◇上旬と下旬に気温が低くなる

　上旬は、移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。中旬から下旬にかけては、北日本付近を低気圧が発達しながら頻繁に通過し、低気圧の通過後は一時的に冬型の気圧配置となって寒気が入りました。特に、中旬後半から下旬前半にかけては偏西風が日本付近で南へ蛇行し、強い寒気が流れ込むとともに天気のぐずつくときがありました。こため、中旬後半から下旬前半にかけて、気温は平年よりかなり低くなりました。この結果、月平均気温は11.5℃と平年より0.4℃低くなりました。冬型の気圧配置に伴って晴れる日が多かったものの、天気がぐずつく時もあったため、月の日照時間は157.3時間（平年比100％）と平年並みになりました。一方、月の降水量は29.5mm（平年比38％）と、平年よりかなり少なくなりました。

11月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 11.5 11.9 月降水量（mm） 29.5 78.3 月日照時間（時間） 157.3 157.9

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 14.2 13.7 中旬 10.5 11.8 下旬 9.9 10.1

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 59.7 52.5 中旬 47.4 50.0 下旬 50.2 55.4

　●11月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●11月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

　2014年と2015年の11月は、気圧の谷の影響で南から暖かい空気が入りやすかったため、気温が高く天気のぐずつくときがあって日照時間が平年より少なくなりました。それに対して、2016年の11月は大陸から張り出す高気圧に伴って下層へ寒気が入りやすかったことから、4年ぶりに月平均気温が平年を下回り、日照時間も平年並みになりました。今年も、月の半ばから強い寒気が南下してくるようになり、月平均気温は平年を下回り、日照時間も平年並みになりました。また、昨年と異なり冬型の気圧配置となることが多く、乾燥した天気が続いて降水量が平年よりかなり少なくなったことから、月平均湿度は2013年以来4年ぶりに平年を下回りました。

　●過去6年間の11月の気温と日照時間、降水量、湿度の記録

◇11月の日立市内の気温と降水量

　11月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターが市役所より0.9℃低くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は9.2℃で、10月より5.2℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は10.0℃と日立市の平均よりも0.8℃高く、10月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。ただ、沿岸部の日立市役所と十王交流センターは、水戸よりも気温が高くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は29.9mmで、10月の平均降水量286.0mmより250mm近く少なくなりました。観測地点間の差は10月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の42.5mmに対して、最も少なかった北部消防署は21.0mmと2.0倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量29.9mmに対して、水戸の月降水量は39.5mmと10mm程多くなりました。

　●11月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

11月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 11.5 23.0 04 11:26 1.5 20 03:46 十王交流センター 10.6 21.7 04 12:10 0.5 20 04:04 北部消防署 9.8 19.4 04 10:47 -0.8 22 00:43 本山（中学校跡） 7.3 19.0 03 12:06 -2.6 22 00:08 西部支所 7.0 20.5 03 10:56 -3.2 22 03:55 諏訪広場 9.0 19.3 04 10:50 -1.3 21 23:38 南部支所 9.5 20.5 07 14:08 -1.9 22 05:56 上記7地点の平均 9.2 - - - - 日立会瀬 11.4 21.3 07 13:29 1.1 22 04:45 水戸（金町） 10.0 21.3 07 13:27 -1.2 22 05:30

11月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 29.5 17.5 23 3.5 23 04:36 十王交流センター 26.5 17.0 23 3.5 23 04:53 北部消防署 21.0 13.0 23 3.0 23 04:47 本山（中学校跡） 42.5 29.5 23 6.5 23 04:30 西部支所 35.5 26.0 23 5.5 23 04:42 諏訪広場 27.0 18.5 23 4.0 23 04:31 南部支所 27.0 16.5 23 3.5 23 04:30 上記7地点の平均 29.9 - - - - 日立会瀬 32.0 19.5 23 4.0 23 04:26 水戸（金町） 39.5 22.5 23 4.0 23 04:44

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇西風が吹いて気温が下がらない（11月25日）

　23日に低気圧が本州南岸を北東へ進んだ後、24日には千島近海で発達して日本付近は一時的に冬型の気圧配置が強まりました。しかし、気圧系の変化は速く、25日の朝には大陸の高気圧は移動性となって東シナ海へ進んできました。このため、25日の朝は晴れて風が弱まり、冷え込みが強まりました。関東地方では、茨城県から栃木県、群馬県にかけて最低気温が0℃未満になりました。各地の最低気温は、群馬県沼田で-5.9℃、栃木県土呂部で-4.6℃、群馬県藤原で-4.4℃などでした。

　茨城県内のアメダス観測地点16か所における25日の最低気温は、大子で-3.6℃、北茨城と常陸大宮上小瀬で-2.0℃など11地点で0℃未満となりました。一方、千葉県から神奈川県にかけのて沿岸部では西の風が入り気温が下がりませんでした。また、茨城県日立会瀬でも西の風がやや強く吹いて気温が下がりませんでした。関東地方における島しょ部を除いた最低気温の高い方からの記録は、神奈川県三浦で9.4℃、千葉県勝浦で8.1℃、茨城県日立会瀬で6.5℃などでした。

　日立市役所における24日夕方から25日朝にかけての気温の推移をみると、夕方から夜の初めにかけては水戸やつくばと同じように気温は下がっていきました。しかし、23時前から西の風がやや強く吹き始めると気温の低下は止まりました。その後、風の強まりに合わせて25日00時10分から50分にかけて気温が3℃程上がった後、25日の朝にかけて気温は横ばいで推移しました。この結果、日立市役所における25日の最低気温は、日付が変わった直後の00時04分に記録した5.0℃になりました。一方、水戸とつくばでは25日の朝にかけて気温は下がり続け、日最低気温は-0.4℃と-1.3℃と0℃未満になりました。

　日立市内の他の観測地点の内、十王交流センター、北部消防署及び諏訪広場の3地点は日立市役所と同じような気温の変化を示し、25日朝の気温は下がりませんでした。一方、本山、西部支所、南部支所の3地点は水戸やつくばと同じように気温が下がり、25日朝の最低気温は0℃未満となりました。気温の下がらなかった3地点は、日立市役所同じように西側に山があるため、西風によるフェーン現象の影響を受けたものと思われます。

　●11月25日の気温（℃）

　●11月24日〜25日の気温の推移（10分値）

　●参考：11月24日〜25日の風速と風向の推移（日立市役所：10分値）

　●11月24日〜25日の気温の推移（10分値）

　●参考：11月25日05時のアメダスによる気温と風の分布

　●参考：11月24日21時と25日09時の地上天気図

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作成日 2017/12/07
名前 日立市天気相談所