◇後半は天気がぐずつき気温が低くなる
4日頃から日本の南で太平洋高気圧が勢力を強めて西へ張り出し、関東地方以西をおおうようになりました。このため、関東地方では晴れて暑い日が続くようになりました。しかし、15日に上層の気圧の谷が東日本を通過した後、気圧系が大きく変わり日本の東で偏西風が南へ蛇行するようになりました。これに伴って、地上ではオホーツク海高気圧が北日本から東日本へ張り出し、冷たい北東の風が入り気温が低くなりました。下旬にはオホーツク海高気圧の張り出しは弱まりましたが、偏西風の蛇行は続きました。このため、上層に寒気が入りやすく、大気の状態が不安定になって雷を伴うにわか雨の降る日が多くなりました。
この結果、月平均気温は23.2℃とほぼ平年並みになりました。一方、日照は平年とは逆に上旬から中旬にかけて晴れる日が多く、下旬は曇りや雨の日が続きました。このため、、月の日照時間は152.2時間と平年の117%になりました。また、月の前半は降水量が少なく、上旬の降水量は平年の28%、中旬は平年の46%しかありませんでした。しかし、下旬は雷を伴ったにわか雨の降ることが多く、降水量は平年の166%になりました。この結果、月降水量は116.5mmと平年の72%になりました。
7月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 23.2 23.0 月降水量(mm) 116.5 162.5 月日照時間(時間) 152.2 130.2
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 24.3 21.5 中旬 23.0 23.0 下旬 22.3 24.4
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 58.7 35.8 中旬 65.0 36.6 下旬 28.5 57.7
旬降水量(mm) 順位 観測値 平年値 上旬 17.5 61.6 中旬 26.0 56.9 下旬 73.0 44.0
気温の推移をもう少し詳しく見ると、4日までは日本の東の高気圧から下層へ冷たい空気が入り、気温は上がりませんでした。5日になると日本海へ前線がのびてくるとともに、日本の南で太平洋高気圧が西へ勢力を広げて暖かい空気におおわれるようになりました。このため、6日から12日にかけて最高気温が30℃を超えました。この後、最高気温が30℃を超えることがなかったため、今年の7月の真夏日の日数は7日となり、最近の5年間では最も少なくなりました。
15日に上層の気圧の谷が東日本を通過した後、オホーツク海高気圧が勢力を強めて北日本から東日本へ張り出してきて、太平洋側には冷たい北東の風が入るようになり気温が大きく下がりました。特に、17日の最高気温は21.5℃までしか上がらず、6月上旬並みの気温でした。23日以降は日本海に低気圧が停滞するようになり、オホーツク海高気圧の影響は弱まりました。しかし、低気圧の停滞に伴って上層へ寒気が入るようになり、天気がぐずつきました。このため、最低気温は平年並みに戻りましたが、最高気温と平均気温は平年より低い状態が続きました。また、オホーツク海高気圧の張り出しや天気のぐずつきに伴って北東の風の吹くことが多くなりました。その結果、7月の風向頻度分布における北東の風の割合は24.1%と平年の2倍になりました。
●最近5年間の7月の気温の記録
平均気温(℃) 年 最高気温 2009 23.6 2010 25.0 2011 25.0 2012 23.6 2013 23.2
月最高気温(℃) 年 日 時分 最高気温 2009 13 14:47 34.1 2010 28 10:48 33.0 2011 4 14:53 34.4 2012 17 11:45 33.2 2013 6 14:20 32.9
気温の日数 年 真夏日 熱帯夜 2009 9 0 2010 12 0 2011 10 1 2012 11 3 2013 7 0 平年値 6.5 0.3
●7月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●7月の日立市役所における日照時間の推移と風向頻度分布
※上のグラフの元データ:1307data.xls(エクセル2000ファイル、109KB)
●参考:7月6日と17日09時の地上天気図及び500hPa面高層天気図
6日と17日の500hPa面高層天気図を比べてみると、太平洋高気圧の張り出しと偏西風の流れ方に違いが見られます。7日の場合、偏西風は北緯40度付近を流れています。一方、太平洋高気圧は日本の南海上を西へ張り出し、関東地方以西をおおっています。17日も偏西風は北緯40度線付近を流れていました。しかし、偏西風の一部が分離して寒冷渦となり、北海道の東に停滞しました。また、太平洋高気圧は勢力を弱めて西日本をおおうだけになり、関東地方はオホーツク海高気圧の勢力下にはいりました。
◇寒冷渦に伴う激しい雷雨
26日の夜から27日にかけて、寒冷渦が日本海から関東地方を通過して東海上へ進みました。これに伴って、上層寒気の先端に当たる寒冷渦の南東側、東北地方南部から関東地方で大気の状態が非常に不安定となり、雷雲が発達しました。このため、関東地方では局地的に雷を伴った激しい雨が降りました。つくばにおける高層観測の結果をみると、高さ5500m付近(500hPa面)の気温は26日21時の-4.5℃から27日21時には-7.4℃まで下がりました。一方、下層の850hPaの気温は26日21時が18.6℃、27日21時が18.1℃と、あまり変わらなかったため、上層との気温差が大きくなり大気の状態が不安定になりました。
27日の関東地方では、昼過ぎに栃木県から群馬県北部で雷雲が発生し、発達しながら南東へ進みました。雷雲は夕方に関東地方南部まで進んだ後、向きを東から北東へ変えて千葉県から茨城県を通過して22時過ぎには東海上へ抜けました。この雷雲の影響で、栃木県大田原では17時06分に1時間最大降水量87.0mm、同じく鹿沼では16時30分に74.0mm、群馬県伊勢崎では18時00分に63.0mmの非常に激しい雨が降りました。
日立市では、19時30分頃から21時過ぎにかけて発達した雷雲の西端が通過しました。雷雲の中心は日立市の東海上を北上していきましたが、その西の端が市の南部を通過したため、久慈町の日立港湾事務所では19時30分から20時30分の1時間に86mmの非常に激しい雨が降りました。雷雲の規模は小さく、比較的早い速度で北東へ移動していったため雨の降っていた時間は短く、総降水量は87mmと多くはなりませんでした。日立市の観測地点である南部支所(日立港湾事務所の西約1600mに位置する)における1時間降水量のこれまでの記録は、1999年10月27日20時59分に記録した84.5mmです。今回はこの時同じ程度の激しい雨の降り方でした。なお、市の北部から西部では総降水量が21.0mm(北部消防署)から28.0mm(十王交流センター)と、南部に比べると1/4程度の降水量でした。
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※南部支所は電源の故障により欠測。
●参考:7月27日の降水レーダー図
北東へ進む雨雲の変化
降水レーダー図 7月27日19時50分〜21時20分 |
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●参考:参考:7月27日18時00分と21時00分の降水レーダー図
●参考:参考:7月27日18時と21時のアメダスによる降水量の分布
●参考:7月27日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2013/08/08
名前 日立市天気相談所