◇帯状高気圧におおわれて晴れる日が多く、降水量が少なくなる

　月の前半は千島近海で上層の気圧のが深まり、日本付近に寒気が流れ込み気温が低くなりました。14日に上層の気圧の谷が日本の東へ抜けた後、本州の上層では偏西風が西から東へ流れるようになり、大陸から下層へ暖かい空気が入って気温は平年を上回るようになりました。この結果、月平均気温は17.0℃とほぼ平年並みになりました。

　一方、地上では東西に勢力を広げる移動性高気圧におおわれ、晴れる日が多くなりました。月の日照時間は184.8時間（平年比122％）と平年より多くなりました。反対に、月の降水量は37.0mm（平年比21％）と平年よりかなり少なくなりました。これは、10月の降水量としては日立市役所観測開始以来最も少ない記録です。

10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 17.0 16.8 月降水量（mm） 37.0 173.3 月日照時間（時間） 184.8 151.2

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 18.1 18.4 中旬 17.3 17.0 下旬 15.7 15.0

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 66.3 43.0 中旬 59.8 49.1 下旬 58.7 59.1

　●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●10月の日立市役所における日平均湿度と日照時間の推移

　上旬と下旬の気圧配置を比較すると、上層の偏西風の流れが異なっていました。一例として、10月6日と27日の500hPa面高層天気図を比較してみました。6日は、日本付近を上層の気圧の谷が東へ進んでおり、偏西風が南へ蛇行して北からの寒気が本州上へ流れ込んでいます。一方、地上では東西に広がる高気圧におおわれ、晴れの天気が続きました。このように、偏西風が北西から南東へ流れることが多かったことから空気が乾燥しました。上旬の平均湿度は66％と平年より11％低くなりました。

　27日は、中国東北区に寒冷渦があり、本州の上層では偏西風が西から東へ流れています。一方、地上では日本の東に中心を持つ高気圧におおわれ、晴れの天気が続きました。前半を中心に乾燥した空気におおわれたことと、高気圧におおわれ本州付近を低気圧が通過することが少なかったことから、降水量が少なくなるとともに雨の降る日も少なくなりました。1mm以上の降水があった日は5日と、10月としては1977年の4日に次いで少なくなりました。ただし、関東地方に限ってみると上層の気圧の谷の通過時に雲が広がることがあり、10月の日照時間としては観測開始以来9番目に多い値でした。

　※降水量と降水日数の順位は数値の少ない方から、日照時間の順位は数値の多い方からで1953年から2015年の統計。

　●参考：10月6日と27日09時の地上天気図及び500hPa面高層天気図

◇10月の日立市内の気温と降水量

　10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターが市役所とほぼ同じ気温でした。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は15.2℃で、9月より4.6℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は16.8℃と日立市の平均よりも1.6℃高く、9月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。

　一方、月の降水量の市内平均は42.8mmで、9月の平均降水量278.2mmよりも230mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は9月とほぼ同じで、最も降水量の多かった十王交流センターの55.0mmに対して、最も少なかった南部支所は30.0mmと1.8倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量42.8mmに対して、水戸の月降水量は31.5mmと10mm程少なくなりました。

　●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

10月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.0 26.3 02 12:15 7.2 26 04:13 十王交流センター 16.7 26.5 02 12:35 6.1 26 05:56 北部消防署 15.7 25.5 02 12:48 5.3 26 05:33 本山（中学校跡） 13.1 22.9 03 13:08 2.6 26 05:53 西部支所 13.5 24.2 03 13:53 0.9 26 05:48 諏訪広場 14.1 23.4 02 12:14 3.4 26 04:42 南部支所 16.2 26.3 02 13:23 5.1 26 06:31 上記7地点の平均 15.2 - - - - 日立会瀬 17.1 26.2 02 12:06 6.3 26 05:56 水戸（金町） 16.8 26.9 03 12:49 4.2 26 05:57

10月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 37.0 13.0 02 12.5 02 05:54 十王交流センター 55.0 17.5 01 16.5 02 05:48 北部消防署 41.5 16.5 01 14.0 02 06:00 本山（中学校跡） 53.5 18.5 02 18.0 02 05:44 西部支所 45.0 16.5 02 15.5 02 05:41 諏訪広場 37.5 13.0 02 12.5 02 05:50 南部支所 30.0 10.5 02 10.0 02 05:51 上記7地点の平均 42.8 - - - - 日立会瀬 36.0 12.0 02 11.0 02 05:52 水戸（金町） 31.5 10.0 02 9.0 02 05:47

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇関東地方だけ雨が降る（10月16日から17日）

　初めに述べたように、今年の10月は移動性高気圧におおわれ全国的に晴れる日が続きました。ただ、関東地方だけは上層の気圧の谷の通過に伴って雲が広がることがありました。特に、16日にから17日にかけては全国的に晴れた中で、関東地方だけ雨が降りました。

　16日に朝鮮半島付近へ進んできた上層の気圧の谷は動きが遅く、17日に中国地方を通過して18日の昼前にようやく関東地方の東へ抜けました。この間、地上では東西に広がる高気圧が日本付近をおおいました。このため、大部分の地域では晴れの天気が続きました。しかし、関東地方だけは下層の東風の上に上層の南西風が乗り上げる形となり、15日の夜から下層雲が広がり始めました。上層の気圧の谷の動きが遅かったことから、この下層雲は17日にかけて関東地方にかかり続けました。

　日立市では15日の夜から下層雲がかかり始め、16日は昼前から弱い雨が降ったり止んだりする天気が続きました。この雨は、17日の9時過ぎまで続きました。その後、17日の昼前から昼過ぎにかけては晴れ間が広がりました。しかし、夕方以降は再び雲が広がりました。上層の気圧の谷は18日の昼前には関東地方の東へ抜け、上層の流れが西北西からの流れに変わるとともに乾燥した空気が入ってきました。このため、18日の未明には雲は消え、朝から晴れの天気となりました。

　16日は一日雲におおわれて冷たい北東の風も入ったことから、日中は気温はほとんど上がりませんでした。日立市役所における16日の最高気温は16.9℃で、11月中旬並みの気温でした。反対に、最低気温は15.1℃と平年より1.8℃高く、一日の気温差は1.8℃しかありませんでした。

　●10月16日の気温（℃）

　●10月15日から17日の日立市内の気温の推移（10分値）

　●参考：10月16日09時の地上天気図と10時の気象衛星可視画像

　●参考：10月16日09時の500hPa面高層天気図と気象衛星水蒸気画像

　●参考：10月15日〜18日の気象衛星可視画像（昼）と赤外画像（夜）

　15日に房総半島の南で発生した下層雲が、16日の朝にかけて北へ広がり関東地方をおおった。なお、15日の夜は上層雲が本州南岸を東へ進んだため、関東地方にかかる下層雲は判別しにくくなっている。

　●参考：10月15日〜18日09時の地上天気図

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作成日 2015/11/10
名前 日立市天気相談所