◇中旬以降、天気がぐずつく
上旬前半は、東海上を北上する台風第15号と寒気の影響で、曇りや雨の降る日が続きました。その後は、高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化しました。この結果、月の日照時間は148.5時間(平年比111%)と平年並みになりました。特に、下旬は移動性高気圧が本州上を通ることが多く、日照時間は64.1時間と平年の154%になりました。一方、近畿から北陸地方を北上した台風第18号や本州付近を低気圧がやや発達しながら通過することがあったため、月の降水量は208.0mm(平年比116%)と、平年より多くなりました。
上旬は下層へ寒気が引き込まれ、気温が低くなりました。しかし、8日に気圧の谷が通過した後は気圧系流れが変わり、下層へ時々暖気が入るようになりました。このため、気温は平年並みからやや高めに経過しました。この結果、月平均気温は21.2℃と平年より0.4℃高くなりました。
9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 21.2 21.8 月降水量(mm) 208.0 178.8 月日照時間(時間) 148.5 134.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 20.9 23.6 中旬 22.4 21.9 下旬 20.2 19.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 38.9 49.9 中旬 45.5 42.8 下旬 64.1 41.6
●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●9月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
このように、極端に暖気が流入することがなかったことから、台風第18号の通過に伴うフェーン現象により気温が上昇した18日を除いて、最高気温が30℃を超える日はありませんでした。今年の夏は、7月の下旬から天気がぐずつき気温の上がらない日が多かったため、昨年に引き続き真夏日の日数が少なくなっています。10月以降、真夏日となる日がなかった場合、年間の真夏日の日数は13日となり、2009年の12日以来の少ない日数となります。
なお、上旬後半から良く晴れて冷え込みが強まることがなかったため、最低気温はなかなか下がりませんでした。29日になって大陸からの移動性高気圧におおわれたことにより、晴れて風が弱まったことから冷え込みが強まり、ようやく最低気温が12.1℃まで下がりました。8月1日以降に初めて日最低気温が15℃を下回った日は昨年より1日早くなったものの、平年よりは3日遅くなりました。
|
|
|
※最低気温15℃未満初日は、その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃未満となった日。
◇9月の日立市内の気温と降水量
9月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターと最も南に位置する南部支所が高くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は19.7℃で、8月より3.2℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は21.6℃と日立市の平均よりも1.9℃高く、8月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。また、日立市内7か所の観測地点の平均気温は、8月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は193.1mmで、8月の平均降水量67.7mmよりも130mm近く多くなりました。観測地点の間の差は8月よりわずかに大きくなり、最も降水量の多かった本山の261.0mmに対して、最も少なかった南部支所は143.0mmと1.8倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量193.1mmに対して水戸の月降水量は126.0mmと、70mm近く少なくなりました。
●9月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
9月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 21.2 33.8 18 12:29 12.1 29 04:57 十王交流センター 21.0 33.5 18 11:52 11.8 29 05:41 北部消防署 19.7 31.3 18 10:51 10.7 29 05:50 本山(中学校跡) 17.6 29.5 18 13:00 7.9 29 05:41 西部支所 18.6 30.5 18 12:33 8.2 29 06:08 諏訪広場 18.9 31.6 18 12:11 9.5 29 05:07 南部支所 20.7 33.3 18 13:27 11.4 29 04:51 上記7地点の平均 19.7 - -
- -
日立会瀬 21.4 33.4 18 12:54 12.3 29 04:16 水戸(金町) 21.6 34.5 18 13:26 12.5 29 06:30
9月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 208.0 73.5 28 29.0 28 08:12 十王交流センター 217.5 80.5 17 24.0 28 08:32 北部消防署 182.0 69.5 28 30.0 28 08:17 本山(中学校跡) 261.0 95.0 17 32.5 28 08:23 西部支所 154.0 46.0 28 18.5 28 08:34 諏訪広場 186.5 65.0 28 25.5 28 08:13 南部支所 143.0 56.5 28 16.5 28 08:24 上記7地点の平均 193.1 - -
- - 日立会瀬 196.0 71.0 28 28.0 28 08:14 水戸(金町) 126.0 51.0 28 11.0 28 04:22
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇台風の進路による気温の違い(9月2日と18日)
2日から3日にかけて、台風第15号が本州の東海上を北北東へ進みました。その後、17日から18日にかけては、台風第18号が近畿から北陸地方を通り東北地方の日本海沿岸を北上しました。二つの台風とも日立市からは離れて通過したため直接の影響はなく、風や雨が強まることはありませんでした。ただ、台風の進路の違いにより、気温が大きく異なりました。台風第15号は日立市の東側を北上したことから台風の西側を南下する冷たい空気が入り、日平均気温が平年より4℃近く低くなりました。反対に、台風第18号は日立市の西側を進んだことから台風の東側を北上する暖気が入り、日平均気温は平年より4℃近く高くなりました。
●9月2日と18日の風と降水量の記録(日立市役所)
9月2日(台風第15号) 最大平均風速:北東 8.0m/s(10時01分) 最大瞬間風速:北東14.9m/s(10時11分) 降水量:0.5mm |
9月18日(台風第18号) 最大平均風速:南西 9.2m/s(06時48分) 最大瞬間風速:南西16.5m/s(06時35分) 降水量:67.5mm(17日06時〜18日06時) |
台風第15号は、8月30日から9月1日にかけて小笠原諸島付近で停滞した後、2日から3日にかけて本州の東海上を北上しました。台風の西側の沿海州から黄海には、大陸から移動してきた高気圧が停滞していました。台風の北上につれて、高気圧から台風に向かって冷たい空気が引き込まれるようになり、日立市では31日から気温が低くなりました。特に、台風が関東地方の東を通過した2日から3日にかけては地表付近に一段と冷たい空気が入ったため、気温が下がりました。2日の平均気温は19.5℃と平年より4.6℃低く、9月下旬並みの気温でした。また、3日の朝の最低気温は15.6℃まで下がり、10月上旬並みの冷え込みとなりました。
一方、台風第18号は17日11時30分頃に鹿児島県南九州市付近に上陸した後、四国から近畿、北陸地方を通過して東北地方の日本海沿岸を北上し、18日には北海道へ進みました。台風の東側に南から暖気が流れ込んできたため、日立市では17日の夕方から気温が上がり始めました。18日には南西の風が吹いてフェーン現象が起きるとともに晴れたことから一段と気温が上がり、日立市役所では最高気温33.8℃を記録しました。これは、今年になっての最高気温です。また、日平均気温も25.8℃と平年より4.4℃高くなり、平年の最も暑い時期を上回りました。
●9月2日と18日の日立市内と水戸の気温
|
|
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
●9月2日から3日の気温の推移
●9月17日から18日の気温の推移
●参考:9月2日15時と18日13時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:9月2日と18日09時の地上天気図
●参考:9月2日と18日09時の850hPa面高層天気図
作成日 2017/10/11
名前 日立市天気相談所