◇中旬から気温が高くなる
高気圧と低気圧が交互に通過して、天気は数日の周期で変化しました。ただ、上旬後半と下旬には本州南岸の低気圧や前線の影響を受けて、天気のぐずつく時がありました。このため、月の日照時間は153.6時間(平年比94%)と、平年よりわずかに少なくなりました。一方、月降水量は184.0mm(平年比121%)と平年より多くなりました。上旬後半には、一時的に下層へ寒気が流れ込んで気温の低くなる時がありました。しかし、中旬以降は下層へ暖気が入るようになり、気温が高くなりました。この結果、月平均気温は17.7℃と平年より1.6℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては観測開始以来第5位の高い気温です。
5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 17.7 16.1 月降水量(mm) 184.0 152.5 月日照時間(時間) 153.6 163.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 15.4 15.3 中旬 18.3 15.8 下旬 19.2 17.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 38.6 55.8 中旬 65.9 48.1 下旬 49.1 59.9
●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●5月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の5月は、11日に移動性高気圧が日本の東へ進んだ後、南から暖かい空気が入るようになり気温が高くなりました。特に中旬後半は日本海を進む低気圧に向かって南から暖気が流れ込み、気温が上がりました。日立市役所では、16日には最高気温28.4℃を記録し、5月の気温としては最近10年間の中では最も高い気温となりました。このため、中旬の平均気温は18.3℃と平年より2.5℃高く、5月中旬の気温としては2001年の18.5℃に次いで観測開始以来2番目に高い気温となりました。
なお、最近の5月は気温の高い年が続いています。日立市役所における月平均気温は、2015年が18.2℃(平年比+2.1℃)と観測開始以来2番目に高い気温でした。2017年5月も、月平均気温が17.9℃と観測開始以来3番目に高い気温でした。さらに、2016年の5月の平均気温は17.5℃、2014年5月の平均気温は17.3℃と、平年より1℃以上気温の高い年が続いています。
●5月の気温(℃)の記録
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※順位は値の大きい方からで、1953年から2018年の統計。
◇5月の日立市内の気温と降水量
5月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山と西部支所、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は16.2℃で、水戸の月平均気温18.3℃よりも2.1℃低くなりました。4月と比べると、水戸と日立市役所の気温差は大きくなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が大きいことを示しています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は161.4mmで、4月の平均降水量109.5mmよりも50mm近く多くなりました。観測地点の間の差は4月よりやや小さくなり、最も降水量の多かった日立市役所の184.0mmに対して、最も少なかった南部支所は128.0mmと1.4倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量161.4mmに対して、水戸の月降水量は175.5mmと15mmほど多くなりました。
●5月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
5月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.7 28.4 16 11:57 7.1 11 03:46 十王交流センター 17.3 29.5 16 11:40 6.6 11 04:42 北部消防署 16.0 27.0 16 10:39 6.9 10 23:26 本山(中学校跡) 14.5 27.4 16 14:13 3.6 11 02:59 西部支所 15.4 28.5 16 14:30 2.9 11 02:13 諏訪広場 15.7 27.7 16 14:04 5.5 10 21:43 南部支所 16.9 29.0 16 13:59 4.9 11 05:15 上記7地点の平均 16.2 - -
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日立会瀬 17.7 29.0 17 15:47 7.3 11 03:56 水戸(金町) 18.3 30.2 17 15:14 6.2 11 03:47
5月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 184.0 34.0 13 14.5 23 23:55 十王交流センター 183.0 34.0 23 16.5 24 00:08 北部消防署 145.5 24.5 13 12.5 24 00:22 本山(中学校跡) 183.0 30.5 13 14.0 23 23:54 西部支所 159.5 27.5 13 13.5 23 23:57 諏訪広場 147.0 29.0 13 10.5 23 23:21 南部支所 128.0 29.0 13 11.5 24 00:26 上記7地点の平均 161.4 - -
- - 日立会瀬 172.0 31.5 13 12.5 23 23:56 水戸(金町) 175.5 39.0 13 14.0 24 00:04
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◆下層へ暖気が入り気温が上がる(16日から17日)
14日に上層の気圧の谷が日本の東へ抜けた後、本州付近は南から高気圧におおわれるようになりました。さらに、15日の午後からは下層へ暖気が入ってきたため、16日は全国的に気温が上がりました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は15日09時の12.4℃から16日21時には21.0℃と平年より10℃以上高くなり、5月の21時の観測値としては、観測開始以来第2位の記録となりました。この暖気の影響で、16日には東北から関東、北陸地方と九州地方で気温が高くなりました。また、18日にかけて日本海を前線がゆっくりと南下したことから、関東地方以西では17日、18日と気温の高い日が続きました。
全国のアメダス観測所927地点のうち真夏日となった地点をみると、16日が188地点、17日が107地点、18日が111地点と、3日連続で100地点を超えました。また、関東地方の87観測地点のうち真夏日となった地点は、16日が24地点、17日が25地点、18日が3地点でした。18日の関東地方は、日本海を進む低気圧の南側に入り内陸部では気温が上がりました。しかし、沿岸部では北東の風とともに地表付近へ三陸沖からの冷たい空気が入り始め、気温が上がりませんでした。
16日の関東地方における最高気温は、群馬県館林で32.2℃、茨城県大子で32.0℃を記録するなど、内陸部を中心に24地点で最高気温が30℃以上となりました。茨城県内でも、大子の他に古河で最高気温30.6℃、笠間で30.5℃を記録するなど、15観測点すべてで最高気温が25℃を超え、その内4地点では最高気温が30℃以上となりました。また、10地点では今年の最高気温となりました。17日の関東地方における最高気温は、群馬県西野牧で33.3℃、館林で32.6℃を記録するなど、内陸部を中心に25地点で最高気温が30℃以上となりました。茨城県内でも、古河で最高気温30.6℃、水戸で30.2℃を記録するなど、北茨城を除く14観測点で最高気温が25℃を超え、その内2地点で最高気温が30℃以上となりました。
16日の日立市役所における気温の推移を見ると、4時過ぎに風向が南西に変わるとともに気温は3℃近く上がりました。その後、日の出とともに気温は上がっていき、11時57分には最高気温28.4℃を記録しました。これは、今月14日に記録した最高気温27.2℃を抜いて、今年の最高気温となりました。12時を過ぎると風向が南に変わり、気温は2℃近く下がりました。その後、夕方にかけて気温は26℃前後で推移しました。16時30分過ぎに風向が再び南西に変わると、気温は27℃を超えましたが、日が暮れると気温は徐々に下がっていきました。ただ、夜も南西の風が吹き続けたため、気温は20℃前後までしか下がりませんでした。
17日の午前中は、雲が広がり弱い雨がちらついたため気温は上がりませんでした。昼過ぎから晴れてくると気温は一時的に上がり、15時02分には最高気温28.1℃を記録しました。しかし、15時過ぎに北東の風に変わると気温は一気に5℃近く下がりました。18日は、北東の風が吹き続けるとともに冷たい空気が流れ込んできたため雲が広がり、未明から夜にかけて気温は下がっていきました。日最高気温は日付が変わった直後の00時04分に記録した22.0℃でした。
16日と17日の日立市内の気温を見ると、17日の北部消防署を除いて最高気温が25℃を超えるとともに、16日はすべての地点で今年の最高気温を記録しました。最も気温が高かったのは、16日の十王交流センターの29.5℃、次いで16日の南部支所の29.0℃で、内陸部の西部支所、本山よりも沿岸部の方が気温が高くなりました。なお、16日の十王交流センターと北部消防署は、日立市役所と同様に昼前から気温が下がったため、最高気温は午前中に観測しました。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●5月の関東地方における真夏日となった地点数の推移
※上のグラフは、南鳥島を除いた関東地方87地点のアメダス観測による結果です。
●5月16日〜18日の気温の推移(10分値)
●5月16日〜18日の日立市内の気温の推移(10分値:日立市役所と他4地点)
●5月16日〜18日の日立市内の気温の推移(10分値:日立市役所と沿岸部2地点)
●参考:5月16日12時と14時のアメダスによる気温と風の分布
日立会瀬の気温は、12時の27.8℃から14時には25.9℃と2℃近く下がった。
●参考:5月16日、17日及び18日09時の地上天気図と15時の気象衛星可視画像
作成日 2018/06/12
名前 日立市天気相談所