◇中旬まで気温の高かった7月
月の初めは太平洋高気圧におおわれ、晴れて気温が高くなりました。上旬半ばになると、台風第7号と前線の影響で曇りや雨の日が続きました。中旬に入ると、本州付近で太平洋高気圧が強まり晴れる日が続くようになりました。特に、中旬後半から下旬前半にかけては大陸から張り出す高気圧と太平洋高気圧の勢力が重なり、晴れて厳しい暑さとなりました。下旬の後半になると、寒冷渦と台風第12号の影響で天気がぐずつき、気温は平年並みまで戻りました。この結果、月平均気温は26.2℃(平年比+3.2℃)と平年よりかなり高くなり、7月の平均気温としては観測開始来第1位の高い気温となりました。反対に、雨の降る日が少なかったことから、月の降水量は100.5mm(平年比62%)と平年より少なくなりました。また、月の日照時間は159.2時間(平年比122%)と、平年より多くなりました。
7月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 26.2 23.0 月降水量(mm) 100.5 162.5 月日照時間(時間) 159.2 130.2
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 25.2 21.5 中旬 27.4 23.0 下旬 26.1 24.4
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 54.7 35.8 中旬 52.3 36.6 下旬 52.2 57.7
●7月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●7月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の7月は、中旬半ばから下旬前半にかけて本州付近を西へ進む太平洋高気圧と大陸から張り出す高気圧とが重なり合って、上層から下層まで暖かい空気におおわれ気温が高くなりました。高気圧の中心が西日本から朝鮮半島へ移動していったことから、関東地方では南西の風が入り、さらに気温が上がりやすくなりました。
日立市役所における7月の風向頻度を見ると、南から南西の風向頻度が平年の2倍近くになっています。この南西の風によるフェーン現象の影響で、日立市役所でも気温が高くなりました。ただ、湿った空気が入りやすく、雲が広がって日射が強まらなかったため、最高気温はあまり上がりませんでした。日最高気温の月平均は30.0℃で、観測開始以来第2位の高い気温でした。また、真夏日の日数は16日で、観測開始以来第4位の記録でした。7月の最高気温の第1位は1997年7月5日に観測した38.5℃で、今年の7月の最高気温34.2℃(7月17日)は観測開始以来第15位の記録となっています。
反対に、夜になっても気温が下がらず、熱帯夜となる日が16日と17日及び21日と22日の4日ありました。これは、7月の熱帯夜の日数としては2001年の7月と並んで観測開始以来第1位の記録でした。また、日最低気温の月平均も23.1℃と、観測開始以来第1位の高い気温でした。
●7月の気温(℃)の記録
月平均気温 順位 年 平均気温 1 2018 26.2 2 2001 25.9 3 1955 25.5 4 1978 25.4 4 2017 25.2
日最高の月平均 順位 年 平均気温 1 2001 30.6 2 2018 30.0 2 2000 30.0 4 2002 29.9 5 1955 29.1
日最低の月平均 順位 年 平均気温 1 2018 23.1 2 2017 22.5 3 1978 22.5 4 2011 22.2 5 1967 22.1
真夏日の日数 順位 年 日数 1 2001 19 2 2002 17 2 2000 17 4 2018 16 5 2004 14
熱帯夜の日数 順位 年 日数 1 2018 4 1 2001 4 3 2012 3 3 1999 3 5 2015 2 5 1978 2 5 1967 2 ※順位は気温の高い方からで、1953年〜2018年の統計
●7月の風向頻度と真夏日日数の推移
◇7月の日立市内の気温と降水量
7月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが市役所とほぼ同じ気温でした。一方、山間部にある本山と海岸沿いの北部消防署は気温の低い方になっています。山間部にあるもう一つの観測地点である西部支所は、本山よりも標高が低く盆地状の地形も影響して日中の気温が高くなったことから、これまでよりも気温が高くなっています。
なお、市内7地点の平均気温は25.0℃で、水戸の月平均気温27.2℃よりも2.2℃低くなりました。日立市内の平均気温との差は、6月と同じになっています。また、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、6月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は108.4mmで、6月の平均降水量122.3mmよりも14mm少なくなりました。観測地点の間の差は6月よりも小さくなり、最も降水量の多かった西部支所の140.0mmに対して、最も少なかった南部支所は84.0mmと1.7倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量108.4mmに対して、水戸の月降水量は131.5mmと20%ほど多くなりました。これは、28日に台風第12号の外側を取り巻く雨雲の一つ水戸市にかかり、48.0mmの雨が降ったためです。
●7月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
7月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 26.2 34.2 17 09:37 17.8 06 17:29 十王交流センター 25.8 35.4 23 13:31 17.1 06 17:17 北部消防署 24.3 33.9 23 08:42 15.7 06 17:23 本山(中学校跡) 23.5 33.1 22 14:21 15.3 06 17:00 西部支所 25.0 35.6 23 13:24 17.0 27 05:09 諏訪広場 24.4 33.6 22 12:30 16.1 27 04:35 南部支所 25.5 35.1 23 11:13 16.7 06 16:48 上記7地点の平均 25.0 - -
- -
日立会瀬 26.0 33.9 23 10:13 18.0 06 17:55 水戸(金町) 27.2 36.2 23 12:21 18.6 06 17:24
7月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 100.5 74.0 06 28.0 06 04:12 十王交流センター 112.5 90.0 06 35.0 06 04:13 北部消防署 88.5 75.5 06 24.5 06 04:08 本山(中学校跡) 129.5 82.0 06 37.5 06 04:04 西部支所 140.0 67.5 06 37.0 06 04:03 諏訪広場 103.5 70.5 06 27.5 06 04:19 南部支所 84.0 45.5 06 18.0 06 04:17 上記7地点の平均 108.4 - -
- - 日立会瀬 106.5 76.0 06 27.5 06 04:09 水戸(金町) 131.5 60.0 06 30.0 06 04:18
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇中旬から下旬前半にかけて気温の高い日が続く
11日に台風第8号が中国大陸へ進んだ後、日本付近で上層の高気圧の勢力が強まり、高気圧からの下降流による昇温が起こって気温の高い日が続くようになりました。高気圧の中心は徐々に西へ移動していったため、関東地方では南西の風が入るようになり、内陸部を中心に最高気温が35℃を超えるようになるとともに、夜間も気温が下がりにくくなり、最低気温が25℃を超えるようになりました。関東地方では、14日から24日にかけて日最高気温が30℃以上(真夏日)となった地点数が、全体の9割を超える80地点以上の日が続きました。また、16日から23日にかけては日最低気温が25℃以上(熱帯夜)となる地点数が、40地点以上となる日が続きました。
●7月の関東地方における真夏日となった地点数の推移
●7月の関東地方における熱帯夜となった地点数の推移
日立市では15日の夕方から18日の夕方にかけて、南から南西の風が吹き続けました。このため、夜から朝にかけて気温が下がらなくなり、16日、17日と連続して最低気温が25℃を超えました。特に、17日は南西の風がやや強く吹いたため、最低気温は26.4℃までしか下がりませんでした。これは、日立市役所観測開始以来第3位の高い記録でした。日立市は海に面しているため、南西の風によるフェーン現象が起こらなければ最低気温が25℃以上となることはほとんどなく、連続して25℃を超えたのは2016年9月8日と9日以来のことです。また、17日の最高気温34.2℃は、今年の7月の最高気温となりました。
日立市役所では、18日の朝も最低気温は25.9℃(04時36分)までしか下がりませんでした。しかし、夜に入り南西の風がから北東の風に変わると気温が3℃近く下がり、23時40分には日最低気温24.8℃を記録したため熱帯夜とはなりませんでした。
日立市役所以外の地点では、南西の風によるフェーン現象の影響がほとんどなく、日最低気温が25℃以上になることはありませんでした。ただ、十王交流センターでは22日の最低気温が25.1℃までしか下がらず、日立市役所以外では唯一熱帯夜を記録しました。
●日立市役所における最低気温
順位 | 最低気温(℃) | 年月日 | 時刻 |
1 | 26.9 | 2007/08/16 | 05:10 |
2 | 26.6 | 1997/08/10 | 05:08 |
3 | 26.4 | 2018/07/17 | 05:11 |
4 | 26.3 | 2010/09/06 | 05:53 |
5 | 26.2 | 2012/07/29 | 22:06 |
※順位は気温の高い方からで、1953年から2018年7月の統計。
●7月16日から18日の最高、最低気温(℃)
地点 | 16日 | 17日 | 18日 | |||||||||
最高気温 | 最低気温 | 最高気温 | 最低気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||||
気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | 気温 | 時刻 | |
日立市役所 | 32.9 | 08:26 | 25.9 | 05:12 | 34.2 | 09:37 | 26.4 | 05:11 | 33.4 | 12:11 | 24.8 | 23:40 |
十王交流センター | 32.6 | 11:33 | 24.7 | 03:14 | 32.6 | 11:51 | 24.0 | 23:29 | 32.8 | 12:29 | 23.8 | 02:11 |
北部消防署 | 29.2 | 09:56 | 23.2 | 05:36 | 29.7 | 09:43 | 22.8 | 23:25 | 31.3 | 12:15 | 22.3 | 23:47 |
本山 | 31.6 | 11:36 | 21.1 | 23:43 | 31.4 | 13:19 | 21.3 | 00:08 | 30.5 | 11:38 | 21.7 | 21:17 |
西部支所 | 33.8 | 12:37 | 20.7 | 04:16 | 32.4 | 13:21 | 21.0 | 01:15 | 32.7 | 10:42 | 22.0 | 04:37 |
諏訪広場 | 33.0 | 10:03 | 23.6 | 21:03 | 32.3 | 12:35 | 23.9 | 01:36 | 31.2 | 12:24 | 23.0 | 22:57 |
南部支所 | 31.8 | 10:19 | 22.9 | 24:00 | 32.3 | 12:19 | 22.8 | 03:09 | 32.0 | 09:29 | 23.9 | 23:36 |
日立会瀬 | 32.9 | 08:40 | 24.8 | 04:55 | 33.6 | 11:49 | 25.3 | 19:14 | 32.4 | 12:32 | 24.1 | 23:46 |
水戸(金町) | 34.6 | 13:07 | 24.4 | 22:12 | 34.4 | 13:59 | 24.0 | 05:04 | 33.9 | 13:05 | 26.2 | 05:37 |
つくば(館野) | 34.4 | 13:14 | 25.0 | 04:27 | 34.8 | 13:26 | 26.5 | 04:49 | 34.4 | 14:32 | 25.5 | 04:56 |
※最高気温の欄の■色は30℃以上、■色は35℃以上、最低気温の欄の■色は25℃以上を表す。
※日立会瀬、水戸(金町)、つくば(館野)は気象庁の観測地点。
●7月16日から18日の気温の推移
●7月16日から18日の風向の推移(日立市役所)
●7月16日から18日の風速の推移(日立市役所)
●参考:7月17日05時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:7月17日10時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:2017年7月17日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2018/08/14
名前 日立市天気相談所