◇気温が下がらなかった8月
上旬は太平洋高気圧におおわれ、晴れて気温の高い日が続きました。中旬に入ると、北から高気圧が張り出してくるようになりました。さらに、11日から日本の南を北西へ進んできた台風第10号が、14日から16日にかけて四国の西から中国地方を縦断して日本海へ進んだため、曇りの日が多くなりました。下旬になると、オホーツク海高気圧が顕在化して北日本から東日本へ張り出し、本州付近に前線が停滞するようになったため、曇りや雨の日が続きました。そして、気温は平年並みに戻りました。この結果、月平均気温は26.5℃と平年より1.6℃高くなりました。上旬に晴れる日が続いたことから、月の日照時間は193.2時間(平年比112%)と、ほぼ平年並みになりました。一方、上旬から中旬にかけて雨がほとんど降らなかったことから、月降水量は75.0mm(平年比52%)と平年より少なくなりました。
8月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 26.5 24.9 月降水量(mm) 75.0 145.6 月日照時間(時間) 193.2 172.7
旬平均気温(℃) 順位 観測値 平年値 上旬 28.2 25.2 中旬 26.8 24.9 下旬 24.7 24.7
旬日照時間(時間) 順位 観測値 平年値 上旬 98.3 60.6 中旬 52.3 54.3 下旬 42.6 57.9
●8月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●8月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
◇8月の日立市内の気温と降水量
8月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所と南部支所のが、ともに26.5℃で最も高くなりました。。一方、山間部にある本山は24.2℃と最も気温が低くなりました。山間部にあるもう一つの観測地点である西部支所は、本山よりも標高が低く盆地状の地形も影響して日中の気温が高くなったことから、市内平均よりも気温が高くなりました。市内7地点の平均気温は25.9℃で、水戸の月平均気温27.3℃よりも1.4℃低くなりました。日立市内の平均気温との差は、7月よりわずかに大きくなっています。また、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、7月に引き続いて全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は78.8mmで、7月の平均降水量118.5mmよりも40mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は7月よりも小さくなり、最も降水量の多かった諏訪広場の96.5mmに対して、最も少なかった西部支所は60.5mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量78.8mmに対して水戸の月降水量は86.5mmと、10mm近く多くなりました。
●8月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
8月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 26.5 34.7 09 09:43 19.9 25 05:24 十王交流センター 26.4 33.8 17 13:17 19.9 25 04:10 北部消防署 25.9 32.7 17 11:39 19.9 25 05:35 本山(中学校跡) 24.2 33.4 09 11:54 17.5 26 05:27 西部支所 26.0 36.0 09 12:29 19.3 25 05:11 諏訪広場 25.6 33.9 09 10:42 18.9 26 04:32 南部支所 26.5 33.7 17 12:43 20.0 26 05:51 上記7地点の平均 25.9 - -
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日立会瀬 26.5 33.8 09 10:14 20.1 25 04:19 水戸(金町) 27.3 36.3 06 15:52 20.3 25 06:31
8月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 75.0 20.5 20 20.0 20 16:40 十王交流センター 61.0 19.5 20 18.5 20 16:28 北部消防署 78.0 22.5 21 18.5 22 00:22 本山(中学校跡) 85.0 21.0 25 18.5 20 16:35 西部支所 60.5 22.5 21 11.0 22 00:10 諏訪広場 96.5 34.5 25 23.5 20 16:43 南部支所 95.5 34.5 21 22.0 20 16:55 上記7地点の平均 78.8 - -
- - 日立会瀬 102.0 42.5 25 23.5 25 18:13 水戸(金町) 86.5 27.0 21 17.0 20 17:06
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇上旬から中旬にかけて、最低気温の高い日が続く
今年の8月は、1日から19日にかけて気温が平年より高い日が続きました。特に、最低気温の下がり方が鈍く、寝苦しい夜が続きました。8月の気温の記録を見ると、月平均気温は26.5℃と観測開始以来第5位の高い記録でした。しかし、日最高気温の月平均は29.9℃とそれほど高くはなく、観測開始以来の順位は高い方から12番目でした。一方、日最低気温の月平均は23.9℃と、観測開始以来3番目に高い気温でした。このため、日最高気温30℃以上の真夏日の日数は16日と観測開始以来16番目に多い日数だったのに対して、最低気温25℃以上の熱帯夜の日数は観測開始以来第3位の多い記録になりました。
さらに、7月23日から8月21日にかけては日最低気温が平年を上回って推移したため、日最低気温の8月上旬平均は25.3℃、中旬の平均は24.7℃と、いずれも観測史上最も高くなりました。19日以降はオホーツク海高気圧が張り出してくるようになり、下旬の平均気温は平年並みに戻りました。
なお、今年と2018年8月の気温の推移とを比べてみると、日々の気温の違いがはっきり現れています。2018年の8月は、太平洋高気圧におおわれて気温が高くなったものの、時々オホーツク海高気圧や大陸から進んできた移動性高気圧におおわれて気温の低くなる時がありました。このため、日最高気温の月平均は30.2℃と2019年8月の29.9℃よりも高くなったのに対して、日最低気温の月平均は23.0℃と2019年8月の23.9℃よりも低くなりました。
●日立市役所における8月の平均気温の記録
平均気温(℃) 順位 年 気温 1 2010 27.1 2 1994 26.9 3 1999 26.8 4 1973 26.6 5 2019 26.5 平年値 24.9
最高平均(℃) 順位 年 気温 1 1995 31.2 2 1994 30.9 3 2010 30.6 省略
12 2019 29.9 平年値 28.7
最低平均(℃) 順位 年 気温 1 2010 24.4 2 1999 24.0 3 2019 23.9 4 1994 23.8 5 1973 23.7 平年値 22.1 ※順位は数値の大きい方からで、1953年〜2019年8月までの統計。
●日立市役所における8月の日最低気温の旬別平均気温(℃)の記録
上旬平均 順位 年 最低平均 1 2019 25.3 2 1994 25.1 3 1999 25.0 4 2015 24.8 5 2010 24.7 平年値 22.3
中旬平均 順位 年 最低平均 1 2019 24.7 2 1994 24.5 3 2010 24.3 4 1999 24.3 5 1973 24.3 平年値 22.2
下旬平均 順位 年 最低平均 1 2010 24.1 2 2012 24.0 3 2018 23.7 省略
24 2019 22.1 平年値 21.9 ※順位は数値の大きい方からで、1953年〜2019年8月までの統計。
●日立市役所における8月の気温日数の記録及び累年最低気温の記録
真夏日の日数 順位 年 日数 1 1999 23 2 2000 22 2 1994 22 省略
16 2019 16 平年値 11.2
熱帯夜の日数 順位 年 日数 1 1994 12 2 2010 11 3 2019 10 4 1973 9 5 2018 8 平年値 1.5
日最低気温(℃) 順位 年 月日 最低気温 1 2007 08/16 26.9 2 2019 08/09 26.6 2 1997 08/10 26.6 4 2019 08/06 26.5 4 2018 08/25 26.5 ※順位は数値の大きい方からで、1953年〜2019年8月までの統計。
●2019年と2018年8月の日最高・最低気温の推移(日立市役所)
中旬にかけて気温の高い日が続いた中で、9日は北海道を進んだ低気圧に向かって吹き込む南西の風によるフェーン現象の影響で、特に気温が上がりました。9日の気圧配置を見ると、台風第8号から変わった低気圧が北海道を東へ進む一方、太平洋高気圧は勢力を強めて東から本州付近へ張り出してきました。このため、関東地方では南西の風が入り、気温が高くなりました。9日の関東地方各地の最高気温は、茨城県大子で39.0℃、群馬県伊勢崎で38.9℃、栃木県佐野で38.6℃など、86地点の内43地点で最高気温が35℃以上の猛暑日となりました。茨城県内でも、上記大子の他に古河で37.6℃、笠間で37.0℃を記録するなど、14観測点のうち鹿嶋、日立会瀬及び北茨城を除く11地点で最高気温が35℃以上となりました。なお、つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は7月の終わりから22℃前後で推移しており、暖かい空気におおわれた状態が続いていることを示しています。
また、8日夜から9日朝にかけて、関東地方では南西の風が吹き続けたことから、9日の朝は気温が下がりませんでした。9日の関東地方各地の最低気温は、栃木県小山で28.4℃、東京都羽田で27.3℃、江戸川臨海で27.2℃など、86地点中48地点で最低気温が25℃以上の熱帯夜となりました。茨城県内でも、日立会瀬で26.5℃、水戸と土浦で26.4℃を記録するなど、14観測点のうち9地点で最低気温が25℃以上となりました。
日立市役所における気温の推移を見ると、8日20時過ぎから南西の風に変わったため、9日朝にかけて気温はあまり下がらず、27℃前後で推移しました。また、9日の夜も南西の風が吹いて気温が下がらなかったため、9日の最低気温は一時的に北東の風に変わった1時22分に記録した26.6℃になりました。これは、2007年8月16日に記録した26.9℃に次いで、観測開始以来2番目に高い最低気温です。
その後、日が昇るとともに気温は上がり始め、7時30分には気温が30℃を超え、09時43分には最高気温34.7℃を記録しました。これは、7月31日に記録した最高気温33.6℃を抜いて、今年の最高気温となりました。最高気温を記録した後、風向が南南東に変わったため気温は3℃近く下がりました。しかし、夕方以降は再び南南西の風が吹くようになり、気温は28〜30℃で推移しました。
日立市役所以外の地点では、諏訪広場と南部支所も南西の風または西北西の風によるフェーン現象の影響で、日最低気温が25℃以上になりました。最高気温は、盆地状の地形の影響で、西部支所が36.0℃と市内で最も高くなりました。また、本山、西部支所及び諏訪広場は、今年最も高い気温となりました。
●8月9日の気温(℃)
地点 | 日平均気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||
気温 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | 29.5 | 25.2 | 34.7 | 09:43 | 28.9 | 26.6 | 01:22 | 22.3 |
十王交流センター | 28.9 | − | 33.0 | 12:56 | − | 24.9 | 01:10 | − |
北部消防署 | 28.3 | − | 31.7 | 09:13 | − | 24.2 | 02:36 | − |
本山(中学校跡) | 27.0 | − | 33.4 | 11:54 | − | 23.6 | 04:38 | − |
西部支所 | 28.1 | − | 36.0 | 12:29 | − | 23.5 | 04:32 | − |
諏訪広場 | 28.6 | − | 33.9 | 10:42 | − | 25.6 | 05:17 | − |
南部支所 | 28.9 | − | 32.6 | 10:16 | − | 25.5 | 04:33 | − |
日立会瀬 | 28.9 | − | 33.8 | 10:14 | − | 26.5 | 05:24 | − |
水戸(金町) | 30.6 | 25.5 | 35.7 | 12:47 | 29.9 | 26.4 | 05:54 | 22.2 |
つくば | 29.8 | 25.8 | 35.5 | 14:03 | 30.5 | 25.7 | 04:39 | 22.0 |
※日立会瀬、水戸(金町)、つくばは、気象庁の観測地点。
●今年の最高気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●8月8日から9日の気温の推移(10分値)
●8月8日から9日の風向と風速の推移(10分値)
●参考:8月9日05時と10時及び13時のアメダスによる気温と風の分布
●参考:8月9日09時の地上天気図と850hPa面高層天気図
作成日 2019/09/24
名前 日立市天気相談所