つくばエクスプレス運営会社、マイカル社債損失110億円 |
2001年10月15日、井手よしひろ県議は県議会総務企画委員会で、首都圏新都市鉄道株式会社(水田嘉憲社長)が保有していたマイカル関連社債が、債務不履行に陥る可能性が高い問題について執行部の対応を質問しました。首都圏新都市鉄道は、つくばエクスプレス(常磐新線:秋葉原〜つくば間を45分で結ぶ高速鉄道)の事業を推進することを目的に設立された第3セクターの株式会社で、東京都や茨城県などの地方自治体と民間企業が出資をしています。 参考:首都圏新都市鉄道株式会社のホームページ
つくばエクスプレス建設の資金フレームは、建設費の約1兆円あまりを、国からの貸付金4113億円(運輸設備整備事業団貸付金)、自治体からの貸付金4113億円、自治体の出資金1440億円、財政投融資等からの貸付金617億円、民間企業からの出資金190億円で賄おうとするものです。
首都圏新都市鉄道では、この資金を事前に調達し、工事費は鉄道建設公団に出来高払いで支払っています。したがって、余剰の資金を有価証券で投資し、平成12年度末までで、約47億円の運用益を得ていました。 参考:平成12年度の決算書中の有価証券明細表
9月14日、(株)マイカル並びに(株)マイカル総合開発が、東京地裁に対して、民事再生手続きの申し立てを行ったことによって、マイカル関連の3銘柄、合計110億円が債務不履行になる可能性が高くなりました。
今回問題となっているマイカル関連債権は、平成9年と11年に購入されました。当時は、高金利が見込まれ、信用格付けもAランクでありましたが、マイカルの経営不振が急激に進み、格付けの降下により売却も進まず、今回の状況に至りました。
井手県議は、こうした経過の説明を求め、今回の損失がつくばエクスプレスの工事進捗に影響を与えるかどうかを質しました。
最終的な損失がどの程度になるかは、マイカルの清算を待たなくは確定されません。工事費が相対的に下落傾向にあるため、鉄道建設自体には影響が少ないとは考えられます。
しかし、首都圏新都市鉄道の経営陣の責任を明確にすると共に、経営情報の積極的な開示など、様々な改善が必要となります。
参考:11/28首都圏新都市鉄道取締役会の詳細(井手県議のHPより)
マイカル関連債権の状況
ほぼ全額が債務不履行となる見込みとなったマイカル関連社債一覧
参考:平成12年度の決算書中の有価証券明細表
銘 柄 額
面
金
額所
得
金
額購
入
年
度満期 金利 購入時の格付け 備 考 ガロア第1回ユーロ債 30億円 30億円 H9 H14.6.10 2.75% A+(R&I) ガロアという名称のSPCが発行するユーロ建ての債権。マイカルグループが保有する償却資産が対象の債権で、最終の信用リスクはすべてマイカルに帰着する。 (株)マイカル第3回無担保社債 40億円 40億円 H11 H15.6.19 1.75% A+(JCR) (株)マイカル総合開発第1回無担保社債 40億円 40億円 H11 H15.12.19 1.70% A−(JCR) マイカルが保証会社になっているため最終リスクはマイカルに帰着する。 つくばエクスプレス(常磐新線)の建設工事の資金フレーム
総建設費1兆473億円を自治体と民間企業からの出資と政府、自治体からの無利子貸し付けで捻出している。
国 自治体からの貸付金 自治体
出資金財政投
融資等民間
資金運輸設備事業団貸付金 4113億円 4113億円 1440億円 617億円 190
億円40% 40% 14% 6% 80% 20% 無利子貸付金対象額(1兆283億円) 首都圏新都市鉄道(株)への出資状況(H13.8月現在)
自治体合計 1606億円 民間出資合計 195億1200万円
地方自治体の出資内訳
地方公共団体分については「東京4:埼玉1:千葉2:茨城3」という負担割合になっており、
その割合に応じて必要額を毎年度出資している。(端数四捨五入)
東京都 321億2000万円 足立区 128億4800万円 台東区 96億3600万円 千代田区 48億1800万円 荒川区 48億1800万円 東京都合計 642億4000万円 埼玉県 107億800万円 八潮市 29億4400万円 三郷市 24億800万円 埼玉県合計 160億6000万円 千葉県 130億1000万円 柏市 95億5500万円 流山市 95億5500万円 千葉県合計 321億2000万円 茨城県 321億2000万円 つくば市 107億700万円 守谷町 26億7700万円 伊奈町 13億3800万円 谷和原村 13億3800万円 茨城県合計 481億8000万円