◇晴れて降水量の少ない月が続く
日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わりました。特に、上旬と下旬は高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。しかし、中旬は上層に寒気を伴った気圧の谷が頻繁に通過し、天気がぐずつくとともに風や雨が強まるとき時がありました。この結果、月の日照時間は216.4時間(平年比121%)と、平年より多くなりました。また、中旬に日本付近で低気圧が発達してまとまった雨が降ったことから、月降水量は156.5mm(平年比119%)と、平年よりやや多くなりました。一方、上旬後半から下旬にかけて周期的に寒気が入ったことから、月平均気温は11.0℃と平年より1.1℃低くなりました。これは、4月の気温としては2010年の9.7℃以来10年ぶりの低い気温です。
4月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 11.0 12.1 月降水量(mm) 156.5 131.9 月日照時間(時間) 216.4 178.8
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 10.8 10.5 中旬 10.0 12.1 下旬 12.2 13.7
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 84.8 61.4 中旬 55.9 55.5 下旬 75.7 61.9
●4月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●4月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
◇4月の日立市内の気温と降水量
4月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターと最も南に位置する南部支所が2番目に高くなっています。山間部にある本山、西部支所と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は10.2℃で、水戸の月平均気温11.4℃よりも1.2℃低くなりました。気温差は3月とほぼ同じで、引き続き水戸の方が気温が高くなっています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。
一方、月の降水量の市内平均は159.2mmで、3月の平均降水量103.5mmより55mm近く多くなりました。観測地点の間の差は3月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の231.0mmに対して、最も少なかった南部支所は112.0mmと2.1倍の差でした。 また、市内7地点の平均降水量159.2mmに対して、水戸の月降水量は177.0mmと20mm近く多くなりました。
●4月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
4月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 11.0 22.8 26 12:44 3.1 06 05:38 十王交流センター 10.9 24.1 26 12:55 2.7 11 05:29 北部消防署 10.6 22.9 26 12:33 2.9 03 05:21 本山(中学校跡) 8.3 22.0 16 14:08 -0.5 11 05:30 西部支所 9.8 23.2 26 15:12 -0.6 03 04:48 諏訪広場 9.9 22.4 26 13:13 1.6 11 05:20 南部支所 10.9 23.6 26 13:18 0.7 06 05:39 上記7地点の平均 10.2 - -
- -
日立会瀬 11.0 22.6 26 16:06 2.8 06 05:32 水戸(金町) 11.4 24.3 26 13:16 0.3 06 05:36
4月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 156.5 55.0 18 21.5 18 15:35 十王交流センター 163.0 56.5 18 23.0 18 15:40 北部消防署 178.0 58.0 18 23.0 18 15:40 本山(中学校跡) 231.0 105.5 18 40.0 18 15:26 西部支所 152.5 69.5 18 21.0 18 15:25 諏訪広場 121.5 42.5 18 16.5 18 15:08 南部支所 112.0 38.0 18 14.0 18 15:08 上記7地点の平均 159.2 - -
- - 日立会瀬 159.5 55.0 18 20.5 18 15:36 水戸(金町) 177.0 67.0 18 17.0 18 14:42
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇偏西風が南に蛇行して低気圧が発達し、強い風が吹く
今年は、2月中旬から上層の偏西風が日本の東で北へ蛇行し、日本付近へ南から暖かい空気が入るようになりました。このため、2月から3月にかけて気温の高い日が続き、月平均気温は2℃以上高くなりました。しかし、4月に入ると偏西風は日本付近で南へ蛇行するようになり、北から寒気が入るようになって気温は低くなりました。また、蛇行した偏西風の流れから分離した寒冷渦が、たびたび本州付近をゆっくりと東へ進みました。これに伴って、低気圧が本州南岸を発達しながら北東へ進み、荒れた天気になるときがありました。
日立市では、1日から2日、13日から14日及び18日から19日に、本州南岸を発達しながら進んだ低気圧の影響で強い風が吹きました。1日から2日は、本州南岸を東北東へ進んだ低気圧が三陸沖で発達したため、低気圧が東へ抜けた2日に北西の風が強く吹きました。日立市役所では、2日00時36分に瞬間最大風速17.9m/sの北北西の風を記録しました。
13日から14日は、低気圧が発達しながら関東地方南部を通過して三陸沖へ進みました。低気圧の中心を通る閉塞前線の北側へ寒気が流れ込んだため、前線の北側で強い風が吹きました。日立市役所では、13日17時04分に瞬間最大風速28.4m/sの北北東の風を記録しました。
18日から19日は、低気圧が紀伊半島から東海、関東地方を通過して福島県沖へ進みました。日立市では、低気圧の前面に入った18日昼過ぎから夕方にかけて南東の風が強まり、日立市役所では18日15時21分に瞬間最大風速19.0m/sの南東の風を記録しました。
●4月1日〜2日の風速の記録と天気図
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●4月13日〜14日の風速の記録と天気図
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●4月18日〜19日の風速の記録と天気図
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※日立会瀬と水戸は、気象庁の観測地点。
この中で、13日から14日の低気圧は下層の寒気が強く、低気圧の中心を通り西側にも局地的な前線がのびて、この前線の北側へ寒気が流れ込みました。このため、関東地方では前線の北側に接した千葉県から茨城県にかけて北東の風が強く吹きました。
関東地方各地の最大瞬間風速は、千葉県銚子で北北東の風34.6m/s(18時41分)、茨城県水戸で北北東の風29.6m/s(14時56分)、栃木県宇都宮で北北東の風27.2m/s(20時13分)などでした。茨城県内では沿岸部を中心に北朝の風が強く吹きました。県内の最大瞬間風速は、上記の水戸の他に鹿嶋で北北東の風26.8m/s(16時39分)、龍ヶ崎で北東の風26.7m/s(16時12分)などでした。
日立市役所における風速の推移をみると、13日未明から北北東の風が徐々に強くなり始めました。8時を過ぎると一段と風が強まり、20時にかけて平均風速11m/s前後、瞬間風速23m/s前後のやや強い風が吹き続けました。風は9時頃と17時頃に極大があり、17時04分には最大瞬間風速28.4m/sの北北東の風を観測しました。20時を過ぎると、風は徐々に弱まっていきました。しかし、14日の朝になると東海上の低気圧に向かって吹き込む北西の風がやや強まり、15時頃にかけて平均風速9m/s前後の風が吹き、11時51分には最大瞬間風速21.7m/sの西北西の風を観測しました。15時を過ぎると風は弱まっていき、夕方には収まりました。
日立市内の他の観測地点の内、南部支所は日立市役所と同じような風速の変化をし、8時から20時にかけて北北東の風が強くなりました。それ以外の地点では、日立市役所ほど風は強くならず、13日の日中は平均風速6m/s前後で推移しました。
●4月13日〜14日の日立市役所、水戸(金町)、つくばにおける最大瞬間風速の推移
●4月13日〜14日の日立市内における平均風速の推移
●参考:4月13日16時のアメダスによ気温と風の分布
●参考:4月13日15時の気象衛星水蒸気画像と可視画像
作成日 2020/05/14
名前 日立市天気相談所