◇南西の風が吹き荒れ気温が上がる

　寒かった2月から一転して、3月は気温が高くなりました。2月下旬は日本付近で偏西風が南へ蛇行し、強い寒気が南下してきて気温が低くなりました。しかし、3月に入ると蛇行の位置が西へずれ、日本付近の上層では西南西からの流れになることが多くなりました。このため、南から暖かい空気が入りやすくなり、気温が上がりました。また、低気圧が日本海を進むようになり、南西の風が入って気温が著しく高くなる時がありました。

　下旬に入ると、シベリアからオホーツク海に上層の低気圧が停滞するようになり、日本付近の上層では南西からの流れが強まりました。この影響で関東地方の南が気圧の谷場となり、関東地方では湿った北東の風が入りやすくなって曇りや雨の日が多くなり気温も低くなりました。この結果、月平均気温は9.4℃と平年より2.2℃高くなりました。これは、3月の平均気温としては観測開始以来2002年の9.9℃に次いで2番目に高い気温でした。

　一方、上旬から中旬にかけて晴れる日が続いたことから、月の日照時間は195.7時間と平年（平年比109％）よりも多くなりました。反対に月降水量は70.5mmと平年（平年比66％）より少なくなりました。

3月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 9.4 7.2 月降水量（mm） 70.5 107.5 月日照時間（時間） 195.7 178.8

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 9.2 5.9 中旬 10.7 7.3 下旬 8.5 8.2

　上で述べたように、上旬から中旬にかけては低気圧が日本海を進むことが多く、関東地方では低気圧に吹き込む南西の風が強く吹く時がありました。さらに、低気圧が東海上へ抜けた後は一時的に冬型の気圧配置となり、北西の風が強く吹きました。このため、3月に日立市役所で最大平均風速が10m/sを超えた日は6日となり、3月の平均風速が10m/sを超えた日数としては1988年の6日以来の多い年となりました。そして、この6日の中で風速が最も強かったのは2日の最大平均風速14.5m/sで、2008年2月24日に記録した風速15.6m/s以来の強い風でした。

　この内、低気圧が日本海を進んで南寄りの強い風が吹いたのは1日、8日、10日、13日、18日の5日で、いずれも南から暖かい空気が入り気温が上がりました。特に、18日は下層へ非常に暖かい空気が入ったため、日立市役所では最高気温が24.9℃まで上がり、3月の気温としては2007年3月29日に記録した24.7℃を抜いて観測開始以来最も高くなりました。このように気温の高くなる日があったことから、上旬の平均気温は9.2℃、中旬の平均気温は10.7℃と平年より3.3℃及び3.4℃高くなり、それぞれ観測開始以来気温の高い方からの第1位と第2位の気温となりました。

　●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●3月の風速の推移と最大平均風速が10m/sを超えた日の記録

最大瞬間風速が15m/sを超えた日 日 最大平均風速(m/s) 最大瞬間風速(m/s) 風向 最大風速 時刻 風向 最大風速 時刻 1 南西 10.4 13:59 南西 18.3 13:58 2 西北西 14.5 08:03 西北西 24.8 08:00 10 西北西 11.8 15:39 北西 20.0 14:20 13 南西 11.4 15:40 南西 22.0 15:37 18 南西 12.6 13:11 南西 23.3 12:41 21 北西 12.2 01:59 北西 20.0 01:53

　●3月の気温の記録

　※順位は数値の高い方からで、1953年から2013年の統計。

　●最大平均風速が10m/sを超えた日の地上天気図と500hPa面高層天気図

◇2日、北海道付近で低気圧が発達し北西の風が強く吹く

　1日に日本海を東北東へ進んだ低気圧は、2日には北海道付近へ進み発達しました。このため、日本付近では一時的に冬型の気圧配置が強まり、北西の季節風が強く吹きました。関東地方でも未明から風が強まり、各地で最大平均風速が10m/sを超えました。気圧の谷の後ろからは強い寒気が南下してきて夕方以降気温が低くなったことと、低気圧が千島近海へ離れていったことから夜遅くには強い風は収まりました。各地の最大平均風速は、銚子で北西の風21.6m/s（18時14分）、下館で北西の風16.3m/s（07時39分）、成田で北北西の風15.5m/s（19時04分）を記録し、群馬県南部から茨城県西部、千葉県北部にかけて特に強い風が吹きました。

　日立市役所では、低気圧の南側に入った1日の12時過ぎから20時にかけて南西の風が強く吹き、13時59分には最大平均風速10.4m/sの南西の風を記録しました。その後、20時過ぎには寒冷前線が通過して、いったん強い風は収まりました。しかし、2日0時を過ぎると西北西の風が徐々に強まり、4時以降は平均風速10m/s前後の風が吹き続けました。さらに、8時前後には一時的に風が強まり、08時03分に最大平均風速14.5m/s、08時00分には最大瞬間風速24.8m/sのともに西北西の風を記録しました。その後、風はやや弱まりましたが、夕方にかけて平均風速で5〜8m/sの西北西の風が吹き続けました。17時を過ぎると風は弱まり、平均風速3m/s未満になりました。

　なお、水戸では1日は日立市役所と同じように南西の風が強まりました。しかし、2日は日立市役所のように強い風の吹くことはありませんでした。昼前後に風がやや強まり、13時21分に最大平均風速6.6m/sを記録しましたが、それ以外の時間帯は平均風速3〜4m/sで推移しました。

　●3月1日と2日の風の記録

　●3月1日から2日の風速と気圧の推移（日立市役所：10分値）

　※上のグラフの元データ：エクセル2000ファイル（130302da.xls、623KB）

　●3月1日から2日の日立市役所と水戸における平均風速の推移（10分値）

　●3月1日13時と2日08時のアメダスによる風の分布

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作成日 2013/04/09
名前 日立市天気相談所