◇気温が高かった3月
高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は周期的に変わりました。ただ、上旬後半と中旬後半には上層の気圧の谷の影響で天気のぐずつく時がありました。また、日本の東で高気圧の勢力が強く、高気圧の西側を回って暖かく湿った空気が流れ込みやすくなりました。このため、月降水量は204.0mm(平年比190%)と平年よりかなり多くなり、3月の降水量としては観測開始来第1位の多い記録となりました。寒気が南下しにくく、暖気が流れ込みやすかった影響で平年より気温の高い日が続き、月平均気温は9.7℃と平年より2.5℃高くなりました。下旬に入ると、高気圧が東西に勢力を広げて本州付近をおおい晴れる日が続いたことから、月の日照時間は190.2時間(平年比106%)とほぼ平年並みになりました。
3月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 9.7 7.2 月降水量(mm) 204.0 107.5 月日照時間(時間) 190.2 178.8
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 8.3 5.9 中旬 9.4 7.3 下旬 11.3 8.2
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 53.3 57.2 中旬 57.6 60.9 下旬 79.3 60.7 ●3月の気温(℃)と降水量(mm)の記録(日立市役所)
月平均気温 順位 年 気温 1 2002 9.9 2 2018 9.7 3 2013 9.4 4 2007 8.6 5 1966 8.6
最高気温の平均 順位 年 気温 1 2002 14.8 2 2018 14.3 3 2007 14.1 4 2013 13.8 5 1997 13.4
最低気温の平均 順位 年 気温 1 2013 5.1 2 2002 4.9 3 2018 4.7 4 1966 4.4 5 1968 4.4
月降水量 順位 年 降水量 1 2018 204.0 2 1988 181.0 3 1995 178.5 4 1980 172.0 5 1969 169.9 ※順位は気温の高い方及び降水量の多い方からで、1953年から2018年の統計。
●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●3月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
◇3月の日立市内の気温と降水量
3月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。一方、山間部にある本山と西部支所は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は8.1℃で、水戸の月平均気温9.9℃よりも1.8℃低くなりました。2月と比較すると、日立市の平均気温は6.0℃高くなりました。一方、水戸の平均気温は6.4℃高くなり、暖候期に向けて水戸の方が気温の上がり方が大きくなっています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は201.4mmで、2月の平均降水量4.5mmよりも200mm近く多くなりました。観測地点の間の差も2月より大きくなり、最も降水量の多かった本山の260.5mmに対して、最も少なかった南部支所は149.5mmと1.7倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量201.4mmに対して、水戸の月降水量は189.0mmと10mm程少なくなりました。
●3月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
3月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 9.7 21.2 15 13:57 -0.9 07 04:29 十王交流センター 9.2 21.6 15 14:44 -1.9 07 03:24 北部消防署 8.1 19.9 15 14:42 -2.3 07 06:25 本山(中学校跡) 6.5 21.1 29 13:34 -4.7 07 05:28 西部支所 6.9 22.1 29 14:37 -4.6 07 06:27 諏訪広場 7.6 20.8 26 14:32 -3.6 07 04:57 南部支所 8.9 21.3 26 14:17 -1.4 03 05:47 上記7地点の平均 8.1 - -
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日立会瀬 9.8 21.3 15 13:32 -0.6 07 01:12 水戸(金町) 9.9 24.4 28 13:37 -1.0 03 05:28
3月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 204.0 53.0 09 14.0 25 00:42 十王交流センター 228.5 62.5 09 14.5 01 08:30 北部消防署 184.5 42.5 09 11.5 25 00:58 本山(中学校跡) 260.5 68.5 09 16.5 01 08:22 西部支所 206.5 62.0 01 16.0 01 08:20 諏訪広場 176.5 41.5 09 11.5 25 00:37 南部支所 149.5 33.5 01 9.0 01 08:22 上記7地点の平均 201.4 - -
- - 日立会瀬 205.5 50.5 09 11.0 09 07:40 水戸(金町) 189.0 42.0 01 13.5 01 08:05
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇これまでで最も早く桜が満開になる
この冬は、12月初めから2月末にかけて偏西風が日本付近で南へ蛇行して強い寒気が流れ込みやすくなり、気温が低くなりました。特に、1月下旬は下層へ強い寒気が入り、22日には南岸低気圧に伴って雪が降り、積雪が10cmになりました。また、25日には日立市役所で最低気温-5.6℃を記録し、2014年2月5日の最低気温-5.4℃以来の低い気温となりました。
しかし、3月に入ると気圧配置が大きく変わり、偏西風が北上して日本付近は東西に広がる高気圧におおわれるようになりました。これに伴って南から暖気が入りやすくなり、気温が上がりました。特に、3月下旬は南高北低の気圧配置となって、晴れて気温の高い日が続きました。このため、3月下旬の平均気温は11.3℃(平年比+3.1℃)と、平年よりかなり高くなりました。
このように、3月に入って一気に気温が上がったことから、花の開花は早くなりました。日立市役所前のあんずの花は昨年よりも6日早い3月18日に、平和通りの桜も昨年より8日早い3月26日、かみね公園の桜も昨年より8日早い3月27日に開花しました。なお、3月上旬から中旬にかけて気温が著しく高かった2013年は、日立市役所前のあんずが3月17日に、平和通りの桜が3月21日に、かみね公園の桜が3月23日に開花しています。
桜の花が開花した後も、晴れて気温の高い日が続きました。このため、平和通りの桜はこれまでで最も早く満開になった2002年の4月1日よりもさらに早い、3月29日に満開となりました。また、かみね公園の桜も平和通りと同じ3月29日に満開となりました。開花から満開までの期間は平和通りで3日、かみね公園で2日と、観測史上最も短くなりました。
●平和通りの桜の開花日と満開日
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●かみね公園の桜の開花日と満開日
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●開花から満開までの日数(日数の少ない方からの記録)
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※開花日、満開日の順位は、平和通りが1982年〜2018年、かみね公園が1953年〜2018年の統計
●3月29日の平和通りの桜の様子(日立駅前)
●3月29日の平和通りの桜の様子(若葉町1丁目)
●12月から3月の日平均気温の推移(2017年と2018年)
今年の3月は気温の高い日が多かったものの、時々寒気が入り気温の低くなる日がありました。その一例として17日と28日を比べると、上層の偏西風の位置に違いがあることが分かります。
17日は、移動性高気圧が本州上を東へ進み、日立市では一日快晴の天気が続きました。しかし、一時的に寒気が入ったことから最高気温は8.2℃までしか上がりませんでした。日平均気温も4.3℃と2月上旬並みの寒さでした。上層の天気図を見ると、偏西風は北海道付近を北西から南東へ流れており、-24℃の等温線が本州中部まで南下しています。
一方、28日は東西に連なる高気圧におおわれ、日立市では一日快晴の天気が続きました。また、下層に暖気が入ったことから最高気温は20.9℃まで上がりました。日平均気温も15.2℃と5月上旬並みの陽気となりました。上層の天気図を見ると、偏西風はサハリン付近を南西から北東へ流れており、-24℃の等温線はサハリンの北まで北上しました。
●2018年3月17日09時と28日09時の地上天気図
●2018年3月17日09時と28日09時の500hPa面高層天気図
作成日 2018/04/05
名前 日立市天気相談所