◇晴れる日が多く日射が強かった5月

 日本付近を低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は周期的に変化しました。ただ、偏西風の蛇行が大きく、寒冷渦が周期的に通過して雷やにわか雨の降る日がありました。中旬と下旬の後半には下層へ暖かい空気が流れ込んできたことから、気温がかなり高くなりました。この結果、月平均気温は17.3℃と平年より1.2℃高くなりました。にわか雨の降った日を除くと高気圧におおわれて晴れる日が続いたことから、月の日照時間は224.8時間(平年比137%)と平年よりかなり多くなりました。しかし、寒冷渦による寒気の影響で大気の状態が不安定になる日があり、昨年5月の日照時間243.0時間ほどは多くなりませんでした。一方、寒冷渦に伴ってにわか雨の降る日があったことから、月の降水量は164.0mm(平年比108%)とほぼ平年並みになりました。

5月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.3 16.1
月降水量(mm) 164.0 152.5
月日照時間(時間) 224.8 163.9
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 15.5 15.3
中旬 17.6 15.8
下旬 18.6 17.1
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 73.6 55.8
中旬 77.2 48.1
下旬 74.0 59.9

 ●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2014年5月の日立市役所における日平均気温の推移 2014年5月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●5月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

2014年5月の日立市役所における日最高気温の推移 2014年5月の日立市役所における日照時間の推移

 今年の5月は、初めに述べたように高気圧におおわれて晴れる日が多くなり、日照時間は平年をかなり上回りました。ただ、寒冷渦の影響でにわか雨の降る日があったことから、5月の日照時間としては多い方から8番目の記録でした。しかし、平年に比べると比較的空気が乾燥していたことから、月の日射量は631.0MJ/m2(平年比120%)と平年を大きく上回りました。これは、5月の日射量としてはこれまでで最も多かった昨年2013年5月の683.3/m2に次いで、観測開始以来最2番目に多い記録になりました。

 ●5月の平均気温(℃)と日照時間(時間)及び日射量(MJ/m2)の記録

平均気温
順位 平均気温
1 1961 18.3
2 1982 17.8
2 1999 17.7
4 1998 17.6
5 2009 17.4
6 2014 17.3
日照時間
順位 平均気温
1 1982 244.9
2 2013 243.0
3 1974 242.1
4 1967 241.9
- -
8 2014 224.8
日射量(多い方)
順位 日射量
1 2013 683.3
2 2014 631.0
3 2005 607.4
4 1983 607.1
5 1982 603.4
日射量(少ない方)
順位 日射量
1 1997 395.8
2 1995 417.9
3 1996 452.0
3 1992 452.0
5 2006 470.0

 ※順位は値の大きい方または小さい方からで、1953年から2013年の統計(日射量は1982年から)。


◆下旬に入って気温が高くなる

 22日から23日かけて寒冷渦が東日本を通過したのに伴い、関東地方には一時的に強い寒気が入りました。このため、23日の日立市では最高気温が15.5℃までしか上がらず。日平均気温も13.0℃と4月中旬から下旬並みの陽気となりました。寒冷渦が日本の東へ進んだ24日からは下層へ暖気が入るようになり、気温は平年より高くなりました。特に、27日頃からアムール川下流付近に次の寒冷渦が停滞するようになると、この寒冷渦の南側を回る形で下層へ中国大陸から暖かい空気が流れ込むようになりました。この暖気の影響で、内陸部を中心に最高気温が30℃を超えるところが多くなりました。

  茨城県内でも、30日は古河で最高気温31.7℃を、同じく笠間で31.2℃を記録するなど、県内15観測所の内8地点で最高気温が30℃を超えました。また、31日は大子で最高気温33.5℃を、同じく古河で32.1℃を記録し、県内15観測所の内11地点で最高気温が30℃を超えました。ただ、日立市を含めて沿岸部では東寄りの風が入り、気温は内陸部ほどは上がりませんでした。日立市役所における30日の最高気温は27.1℃、31日の最高気温も27.7℃で、気温が30℃を超える日はありませんでした。

 23日と31日の天気図を比べてみると、地上天気図では両日とも本州付近は日本海または西日本に中心を持つ高気圧におおわれており、大きな違いはありません。しかし、850hPa面の高層天気図をみると、大きな違いがあります。23日の場合は、日本の東へ進んだ寒冷渦の西側を回る形で、本州上へ北から寒気が流れ込んでいます。このため、つくばの850hPaの気温は09時で5.1℃と平年(10.2℃)より5℃近く低くなっています。一方、31日の場合は中国東北区に中心を持つ暖気から本州付近へ暖かい空気が流れ込み、つくばの850haの気温は15.8℃まで上がっています。この後、中国東北区の暖気は東へ進み、6月初めには北海道の上空へ達しました。このため、北海道では6月上旬は気温の高い日が続き、特に3日、4日は最高気温が35℃を超えました。

 ●今年の日最高気温(℃)の記録(高い方から:5月31日現在)

日立市役所
順位 最高
気温
月日 時刻
1 27.7 05/31 09:46
1 27.7 05/25 14:30
3 27.1 05/30 12:29
南部支所
順位 最高
気温
月日 時刻
1 28.4 05/25 14:03
2 27.9 05/30 12:04
3 27.6 05/31 09:43
会瀬
順位 最高
気温
月日 時刻
1 27.8 05/31 14:59
1 27.8 05/25 14:24
3 26.6 05/30 13:45
水戸
順位 最高
気温
月日 時刻
1 30.4 05/30 14:12
2 30.3 05/31 13:17
3 29.4 05/14 14:03

 ●5月23日の気温(℃)の記録

地点 日平均気温 最高気温 最低気温
平均気温 平年値 気温 時刻 平年値 気温 時刻 平年値
日立市役所 12.9 16.8 15.5 13:17 20.8 11.2 05:07 13.0
南部支所 13.5 - 16.5 12:37 - 11.5 04:53 -
会瀬 13.0 - 16.2 14:14 - 11.4 05:03 -
水戸(金町) 14.6 17.2 20.0 13:22 21.9 12.2 02:51 12.8

 ●5月31日の気温(℃)の記録

地点 日平均気温 最高気温 最低気温
平均気温 平年値 気温 時刻 平年値 気温 時刻 平年値
日立市役所 22.7 17.6 27.7 09:46 21.5 18.0 04:47 14.1
南部支所 22.5 - 27.6 09:43 - 16.9 04:19 -
会瀬 22.4 - 27.8 14:59 - 17.6 01:46 -
水戸(金町) 23.4 18.2 30.3 13:17 22.8 17.2 03:14 14.1

 ●参考:5月30日から31日の気温の推移(10分値)

2014年5月30日から31日の気温の推移(10分値)

 ●参考:5月31日15時のアメダスによる気温と風の分布

2014年5月31日15時のアメダスによる気温の分布 2014年5月31日15時のアメダスによる風の分布

 ●参考:5月23日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図

2014年5月23日09時の地上天気図 2014年5月23日09時の850hPa面高層天気図

 ●参考:5月31日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図

2014年5月31日09時の地上天気図 2014年5月31日09時の850hPa面高層天気図

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作成日 2014/06/11
名前 日立市天気相談所