◇中旬まで気温の高かった7月
月の初めは、梅雨前線が日本海から東北地方南部に停滞して曇りや雨の日が続きました。5日に台風第3号が本州南岸を東へ進んだ後、気圧系が変わり南海上で太平洋高気圧が勢力を強めて北西へ張り出し、本州付近をおおうようになりました。このため、上旬半ばから中旬にかけて晴れる日が多くなりました。17日に北日本を低気圧が東へ進んだ後、再び気圧系が変化して日本付近で偏西風が南へ蛇行するようになりました。23日に上層の気圧の谷が北日本を通過した後、本州南岸が気圧の谷場となり、月の終わりにかけて曇りや雨の日が多くなりました。上旬から中旬にかけて晴れる日が多かったことから、月の日照時間は143.0時間(平年比110%)と、ほぼ平年並みになりました。反対に、月の降水量は86.5mm(平年比53%)と平年より少なくなりました。一方、太平洋高気圧の張り出しに伴って南から下層へ暖かい空気が入ったため、月平均気温は25.2℃(平年比+2.2℃)と、平年よりかなり高くなりました。
7月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 25.2 23.0 月降水量(mm) 86.5 162.5 月日照時間(時間) 143.0 130.2
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 24.7 21.5 中旬 25.9 23.0 下旬 25.0 24.4
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 61.5 35.8 中旬 54.7 36.6 下旬 26.8 57.7 ※7月14日09時〜19時の日照時間は機器移設のため、アメダス日立の観測値を使用。
●7月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●7月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
◇7月の日立市内の気温と降水量
7月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが市役所とほぼ同じ気温でした。一方、山間部にある本山と海岸沿いの北部消防署は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は23.7℃で、水戸の月平均気温26.2℃よりも2.5℃低くなりました。また、日立市内の平均気温との差は、6月よりも大きくなり、日立市内7か所の観測地点における平均気温は6月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は117.4mmで、6月の平均降水量90.3mmよりも30mm近く多くなりました。観測地点の間の差は6月よりも大きくなり、最も降水量の多かった西部支所の231.5mmに対して、最も少なかった南部支所は54.5mmと4.2倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量117.4mmに対して、水戸の月降水量は104.0mmと10%ほど少なくなりました。これは、25日に日立市の西部を中心に雷雨により1時間に68.0mmの激しい雨が降った影響で、日立市内の平均降水量が多くなったためです。
●7月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
7月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 25.2 31.7 16 12:12 20.3 07 03:54 十王交流センター 24.7 32.2 17 13:16 19.6 07 04:47 北部消防署 22.7 29.9 16 12:04 17.6 05 05:36 本山(中学校跡) 22.5 30.7 10 11:48 16.9 19 04:51 西部支所 23.6 31.8 09 12:46 17.1 07 04:53 諏訪広場 23.3 32.0 17 13:09 17.8 07 04:53 南部支所 24.2 31.5 17 13:20 19.2 19 02:46 上記7地点の平均 23.7 - -
- -
日立会瀬 24.9 32.3 17 14:29 19.7 19 02:37 水戸(金町) 26.2 34.9 22 14:38 20.4 19 05:13
7月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 86.5 34.5 25 23.0 25 23:00 十王交流センター 97.5 44.0 25 22.0 25 23:43 北部消防署 103.0 32.5 25 17.0 25 23:05 本山(中学校跡) 158.0 71.5 25 52.0 25 22:52 西部支所 231.5 100.0 25 68.0 25 22:45 諏訪広場 91.0 38.5 25 30.5 25 22:55 南部支所 54.5 16.5 04 10.0 18 00:10 上記7地点の平均 117.4 - -
- - 日立会瀬 84.5 33.5 25 26.0 25 23:07 水戸(金町) 104.0 35.5 04 21.5 26 01:57
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇中旬を中心に晴れて気温が高くなる
初めに述べたように、今年の7月は上旬半ばから中旬にかけて太平洋高気圧におおわれて下層へ南から暖気が入ったことから、晴れて気温が高くなりました。月平均気温は25.2℃と平年より2.2℃高くなり、7月の気温としては観測開始以来第4位の高い気温でした。ただし、例年に比べて南西の風が強く吹くことがなかったため、最高気温はあまり上がりませんでした。月最高気温は31.7℃で、過去7年間では2016年7月に次いで低い気温でした。また、日最高気温の月平均値も28.4℃と、高い方からの順位としては観測開始以来第11位の記録でした。一方で、暖かい空気におおわれたことから最低気温は下がりませんでした。月最低気温は20.3℃、日最低気温の月平均値は22.5℃と、どちらも観測開始以来最も高い気温となりました。
また、過去7年間の観測結果と比べてみると、真夏日(日最高気温30℃以上の日)の日数は5日と平年(7.1日)を下回り、最近の7年間では昨年2016年の1日に次いで少なくなりました。反対に、夏日の日数は29日と平年(19.4日)を大きく上回り、最近の7年間では2011年の29日と並んで多くなりました。また、7月の夏日の日数としては、観測開始以来1978年と2001年の30日に次いで多い記録でした。
なお、月の降水量は86.5mmと、最近の7年間では昨年2016年の43.5mmに次いで少なくなりました。これは、25日夜から26日未明にかけての局地的な雷雨による降水量49.0mmを含んだもので、これを除いた降水量は37.5mmとなり、昨年(2016年)と並んで雨の少ない7月でした。
●7月の気温(℃)の記録
月平均気温 順位 年 平均気温 1 2001 25.9 2 1955 25.5 3 1978 25.4 4 2017 25.2 4 2000 25.2
日最低気温の月平均 順位 年 平均最低気温 1 2017 22.5 2 1978 22.5 3 2011 22.2 4 1967 22.1 5 1955 22.0
月最低気温 順位 年 最低気温 1 2017 20.3 2 1994 19.0 3 2014 18.7 4 1978 18.6 5 2000 18.3 ※順位は気温の高い方からで、1953年〜2017年の統計
●過去7年間の7月の気象観測値の比較
観測要素 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 平年値 月平均気温(℃) 25.0 23.6 23.2 23.7 24.6 23.6 25.2 23.0 最高気温(℃) 34.4 33.2 32.9 33.9 35.2 31.1 31.7 - 最低気温(℃) 17.2 16.2 17.1 18.7 17.3 17.6 20.3 - 真夏日の日数(日) 10 11 7 7 12 1 5 7.1 夏日の日数(日) 29 22 19 23 24 25 29 19.4 降水量(mm) 215.5 135.0 116.5 146.5 179.5 43.5 86.5 162.5 降水量1mm以上の日数 9 12 11 11 12 6 10 12.1 日照時間(時間) 201.2 171.2 152.2 180.9 148.8 117.7 143.0 130.2
15日と26日の気象衛星可視画像と地上及び高層の天気図を比べてみると、太平洋高気圧の勢力の違いが分かります。15日の500hPa面高層天気図を見ると、5880mの等高度線で表される太平洋高気圧は東海上から西へ張り出し、本州付近をおおっています。これに対応して、気象衛星可視画像では日本付近は晴れの領域に入り、梅雨前線に対応する雲は日本海から朝鮮半島を通り東シナ海へのびています。
一方、26日の500hPa面高層天気図を見ると、偏西風が南へ蛇行して北日本にかかっており、5880mの等高度線で表される太平洋高気圧は華中に中心を移して勢力も弱まっています。これに対応して、気象衛星可視画像では梅雨前線に対応する雲が関東地方から近畿、中国地方を通り対馬海峡へのびています。
●7月15日10時の気象衛星可視画像
●参考:2017年7月15日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:7月26日10時の気象衛星可視画像
●参考:2017年7月26日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
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作成日 2017/08/09
名前 日立市天気相談所