◇気温が下がらず、曇りの日が多かった
冬型の気圧配置は続かず、月の初めと終わりは移動性高気圧におおわれて晴れました。しかし、上旬の後半から下旬の前半にかけては、低気圧や前線が本州の南と日本海を頻繁に通過し、天気は短い周期で変わりました。晴れる日が続かなかったことから、月の日照時間は138.4時間(平年比75%)と平年よりかなり少なくなりました。一方、日本付近で低気圧の発達が弱く、大雨の降ることがなかったことから、月の降水量は43.5mm(平年比100%)と平年並みでした。冬型の気圧配置が続かず、寒気の南下がほとんどなかったことから、上旬の後半を除いては気温の高い日が続きました。月平均気温は8.3℃と平年より0.6℃高くなりました。
12月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 8.3 7.3 月降水量(mm) 43.5 43.3 月日照時間(時間) 138.4 184.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 8.7 8.7 中旬 9.3 7.1 下旬 7.1 6.2
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 46.7 56.5 中旬 44.5 59.3 下旬 47.2 68.9
●12月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●12月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
◇12月の日立市内の気温と降水量
12月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高く、市内平均より1.3℃高くなりました。次いで気温が高かったのは海に近い北部消防署で、市役所より0.3℃低くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は7.0℃で、11月より3.8℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は6.9℃と日立市の平均よりも0.1℃低くなりました。2015年1月以降、水戸の気温が日立市内平均よりも低くなったのは、2018年12月に次いで2回目です。なお、日立市内で水戸よりも平均気温が低かったのは、本山と西部支所の2か所だけでした。
一方、月の降水量の市内平均は40.5mmで、11月の平均降水量79.2mmの約半分でした。観測地点の間の差は11月より小さくなり、最も降水量の多かった本山の53.5mmに対して、最も少なかった南部支所は34.0mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量40.5mmに対して、水戸の月降水量は54.0mmと10mm近く多くなりました。
●12月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
12月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 8.3 19.2 31 12:59 -0.8 28 05:11 十王交流センター 7.9 18.7 12 11:13 -1.4 28 05:51 北部消防署 8.0 18.2 31 10:50 -0.5 25 01:41 本山(中学校跡) 5.0 17.1 18 10:02 -3.9 28 05:35 西部支所 5.4 16.9 12 11:24 -3.9 28 07:01 諏訪広場 7.2 18.4 18 12:18 -1.7 28 06:42 南部支所 7.3 17.6 18 12:49 -1.7 29 04:10 上記7地点の平均 7.0 - -
- -
日立会瀬 8.5 18.9 18 12:19 -0.6 28 06:43 水戸(金町) 6.9 17.3 12 12:50 -2.8 29 06:41
12月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 43.5 13.5 02 5.5 02 13:20 十王交流センター 33.5 10.5 02 3.5 02 14:12 北部消防署 42.5 16.0 02 7.0 02 13:20 本山(中学校跡) 53.5 20.0 02 6.5 02 13:00 西部支所 39.5 15.0 02 7.5 02 12:25 諏訪広場 37.0 12.0 02 3.5 23 00:20 南部支所 34.0 12.0 02 6.5 02 13:17 上記7地点の平均 40.5 - -
- - 日立会瀬 49.0 15.0 02 5.0 02 14:05 水戸(金町) 54.0 15.0 02 7.0 02 13:42
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇2017年12月との比較
最初に述べたように、今年(2019年)の12月は冬型の気圧配置が続かず、天気は短い周期で変わりました。また、月を通して暖かい空気に覆われたことから冷え込みが強まらず、気温が高くなりました。一方、2017年の12月は11日に日本海を低気圧が発達しながら東北東へ進んだ後、日本付近で偏西風が南に蛇行するようになり、強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置となる日が多くなりました。この寒かった2017年の12月と暖かかった今年の12月を比べると、上層の大気の流れが異なり、これに伴って日本付近の雲の様子も大きく違っていました。
日立市内の2019年と2017年12月の気温の観測結果を比べてみると、2019年12月の平均気温は2017年よりも2℃から4℃近く高くなりました。特に、山間部の西部支所で沿岸部よりも気温が高くなりました。また、冷え込みが強まらなかったことから、日最低気温0℃未満となった冬日の日数も2017年に比べてかなり少なくなりました。日立市役所では、2017年は12月18日に冬日初日となった後、12月の冬日の日数は7日になりました。それに対して、2019年の12月は12月28日に冬日初日となったものの、それ以外に冬日となる日はありませんでした。また、冬日初日も平年より14日遅く、観測開始以来6番目に遅い記録となりました。
2017年と今年の比較の一例として、2017年12月27日と2019年12月28日の気象衛星可視画像と天気図を比べてみました。地上天気図をみると、両者とも西高東低の冬型の気圧配置となっています。しかし、500hPa面高層天気図をみると、日本付近への寒気の入り方に大きな違いが見られます。2017年の場合は、オホーツク海に寒冷渦が停滞して、その西側を回り寒気が日本付近へ流れ込んでいます。このため、-36℃の等温線は東北地方中部まで南下しています。一方、2019年の場合は寒冷渦が日本のはるか東にあり、日本付近では上層の偏西風が西北西から東南東へ流れています。このため、寒気は北日本から日本の東へ流れ、-36℃の等温線は北海道にわずかにかかっているだけです。
これに対応して、2017年の気象衛星可視画像では、日本海一面に寒気に伴う筋状雲が広がっており、大陸からの離岸距離も小さくなっています。また、東北から九州にかけての太平洋側や東シナ海にも筋状雲が広がっており、冬型の気圧配置が強いことを表しています。一方、2019年の可視画像では、日本海の寒気に伴う筋状雲は少なく、かわりに北海道から東北地方の東海上に筋状雲が広がっています。また、筋状雲の流れも北北西から南南東へ向かっており、寒気が北日本から日本の東へ流れ出していることを示しています。
なお、今年の12月は偏西風が日本付近から日本の東海上で北へ蛇行し、南から暖かく湿った空気が入りやすくなって気温が高くなりました。その影響で、関東地方では南海上で発生した収束雲が北へ広がり、曇りの日が多くなりました。月の日照時間138.4時間は、12月の日照時間としては観測開始以来最も少なくなりました。
●気温(℃)及び冬日の日数の昨年との比較
地点 平均気温 冬日の日数 2019年 2017年 差 2019年 2017年 差 日立市役所 8.3 6.1 +2.2 1 7 -6 十王交流センター 7.9 5.4 +2.5 3 15 -12 北部消防署 8.0 4.6 +3.4 4 15 -11 本山(中学校跡) 5.0 2.1 +2.9 14 23 -9 西部支所 5.4 1.2 +4.2 14 28 -14 諏訪スポーツ広場 7.2 3.8 +3.4 5 18 -13 南部支所 7.3 3.9 +3.4 6 23 -17 上記7地点平均 7.0 3.9 +3.1 6.7 18.4 -11.7 日立会瀬 8.5 6.3 +2.2 2 8 -6 水戸 6.9 4.6 +2.3 7 22 -15 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
●日立市役所における過去5年間の12月の気象記録
年 気温(℃) 冬日の
日数日照時間
(時間)降水量
(mm)平均湿度
(%)平均 最低 2015 8.6 -1.3 2 175.9 45.5 60 2016 8.7 -1.4 5 198.9 65.0 56 2017 6.1 -2.0 7 190.6 20.5 53 2018 7.8 -2.8 7 155.7 15.0 56 2019 8.3 -0.8 1 138.4 43.5 64 平年値 7.3 − 6.0 184.7 43.3 58.7 ●日立市役所における12月の気温(℃)と日照時間(時間)の記録
12月の平均気温
順位 年 平均気温 1 1968 9.8 2 1957 9.1 3 1979 9.0 4 1958 8.7 省略 14 2019 8.3 平年値 7.3 冬日初日の記録
順位 年 冬日初日 1 1958 1959年1月3日 2 2007 12月31日 2 1957 12月31日 4 2006 12月30日 4 1968 12月30日 6 2019 12月28日 平年値 12月14日 12月の日照時間
順位 年 日照時間 1 2019 138.4 2 1968 145.3 3 1953 151.7 4 2006 152.7 5 1993 153.0 6 1964 155.2 平年値 184.7 ※順位は数値の大きい方(小さい方)または日付の遅い方からで、1953年から2019年の統計。
※1958年12月は冬日になる日がなく、初めての冬日は年が明けた1959年1月になってからでした。
●2019年と2017年12月の日平均気温の推移
2019年 | 2017年 |
●2019年12月28日と2017年12月27日10時の気象衛星可視画像
●参考:2019年12月28日と2017年12月27日09時の地上天気図
●参考:2019年12月28日と2017年12月27日09時の500hPa面高層天気図
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の500hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
作成日 2020/01/15
名前 日立市天気相談所