◇冬型の気圧配置は長続きせず、中旬は気温が高くなる
上旬後半から中旬前半にかけては冬型の気圧配置が強まり、晴れて乾燥した天気が続くとともに気温も平年よりやや低くなりました。中旬後半からは低気圧が日本海を通るようになり、南から暖気が入って気温の高くなる時がありました。この結果、月平均気温は5.4℃と平年より0.8℃高くなり、昨年に引き続き気温が平年より高くなりました。また、低気圧が日本海や日本の南を離れて進み、日降水量が10mm以上となる日がなかったことから、月降水量は22.0mm(平年比39%)と平年より少なくなりました。反対に、月の日照時間は197.1時間(平年比115%)、日照率は65.3%と平年より多くなりました。
2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 5.4 4.6 月降水量(mm) 22.0 56.3 月日照時間(時間) 197.1 172.1 日照率(%) 65.3 56.5
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 4.8 4.2 中旬 5.9 4.6 下旬 5.6 5.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 61.6 62.9 中旬 76.8 59.5 下旬 58.7 48.4 ※下旬の日照時間の平年値は、各年の2月21日〜28日の合計値の30年平均。
●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●2月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
今年の2月は、一時的に強い寒気の入ることがあったものの、平均すると寒気の影響は弱く、月の後半は南から周期的に暖気が流れ込んだことから、日立市役所では冷え込みが強まりませんでした。2月の冬日の日数は10日と平年より4日少なく、過去6年間では昨年(2015年)に次いで少なくなりました。また、月最低気温は12日の-1.6℃までしか下がらず、観測開始以来1979年2月の最低気温-1.4℃に次いで高い気温でした。
また、12月から2月までの冬季の期間で見ても、今年の冬は昨年に続いて暖かい冬になりました。月平均気温は、12月から2月まですべて平年を上回りました。冬日の日数も12月から2月の合計で29日と、平年より8日少なくなりました。
●過去6年間の冬季の気温と冬日の日数(日立市役所)
月平均気温(℃) 年 前年
12月1月 2月 2012 5.6 3.0 3.6 2013 6.1 3.6 4.0 2014 7.2 4.5 3.9 2015 6.1 4.9 4.4 2016 8.6 5.1 5.7 2017 8.7 4.9 5.4 平年値 7.3 4.6 4.6
月最低気温(℃) 年 前年
12月1月 2月 2012 -2.2 -4.2 -4.4 2013 -2.6 -3.3 -5.2 2014 -1.3 -2.9 -5.4 2015 -2.0 -2.4 -2.9 2016 -1.3 -2.7 -2.1 2017 -1.4 -3.5 -1.6
冬日の日数 年 前年
12月1月 2月 計 2012 11 20 15 46 2013 8 17 14 39 2014 3 16 14 33 2015 8 13 12 33 2016 2 10 9 21 2017 5 14 10 29 平年値 6 17 14 37 ※月平均気温の青色で塗った欄は気温が平年以下の月を表す。
※月最低気温の青色で塗った欄は気温が-5℃未満を表す。
◇2月の日立市内の気温と降水量
2月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。北部消防署と南部支所も、日立市内の平均を上回りました。一方、本山、西部支所、諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は3.5℃で、水戸の月平均気温4.9℃よりも1.4℃低くなりました。1月と比較すると、日立市の平均気温は0.8℃高くなりました。一方、水戸の平均気温は1.3℃高くなり、水戸の方が気温の上がり方が大きくなっています。なお、日立市内で水戸よりも平均気温が高かったのは、日立市役所だけでした。
月の降水量の市内平均は20.0mmで、1月の平均降水量30.0mmよりも10mm少なくなりました。観測地点の間の差は1月よりも小さくなり、最も降水量の多かった十王交流センターの23.0mmに対して、最も少なかった北部消防署と西部支所は18.0mmと1.3倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量20.0mmに対して、水戸の月降水量は23.5mmとほぼ同じになりました。
●日立市内と水戸の2月の気温と降水量の観測結果
2月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 5.4 19.6 17 13:57 -1.6 12 05:10 十王交流センター 4.8 20.1 17 15:12 -2.9 14 04:54 北部消防署 4.0 18.9 17 14:10 -3.0 22 02:34 本山(中学校跡) 1.5 17.0 17 14:06 -6.8 11 05:39 西部支所 1.8 18.2 17 15:13 -6.9 12 06:13 諏訪広場 3.0 17.7 17 15:00 -4.6 13 06:31 南部支所 4.1 19.3 17 14:40 -4.7 11 06:55 上記7地点の平均 3.5 - -
- -
日立会瀬 5.5 20.1 17 15:02 -1.9 13 05:04 水戸(金町) 4.9 20.2 17 14:29 -3.8 14 06:14
2月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 22.0 7.0 09 3.0 20 18:00 十王交流センター 23.0 9.0 09 3.5 23 05:30 北部消防署 18.0 6.0 09 3.0 23 05:24 本山(中学校跡) 19.0 9.5 09 3.0 09 08:50 西部支所 18.0 9.5 09 2.5 20 18:54 諏訪広場 19.5 7.5 09 3.0 20 18:45 南部支所 20.5 7.5 09 3.5 20 18:08 上記7地点の平均 20.0 - -
- - 日立会瀬 22.0 7.0 09 2.5 23 05:19 水戸(金町) 23.5 10.5 09 5.0 20 18:08
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇17日と23日の日本海低気圧による気温分布の違い
今月の後半、17日、20日、23日と3日ごとに低気圧が日本海を進み、関東地方では南西の風が強まり気温が上がりました。低気圧は日を追うごとに進路が南寄りになり、これに伴って関東地方における南西の風の入り方と気温の上がり方に違いが見られました。日立市内でも、地点によって南西の風の入り方と気温の上がり方に違いがあったので、17日と23日の気温と風速の推移を比べてみました。
17日の場合は、沿海州からオホーツク海へ進んだ低気圧から南西へのびる寒冷前線が、17日の朝から夜にかけて日本海から本州南岸へ南下しました。寒冷前線の南側に沿って気圧傾度が大きくなったため、関東地方では南西の風が強まるとともに全域で気温が上がりました。17日の関東地方における最大瞬間風速は、神奈川県小田原で南西の風26.1m/s、千葉県成田で南南西の風25.2m/sなど、関東地方南部を中心に南西の風が強く吹きました。また、最高気温は、東京都青梅で23.8℃、茨城県常総で22.0℃など、東京都から埼玉県、茨城県、栃木県にかけて20℃を超えました(千葉県と神奈川県では、最高気温が20℃を超えた地点はありませんでした)。
23日の場合は、低気圧が山陰沖から佐渡島付近を通って三陸沖へ進み、低気圧から南西へのびる寒冷前線が昼過ぎに関東地方を通過しました。関東地方では、南部を中心に南西の風が強まり気温が上がりました。一方、内陸部では南西の風に変わることはなく北西の風が吹き続けました。ただし、寒冷前線が通過した後、晴れたことと北西の風に伴うフェーン現象が起きたことから、気温は上がりました。23日の関東地方における最大瞬間風速は、千葉県勝浦で南南西の風28.1m/s、千葉で南南西の風25.9m/sなど、千葉県を中心に南西の風が強く吹きました。また、最高気温は群馬県伊勢崎で20.6℃、神奈川県小田原で20.5℃など、各地で20℃近くまで上がりました。
日立市では、17日は8時から16時過ぎにかけて西南西の風が強く吹き、市役所では11時42分には最大瞬間風速18.8m/sの西南西の風を記録しました。また、南西の風が強くなり始めた8時頃から気温も上がり、市役所では13時57分に最高気温19.6℃を記録しました。これは平年よりも10℃近く高く、5月上旬並みの陽気でした。市役所以外の地点でも南西の風が吹いて気温は17〜20℃まであがりました。
23日は、市役所では明け方から13時頃にかけて西南西の風がやや強く吹きました。市役所における最大瞬間風速は10時09分の西南西の風12.7m/sでした。ただ、昼過ぎまで雨が降っていたため、気温の上がり方は鈍くなりました。しかし、寒冷前線が通過した後は晴れてきたことと北西の風に伴うフェーン現象の影響で気温が上がり、日最高気温は15時25分に記録した14.8℃になりました。市役所以外の地点では、20日と同様に諏訪広場から十王交流センターにかけての沿岸部では南西の風が入りました。しかし、南部支所では南西の風が入らず、一日西北西の風が吹きました。ただ、寒冷前線通過後の北西の風に伴うフェーン現象の影響で、気温は山間部を除いて13〜16℃まで上がりました。
このように、17日は低気圧が離れて進んだたため、関東地方では全域で南西の風が吹いて気温も上がりました。日立市内でも、地点による違いはありませんでした。23日は低気圧が関東地方の近くを進んだため、南部沿岸部では南西の風が強まり気温も上がりました。しかし、内陸部では北西の風が吹き続け、気温は上がりませんでした。ただし、寒冷前線が通過した後は晴れてきてフェーン現象が起き、気温が上がりました。日立市内でも、市役所以北の沿岸部では南西の風が入り気温が上がりましたましたが、それ以外の地点では寒冷前線の通過前は気温が上がりませんでした。
●2月17日と23日の最高気温(℃)
地点 | 17日 | 23日 | ||
最高気温 | 時刻 | 最高気温 | 時刻 | |
日立市役所 | 19.6 | 13:27 | 14.8 | 1525 |
十王交流センター | 20.1 | 15:12 | 16.3 | 15:43 |
北部消防署 | 18.9 | 14:10 | 13.7 | 15:11 |
本山(中学校跡) | 17.0 | 14:06 | 10.2 | 15:06 |
西部支所 | 18.2 | 15:13 | 12.4 | 15:41 |
諏訪広場 | 17.7 | 15:00 | 13.1 | 15:40 |
南部支所 | 19.3 | 14:40 | 14.6 | 16:00 |
日立会瀬 | 20.1 | 15:02 | 15.2 | 15:52 |
水戸(金町) | 20.2 | 14:29 | 13.8 | 16:10 |
つくば | 20.2 | 13:48 | 14.5 | 15:24 |
千葉 | 18.2 | 12:12 | 18.3 | 13:05 |
※日立会瀬、水戸(金町)、つくば、及び千葉は気象庁の観測地点。
●2月17日と23日の最大風速(m/s)
地点 | 17日 | 23日 | ||||||||||
最大 風速 |
風向 | 時刻 | 最大瞬 間風速 |
風向 | 時刻 | 最大 風速 |
風向 | 時刻 | 最大瞬 間風速 |
風向 | 時刻 | |
日立市役所 | 10.0 | 西南西 | 11:51 | 18.8 | 西南西 | 11:42 | 7.9 | 西南西 | 10:10 | 12.7 | 西南西 | 10:09 |
十王交流センター | 5.3 | 南西 | 11:59 | 12.0 | 西南西 | 12.40 | 3.8 | 南西 | 10:08 | 9.9 | 西南西 | 08:15 |
北部消防署 | 7.6 | 南西 | 12:07 | 14.7 | 南西 | 10:28 | 6.3 | 南西 | 10:20 | 12.3 | 南南西 | 08:39 |
西部支所 | 4.3 | 西北西 | 13:31 | 10.8 | 西北西 | 12:11 | 9.8 | 南 | 11:31 | 13.3 | 南西 | 11:59 |
諏訪広場 | 6.5 | 南西 | 11:52 | 14.6 | 南西 | 11:50 | 4.0 | 北西 | 20:52 | 10.0 | 西北西 | 24:00 |
南部支所 | 9.1 | 西南西 | 12:21 | 16.6 | 南西 | 13:49 | 5.3 | 西北西 | 13:48 | 9.4 | 西北西 | 23:21 |
日立会瀬 | 8.4 | 西南西 | 1151 | 14.9 | 南西 | 14:05 | 6.1 | 南西 | 09:00 | 12.6 | 北西 | 21:03 |
水戸(金町) | 8.1 | 南西 | 12.04 | 16.4 | 南西 | 12:51 | 4.5 | 北北西 | 23:46 | 9.6 | 北北西 | 23:43 |
つくば | 11.3 | 南南西 | 12:58 | 20.1 | 南西 | 12:55 | 3.3 | 北西 | 14:51 | 6.5 | 南西 | 00:27 |
千葉 | 15.4 | 南西 | 13.40 | 22.6 | 南西 | 13:32 | 16.5 | 南西 | 12:34 | 25.9 | 南南西 | 12:22 |
※日立会瀬、水戸(金町)、つくば、及び千葉は気象庁の観測地点。
●2月17日と23日の気温と風速の推移(10分値)
●2月17日と23日の日立市内の気温と風速の推移(10分値)
●2月17日12時と23日11時のアメダスによる気温と風の分布
●2月17日と23日の地上天気図と850hPa面高層天気図
作成日 2017/03/14
名前 日立市天気相談所