には-34.1℃まで下がりました。また、高さ1500m付近(850hPa面)の気温も25日09時には-12.9℃まで下がり、平年よりも10℃近く低くなりました。このため、24日と25日の関東地方では、晴れたにもかかわらず日中の気温は5〜8℃前後までしか上がりませんでした。
25日の朝になると、東海上の低気圧が日本のはるか東へ離れ冬型の気圧配置が緩んできました。しかし、関東地方の西部から南部では前日からのやや強い北西の季節風が残り、最低気温は一部の地点を除いて0℃〜-3℃近くまでしか下がりませんでした。一方、茨城県では25日の未明から朝にかけて風が弱まったために冷え込みが強まり、最低気温が-5℃未満となった所が多くなりました。25日の茨城県内の最低気温は、常陸大宮市上小瀬で-8.9℃、鉾田で-8.7℃、笠間で-8.4℃を記録しました。
日立市役所における気温の推移をみると、24日の日中は晴れたにもかかわらず最高気温は5.5℃(10時20分)までしか上がりませんでした。その後、日が暮れるとともに気温は下がり始め、18時前には氷点下の気温となりました。20時を過ぎると、気温は-2.5℃前後を横ばいで推移するようになりました。しかし、27日02時30分を過ぎると風速が1m/s未満となり、気温は再び下がり始めて05時54分には日最低気温-5.2℃を記録しました。
●2月24日から25日にかけての気温と風速の推移
●2月25日00時から08時にかけての気温と風速の推移(日立市役所:1分値)
●2月25日06時のアメダスによる気温と風の分布
●2月23日から25日にかけての09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2013/03/10
名前 日立市天気相談所