◇晴れて降水量の少ない月が続く

　日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わりました。特に、中旬は高気圧が本州上を通過して晴れる日が多くなりました。しかし、下旬になると本州南岸を通過する低気圧や前線の影響で、天気のぐずつく時がありました。また、上旬と月の終わりは強い寒気が南下して気温が低くなりました。この結果、月平均気温は11.6℃と平年より.0.5℃低くなりました。これに対して、月の日照時間は210.2時間（平年比118％）と、平年より多くなりました。一方、日本付近で低気圧が発達することがなかったことから、月降水量は77.0mm（平年比58％）と、平年より少なくなりました。

4月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 11.6 12.1 月降水量（mm） 77.0 131.9 月日照時間（時間） 210.2 178.8

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 9.3 10.5 中旬 12.1 12.1 下旬 13.3 13.7

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 75.0 61.4 中旬 87.5 55.5 下旬 47.7 61.9

　●4月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●4月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

◇4月の日立市内の気温と降水量

　4月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山、西部支所と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は10.8℃で、水戸の月平均気温11.8℃よりも1.0℃低くなりました。気温差は3月とほぼ同じで、引き続き水戸の方が気温が高くなっています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は７9.0mmで、3月の平均降水量80.4mmとほぼ同じでした。観測地点の間の差は3月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の116.5mmに対して、最も少なかった南部支所は54.5mmと2.1倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量79.0mmに対して、水戸の月降水量は81.0mmとほぼ同じになりました。

　●4月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

4月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 11.6 21.3 05 14:32 -0.4 03 02:58 十王交流センター 11.5 22.5 25 14:07 -1.1 03 05:40 北部消防署 11.2 22.0 05 14:16 -0.4 03 05:45 本山（中学校跡） 9.0 22.7 25 15:28 -4.0 03 05:24 西部支所 10.2 24.5 22 13:16 -3.7 03 05:45 諏訪広場 10.6 20.9 25 14:05 -1.4 03 02:57 南部支所 11.3 22.0 25 16:19 -0.8 03 05:58 上記7地点の平均 10.8 - - - - 日立会瀬 11.7 21.6 05 14:22 -0.1 03 02:18 水戸（金町） 11.8 24.0 25 16:20 -1.6 03 03:02

4月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 77.0 18.0 15 4.5 15 05:06 十王交流センター 76.0 20.0 15 5.0 15 04:32 北部消防署 92.0 23.0 15 6.0 15 04:51 本山（中学校跡） 116.5 26.5 30 5.0 15 05:53 西部支所 74.0 16.5 10 4.5 15 05:52 諏訪広場 63.0 16.0 10 4.0 15 05:04 南部支所 54.5 13.5 15 3.5 27 05:17 上記7地点の平均 79.0 - - - - 日立会瀬 80.0 19.5 10 4.5 15 05:05 水戸（金町） 81.0 21.0 10 5.0 15 04:53

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇寒の戻りの影響で桜の花が長持ちする　

　今年の1月から4月にかけての気温の推移をみると、1月は冬型の気圧配置になるのは北日本が中心で寒気の南下が弱く、気温は平年並みで推移しました。2月も冬型の気圧配置は長続きせず、南から暖かい空気におおわれやすかったため、中旬前半を除いて気温は平年よりかなり高くなりました。3月に入ると天気は周期的に変わるようになるとともに、引き続き南から暖かい空気におおわれれ、気温の高い状態が続きました。このため、関東地方では平年よりも5日前後早く、桜が開花しました。

　日立市の桜も、平和通りとかみね公園で3月26日に開花し、平年よりも7日及び9日早く開花しました。これは、平和通りが1982年の観測開始以来4番目に、かみね公園が1953年の観測開始以来3番目に早い開花でした。なお、昨年の桜の開花日も、平和通りが3月26日、かみね公園が3月27日に開花しており、今年と同じ程度に早い開花でした。

　しかし、3月26日に本州南岸を低気圧が東北東へ進んだ後、日本付近で上層の偏西風が南へ大きく蛇行するようになり寒気が南下してきました。さらに、4月の初めと上旬後半には日本の東で上層の気圧の谷が深まり、地表付近は強い寒気におおわれました。このため、日立市では13日かけて気温が低くなりました。この寒さの影響で桜の開花速度が遅くなり、桜の花が満開になったのは平和通り、神峰公園とも4月7日と、平年に比べて平和通りが4日、かみね公園が5日早くなっただけでした。また、昨年に比べると、平和通り、かみね公園とも9日遅くなりました。

　今年の開花から満開までの日数は、平和通り、かみね公園とも12日でした。これは、平年と比べて平和通りが5日、かみね公園が4日長く、観測開始からでは平和通りが2番目に、かみね公園が4番目に長い記録でした。なお、昨年の記録は平和通りが3日、かみね公園が2日で、いずれも観測開始以来最も短い記録でした。

　●桜の開花日と満開日（開花から満開までの期間が長い順）

　※観測期間は、平和通りが1982年から、かみね公園が1953年からです。

　●桜の開花日と満開日（開花から満開までの期間が短い順）

　●2019年1月から4月の月平均気温の推移（日立市役所）

　●2019年1月から4月の日平均気温の推移（日立市役所）

　●参考：4月3日と25日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

　気温が低くなった3日と気温が上がった25日の天気図を比較すると、上層の偏西風の流れに大きな違いがあることがわかります。3日の500hPa面高層天気図を見ると、日本の東で上層の気圧の谷が深まり、日本付近の上層では北西からの流れが強まるとともに寒気が流れ込んでいます。

　一方、25日の500hPa面高層天気図を見ると、上層の偏西風は南北に分かれ、日本付近の上層では西南西からの流れになっています。このため、寒気も北緯50度線付近まで北上し、本州付近には温かい空気が流れ込んでいます。

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作成日 2019/05/14
名前 日立市天気相談所