◇太平洋高気圧の勢力が強く、上旬を中心に気温が高くなる
上旬と下旬は高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変化しました。中旬は本州南岸に前線が停滞し、曇りや雨の天気が続きました。また、前線に向かって北から下層へ寒気が入り、気温が低くなりました。この結果、月平均気温は16.0℃と平年より0.8℃低くなりました。中旬にぐずついた天気となった他に、下旬には二つの台風が上陸または接近して雨の降る日が続いた時があったため、月の日照時間は101.5時間(平年比67%)と平年よりかなり少なくなりました。さらに、二つの台風に伴って200mmを超える雨が降ったことから、月降水量は312.0mm(平年比180%)と平年より多くなりました。
10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 16.0 16.8 月降水量(mm) 312.0 173.3 月日照時間(時間) 101.5 151.2
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 18.6 18.4 中旬 14.8 17.0 下旬 14.6 15.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 42.3 43.0 中旬 17.4 49.1 下旬 41.8 59.1
●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●10月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の10月の日照時間は、10月の日照時間としては観測開始以来少ない方からの順位が第5位でした。これは、1994年10月以来23年ぶりの少ない値でした。また、降水量も10月としては観測開始以来多い方からの順位が第5位でした。月の降水量が300mmを超えたのは、2004年の478.0mm以来13年ぶりです。2004年10月は、二つの台風が続けて関東地方を通過しました。そして、今年と同様に台風の前面に停滞していた前線の影響で台風が接近する前から雨が降り、降水量が多くなりました。天気のぐずつきが続いたことから、1mm以上の降水日数も16日と、月の半分以上の日で雨が降り、観測開始以来3番目に多い記録でした。
●10月の日照時間(時間)と降水量(mm)の記録
10月の日照時間 順位 年 日照時間 1 1961 71.4 2 1991 84.9 3 1956 87.1 4 1994 99.7 5 2017 101.5 平年値 151.2
10月の降水量 順位 年 降水量 1 2004 478.0 2 1991 475.0 3 2001 356.0 4 1979 339.0 5 2017 312.0 平年値 173.3
1mm以上降水日数 順位 年 降水日数 1 1992 17 1 1991 17 3 2017 16 3 1989 16 3 1956 16 平年値 10.5 ※日照時間の順位は数値の少ない方から、降水量と降水日数の順位は数値の多い方からで1953年から2017年の統計。
◇10月の日立市内の気温と降水量
10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターと最も南に位置する南部支所が高くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は14.4℃で、9月より5.3℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は15.8℃と日立市の平均よりも1.4℃高く、9月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。ただ、9月までと異なり、日立市役所だけは水戸よりも気温が高くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は286.0mmで、9月の平均降水量193.1mmよりも200mm近く多くなりました。観測地点間の差は9月より小さくなり、最も降水量の多かった本山の347.5mmに対して、最も少なかった西部支所は230.0mmと1.5倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量286.0mmに対して、水戸の月降水量は332.5mmと50mm近く多くなりました。
●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
10月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 16.0 26.5 03 14:44 5.9 31 01:31 十王交流センター 15.5 27.0 03 14:49 4.5 31 05:36 北部消防署 14.4 24.1 03 14:43 4.3 31 04:25 本山(中学校跡) 12.5 23.9 03 14:32 1.7 31 04:37 西部支所 13.4 25.7 03 14:53 1.3 31 05:55 諏訪広場 13.8 24.8 03 14:45 2.9 31 03:12 南部支所 15.2 26.6 03 15:35 2.7 31 06:21 上記7地点の平均 14.4 - -
- -
日立会瀬 16.1 26.5 03 14:29 5.3 31 05:49 水戸(金町) 15.8 27.4 03 15:06 3.9 31 05:44
10月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 312.0 98.0 22 20.0 23 02:20 十王交流センター 311.0 112.0 22 25.0 23 02:26 北部消防署 268.0 102.5 22 24.5 23 02:27 本山(中学校跡) 347.5 105.0 22 21.0 23 03:20 西部支所 230.0 66.0 22 15.5 23 02:31 諏訪広場 270.0 76.5 22 21.0 23 03:10 南部支所 263.5 75.5 22 21.5 23 03:12 上記7地点の平均 286.0 - -
- - 日立会瀬 327.0 100.0 22 20.0 23 02:20 水戸(金町) 332.5 79.5 29 21.0 29 16:18
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇台風第21号が日立市付近を東北東へ進む(10月23日)
10月16日03時にカロリン諸島で発生した台風第21号は、発達しながらフィリピンの東海上を北上し、21日には超大型で非常に強い勢力となりました。その後、しだいに速度を上げて日本の南を北上し、22日夜には紀伊半島の南へ進み、23日03時頃に静岡県御前崎市付近に上陸しました。その後、伊豆半島から関東地方を北東に進み、08時前に日立市付近を通過して09時には福島県沖に抜け、23日15時に北海道の東で温帯低気圧に変わりました。
本州の南に停滞する前線の影響で、関東地方では19日から曇りで時々雨の降る天気が続いていました。台風が沖縄の東へ北上してきた21日の午後になると、台風の東側を北上する湿った空気の影響で前線が本州南岸まで北上してくるとともに、前線の活動が活発になりました。このため、関東地方では21日の午後から雨が連続して降るようになりました。台風が東海地方に近づいてきた23日未明には前線の雨雲は東北地方まで北上し、かわって台風を取り巻く雨雲が関東地方にかかってきました。発達した雨雲は台風の北側から西側に広がっていたため、東京都西部から神奈川県にかけては1時間降水量30mmを超える激しい雨が降りました。関東地方における21日0時から23時24時までの降水量は、東京都大島で354.0mm、東京都八王子で348.0mm、神奈川県相模原中央で333.0mmなどでした。
前線が北上するにつれて、関東地方では沿岸部を中心に22日の朝から北東の風が強まりました。台風が東海地方に近づいてきた23日未明からは、南部から南寄りの風に変わり始め、台風が関東地方を通過した朝にかけて強く吹きました。台風が東海上へ進んだ後、夕方にかけては西寄りの風がやや強く吹きました。島しょ部を除いた関東地方における最大瞬間風速は、千葉県勝浦で南南西の風39.5m/s(23日06時01分)、銚子で南の風39.4m/s(23日04時25分)、館山で南の風37.3m/s(23日04時36分)でした。
日立市でも、前線の活動が活発になってきた21日の夜から雨が連続して降るようになりました。特に、台風が本州の南へ進んできた22日の午後からは、1時間に6mm前後の雨が降り続くようになりました。前線が東北地方へ北上した23日0時には雨はいったん弱まりました。しかし、台風が東海地方へ近づいてきた1時過ぎから台風の北側の雨雲がかかり、3時過ぎにかけて一時的に強い雨が降りました。台風が東海上へ抜けた8時過ぎには雨は止み、昼前には晴れてきました。日立市役所における21日0時から23日09時までの総降水量は154.5mmでした。日降水量としては、1日雨の降り続いた22日の降水量98.0mmが最も多くなりました。市内の他の観測地点も、日立市役所同じような雨の降り方でした。ただ、北東の風に伴って雨が降ったことから、日立市役所より北の沿岸部で降水量が多くなりました。
一方、風は前線の北上につれて22日の明け方から夕方にかけて、北東の風がしだいに強まっていきました。前線が東北地方へ北上した23日4時には、風はいったん弱まりました。その後、風向が北東から南、北西へと変わっていくとともに、風は再び強まりました。台風の中心が通過した07時40分に風が弱まった後、吹き返しの西の風が一時的にやや強く吹きました。台風が三陸沖へ進むとともに冬型の気圧配置となり、夕方にかけて北西の風がやや強く吹きました。日立市役所における最大瞬間風速は、22日16時44分に記録した北北東の風24.0m/sでした。これは、4月19日の寒冷渦の通過後に観測した西北西の風24.0m/sと並んで、今年に入って最も大きい最大瞬間風速です。なお、日立市内で最も風が強かったのは南部支所で、23日01時42分に北北東の風25.4m/sを記録しています。
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日降水量 |
総降水量 |
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21日 | 22日 | 23日 |
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日時 |
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日時 | ||
日立市役所 | 8.5 | 98.0 | 48.0 | 154.5 | 20.0 | 23日02時20分 | 6.0 | 23日01時45分 |
十王交流センター | 9.5 | 112.0 | 58.5 | 180.0 | 25.0 | 23日02時26分 | 8.5 | 22日21時59分 |
北部消防署 | 6.0 | 102.5 | 47.5 | 156.0 | 24.5 | 23日02時27分 | 7.0 | 23日01時55分 |
本山 | 14.5 | 105.0 | 70.5 | 190.0 | 21.0 | 23日03時20分 | 7.5 | 23日03時11分 |
西部出張所 | 4.5 | 66.0 | 48.5 | 119.0 | 15.5 | 23日02時31分 | 5.0 | 23日04時37分 |
諏訪広場 | 7.0 | 76.5 | 48.0 | 131.5 | 21.0 | 23日03時10分 | 7.5 | 23日03時08分 |
南部支所 | 6.0 | 75.5 | 46.0 | 127.5 | 21.5 | 23日03時12分 | 8.0 | 23日03時11分 |
日立会瀬 | 9.0 | 100.0 | 48.5 | 157.5 | 20.0 | 23日02時20分 | 5.0 | 23日01時48分 |
水戸(金町) | 10.0 | 78.5 | 35.0 | 123.5 | 14.5 | 23日02時47分 | 4.0 | 23日02時45分 |
※総降水量は、21日00時〜23日09時までの合計。
地点 | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) | 海面気圧(hPa) | |||||
風速 | 同風向 | 日時 | 風速 | 同風向 | 日時 | 最低気圧 | 日時 | |
日立市役所 | 10.7 | 北北東 | 22日21時51分 | 24.0 | 北北東 | 22日16時44分 | 970.9 | 23日07時24分 |
十王交流センター | 6.7 | 南東 | 23日05時23分 | 15.5 | 北西 | 23日08時22分 | - | - |
北部消防署 | 8.5 | 南 | 23日05時53分 | 16.7 | 南南西 | 23日06時50分 | - | - |
西部支所 | 5.5 | 東 | 23日05時19分 | **.* | ** | **日**時**分 | - | - |
諏訪広場 | 7.2 | 南 | 23日05時09分 | 17.0 | 東 | 22日16時21分 | - | - |
南部支所 | 11.2 | 北東 | 23日02時04分 | 25.4 | 北東 | 23日01時42分 | - | - |
日立会瀬 | 9.7 | 北西 | 23日08時32分 | 19.1 | 北西 | 23日08時29分 | - | - |
水戸(金町) | 13.7 | 北東 | 23日02時14分 | 23.4 | 北東 | 22日23時28分 | 969.3 | 23日07時15分 |
●台風第21号の経路図と10月22日〜23日の海面気圧の推移(10分値)
●10月22日〜23日の1時間降水量と風向の推移(日立市役所)
●日立市役所における風速の推移(1分毎と10分毎)
●10月22日21時と23日07時のアメダスによる風の分布
●参考:10月22日21時と23日02時のアメダスによる降水量の分布
●参考:10月22日21時と23日02時の降水レーダー図
●参考:10月22日12時の気象衛星可視画像と23日の06時の気象衛星赤外画像
●参考:10月22日12時と23日の06時の地上天気図
作成日 2017/11/13
名前 日立市天気相談所