一般社団法人地方創生戦略研究所代表理事・井手よしひろです。
2019年1月まで、県議会議員を6期務めていました。2018年5月に一般社団法人地方創生戦略研究所を設立し、地方創生とSDGs、防災・減災などの推進を目的に掲げ、活動を展開しています。
すべての国連加盟国が2030年までの達成をめざす「持続可能な開発目標」(SDGs)は、貧困と飢餓の撲滅などに加え、感染症への対処も掲げています。したがって、新型コロナウイルスへの対応も、SDGsに含まれることは言うまでもありません。
国連世界食糧計画(WFP)は4月21日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で物流が滞り、最低限の食料の入手さえ困難になる人が世界中で急増し、2億6500万人に上る可能性があるという衝撃的な推計を発表しました。
WFPによると、昨年に食料危機に陥っていた人は約1億3500万人であり、ほぼ倍増したことになります。飢餓のパンデミック(世界的大流行)にも備えるべき状況です。
こうした危機感を踏まえ、国連のグテレス事務総長は23日、新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっている影響を考慮し、SDGsの達成に向けた国際的な取り組みに関する新方針を示しました。
事務総長が特に訴えていることは、途上国への支援の強化に他なりません。
日米欧や中国など20カ国・地域(G20)は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、1人当たりの国民総所得(GNI、1年間に得られる所得)が11万円以下の最貧国を対象に、債務の返済を一時的に猶予することで既に合意しています。
グテレス事務総長は、これを「途上国支援のための第一歩」であると評価し、さらに、中所得の途上国にも同様の債務救済措置を実施するよう求めています。G20は、この要請に応じる必要があります。
医療体制の拡充よりも、債務の返済に資金を充てている途上国は多く、病院や医療従事者の不足から、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大する懸念が強いためです。
「誰も置き去りにしない」とのSDGsの理念を今こそ再確認して、日本など先進国は途上国にも目を向け、新型コロナウイルス対策を進めていくべきです。
(2020年4月29日)
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