◇月の前半はオホーツク海高気圧が張り出し涼しい日が続く

　月の前半は、偏西風がシベリア付近で北へ、日本の東で南へ蛇行したため、オホーツク海高気圧が発達して北日本から東日本へ張り出しました。関東地方には、オホーツク海高気圧からの冷たく湿った北東の風が入り、ぐずついた天気が続くとともに気温が低くなりました。17日から18日にかけて上層の気圧の谷が本州付近を通過した後、シベリア付近での偏西風の蛇行は解消しました。これに伴って低気圧と高気圧が交互に通過するようになり、天気は周期的に変化しました。また、日本の南で上層の高気圧が強まり、南から暖かい空気が流れ込んで気温は高くなりました。上旬の平均気温が20.6℃（平年比-3.3℃）と平年よりかなり低くなったため、月平均気温は21.4℃（平年比-0.8℃）と平年よりやや低くなりました。一方、月の前半に天気がぐずついたことから、月の日照時間は125.9時間（平年比89％）と平年より少なくなりました。月降水量は166.5mm（平年比95％）と、ほぼ平年並みになりました。

9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 21.4 22.2 月降水量（mm） 166.5 175.2 月日照時間（時間） 125.9 141.5

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 20.6 23.9 中旬 22.0 22.4 下旬 21.6 20.1

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 26.9 49.8 中旬 38.4 47.9 下旬 60.6 43.8

　●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●9月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

◇9月の日立市内の気温と降水量

　9月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が21.4℃と最も高くなりました。次いで、最も南に位置する南部支所が21.1℃で2番目に高くなりました。一方、山間部にある本山は18.6℃と最も気温が低くなりました。市内7地点の平均気温は20.4℃で、8月より4.8℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は21.2℃と日立市の平均よりも0.8℃高く、8月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。また、日立市内7か所の観測地点の平均気温は、日立市役所を除いて水戸より低くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は177.4mmで、8月の平均降水量339.7mmよりも160mm近く少なくなりました。この差は、8月11日から15日にかけて、停滞する前線の影響で200mm前後の雨が降ったためです。観測地点の間の差は8月よりも大きくなり、最も降水量の多かった本山の241.0mmに対して、最も少なかった南部支所は108.5mmと2.2倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量177.4mmに対して水戸の月降水量は79.5mmと、約100mm少なくなりました。これは、9月18日夜の寒冷前線に伴う降水量が、日立市役所よりも水戸の方が60mm近く少なかったためです。

　●9月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

9月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 21.4 27.7 13 15:02 15.7 20 04:43 十王交流センター 21.0 27.9 13 13:12 15.2 20 05:29 北部消防署 20.8 27.6 13 09:14 14.5 20 04:47 本山（中学校跡） 18.6 27.1 13 12:55 12.8 20 05:49 西部支所 19.9 28.9 24 11:31 12.4 20 05:33 諏訪広場 20.1 27.0 22 12:21 13.4 20 05:28 南部支所 21.1 28.1 13 11:21 13.6 20 04:30 上記7地点の平均 20.4 - - - - 日立会瀬 21.3 27.2 13 12:01 15.0 20 05:12 水戸（金町） 21.2 29.7 22 16:19 14.3 29 05:52

9月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 166.5 84.5 18 18.0 18 23:25 十王交流センター 204.0 102.0 18 25.0 18 22:54 北部消防署 183.5 93.5 18 25.0 18 23:23 本山（中学校跡） 241.0 131.0 18 38.0 18 23:02 西部支所 181.0 94.0 18 35.0 18 23:04 諏訪広場 157.0 70.5 18 21.0 04 20:47 南部支所 108.5 39.5 18 15.5 18 23:43 上記7地点の平均 177.4 　 　 　 　 日立会瀬 162.5 73.5 18 18.0 18 23:47 水戸（金町） 79.5 32.5 18 10.5 18 22:43

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇上旬は気温が低くなる

　今年の9月は、月の前半から後半にかけて気候が大きく変化しました。月の前半、特に上旬は偏西風がシベリア付近で北へ、日本の東で南へ蛇行したため、北から寒気が南下してきました。7日09時のつくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近（850hPa面）の気温は9.0℃と平年よりも7℃近く低くなりました。また、偏西風が北へ蛇行したことによりオホーツク海高気圧が発達して北日本から東日本へ張り出し、関東地方には冷たく湿った北東の風が入り、気温の低い日が続きました。日立市役所における9月上旬の平均気温は20.6℃で、9月上旬の気温としては観測開始以来3番目に低い気温となりました。

　その後、17日から19日にかけて台風第14号が西日本から関東地方の南へ進んで弱まった後、日本の南で太平洋高気圧が強まり本州付近をおおうようになりました。太平洋高気圧は勢力を徐々に西へ移していき、下旬の中頃には一時的に北から寒気の入るときもありましたが、関東地方では平年並みからやや高い気温の日が多くなりました。

　この結果、日立市役所では月平均気温が平年よりやや低くなるとともに、真夏日（最高気温30℃以上の日）になる日がありませんでした。9月に真夏日となる日がなかったのは、2014年9月以来です。10年ごとに9月に真夏日の無かった年を調べると、1960年代に5年、1980年代に4年あった以外は各年代とも1年から2年と少ない年数でした。なお、1990年代は9月に真夏日の無かった年がなく、残暑の厳しい年が多くなりました。また、9月に真夏日が無かった年は、すべて8月に真夏日終日（その年の真夏日最後の日）を迎えています。今年も、10月13日現在で9月以降に真夏日となった日が無いので、8月30日が真夏日終日になると思われます。これは、平年及び昨年よりも19日早くなっています。

　ただ、今年の9月は最高気温は上がらなかったものの、中旬から下旬は上旬よりも気温が高くなり、なかなか気温が下がりませんでした。このため、月の最低気温は20日に記録した15.7℃でした。その年の8月以降に初めて最低気温が15℃未満となったった日は、去年が10月2日、平年値が9月26日となっています。今年は、10月13日現在、まだ最低気温が15℃未満となっておらず、冷え込みの遅い年となっています。

　●9月上旬の平均気温と9月に真夏日の無かった年の記録

　※順位は数値の小さいからで、1953年〜2021年9月までの統計。

　※2021年の真夏日終日は、10月13日現在の暫定的な記録です。

　※最低気温15℃未満初日は、その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃未満となった日。

　●日立市役所における2021年7月から9月の最高気温の推移

　●日立市役所における9月の真夏日日数の年推移

　●参考：9月6日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

　●参考：9月22日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図

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作成日 2021/10/13
名前 日立市天気相談所