◇暖かい空気におおわれ、気温が高くなる
シベリア高気圧の張り出しが強い傾向が続くとともに、千島近海からアリューシャン近海で低気圧が発達し、上旬と下旬の前半を中心に冬型の気圧配置が強まりました。一方、中旬は日本の南を東進した低気圧や動きの遅い寒冷渦の影響で、曇りや雨または雪の降る日が多くなりました。下旬の後半は、日本付近で勢力を東西に広げる高気圧におおわれ、晴れて気温が上がりました。ただ、下旬の前半にかけて平年より気温の低い日が続いたことから、月平均気温は4.0℃(平年比-1.0℃)と平年より低くなりました。中旬に雨や雪の降る日が多かったことから、月の日照時間は183..9時間、日照率は61.0%(平年比6%)と平年よりわずかに多くなりました。また、月の降水量は47.5mm(平年比95%)と、ほぼ平年並みになりました。
2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.0 5.0 月降水量(mm) 47.5 49.8 月日照時間(時間) 183.9 175.0 日照率(%) 61.0 57.4
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 3.4 4.4 中旬 3.8 4.9 下旬 5.0 5.7
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 66.9 62.4 中旬 45.6 61.3 下旬 71.4 51.2
●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●2月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
◇2月の日立市内の気温と降水量
2月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は日立市役所が最も高くなっています。次いで、北に位置する北部消防署と十王交流センターが高くなっています。一方、本山と西部支所は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は2.7℃で、水戸の月平均気温3.4℃よりも0.7℃低くなりました。1月と比較すると、日立市の平均気温は同じでしたが、水戸は0.6℃高くなりました。なお、昨年2月の日立市内の平均気温は5.6℃、水戸の平均気温は6.0℃で、日立市は水戸に比べて昨年よりも気温がやや低くなっています。
一方、月の降水量の市内平均は47.1mmで、1月の平均降水量13.0mmよりも約35mm多くなりました。最も降水量が多かった本山の56.0mmに対して、も少なかった西部支所は39.5mmと1.4倍の差で、1月よりも地点間の差は大きくなりました。また、市内7地点の平均降水量47.1mmに対して、水戸の月降水量は63.0mmと15mm近く多くなりました。
●日立市内と水戸の2月の気温と降水量の観測結果
2月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 4.0 15.3 27 14:30 -3.7 06 03:22 十王交流センター 3.6 15.8 27 13:45 -4.2 07 04:45 北部消防署 3.5 15.2 27 11:51 -3.8 07 06:04 本山(中学校跡) 0.6 13.0 27 14:17 -7.0 07 06:40 西部支所 1.4 14.6 28 14:58 -7.9 06 04:03 諏訪広場 2.9 14.2 27 14:12 -4.1 22 06:29 南部支所 3.2 14.6 27 13:49 -6.0 06 06:46 上記7地点の平均 2.7 - -
- -
日立会瀬 4.2 15.2 27 14:15 -4.1 06 03:05 水戸(金町) 3.4 16.1 27 13:47 -5.6 06 06:44
2月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 47.5 17.0 13 3.5 20 01:10 十王交流センター 44.0 13.5 13 4.0 20 01:19 北部消防署 44.0 15.0 13 4.0 19 23:04 本山(中学校跡) 56.0 14.5 20 4.5 20 01:06 西部支所 39.5 12.5 20 4.5 20 01:07 諏訪広場 48.0 17.5 13 3.5 20 07:36 南部支所 50.5 20.5 13 4.5 20 01:05 上記7地点の平均 47.1 - -
- - 日立会瀬 48.5 17.0 13 4.0 20 01:08 水戸(金町) 63.0 19.0 13 4.5 20 01:02
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇南岸低気圧により雪が降る(2月10日から11日)
10日から11に日にかけて、上層の気圧の谷が日本海から東日本を通過して、日本の東へ進みました。これに伴う低気圧は、日本の南を陸地から離れて東へ進みました。しかし、上層の気圧の谷が近づいてきた9日夜には東海道沖に別の低気圧が発生して、やや発達しながら東へ進みました。このため、関東地方では10日未明から雨が降り出し、時々雪混じりとなりながら11日の未明から明け方まで降り続きました。低気圧が関東地方の南を通過した10日の夜になると、低気圧の後面へ北から冷たい空気が流れ込んできました。このため、雨雲の残っていた茨城県では雨が雪に変わり、11日の明け方まで雪が降り続きました。この結果、水戸市では最深積雪9cmを観測し、関東地方の平野部では積雪が最も多くなりました。
日立市では、低気圧が紀伊半島の南へ進んできた9日0時過ぎから、断続的に弱い雨が降り始めました。その後、10時過ぎから雨が降り続くようになり、17時頃からは雨に雪が混じるようになりました。夜に入って関東の南に小さな低気圧が発生して北から寒気が引き込まれるようになると、完全に雪に変わって11日7時前まで雪が降り続きました。このため、11日7時における日立市役所の積雪は2cmとなりました。日立市役所で1cm以上の積雪を観測したのは、2019年2月9日の南岸低気圧により3cmの積雪を観測して以来です。2020年冬の平均気温は7.2℃、2021年冬の平均気温は6.1℃と平年(5.7℃)より高かったことと、2021年は2月の平均気温が7.0℃(平年比+2.0℃)とかなり高く、終雪が1月28日と早かったため、2020年と2021年は積雪となる日がありませんでした。
なお、山間部の本山では10日17時過ぎから11日の9時前まで気温が0℃未満で推移し、総降水量が12.0mmになったため積雪が多くなりました。本山の近くの奥日立きららの里では、11日朝の積雪が20〜30cmと大雪になりました。
●10日から11日の最深積雪と日立市役所における過去6年間の最深積雪(1cm以上)
2月10日から11日の最深積雪(cm) |
過去7年間の最深積雪(cm) |
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※2020年と2021年は、積雪が1cm以上となった日は無かった。
●2月10日の気温(℃)の記録
本山と西部支所を除いた沿岸部の観測地点では、夜に入って冷たい空気が入ってきたことから24時近くに最低気温を記録した。
地点 | 日平均気温 | 最高気温 | 最低気温 | |||||
気温 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | 気温 | 時刻 | 平年値 | |
日立市役所 | 3.3 | 4.7 | 6.5 | 10:56 | 9.5 | 0.6 | 23:55 | 0.2 |
十王交流センター | 3.3 | − | 6.2 | 11:11 | − | 0.7 | 24:00 | − |
北部消防署 | 2.9 | − | 5.8 | 10:53 | − | 0.3 | 24:00 | − |
本山(中学校跡) | 0.7 | − | 3.5 | 10:52 | − | -1.2 | 01:06 | − |
西部支所 | 2.1 | − | 5.8 | 11:37 | − | -2.0 | 01:47 | − |
諏訪広場 | 2.5 | − | 5.1 | 10:35 | − | 0.2 | 24:00 | − |
南部支所 | 3.2 | − | 5.3 | 11:26 | − | 0.7 | 24:00 | − |
日立会瀬 | *.* | − | *.* | **:** | − | *.* | **:** | − |
水戸(金町) | 2.8 | 3.6 | 5.3 | 12:01 | 9.5 | 0.2 | 24:00 | -1.6 |
つくば | 2.5 | 3.7 | 4.2 | 13:24 | 9.9 | 0.3 | 24:00 | -2.2 |
●2月10日〜11日の気温の推移(10分値)
●2月11日朝の積雪の様子(市役所から北を見る)
●2月10日15時と11日03時のアメダスによる気温と風の分布
●2月10日15時と11日03時の地上天気図
関東の南を東へ進んだ低気圧の中心気圧は、9日21時には1016hPa、10日09時には1012hPa、15時には1006hPa、21時には1004hPa、そして11日03時には998hPaと24時間で16hPa低下しました。
●2月10日21時と11日09時の850hPa面高層天気図
作成日 2022/03/14
名前 日立市天気相談所