◇中旬から気温が高くなる
引き続き、高気圧と低気圧が交互に通過して、天気は数日の周期で変化しました。ただ、低気圧は沿海州からサハリン付近と日本の南を進むことが多く、本州付近は高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。また、下旬には南から高気圧におおわれるとともに下層へ暖かい空気が流れ込み、気温が高くなりました。この結果、月平均気温は17.7℃と平年より1.6℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては昨年と並んで観測開始以来第5位の高い気温です。また、晴れる日が多かったことから、月の日照時間は259.9時間(平年比159%)と平年よりかなり多くなり、5月の日照時間としては観測史上最も多くなりました。反対に、月降水量は112.0mm(平年比73%)と平年より少なく、2018年10月から平年より降水量の少ない状態が続いています。
5月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 17.7 16.1 月降水量(mm) 112.0 152.5 月日照時間(時間) 259.9 163.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 16.4 15.3 中旬 16.7 15.8 下旬 19.8 17.1
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 85.9 55.8 中旬 84.5 48.1 下旬 89.5 59.9
●5月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●5月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の5月は、初めに述べたように高気圧におおわれて晴れる日が多くなり、日照時間は平年を大きく上回りました。また、全天日射量も687.2MJ/m2と(平年比131%)と平年よりかなり多くなり、5月の日射量としては観測開始以来2番目に多くなりました。一方、日降水量1mm以上の降水日数は6日と平年の約半分で、日降水量10mm以上の日も1日の14..5mmと21日の82.5mmの2日しかなかったことから、月平均湿度は66%と平年よりかなり低くなり、5月の平均湿度としては観測史上最も低くなりました。
●5月の平均気温(℃)、平均湿度(%)、日照時間(時間)及び全天日射量(MJ/m2)の記録
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※順位は値の大きい方または小さい方からで、1953年から2019年の統計(日射量は1982年から)。
◇5月の日立市内の気温と降水量
5月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所と最も北に位置する十王交流センターが高くなりました。反対に、山間部にある本山は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は17.0℃で、水戸の月平均気温18.4℃よりも1.4℃低くなりました。4月と比べると、水戸と日立市役所の気温差は大きくなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が大きいことを示しています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は121.1mmで、4月の平均降水量79.0mmよりも40mm近く多くなりました。観測地点の間の差は4月より大きくなり、最も降水量の多かった本山の187.5mmに対して、最も少なかった南部支所は74.5mmと2.5倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量121.1mmに対して、水戸の月降水量は100.0mmと20mmほど少なくなりました。
●5月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
5月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 17.7 29.1 27 10:32 7.5 08 01:48 十王交流センター 17.7 29.2 26 15:43 5.5 08 02:28 北部消防署 17.1 28.2 28 12:07 6.9 08 00:31 本山(中学校跡) 15.6 31.9 26 11:24 2.8 08 03:26 西部支所 16.7 32.8 26 13:20 1.2 08 04:59 諏訪広場 16.8 29.9 26 10:59 4.8 08 02:10 南部支所 17.6 29.6 27 10:41 4.0 08 04:36 上記7地点の平均 17.0 - -
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日立会瀬 17.6 29.1 27 10:30 6.4 08 01:00 水戸(金町) 18.4 33.4 26 13:04 4.2 08 04:46
5月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 112.0 82.5 21 14.0 21 15:51 十王交流センター 128.5 107.5 21 18.0 21 09:35 北部消防署 122.0 87.5 21 16.0 21 15:32 本山(中学校跡) 187.5 148.5 21 27.0 21 12:42 西部支所 132.0 106.0 21 24.5 21 14:58 諏訪広場 91.0 67.5 21 12.0 21 09::27 南部支所 74.5 53.5 21 12.0 21 15:44 上記7地点の平均 121.1 - -
- - 日立会瀬 98.0 73.0 21 13.5 21 15:51 水戸(金町) 100.0 57.5 21 15.0 21 15:20
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◆下層へ暖気が入り気温が上がる(24日から28日)
24日に上層の気圧の谷が日本の東へ抜けた後、上層の気圧の尾根が進んでくるとともに下層の暖気塊が中国大陸から北日本へ進んできました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は23日09時の10.3℃から26日09時には18.6℃まで上がりました。また、札幌では26日09時の850hPaの気温が21.4℃と、5月の850hPaの気温としては観測史上最も高くなりました。この暖気の影響で、24日から全国的に気温が高くなりました。特に、26日は南から高気圧におおわれ、晴れて強い日射が照り付けたことから、北日本から東日本にかけて気温が上がりました。北海道の佐呂間では最高気温39.5℃を記録し、5月の全国の最高気温の記録を更新しました。
全国のアメダス観測所927地点のうち最高気温が30℃以上の真夏日となった地点数を見ると、25日が425地点、26日が566地点、27日が423地点と3日連続で400地点を超えました。特に、26日は6割近い地点で真夏日となりました。また、関東地方の86観測地点のうち真夏日となった地点は、25日が53地点、26日が62地点、27日が62地点でした。
関東地方でも26日は内陸部を中心に気温が上がり、最高気温が35℃を超えた所がありました。関東地方各地の最高気温は、埼玉県鳩山で35.8℃、茨城県大子で35.5℃、群馬県桐生で35.4℃など、7地点で最高気温が35℃以上となりました。茨城県内でも、上記大子の他に古河で最高気温34.6℃、笠間で34.4℃を記録するなど、14観測点のうち日立会瀬と北茨城を除く12地点で最高気温が30℃を超えました。また、北茨城を除く13地点では今年の最高気温となりました。
日立市役所における15日からの最高気温の推移を見ると、22日にかけては20℃前後と平年並みで推移しました。しかし、23日から気温は上がり始め、25日には最高気温25.5℃と今年初めての夏日となりました。これは、昨年(4月21日)より約1か月遅く、平年よりも16日遅い記録でした。その後も最高気温は上がり続けて、27日は29.1℃を記録しました。これは、平年よりもの8℃近く高く、8月上旬並みの気温でした。
日立市内の気温を見ると、いずれの地点も23日から気温が上がり始めました。その中でも山間部にある本山と西部支所は気温の上がり方が大きく、26日には本山で31.9℃、西部支所で32.8℃を記録し、2地点とも今年初めての真夏日となりました。これは、昨年に比べると1か月近く早くなっています。なお、日立市役所と南部支所を除き、他の5地点は26日に最も気温が高くなりました。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●過去5年間の夏日初日(日立市役所)と真夏日初日(本山と西部支所)
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●5月16日〜31日の日最高気温の推移
●5月の関東地方における真夏日となった地点数の推移
※上のグラフは、南鳥島を除いた関東地方86地点のアメダス観測による結果です。
●参考:5月26日と27日14時のアメダスによる気温と風の分布
茨城県北部の沿岸部では南東の風が入り、気温が30℃を超えることはありませんでした。
●参考:5月24日と26日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図
24日、中国東北区にあった下層の暖気塊は東へ進み、26日には北日本へ到達しました。札幌では、25日21時の850hPaの気温が22.3℃と平年より16℃近く高くなりました。
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作成日 2019/06/12
名前 日立市天気相談所