◇周期的に寒気が入り、気温が低くなる
低気圧が数日の周期で日本付近を通過した後、強い冬型の気圧配置となる日が多くありました。そして、低気圧の通過に伴って断続的に強い寒気が流れ込んだため、暖かった11月から一転して平年よりも気温の低い日が多くなりました。この結果、月平均気温は6.1℃と平年より1.2℃低くなりました。一方で、低気圧が頻繁に通過して周期的に天気が崩れ、冬型の気圧配置が続かなかったことから、月の日照時間は187.0時間(101%)とほぼ平年並みになりました。また、月降水量は68.0mm(平年比157%)と平年より多くなりました。
12月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 6.1 7.3 月降水量(mm) 69.0 43.3 月日照時間(時間) 187.0 184.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 7.6 8.7 中旬 5.4 7.1 下旬 5.3 6.2
旬日照時間(時間)s 旬 観測値 平年値 上旬 62.9 56.5 中旬 52.2 59.3 下旬 71.9 68.9
●12月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●12月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
4日夜に上層の気圧の谷が日本付近を通過した後、北から強い寒気が南下してきました。この寒気の影響で、関東地方では5日の夕方から気温が下がり始め、6日の朝はほとんどの地点で今季の最低気温を記録する冷え込みとなりました。日立市役所でも、6日の03時17分には最低気温-0.3℃を記録し、今季初めての冬日となりました。これは、平年の冬日初日(12月14日)より8日早く、昨年(12月24日)より18日早い記録でした。
なお、11月から12月にかけての日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均、最低気温とも日立市役所が最も高くなっています。また、市役所より北側の十王交流センターと北部消防署は日立市役所に次いで気温の高い地点になっています。反対に市役所よりも南側の諏訪広場と南部支所は水戸と同じ程度の気温で、市内でも気温の低くい方になっています。そして、山間部の本山と西部支所は市内で最も気温が低く、平均気温は日立市役所よりも3〜4℃低くなっています。
●2010年から2014年の12月の気温と冬日の日数
年 日立市役所 南部支所 水戸(金町) 気温 冬日の
日数気温 冬日の
日数気温 冬日の
日数月平均 月最低 日最低の
月平均月平均 月最低 日最低の
月平均月平均 月最低 日最低の
月平均2010 8.5 -0.5 4.5 1 7.4 -2.8 2.6 9 7.3 -2.8 2.3 8 2011 5.6 -2.2 1.6 11 4.8 -5.2 0.2 19 4.4 -5.9 -0.6 20 2012 6.1 -2.6 2.1 8 4.8 -4.7 0.0 17 4.5 -5.0 -0.4 19 2013 7.2 -1.3 3.1 3 5.9 -4.0 0.8 15 5.5 -4.4 0.0 17 2014 6.1 -2.0 2.0 8 4.3 -4.8 -0.5 21 4.6 -5.0 -0.1 19 平年値 7.3 - 2.8 5.8 - - - - 5.4 - 0.2 16.2 ●平均気温と今年の秋以降の最低気温(℃)及び冬日の日数
地点 平均気温 最低気温 冬日の日数 11月 12月 気温 日 時刻 11月 12月 日立市役所 13.2 6.1 -2.0 12/27 06:18 0 8 十王交流センター 12.5 5.4 -3.5 12/27 06:53 0 13 北部消防署 11.6 4.7 -3.6 12/27 05:03 0 17 本山(中学校跡) 9.7 2.4 -5.4 12/27 04:57 0 24 西部支所 10.0 2.1 -6.4 12/28 05:13 1 28 諏訪スポーツ広場 11.1 3.9 -3.8 12/28 02:18 0 21 南部支所 11.9 4.3 -4.8 12/28 06:51 0 21 上記7地点平均 11.4 4.1 - - - 0.1 18.9 日立会瀬 13.3 6.0 -2.5 12/28 05:24 0 9 水戸 11.9 4.6 -5.0 12/28 06:48 0 19 ※最低気温は、11月1日から12月31日までの最低気温を示す。
◇日立市内の風による気温の違い(31日)
26日の夜に上層の気圧の谷が北日本を通過して東へ抜けた後、北日本から東日本へ強い寒気が流れ込んできました。このため、関東地方では27日と28日の朝は冷え込みが強まり、内陸部を中心に最低気温は-3から-7℃まで下がって今季の最低気温を記録したところが多くなりました。28日の午後には寒気は東へ抜け、気温は上がってきました。しかし、冬型の気圧配置が緩んで風が弱まりよく晴れたため、南部を除いて朝の最低気温は0℃未満となる日が続きました。
そのような中で、日立市役所では31日の明け方に北西の風がやや強く吹いた影響で、一時的に気温が上昇する現象が見られました。30日の夜から31日朝にかけての日立市役所における気温の推移を見ると、30日の夕方から31日の1時過ぎにかけては他の地点と同じように気温は下がっていきました。しかし、31日2時前から西寄りの風がやや強く吹き始めると、一転して気温は上昇し始めました。1時50分に3.0℃まで下がった気温は、4時30分には6.6℃まで上がりました。その後、風が弱まるにつれて気温は下降し始め、7時5分には3.4℃まで下がりました。日立市役所から南へ2km離れた地点にある日立会瀬ではさらに気温の上昇が大きく、1時00分に1.9℃まで下がった気温は5時00分には7.7℃まで上がりました。これは、この時間の関東地方では最も高い気温となっています(下のアメダスによる気温分布図参照)。
日立市役所以外の市内の気温の推移をみると、日立市役所より北に位置する北部消防署と十王交流センターでは同じように気温の上昇が見られました。ただ、上昇の度合いは小さく、気温が5℃を超えることはありませんでした。また、日立市役所の南西4kmに位置する諏訪広場では、上昇の度合はさらに小さく、1℃程の上昇しか見られませんでした。一方、南部支所と西部支所では気温の上昇はなく、水戸やつくばと同様に31日の朝にかけて気温は下がり続け、最低気温は明け方から朝に出ています。なお、山間部にある本山では気温の変動はほとんどなく、30日の夜から31日の朝にかけて気温はほぼ横ばいで推移しました。
今回のように、西寄りの風が強まると日立市役所では気温が上昇します。今年の8月から始めた市内の気温の観測によると、日立市役所より北側の地域でも市役所ほど顕著ではないものの気温の上昇が見られました。一方、南部や西部では気温の上昇は見られず、水戸と同じように朝の冷え込みがありました。
●12月31日0時〜6時の日立市内の気温(℃)
地点 |
0時 | 1時 | 2時 | 3時 | 4時 | 5時 | 6時 | 7時 |
日立市役所 | 3.8 | 3.1 | 3.2 | 4.2 | 5.5 | 6.1 | 5.5 | 3.5 |
十王交流センター | 2.5 | 2.1 | 1.9 | 1.9 | 4.3 | 3.8 | 2.8 | 2.4 |
北部消防署 | 2.2 | 2.0 | 0.9 | 2.4 | 2.8 | 3.9 | 3.2 | 1.0 |
本山(中学校跡) | -0.5 | -0.6 | -0.4 | -0.2 | -0.2 | -0.2 | -0.6 | -0.5 |
西部支所 | -1.2 | -1.1 | -1.0 | -1.3 | -1.2 | -1.4 | -1.4 | -1.8 |
諏訪広場 | 0.6 | 0.5 | 0.3 | 0.7 | 1.6 | 1.8 | 0.5 | 0.0 |
南部支所 | 0.9 | 0.6 | 0.2 | -0.4 | -0.6 | -1.2 | -0.4 | -0.7 |
会瀬 | 2.3 | 1.9 | 5.3 | 6.3 | 7.1 | 7.7 | 7.1 | 5.3 |
水戸(金町) | 2.7 | 0.4 | 1.0 | 0.4 | -0.6 | -0.1 | -0.4 | -1.0 |
※、茶色の塗りつぶしは気温が3℃以上、赤色の塗りつぶしは5℃以上を示す。
●12月30日から31日にかけての気温の推移その1(日立市内の7観測地点)
●12月30日から31日にかけての気温の推移その2(日立と水戸、つくばの比較)
●12月31日0時00分〜7時30分の気温と風速の推移(1分値)
●12月31日01時00分と04時30分の市内の気温の分布
●参考:12月31日01時と05時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:12月30日21時と31日06時の地上天気図
作成日 2015/01/13
名前 日立市天気相談所