◇冬型の気圧配置が続かず、天気のぐずつく時がある
月の前半は冬型の気圧配置となる日が多く、晴れて乾燥した天気が続きました。特に、上旬は時々強い寒気が南下し、気温が低くなりました。しかし、月の後半になると冬型の気圧配置は長続きせず、たびたび低気圧が本州付近を通過しました。低気圧の接近に伴って暖かい空気が流れ込んだため、気温の高くなる日がありました。このため、上旬の平均気温は4.7℃と平年より0.4℃低くなったのに対し、中旬の平均気温は5.0℃、下旬の平均気温は4.8℃と、いずれも平年より0.5℃高くなりました。この結果、月平均気温は4.8℃とほぼ平年並みになりました。
一方、月の前半は晴れる日が続いて降水量も少なくなりました。しかし、後半は低気圧の影響で曇りや雨の日が多くなったことから、月の降水量は64.5mm(平年比130%)と平年より多くなりました。日照時間は、上旬から中旬にかけて平年より20%近く多くなったものの、下旬は平年より20%近く少なくなったことから、月の日照時間は198.7時間(平年比104%)と平年並みになりました。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.8 4.6 月降水量(mm) 64.5 49.6 月日照時間(時間) 198.7 191.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 4.7 5.1 中旬 5.0 4.5 下旬 4.8 4.3
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 71.3 61.2 中旬 74.7 59.1 下旬 52.7 71.2
●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●1月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
1月の平均気温は2011年以降平年より低い年が続いていましたが、今年は低気圧が頻繁に通過して暖気が入りやすかったことから、5年ぶりに月平均気温が平年を上回りました。また、低気圧が日本の東で発達して強い風の吹くことが多かったことから、最低気温があまり下がりませんでした。今年の1月の日最低気温0℃未満の冬日の日数は13日と、最近5年間で最も少なくなりました。また、冷え込みが強まらなかったことから、日最低気温が-2℃未満となった日は2日しかありませんでした。なお、南部支所では昨年よりも月平均風速が弱くなったため、日最低気温-2℃未満の日数は昨年とあまり変わりませんでした。
●過去5年間の1月の気温の記録(日立市役所と南部支所及び水戸)
1月平均気温(℃) 年 日立
市役所南部
支所水戸
(金町)2011 2.9 2.2 1.9 2012 3.0 2.3 1.8 2013 3.6 3.1 2.7 2014 4.5 3.4 3.0 2015 4.8 3.6 3.7 平年値 4.6 − 3.0
冬日の日数 年 日立
市役所南部
支所水戸
(金町)2011 23 28 29 2012 20 27 28 2013 17 23 27 2014 16 26 26 2015 13 22 22 平年値 16.6 − 24.7
最低気温-2℃未満の日数 年 日立
市役所南部
支所水戸
(金町)2011 9 22 24 2012 10 16 22 2013 6 15 18 2014 5 15 22 2015 2 14 12 平年値 5.7 - -
1月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなっています。次いで、もっとも北に位置する十王交流センターが高くなっています。北部消防署と南部支所は水戸と同じ程度の気温で、本山、西部支所、諏訪広場は気温の低い方になっています。また、月最低気温は西部支所の-6.4℃が最も低く、次いで本山、南部支所、北部消防署の順となっており、南部支所と北部消防署は最低気温でも水戸と同じ程度に冷え込む地点となっています。
●1月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 4.8 13.5 06 13:57 -2.4 02 07:07 十王交流センター 4.3 14.0 06 13:49 -3.6 02 05:41 北部消防署 3.5 12.6 06 13:54 -4.5 29 06:54 本山(中学校跡) 1.5 12.7 27 12:44 -6.0 02 05:42 西部支所 2.0 13.8 27 13:37 -6.4 02 06:37 諏訪広場 2.9 12.1 27 14:01 -4.1 02 06:31 南部支所 3.6 13.9 06 14:26 -4.9 10 06:33 日立会瀬 4.7 13.4 06 14:39 -3.3 02 07:05 水戸(金町) 3.7 15.7 06 13:21 -4.6 02 07:29
◇下旬の天気のぐずつき(上旬の冬型の気圧配置との比較)
上層の大気の流れをみると、月の後半は上層の気圧の谷が華中から東シナ海、本州付近へ進むことが多く、本州の上層では西南西から湿った空気が流れ込みやすくなりました。また、東へ抜けた高気圧の西側を回り、南からも湿った空気が入ることがあり、関東地方ではぐずついた天気の続くことがありました。21日から23日前半にかけてもこのような気圧配置となり、日立市では弱い雨が降ったり止んだりする天気が続きました。
気圧系の動きをみると、20日に移動性高気圧が東北地方を通過して東海上へ抜けた後、21日の朝には上層の気圧の谷が華中へ進んできました。このため、本州の上層では西南西からの流れに変わり、湿った空気が流れ込んできました。また、東へ抜けた高気圧の西側を回り、南からも湿った空気が入るようになったため、関東地方では他の地域よりも早く雨雲が広がり始めました。日立市では21日未明から雲が広がり、16時前から22時過ぎにかけて弱い雨が降りました。
22日には上層の気圧の谷が本州上へ進んでくるとともに、地上低気圧が本州南岸を東北東へ進みました。このため、日立市では曇りの天気が続き、11時から20時にかけては弱い雨が降りました。つくばにおける高さ1500m付近の気温を見ると、20日21時の-3.9℃から21日21時には0.6℃まで気温が上がり、気圧の谷の前面に向かって南から暖かい空気が入ってきたことを示しています。この暖気の影響で、22日は夜にかけて徐々に気温が上がっていき、雪になることはありませんでした。しかし、南岸を進む低気圧に向かって吹き込む北東の風の影響で、日中も気温は上がりませんでした。
低気圧は23日未明に関東地方の南を通過し、朝には三陸沖へ進みました。日立市では0時から4時にかけて弱い雨が降った後、10時頃から晴れ間が広がり始め、昼には3日ぶりの晴れの天気となりました。その後も気圧系の動きは早く、上層の気圧の谷が短い周期で本州付近を通過し、25日の夕方から28日に朝にかけては曇りで時々雨の降る天気が続きました。また、30日は北日本を上層の気圧の谷が通過したため、29日の昼過ぎから雲が広がり、30日は1日雨や雪が降り続きました。
●参考:1月21日と22日09時の500hPa面高層天気図
●参考:1月20日から23日09時の地上天気図
●参考:1月20日から23日10時の気象衛星可視画像
冬型の気圧配置の例として、9日の天気図及び気象衛星画像と比較してみると、上層の大気の流れに大きな違いのあることが分かります。9日の地上天気図では千島近海に低気圧、華中に高気圧があり、日本付近は冬型の気圧配置となっています。一方、500hPa面の高層天気図を見ると、千島近海に寒冷渦があり、日本付近の上層では西北西からの風が吹いています。また、気象衛星可視画像では日本海に寒気による筋状雲が広がっています。ただし、筋状雲の離岸距離は大きく、冬型の気圧配置は弱まる傾向にあることを示しています。なお、冬型の気圧配置が弱まる傾向にあることから、済州島と屋久島から南東方向へ渦状の雲(カルマン渦)の発生が見られます。
●参考:1月9日10時の気象衛星可視画像と拡大画像
●参考:1月9日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2015/02/09
名前 日立市天気相談所