◇太平洋高気圧の勢力が強く、上旬を中心に気温が高くなる
天気は、数日の周期で変化しました。ただ、日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強く、南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかったことから曇りや雨の日が多くなりました。また、12日には関東地方を横断した台風第19号の影響で、25日には上層に寒気を伴った低気圧の影響で100mmを超える雨が降りました。この結果、月降水量は332.5mm(平年比192%)と平年よりかなり多くなりました。これは、10月の降水量年としては観測開始以来5番目に多い記録です。一方、月の日照時間は141.1時間(平年比93%)と平年よりやや少なくました。南からの暖かい空気におおわれたことから、月平均気温は昨年と同じ18.3℃と平年より1.5℃高くなり、10月の気温としては観測開始以来第4位の高い記録となりました。
10月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 18.3 16.8 月降水量(mm) 332.5 173.3 月日照時間(時間) 141.1 151.2
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 20.5 18.4 中旬 18.2 17.0 下旬 16.3 15.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 62.3 43.0 中旬 34.8 49.1 下旬 44.0 59.1
●10月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●10月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
今年の10月は、暖かい空気におおわれて気温が平年より高い日が続きました。ただ、曇りや雨の日が多かったことから、最高気温はあまり上がりませんでした。昨年(2018年)と今年(2019年)の10月の気温を比較してみると、月平均気温はともに18.3℃で同じでした。一方、最高気温の月平均は、昨年の22.3℃に対して今年は21.6℃と0.7℃低くなりました。反対に、天気がぐずついて冷え込みがなかったことから、最低気温の月平均は、昨年の15.0℃に対して今年は15.4℃と0.4℃高くなりました。なお、これは10月の最低気温の月平均としては、観測開始以来2番目に高い記録です。
●10月の気温(℃)と降水量(mm)の記録
月平均気温 順位 年 気温 1 1998 18.7 2 1994 18.6 3 1979 18.5 4 2019 18.3 5 2018 18.3 平年値 16.8
日最高月平均 順位 年 気温 1 1998 23.2 2 1994 22.6 3 1997 22.4 省略 15 2019 21.6 平年値 20.8
日最低月平均 順位 年 気温 1 1994 15.7 2 2019 15.4 3 1979 15.2 4 1998 15.0 5 2018 15.0 平年値 13.2
10月降水量 順位 年 降水量 1 2004 478.0 2 1991 475.0 3 2001 356.0 4 1979 339.0 5 2019 332.5 平年値 173.3 ※順位は数値の大きい方からで、1953年から2019年の統計。
◇10月の日立市内の気温と降水量
10月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は南部支所が最も高くなりました。次いで、いつもはも最も気温が高い日立市役所が第2位となっています。一方、山間部にある本山は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は17.5℃で、9月より5.0℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は18.3℃と日立市の平均よりも0.8℃高く、9月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。ただ、9月までは全地点で水戸よりも平均気温は低くなっていましたが、10月は南部支所で平均気温が水戸よりも高くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は390.5mmで、9月の平均降水量170.1mmよりも220mm近く多くなりました。観測地点間の差は10月とほぼ同じで、最も降水量の多かった本山の512.0mmに対して、最も少なかった南部支所は295.5mmと1.7倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量390.5mmに対して、水戸の月降水量は370.5mmと20mm近く少なくなりました。
●10月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
10月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 18.3 28.8 05 09:43 10.9 17 05:54 十王交流センター 18.2 28.0 05 09:26 10.6 17 05:30 北部消防署 17.9 27.4 13 11:24 10.0 17 05:48 本山(中学校跡) 15.4 26.2 05 10:47 7.9 29 00:07 西部支所 17.0 28.3 02 11:45 8.2 17 05:47 諏訪広場 17.2 27.5 05 10:26 9.4 17 06:00 南部支所 18.4 28.3 05 11:13 9.7 30 05:41 上記7地点の平均 17.5 - -
- -
日立会瀬 18.4 27.7 13 11:48 10.5 17 05:54 水戸(金町) 18.3 29.3 05 13:02 10.3 29 00:38
10月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 332.5 118.5 25 49.5 25 17:54 十王交流センター 435.0 154.0 25 61.5 25 17:53 北部消防署 419.5 163.0 25 64.5 25 17:41 本山(中学校跡) 512.0 227.0 12 41.0 25 17:54 西部支所 426.5 239.0 12 40.5 12 16:19 諏訪広場 312.5 114.0 12 47.0 25 17:50 南部支所 295.5 102.0 25 40.5 25 17:33 上記7地点の平均 390.5 - -
- - 日立会瀬 341.5 127.0 25 55.0 25 17:52 水戸(金町) 370.5 126.0 12 46.5 25 17:21
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇台風第19号が関東地方を縦断し、山間部で大雨となる(10月12日)
10月10日から11日にかけて、台風第19号が日本の南を北北西へ進んできました。12日未明に北緯30度線を超えた後、台風は向きを北北東へ変えて八丈島の西を通過し、12日19時前には伊豆半島へ上陸しました。その後、関東地方を北北東へ進み、13日1時過ぎには福島県沖へ抜け、12時には北海道の南東で温帯低気圧に変わりました。
台風の東側を北上して台風の北側へ流れ込む湿った空気の影響で、関東地方南部では11日の夜から雨が降り出しました。特に、湿った空気が山の南東斜面にぶつかる形となった伊豆半島、神奈川県西部から栃木県北部にかけては、12日朝から夜にかけて1時間降水量70mmを超える非常に激しい雨が降り、総降水量が500mmを超える大雨となりました。関東地方における10日0時から13日3時までの降水量は、神奈川県箱根で1001.5mm、静岡県湯ヶ島で760.0mm、埼玉県秩父市浦山で687.0mmなどでした。
また、台風が関東地方へ近づいてきた夕方頃から関東地方を通過した夜にかけて、南部を中心に南から西の風が強く吹きました。島しょ部を除いた関東地方における最大瞬間風速は、東京都江戸川臨海で南の風43.8m/s(12日21時17分)、神奈川県横浜で南南東の風43.8m/s(12日20時32分)、東京都羽田で南南東の風43.7m/s(12日20時56分)などでした。
日立市では、台風が八丈島の西を通過した12日昼過ぎから雨が連続して降るようになりました。そして、台風を取り巻く発達した雨雲がかかった14時過ぎから23時前にかけて、1時間に10〜20mmのやや強い雨が降り続きました。先月の台風第15号に比べて雨の降っている時間が長かったため、市街地の総降水量は120mm前後になりました。また、山間部の本山と西部支所では、地形の影響で1時間降水量30mmから40mmの激しい雨が降り、総降水量は250mm近くになりました。台風が福島県に進んだ13日未明には雨は止み、晴れてきました。
一方、風は台風が離れていた12日の朝までは、平均風速5m/s前後の北東の風が吹いていました。その後、台風が八丈島の西を通過した昼頃から風が強まってくるとともに、風向が北東から南東、南西へと変化していきました。そして、台風の中心が日立市のすぐ西側を通過した23時24分に、日立市役所では最大瞬間風速26.8m/sの南の風を記録しました。これは、9月9日に関東地方南部を北東へ進んだ台風第15号に伴って観測した北東の風30.6m/sに次いで、今年2番目に大きい最大瞬間風速です。台風の速度が速かったことから、日付が変わると風は急速に弱まり、13日3時過ぎには強い風は収まりました。なお、日立市内の他の観測地点では、南部支所で最大瞬間風速27.2m/sと日立市役所とほぼ同じ程度の風速を観測しました。
●関東地方における10月10日から13日の風速の記録(島しょ部を除く)
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※順位は、風速の大きい方から。
●茨城県内の10月10日から13日の風速の記録
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※順位は、風速の大きい方から。
●関東地方と茨城県内の10月10日から13日の降水量(mm)の記録
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※順位は、降水量の多い方から。
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日降水量 |
総降水量 |
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11日 | 12日 | 13日 |
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日時 |
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日時 | ||
日立市役所 | 8.5 | 113.0 | 0.5 | 122.0 | 25.0 | 12日16時08分 | 5.5 | 12日15時31分 |
十王交流センター | 12.0 | 136.0 | 0.0 | 148.0 | 25.0 | 12日16時19分 | 6.5 | 12日20時08分 |
北部消防署 | 11.0 | 128.0 | 0.0 | 139.0 | 24.5 | 12日16時20分 | 6.0 | 12日15時30分 |
本山 | 14.5 | 227.0 | 0.0 | 241.5 | 38.5 | 12日16時10分 | 10.0 | 12日15時20分 |
西部出張所 | 7.5 | 239.0 | 0.5 | 247.0 | 40.5 | 12日16時19分 | 9.0 | 12日16時14分 |
諏訪広場 | 10.0 | 114.0 | 0.5 | 124.5 | 26.0 | 12日16時15分 | 8.0 | 12日15時25分 |
南部支所 | 12.0 | 94.5 | 0.0 | 106.5 | 26.5 | 12日16時07分 | 6.5 | 12日15時54分 |
日立会瀬 | 10.5 | 103.5 | 0.0 | 114.0 | 22.5 | 12日16時07分 | 6.0 | 12日15時17分 |
水戸(金町) | 15.5 | 126.0 | 0.0 | 141.5 | 20.0 | 12日15時29分 | 5.0 | 12日14時52分 |
※総降水量は、11日01時〜13日06時までの合計。なお、10日の日立市内と水戸の降水量は0.0mmです。
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
地点 | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) | 海面気圧(hPa) | |||||
風速 | 同風向 | 日時 | 風速 | 同風向 | 日時 | 最低気圧 | 日時 | |
日立市役所 | 13.3 | 南南西 | 12日23時47分 | 26.8 | 南 | 12日23時24分 | 972.3 | 12日23時31分 |
十王交流センター | 10.0 | 南東 | 12日23時34分 | 21.8 | 南南東 | 12日23時18分 | - | - |
北部消防署 | 10.4 | 南南西 | 12日24時00分 | 20.9 | 南 | 12日23時29分 | - | - |
西部支所 | 6.2 | 東南東 | 12日22時57分 | 15.5 | 東南東 | 12日22時57分 | - | - |
諏訪広場 | 9.9 | 南南東 | 12日22時34分 | 20.5 | 南 | 12日19時53分 | - | - |
南部支所 | 13.7 | 南南西 | 12日23時35分 | 27.2 | 南南西 | 12日23時26分 | - | - |
日立会瀬 | 12.0 | 南 | 12日23時12分 | 23.4 | 南 | 12日23時36分 | - | - |
水戸(金町) | 11.9 | 東北東 | 12日15時34分 | 23.4 | 南 | 12日23時06分 | 971.8 | 12日23時01分 |
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
●参考:台風第19号の経路図
●10月11日〜12日の降水量(西部支所)と10月12日〜13日の海面気圧の推移
●10月12日〜13日の日立市役所における風向と風速の推移
●参考:10月10日〜10月13日の降水量の分布
※気象庁の特定期間の気象データ(2019年10月10日〜10月13日の降水の状況)から作成
●参考:10月12日16時30分と21時00分の降水レーダー図
●参考:10月12日19時と23時のアメダスによる風の分布
●参考:10月11日15時の気象衛星可視画像と12日21時の気象衛星赤外画像
●参考:10月11日15時と12日21時の地上天気図
作成日 2019/11/13
名前 日立市天気相談所